たいへんたいへんたいへんたいへんたいへんたいへんたいへんたい…………
「へんたいお姉ちゃん!!」
「誰が変態じゃ!!」
ポカっ
「へんたいお姉ちゃん!!」
「誰が変態じゃ!!」
ポカっ
つかさが手にしているのは、お父さんが愛読している趣味雑誌。
その雑誌の写真コンテストのページを見て私は驚いた。
私の視力が落ちていない限り、そこには確かに、こう書いてあった。
その雑誌の写真コンテストのページを見て私は驚いた。
私の視力が落ちていない限り、そこには確かに、こう書いてあった。
「学生部門・金賞」『夕刻』
「 埼玉県幸手市 泉こなた(18)」
「 埼玉県幸手市 泉こなた(18)」
その写真はごくごく日常的なもの。というか、こなたの地元の商店街の写真だ。
でも、何というか、「凄い」と思ってしまった。
でも、何というか、「凄い」と思ってしまった。
でも、これ、本当にあの「こなた」なのかしら?
私は気になって携帯電話を取り出し、敢えて自宅の方に電話を掛ける。
私は気になって携帯電話を取り出し、敢えて自宅の方に電話を掛ける。
『はい、泉です』
「もしもし、こなた?」
『おお、かがみ。久々に声が聞けて嬉しいよ』
こいつの声を24時間前に聞いたのは気のせいかしら?そんなことはどうでもいい。
「アンタ、何で私たちに言わなかったのよ!!」
『ん? なんのこと?』
こいつ、ひらがなで素っ惚けやがった。
「惚けるな」
『もぅ~そんなに怒らなくたっていーじゃん。
ふっふっふ。お主は少し事情を知りすぎた様だ』
何のドラマのネタだ。
「もしもし、こなた?」
『おお、かがみ。久々に声が聞けて嬉しいよ』
こいつの声を24時間前に聞いたのは気のせいかしら?そんなことはどうでもいい。
「アンタ、何で私たちに言わなかったのよ!!」
『ん? なんのこと?』
こいつ、ひらがなで素っ惚けやがった。
「惚けるな」
『もぅ~そんなに怒らなくたっていーじゃん。
ふっふっふ。お主は少し事情を知りすぎた様だ』
何のドラマのネタだ。
いつも通りの漫才がしばらく続いた後、例の写真のことを話してくれることを期待していたのだが、
こなたは「今からそっちに行く」と言って電話を切ってしまった。
良い方向に裏切られた様な気がする。
こなたは「今からそっちに行く」と言って電話を切ってしまった。
良い方向に裏切られた様な気がする。
30分後……。
「やほーかがみん」
「早っ、アンタどういう脚してるのよ!!」
泉家と我が家は県道経由で約10km離れている。まぁ、それはどうでもいい。
「いやぁ、かがみんに会いたくなってねぇ」
「そりゃどうも」
敢えてツッコまない。さっそく来客を私の部屋に案内する。
「やほーかがみん」
「早っ、アンタどういう脚してるのよ!!」
泉家と我が家は県道経由で約10km離れている。まぁ、それはどうでもいい。
「いやぁ、かがみんに会いたくなってねぇ」
「そりゃどうも」
敢えてツッコまない。さっそく来客を私の部屋に案内する。
「────という訳でその漫画にすっかりハマっちゃってねぇ」
「ハマっちゃったねぇ、で済むか」
「す、凄いねぇ、こなちゃん」
つかさは感心しているのか歓心しているのか、ただ単に呆れているのか分からない様な感想を述べる。
こなたはつかさの手作りクッキーをばりぼり食べながら、
その漫画にハマってから写真コンテストへ応募した経緯を全部話してくれた。
「ハマっちゃったねぇ、で済むか」
「す、凄いねぇ、こなちゃん」
つかさは感心しているのか歓心しているのか、ただ単に呆れているのか分からない様な感想を述べる。
こなたはつかさの手作りクッキーをばりぼり食べながら、
その漫画にハマってから写真コンテストへ応募した経緯を全部話してくれた。
こなたの話によると、先月何となく買った漫画が鉄道旅行を題材にしたいわゆる「紀行モノ」で、
その影響を受けて突然小旅行を決行したのだという。
あのインドア派のこなたとは思えない現象だ。
それも夏の頃の話。そういえばこなた、浅草と日光と伊勢崎に行って来たと話してたわね。
こいつがずっと黙っていたのは、
「みんなを驚かそうと思ってね。でも、私の写真、まだまだダメだし」
その影響を受けて突然小旅行を決行したのだという。
あのインドア派のこなたとは思えない現象だ。
それも夏の頃の話。そういえばこなた、浅草と日光と伊勢崎に行って来たと話してたわね。
こいつがずっと黙っていたのは、
「みんなを驚かそうと思ってね。でも、私の写真、まだまだダメだし」
話している間、こなたの目がとても輝いている様に見えて、本当に楽しんでいるんだな、って思った。
こなたには悪いけど、その様子が小さな子どもの様でとても可愛らしい。
こなたには悪いけど、その様子が小さな子どもの様でとても可愛らしい。
「んでね、夏に売っていた東武フリーきっぷで東武電車を乗れるだけ乗ってみた。丸一日ね。
きっかけは、うん、あの時だったね」
こなたは確かめる様に言う。
「その日は、お父さんが何か撮ってみたら?とカメラを1台貸してくれて、
使い方とかも教えてくれて、パシャパシャ撮ってみたの。
そしたらさ、列車乗ってるのよりも、写真撮ってることの方にハマっちゃって」
「こなたが『カメラ小僧』ならぬ『カメラ娘』ねぇ」
「こなちゃん、どんなの撮ったの?」
つかさも興味津々の様だ。
「色々だよ。乗ってた電車とか、窓から見た景色とか、降りた駅の風景とか」
こなたはバッグの中をゴソゴソしながら言い、一冊のミニアルバムを取りだす。
「初めて撮ったやつだから、あんまり綺麗じゃないけど……」
きっかけは、うん、あの時だったね」
こなたは確かめる様に言う。
「その日は、お父さんが何か撮ってみたら?とカメラを1台貸してくれて、
使い方とかも教えてくれて、パシャパシャ撮ってみたの。
そしたらさ、列車乗ってるのよりも、写真撮ってることの方にハマっちゃって」
「こなたが『カメラ小僧』ならぬ『カメラ娘』ねぇ」
「こなちゃん、どんなの撮ったの?」
つかさも興味津々の様だ。
「色々だよ。乗ってた電車とか、窓から見た景色とか、降りた駅の風景とか」
こなたはバッグの中をゴソゴソしながら言い、一冊のミニアルバムを取りだす。
「初めて撮ったやつだから、あんまり綺麗じゃないけど……」
どうぞ、と見せる。
「こ、こなちゃん……」
「す、凄い………」
私とつかさが同時に唾をごくりと飲んだ。
「いやぁ、カメラが良かっただけだよ。これなんか何撮ったか良く分かんないし」
正直驚いた。
ちょっと大袈裟な表現だけど、こなたが「初めて撮った」写真はどれも『作品』として成立している。
どれもこれも絵はがきになりそうなものばかりだ。
スナップ写真ばかりなのだが、全ての描写が生き生きとしている。
「こ、こなちゃん……」
「す、凄い………」
私とつかさが同時に唾をごくりと飲んだ。
「いやぁ、カメラが良かっただけだよ。これなんか何撮ったか良く分かんないし」
正直驚いた。
ちょっと大袈裟な表現だけど、こなたが「初めて撮った」写真はどれも『作品』として成立している。
どれもこれも絵はがきになりそうなものばかりだ。
スナップ写真ばかりなのだが、全ての描写が生き生きとしている。
例えばこの写真。駅員さんと車掌さんが電車の前で何やらやりとりしている様子を撮ったものだけど、
その描写がとても生き生きとしており、見ているだけでその場の臨場感が伝わる。
その描写がとても生き生きとしており、見ているだけでその場の臨場感が伝わる。
この写真も凄い。ホームで日向ぼっこをしている猫を撮ったものだけど、
敢えて低い視線ではなく、こなたの身長を活かした絶妙な高さで見下ろして撮っているのがポイントだろうか。
ありきたりと言えばありきたりなのだが、何だろう。実に、ほのぼのとしていて素晴らしい。
敢えて低い視線ではなく、こなたの身長を活かした絶妙な高さで見下ろして撮っているのがポイントだろうか。
ありきたりと言えばありきたりなのだが、何だろう。実に、ほのぼのとしていて素晴らしい。
雑誌などで見るプロが撮った絵とは違い、良い意味で『アマチュアらしさ』を出しているのも良い。
……って、私は審査員か!!
「どれも綺麗だね。こなちゃん凄いね」
つかさはこなたの写真がすっかり気に入ってしまった様子。私も同じだ。
「へへへ、そりゃどうも」
赤面して照れまくりのこなた。可愛いので私たちの妹にしたい。
いかんいかん、落ち着け、落ち着け私。
「どれも綺麗だね。こなちゃん凄いね」
つかさはこなたの写真がすっかり気に入ってしまった様子。私も同じだ。
「へへへ、そりゃどうも」
赤面して照れまくりのこなた。可愛いので私たちの妹にしたい。
いかんいかん、落ち着け、落ち着け私。
そして、やっと本題に入る。私が訊く前につかさが切り出してきた。
「それで、どうしてこの雑誌のコンテストに応募したの?」
「んー、家帰ってパソコンに取り込んでお父さんに見せたら、お父さん、私の写真見て感動しちゃったらしくて、それで…」
「おじさんがこなたの名前で勝手に応募した、と」
「そゆこと」
そういうことだろうと思った。幾ら何でもいきなりコンテストに応募したりはしないだろう。
雑誌の懸賞じゃあるまいし。
ちなみに撮った写真は家のプリンタで印刷するのは味気ないので、おじさんが写真屋さんに出して焼いて貰ったらしい。
「それで、どうしてこの雑誌のコンテストに応募したの?」
「んー、家帰ってパソコンに取り込んでお父さんに見せたら、お父さん、私の写真見て感動しちゃったらしくて、それで…」
「おじさんがこなたの名前で勝手に応募した、と」
「そゆこと」
そういうことだろうと思った。幾ら何でもいきなりコンテストに応募したりはしないだろう。
雑誌の懸賞じゃあるまいし。
ちなみに撮った写真は家のプリンタで印刷するのは味気ないので、おじさんが写真屋さんに出して焼いて貰ったらしい。
「いやぁ、まさか入賞するとは思わなかったよ。しかも金賞。
そだ。今度みんなで遊びに行くときにカメラ持って行くよ。お父さんから借りて。
かがみんが特大パフェを食べている瞬間を激写するのだ~~~」
「おぉ、こなちゃんカメラマンだ~」
「お前、本当に撮ったら写真をアンタごと消去するわよ」
勿論冗談。
「ぷーっ」
「『ぷーっ』ってしてもダメ。持って帰………いや、撮ったら消す」
「でもカメラは持って行くよ。だって……」
それに続く言葉を聞いて、私は何故かどきっとしてしまった。
そだ。今度みんなで遊びに行くときにカメラ持って行くよ。お父さんから借りて。
かがみんが特大パフェを食べている瞬間を激写するのだ~~~」
「おぉ、こなちゃんカメラマンだ~」
「お前、本当に撮ったら写真をアンタごと消去するわよ」
勿論冗談。
「ぷーっ」
「『ぷーっ』ってしてもダメ。持って帰………いや、撮ったら消す」
「でもカメラは持って行くよ。だって……」
それに続く言葉を聞いて、私は何故かどきっとしてしまった。
「……かがみやつかさ、みんなの思い出が残せるでしょ?」
ちょっと嬉しくなってしまった。『持つべきものは友』とはこういうことか。
その夜──
「ねぇお姉ちゃん、私たちも何か撮ってみない?」
「うーん、そうね。でもウチにカメラってあったかしら?」
「そう言えば……あ、まつりお姉ちゃん、この前デジカメ買ったらしいよ」
「まつり姉さんはダメよ。ケチだから貸してくれないわ」
「聞こえてたわよ」
まずい。聞こえてたか。
「ねぇお姉ちゃん、私たちも何か撮ってみない?」
「うーん、そうね。でもウチにカメラってあったかしら?」
「そう言えば……あ、まつりお姉ちゃん、この前デジカメ買ったらしいよ」
「まつり姉さんはダメよ。ケチだから貸してくれないわ」
「聞こえてたわよ」
まずい。聞こえてたか。
§
数日後──
「おーっす」
「めーっす」
(めーっすって何だ?)
「やほー、つかさ他1名」
「略すな!!」
「わぁ、こなちゃん本物のカメラマンみたい」
「本当ね。またおじさんから借りたの?」
「これは私のだよ」
「へ?!」
「あの雑誌の賞品がこのカメラだったんだよ。応募したのはお父さんだけど、
折角だからってコトでお父さんが賞品くれた」
こなたが首からぶら下げているのは、銀色の小振りな一眼レフカメラ。
そうだ、目に「☆」を付けた女の子4人が宣伝してるあのカメラだわ。
「おーっす」
「めーっす」
(めーっすって何だ?)
「やほー、つかさ他1名」
「略すな!!」
「わぁ、こなちゃん本物のカメラマンみたい」
「本当ね。またおじさんから借りたの?」
「これは私のだよ」
「へ?!」
「あの雑誌の賞品がこのカメラだったんだよ。応募したのはお父さんだけど、
折角だからってコトでお父さんが賞品くれた」
こなたが首からぶら下げているのは、銀色の小振りな一眼レフカメラ。
そうだ、目に「☆」を付けた女の子4人が宣伝してるあのカメラだわ。
「今日はかがみとつかさの決定的瞬間を撮るぞ~、しっしっしっし」
「なら私もこなたの決定的瞬間を撮ってあげるわ」
「うぉ、かがみもカメラ買ったんだ~」
「まつり姉さんから借りたのよ。えっと、私たちの一つ上の…」
「それでね、私とお姉ちゃんで絶対面白い写真撮ろうって決めたの」
「なら私もこなたの決定的瞬間を撮ってあげるわ」
「うぉ、かがみもカメラ買ったんだ~」
「まつり姉さんから借りたのよ。えっと、私たちの一つ上の…」
「それでね、私とお姉ちゃんで絶対面白い写真撮ろうって決めたの」
そう、昨日、私とつかさがこなたと遊ぶことを家族に話したら、
まつり姉さんがコンパクトデジカメを貸してくれたのだ。
こなた、今日は覚悟なさい。アンタの間抜け面撮って家族にみせびらかせてあげるわ。
まつり姉さんがコンパクトデジカメを貸してくれたのだ。
こなた、今日は覚悟なさい。アンタの間抜け面撮って家族にみせびらかせてあげるわ。
§
ところで───
「あの、ちょっとすみません」
「へ、オレ?」
「警察です。失礼ですが身分の証明出来るものを見せて貰えますか?」
「……ってゆいちゃんじゃないか」
「おじさん。明らかに挙動不審ですよ。そのでっかいレンズは何ですか?」
「これは、その、えっと……」
「く れ ぐ れ も ウチのゆたかに手を出したら承知しませんからね!!」
「うっ…………」
「あの、ちょっとすみません」
「へ、オレ?」
「警察です。失礼ですが身分の証明出来るものを見せて貰えますか?」
「……ってゆいちゃんじゃないか」
「おじさん。明らかに挙動不審ですよ。そのでっかいレンズは何ですか?」
「これは、その、えっと……」
「く れ ぐ れ も ウチのゆたかに手を出したら承知しませんからね!!」
「うっ…………」