- 彼女は遷移状態で恋をする かがみSide(6)
今日は約束の日。
約束の、峰岸や日下部との花火大会の日。
ウキウキしながらそれの準備してたところで、変態メガネからのメール。
『駅前で集合ですよ、甘露煮君』
……んがくくっ!
そう、所謂なんというか……ダブルブッキングしてしまったわけだ。
詳しくは前回の俺の愚行を振り返ってくれ……今自己嫌悪で死にそうで忙しいんだ。
まさかこなたの事をすっかり忘れてたとは何たる不覚、というか最低。
今週はなんというか、浮かれまくってたからなぁ俺。
ぶっちゃけ、弟や変態メガネの話なんぞ軽く聞き流してた。
あいつらも深く突っ込んでこなかったからなぁ……こなたの事考えてるとでも思ったのか!
くぅう、あの変態メガネ。こういう時の皮肉だろうよ!!
しかしどうする?
ああ、ええとそうだ。電話電話!
こういう時の携帯だろ!?
ええと、ええと、峰岸? 「み」……「み」は、と。
あ、「く」が先か。日下部日下部。
断る? もったいない常考!!!
ああええと、じゃああれだ……そうあれ。
一緒に回ればいいだろ、お互い違うクラスメイトと交友を深める機会だ。
こなたの事もまとめてやってやればいいんだろ、男ならやってやれ!
……。
電子音が耳に続く。
日下部に電話したが、なかなか出ない。
ああもう、こいつもさては携帯不携帯派だな!
ええい、じゃあもういい峰岸だよ!
……。
話し中!!!
くそっ、こういう時って無駄に慌てるからいけないよな。
着信は残るんだから、返ってくるよな。
峰岸の方は話し中だから無理か。
なら日下部から……っと、着信だよ早速。
って峰岸? おかしいな、日下部のほうかと思ってたんだけど。
まぁいっか、峰岸の声で目も覚めるってもんよ。
『もしもし、柊君? 何かあった?』
ああ、あったあった。
……ってちょっと待て、なんでお前が知ってるんだよ。
「んああ、急用というかまぁ……急用だ」
考えられるに、まず俺が日下部に電話した。
日下部が峰岸に電話した、だから峰岸は話し中。
そして峰岸が俺に? 何この遠回り……頭使わせんな!
まぁいいか、特に気にする事でもないよな。女の考えてる事なんざ分からん。
峰岸はダブルブッキングの話も素直に受け入れてくれた。
何でもみゆきやつかさは他のクラスでも女子には人気らしい。
ふぅ、こんな時に変態メガネの容姿端麗八方美人っぷりが役に立つとは。
あと弟のお菓子作り好きな。
……しかし、今の問題はそっちの二人でもあるか。
うう、皮肉の刹那五月雨撃ちだよきっと。
「お兄ちゃん、そろそろ行こうよ」
「うっ……ああ」
もちろん言い出せないまま、約束の時間を迎えた。
こなたとお祭り、ということもあってか少しめかし込んでる弟。
きっと変態メガネも同じ状態だろうな……とか思ったら、案の定決め込んでやがったよ。
それに突っ込んでたおかげで……言い出せなかったわけだよ、峰岸たちのこと。
「あ、こなちゃん来たよっ」
そんな事考えてるうちにこなたも来ちゃったわけで。
「こんにちわ泉さん、浴衣が良く似合っていますね」
「うん、本当。すっごい可愛い」
何、浴衣? ああ、本当だ。
髪も後ろでくくってる、珍しいかもな。
こう見ると案外……。
「ほらっ、お兄ちゃん」
「ん……ああ」
つかさに急かされ、何か慌てる。
うう、久しぶりだってだけで何で緊張してんだ俺は。
「……よッス」
なんか照れくさかったので、適当に返事をした。
そしたら久々にその顔に……笑顔の花が咲いた。
「なんか久しぶりだねっ、かがみ」
そりゃそうだよ、こちとら避けられまくってたわけなんだから。
むぅ、なんか焦ってるな。何を焦ってる俺よ。
そこで変態メガネと弟に肘で思いっきり小突かれた。
なっ何だよお前ら、脇に入ったぞ!
何だ? 小声で何を……浴衣?
お、俺も言えってか? 浴衣似合ってるぞって。
んなの言えるか! そんなキャラじゃねえよ!
「ねぇ、かがみ」
そこで慌ててる俺に、こなたの声がする。
眼は、俺を見てる。
な、なんだよ。
だから何で焦ってるんだ俺は!
……。
その時、だ。
こなたの口が小さく、何かを紡ごうとした時……。
「ぅおーい、柊ぃー!」
「ぬおっ!」
声と共に俺の体が大きく揺れる。
背中に走ったのは、衝撃。
この声には聞き覚えがある……ってしまった、慌ててた所為で忘れてたよ!
「お待たせ、柊君」
そこには居た。
峰岸と、日下部。
そりゃそうだ……俺が誘ったわけだからな。
じゃあ今の一撃は日下部か……くぅ、背中思いっきり叩きやがって。
「ああえっと」
そのインパクトのある登場に、三人が面食らう。
視線も、自然と俺に集まる。
「説明しようと思ってたんだが……今日、こいつらも一緒だから」
「へっ?」
「はっ?」
ん、何だよ弟にメガネよ。
何でそんな顔してるんだ?
「こっちが峰岸、で日下部。どっちも同じクラスのやつ」
「よろしく」
「よろしくなぁー」
丁寧にお辞儀する峰岸と適当に手を振る日下部。
相変わらず対照的な二人だな。
「んでこっちが俺の弟、あと高良に、泉だ」
「あ……よ、よろしく」
「よろしくおねがいします」
「……」
こっちの三人も挨拶する。
みゆきの八方美人な笑顔はともかくとして、何て顔してるんだ? つかさのやつ。
こなたも何か強張ったまま頭下げたし……。
「ねっ、ねっ。どうかな? 柊君」
「?」
そんな呆けた顔を気にする前に、峰岸から声がかかる。
そして何故か一回転。
ん? なんだよ。
ああ、大分印象が違うと思えばそういう事か。
そうそう、さっきもみゆき達に小突かれたっけ。
ええと、うんそうそう。
「ああ、『二人とも』よく浴衣似合ってるな」
……。
そこから先は、あんまり覚えてない。
とりあえず、殴られて意識が飛んだな。
約束の、峰岸や日下部との花火大会の日。
ウキウキしながらそれの準備してたところで、変態メガネからのメール。
『駅前で集合ですよ、甘露煮君』
……んがくくっ!
そう、所謂なんというか……ダブルブッキングしてしまったわけだ。
詳しくは前回の俺の愚行を振り返ってくれ……今自己嫌悪で死にそうで忙しいんだ。
まさかこなたの事をすっかり忘れてたとは何たる不覚、というか最低。
今週はなんというか、浮かれまくってたからなぁ俺。
ぶっちゃけ、弟や変態メガネの話なんぞ軽く聞き流してた。
あいつらも深く突っ込んでこなかったからなぁ……こなたの事考えてるとでも思ったのか!
くぅう、あの変態メガネ。こういう時の皮肉だろうよ!!
しかしどうする?
ああ、ええとそうだ。電話電話!
こういう時の携帯だろ!?
ええと、ええと、峰岸? 「み」……「み」は、と。
あ、「く」が先か。日下部日下部。
断る? もったいない常考!!!
ああええと、じゃああれだ……そうあれ。
一緒に回ればいいだろ、お互い違うクラスメイトと交友を深める機会だ。
こなたの事もまとめてやってやればいいんだろ、男ならやってやれ!
……。
電子音が耳に続く。
日下部に電話したが、なかなか出ない。
ああもう、こいつもさては携帯不携帯派だな!
ええい、じゃあもういい峰岸だよ!
……。
話し中!!!
くそっ、こういう時って無駄に慌てるからいけないよな。
着信は残るんだから、返ってくるよな。
峰岸の方は話し中だから無理か。
なら日下部から……っと、着信だよ早速。
って峰岸? おかしいな、日下部のほうかと思ってたんだけど。
まぁいっか、峰岸の声で目も覚めるってもんよ。
『もしもし、柊君? 何かあった?』
ああ、あったあった。
……ってちょっと待て、なんでお前が知ってるんだよ。
「んああ、急用というかまぁ……急用だ」
考えられるに、まず俺が日下部に電話した。
日下部が峰岸に電話した、だから峰岸は話し中。
そして峰岸が俺に? 何この遠回り……頭使わせんな!
まぁいいか、特に気にする事でもないよな。女の考えてる事なんざ分からん。
峰岸はダブルブッキングの話も素直に受け入れてくれた。
何でもみゆきやつかさは他のクラスでも女子には人気らしい。
ふぅ、こんな時に変態メガネの容姿端麗八方美人っぷりが役に立つとは。
あと弟のお菓子作り好きな。
……しかし、今の問題はそっちの二人でもあるか。
うう、皮肉の刹那五月雨撃ちだよきっと。
「お兄ちゃん、そろそろ行こうよ」
「うっ……ああ」
もちろん言い出せないまま、約束の時間を迎えた。
こなたとお祭り、ということもあってか少しめかし込んでる弟。
きっと変態メガネも同じ状態だろうな……とか思ったら、案の定決め込んでやがったよ。
それに突っ込んでたおかげで……言い出せなかったわけだよ、峰岸たちのこと。
「あ、こなちゃん来たよっ」
そんな事考えてるうちにこなたも来ちゃったわけで。
「こんにちわ泉さん、浴衣が良く似合っていますね」
「うん、本当。すっごい可愛い」
何、浴衣? ああ、本当だ。
髪も後ろでくくってる、珍しいかもな。
こう見ると案外……。
「ほらっ、お兄ちゃん」
「ん……ああ」
つかさに急かされ、何か慌てる。
うう、久しぶりだってだけで何で緊張してんだ俺は。
「……よッス」
なんか照れくさかったので、適当に返事をした。
そしたら久々にその顔に……笑顔の花が咲いた。
「なんか久しぶりだねっ、かがみ」
そりゃそうだよ、こちとら避けられまくってたわけなんだから。
むぅ、なんか焦ってるな。何を焦ってる俺よ。
そこで変態メガネと弟に肘で思いっきり小突かれた。
なっ何だよお前ら、脇に入ったぞ!
何だ? 小声で何を……浴衣?
お、俺も言えってか? 浴衣似合ってるぞって。
んなの言えるか! そんなキャラじゃねえよ!
「ねぇ、かがみ」
そこで慌ててる俺に、こなたの声がする。
眼は、俺を見てる。
な、なんだよ。
だから何で焦ってるんだ俺は!
……。
その時、だ。
こなたの口が小さく、何かを紡ごうとした時……。
「ぅおーい、柊ぃー!」
「ぬおっ!」
声と共に俺の体が大きく揺れる。
背中に走ったのは、衝撃。
この声には聞き覚えがある……ってしまった、慌ててた所為で忘れてたよ!
「お待たせ、柊君」
そこには居た。
峰岸と、日下部。
そりゃそうだ……俺が誘ったわけだからな。
じゃあ今の一撃は日下部か……くぅ、背中思いっきり叩きやがって。
「ああえっと」
そのインパクトのある登場に、三人が面食らう。
視線も、自然と俺に集まる。
「説明しようと思ってたんだが……今日、こいつらも一緒だから」
「へっ?」
「はっ?」
ん、何だよ弟にメガネよ。
何でそんな顔してるんだ?
「こっちが峰岸、で日下部。どっちも同じクラスのやつ」
「よろしく」
「よろしくなぁー」
丁寧にお辞儀する峰岸と適当に手を振る日下部。
相変わらず対照的な二人だな。
「んでこっちが俺の弟、あと高良に、泉だ」
「あ……よ、よろしく」
「よろしくおねがいします」
「……」
こっちの三人も挨拶する。
みゆきの八方美人な笑顔はともかくとして、何て顔してるんだ? つかさのやつ。
こなたも何か強張ったまま頭下げたし……。
「ねっ、ねっ。どうかな? 柊君」
「?」
そんな呆けた顔を気にする前に、峰岸から声がかかる。
そして何故か一回転。
ん? なんだよ。
ああ、大分印象が違うと思えばそういう事か。
そうそう、さっきもみゆき達に小突かれたっけ。
ええと、うんそうそう。
「ああ、『二人とも』よく浴衣似合ってるな」
……。
そこから先は、あんまり覚えてない。
とりあえず、殴られて意識が飛んだな。
「痛ぅ……何すんだよ、お前ら」
思いっきり二人に殴られた頭が痛む。
そのまま二人に首根っこを掴まれ、女子とは離れた場所に拉致られる。
こいつらこんなに暴力的だったっけか?
「つかさ君……鈍器を」
「ごめん、金属バットしかないや」
ってなんでんなもん持ってんだよってちょらめウッディイイイイイ!
「……まず、説明してもらいましょうか。脳みそ佃煮君」
「な、何がだよ?」
フクロにされた後に、みゆきに襟首を掴まれる。
顔は笑ってるが眼が笑ってないぞ! ってか甘露煮から佃煮に!
「お兄ちゃん、さすがに今日のはないよ……フォロー出来ない」
ってなんかつかさまで溜息ついてるし!
あ、あああれか。
峰岸たちのことか。
「い、言い忘れてたんだ。悪かったよ」
でもお前らも嬉しいだろ?
男女比もこれで均等じゃないか。
しかもあの峰岸と一緒だなんてむしろ大殊勲だろ!
「佃煮君……今日の目的を覚えてますか?」
目的って、あれか? こなたと仲直りって……。
「そ、それは俺とこなたが居れば出来るだろ? 他のメンバーなんて関係ないんじゃ……」
「……つかさ君、パス」
呆れた、といった感じで俺の襟首から手を離す。
う、なんだよ。いつもの皮肉はどうしたんだ?
「……ゆき、僕も無理」
だからなんでお前らそんな顔してんだよ!!
「行きましょうか、女性陣を待たせてはいけませんし」
「うん、だねっ」
そのまま俺を無視して二人で女性陣の元へ。
……。
って俺を置いてくな!
思いっきり二人に殴られた頭が痛む。
そのまま二人に首根っこを掴まれ、女子とは離れた場所に拉致られる。
こいつらこんなに暴力的だったっけか?
「つかさ君……鈍器を」
「ごめん、金属バットしかないや」
ってなんでんなもん持ってんだよってちょらめウッディイイイイイ!
「……まず、説明してもらいましょうか。脳みそ佃煮君」
「な、何がだよ?」
フクロにされた後に、みゆきに襟首を掴まれる。
顔は笑ってるが眼が笑ってないぞ! ってか甘露煮から佃煮に!
「お兄ちゃん、さすがに今日のはないよ……フォロー出来ない」
ってなんかつかさまで溜息ついてるし!
あ、あああれか。
峰岸たちのことか。
「い、言い忘れてたんだ。悪かったよ」
でもお前らも嬉しいだろ?
男女比もこれで均等じゃないか。
しかもあの峰岸と一緒だなんてむしろ大殊勲だろ!
「佃煮君……今日の目的を覚えてますか?」
目的って、あれか? こなたと仲直りって……。
「そ、それは俺とこなたが居れば出来るだろ? 他のメンバーなんて関係ないんじゃ……」
「……つかさ君、パス」
呆れた、といった感じで俺の襟首から手を離す。
う、なんだよ。いつもの皮肉はどうしたんだ?
「……ゆき、僕も無理」
だからなんでお前らそんな顔してんだよ!!
「行きましょうか、女性陣を待たせてはいけませんし」
「うん、だねっ」
そのまま俺を無視して二人で女性陣の元へ。
……。
って俺を置いてくな!
「どうぞ、泉さん。足元に気をつけてください」
「うん、ありがとっ」
「あ、こなちゃんほら。そこ段だよ」
「うわっ、あははっ。危ないね」
六人で祭りの場所まで歩く。
こなたの両側にはピッタリと馬鹿二人がくっ付き、近寄ったら何か睨まれた。
ったく、俺とこなたの仲直り企画はどうなったんだ?
もう頓挫したのか……天才が聞いて呆れるな。
「ふふっ、泉ちゃんってモテモテなんだね」
「ああ、あの二人はゾッコンらしい……俺には皆目理解が出来ないが」
「そ、そうなのかっ!?」
そこで日下部が何故か割って入る。
ん? 何か顔が赤いぞ?
「やっ、な、なんだよー。怖いので知られる柊に彼女でも出来たのかと思ったぜー」
もう一度背中を叩かれる。
くぅ、さっきより威力が上がってる。
何がそんなに陽気なんだよお前はいつも。
なんか峰岸も異様に笑顔だし!
「つかさが最初に仲良くなってさ、俺はついでだよついで」
「ふぅん」
と、訝しげに俺を見る峰岸。
むおお、顔が近いぞ。
はぅうシャンプーの良い香り……役得役得。
「あ、大分人増えてきたね」
「そりゃお祭りだもんなー、皆来るだろ」
河川敷を歩くうちに人通りも増えていく。
皆こぞっては花火のよく見える場所に居るわけだ。
考えることは皆同じなんだなぁ……。
「ぬわっ!」
と、そこで日下部が雑巾を絞ったような声を出して倒れる。
雑踏に押されたのか? ったく、仕方ないな。
「ほら、大丈夫か?」
「ん、あっ……あんがと」
手を差し伸べると、日下部のそれと重なった。
結構、柔らかいです。
……って日下部相手に何考えてんだ!
「みさちゃんまだ浴衣になれてないんだって、柊君エスコートしてあげてよ」
「な、何言うんだよあやのっ!」
「今朝だって朝から電話がかかってきて浴衣の着付けが分かんないって……」
「ぬわぁー!!!」
仲良く絡み合う二人……と思ったが日下部が峰岸を締め上げてるだけか。
幼馴染なんだっけ? 仲良いなさすがに。
「エスコートつっても、俺は良く分からんぞ?」
あの変態メガネじゃないんだ、礼儀作法云々は苦手だよ。
「大丈夫大丈夫、倒れないように手繋いでるだけでいいから」
「んなぁ!」
「手?」
手、ねぇ。
そりゃ繋いでれば支えてやるぐらいは出来るが……柔らかかったし。
「俺はいいけど」
と、手を差し出してやる。
しかし日下部的にはあれなんじゃないか?
同級生にでも見られたら冷やかされるだけだしなぁ。
ほら、なかなか掴み返さないし。
まぁ峰岸が提案しただけだから別に……。
「私もお願いしちゃおっかな」
「ぬお!」
手に柔らかい感触。
見ると、俺の手に手が重なってる。
……峰岸の、が。
ふぉおおお、な、何だか凄い状況に!
みみ、み峰岸さんなんばしょっとね!
「あ、あやの!」
「だってみさちゃんなかなか繋がないし」
「う……」
「あ、ほら。右手が開いてるよ?」
ってちょっと待て! そしたら俺は……。
「……」
俺の意見もないまま、日下部が手を差し出してくる。
俺、に。
……い、いや。これは繋がないといけないわけか?
だよな、向こうが伸ばしてるわけだから。
まぁ、そんなわけで。
今ちょっと、凄い状態なわけだ。
いかん……俺、うかれてる。
「うん、ありがとっ」
「あ、こなちゃんほら。そこ段だよ」
「うわっ、あははっ。危ないね」
六人で祭りの場所まで歩く。
こなたの両側にはピッタリと馬鹿二人がくっ付き、近寄ったら何か睨まれた。
ったく、俺とこなたの仲直り企画はどうなったんだ?
もう頓挫したのか……天才が聞いて呆れるな。
「ふふっ、泉ちゃんってモテモテなんだね」
「ああ、あの二人はゾッコンらしい……俺には皆目理解が出来ないが」
「そ、そうなのかっ!?」
そこで日下部が何故か割って入る。
ん? 何か顔が赤いぞ?
「やっ、な、なんだよー。怖いので知られる柊に彼女でも出来たのかと思ったぜー」
もう一度背中を叩かれる。
くぅ、さっきより威力が上がってる。
何がそんなに陽気なんだよお前はいつも。
なんか峰岸も異様に笑顔だし!
「つかさが最初に仲良くなってさ、俺はついでだよついで」
「ふぅん」
と、訝しげに俺を見る峰岸。
むおお、顔が近いぞ。
はぅうシャンプーの良い香り……役得役得。
「あ、大分人増えてきたね」
「そりゃお祭りだもんなー、皆来るだろ」
河川敷を歩くうちに人通りも増えていく。
皆こぞっては花火のよく見える場所に居るわけだ。
考えることは皆同じなんだなぁ……。
「ぬわっ!」
と、そこで日下部が雑巾を絞ったような声を出して倒れる。
雑踏に押されたのか? ったく、仕方ないな。
「ほら、大丈夫か?」
「ん、あっ……あんがと」
手を差し伸べると、日下部のそれと重なった。
結構、柔らかいです。
……って日下部相手に何考えてんだ!
「みさちゃんまだ浴衣になれてないんだって、柊君エスコートしてあげてよ」
「な、何言うんだよあやのっ!」
「今朝だって朝から電話がかかってきて浴衣の着付けが分かんないって……」
「ぬわぁー!!!」
仲良く絡み合う二人……と思ったが日下部が峰岸を締め上げてるだけか。
幼馴染なんだっけ? 仲良いなさすがに。
「エスコートつっても、俺は良く分からんぞ?」
あの変態メガネじゃないんだ、礼儀作法云々は苦手だよ。
「大丈夫大丈夫、倒れないように手繋いでるだけでいいから」
「んなぁ!」
「手?」
手、ねぇ。
そりゃ繋いでれば支えてやるぐらいは出来るが……柔らかかったし。
「俺はいいけど」
と、手を差し出してやる。
しかし日下部的にはあれなんじゃないか?
同級生にでも見られたら冷やかされるだけだしなぁ。
ほら、なかなか掴み返さないし。
まぁ峰岸が提案しただけだから別に……。
「私もお願いしちゃおっかな」
「ぬお!」
手に柔らかい感触。
見ると、俺の手に手が重なってる。
……峰岸の、が。
ふぉおおお、な、何だか凄い状況に!
みみ、み峰岸さんなんばしょっとね!
「あ、あやの!」
「だってみさちゃんなかなか繋がないし」
「う……」
「あ、ほら。右手が開いてるよ?」
ってちょっと待て! そしたら俺は……。
「……」
俺の意見もないまま、日下部が手を差し出してくる。
俺、に。
……い、いや。これは繋がないといけないわけか?
だよな、向こうが伸ばしてるわけだから。
まぁ、そんなわけで。
今ちょっと、凄い状態なわけだ。
いかん……俺、うかれてる。