2.
『友達』と秋葉原へ出掛けた帰りの電車で、私は突然激しい頭痛に襲われた。
頭の中が真っ白になり、ふと気が付くと、『景色』が変わっていた。
頭の中が真っ白になり、ふと気が付くと、『景色』が変わっていた。
でも、その景色は何処かで見たことがあった。
否、ここは私が知っている場所だった。
否、ここは私が知っている場所だった。
私は、『改装する前の』小田原駅のホームに居た。
私の小学校時代の友達が、その小田原という神奈川県の街に住んでいる。
あれは小5の時だったっけかな?
ずっと一緒だったその友達の家を訪ねて、まつり姉さんと一緒に小田原まで行ったんだ。
ちなみにまつり姉さんは当時中学生で、彼女のお姉さんと友達同士だった。
つまり、姉妹同士で仲が良かったのだ。
あれは小5の時だったっけかな?
ずっと一緒だったその友達の家を訪ねて、まつり姉さんと一緒に小田原まで行ったんだ。
ちなみにまつり姉さんは当時中学生で、彼女のお姉さんと友達同士だった。
つまり、姉妹同士で仲が良かったのだ。
『また、会おうね』
『うん、約束だよ』
『うん、約束だよ』
彼女が転校して以来遊びに行ったのは、あの時と中学3年の時の2回だけ。
次に行ったときは駅が改装工事中で、新しくなった改札口には大きな「小田原提灯」がぶら下がっていたわね。
彼女は今、どうしているのかしら?
次に行ったときは駅が改装工事中で、新しくなった改札口には大きな「小田原提灯」がぶら下がっていたわね。
彼女は今、どうしているのかしら?
……って感慨にふけっている場合じゃないわ!!
「一体、ここは何処なのよ!!」
って、小田原駅か。『単色の駅名看板』にはちゃんと「おだわら」と書いてあるし。
「一体、ここは何処なのよ!!」
って、小田原駅か。『単色の駅名看板』にはちゃんと「おだわら」と書いてあるし。
改装前の小田原駅のホームは確かに古臭く、ボロかった。
でも、いくら何でもここまで殺風景ではなかった筈だ。
ホームの灯りもどこか頼りなく、薄暗くて気味が悪い。
案内板とかも何だか凄く古臭い。
新幹線も止まる大きな駅な筈なのに、電光掲示板が無い。
そんなマニアックな事はともかく、だ。
でも、いくら何でもここまで殺風景ではなかった筈だ。
ホームの灯りもどこか頼りなく、薄暗くて気味が悪い。
案内板とかも何だか凄く古臭い。
新幹線も止まる大きな駅な筈なのに、電光掲示板が無い。
そんなマニアックな事はともかく、だ。
さっきから行き交う人の服装が、凄く古臭い。
最近は昔の格好をするのが流行りなのかしら?
いや、あんな格好やこんな格好をしている人は大宮でも池袋でもまず見掛けない。
秋葉原は別次元なのでスルーするとして。
最近は昔の格好をするのが流行りなのかしら?
いや、あんな格好やこんな格好をしている人は大宮でも池袋でもまず見掛けない。
秋葉原は別次元なのでスルーするとして。
今、男子高校生数名が、私をジロジロ見ながらすれ違った。
丈の短い詰め襟にダボダボのズボンを穿いた、リーゼント頭の高校生。
所謂「ツッパリ」ってヤツ、か。
何よ、何か文句あるの?
丈の短い詰め襟にダボダボのズボンを穿いた、リーゼント頭の高校生。
所謂「ツッパリ」ってヤツ、か。
何よ、何か文句あるの?
そういえば……、
さっきから『あの子』の姿がない。
私の、顔と性格が全然似ない、双子の妹。
「つかさ!! つかさ!! つかさは何処なの!?」
「つかさ!! つかさ!! つかさは何処なの!?」
私は妹の名前を呼びながら、駅じゅうを探し回った。
行き交う人から痛い視線で見られたけれど、無視した。
それよりも、つかさのことが心配だった。
行き交う人から痛い視線で見られたけれど、無視した。
それよりも、つかさのことが心配だった。
結局、つかさは小田原駅の構内には居なかった。
駅員さんに事情を説明して、一旦改札口を出させて貰ったけど、
改札の外にもつかさの姿は無かった。
そう言えば、改札口には無言で乗車券や定期券、ICカードの処理をする『箱』は無く、
全て『人』が大勢の旅客の切符を捌いていた。
改札の外にもつかさの姿は無かった。
そう言えば、改札口には無言で乗車券や定期券、ICカードの処理をする『箱』は無く、
全て『人』が大勢の旅客の切符を捌いていた。
大きな提灯がぶら下がっていた、南北自由通路があった『筈の』改札口で、私は途方に暮れる。
「この先、どうしたらいいのかしら…………」
「この先、どうしたらいいのかしら…………」
普段、私は気が強くてしっかりしている様に思われているし、
『誰かさん』にツンデレなどと呼ばれているけれど、
本当の私は、つかさよりも弱くて、泣き虫で、心脆い。
ちょっと格好付けちゃうのは私の悪い癖なのよね。
つかさ、こんな姉でごめんなさい。
『誰かさん』にツンデレなどと呼ばれているけれど、
本当の私は、つかさよりも弱くて、泣き虫で、心脆い。
ちょっと格好付けちゃうのは私の悪い癖なのよね。
つかさ、こんな姉でごめんなさい。
「きっと、大丈夫よね」
何がって?
きっとそのうち、つかさに会えること。
多分つかさの事だから、きっと会える筈。
そう思ったら、あと一歩で決壊しそうになった涙腺が正常に戻った。
私に、勇気が湧いてきた。
「私、大丈夫なんだから。つかさ、待ってて」
何がって?
きっとそのうち、つかさに会えること。
多分つかさの事だから、きっと会える筈。
そう思ったら、あと一歩で決壊しそうになった涙腺が正常に戻った。
私に、勇気が湧いてきた。
「私、大丈夫なんだから。つかさ、待ってて」
少し落ち着いてきた。
今のうちに今の状況を確かめよう。
今のうちに今の状況を確かめよう。
まずは「持ち物」ね。
服装やバッグ、小物などは全て無事だった。バッグは開けられた形跡も無い。
服装やバッグ、小物などは全て無事だった。バッグは開けられた形跡も無い。
ただ、疑問に思うことが2点。
財布の中身を確認したけれど、残り少ない紙幣は全て見覚えのない柄に変わっており、
嬉しくて思わずしまっておいた「平成十九年」と刻まれたピッカピカの十円玉も何故か古ぼけた「ギザ十」に変わっていた。
これはこれで珍しいからいいんだけど。
嬉しくて思わずしまっておいた「平成十九年」と刻まれたピッカピカの十円玉も何故か古ぼけた「ギザ十」に変わっていた。
これはこれで珍しいからいいんだけど。
それと、私が今日使っていたオレンジのカンバス地のトートバッグの他、身に覚えのない『紙袋』が1つだけあった。
これは意識が戻ったときに気付いたのだけれど、私は何故かこの紙袋を手に持っていた。
中身は、やたらと厚みのない漫画。表紙は………『ピンク』な絵柄。
紙袋から完全に出さなくて良かった。本当に焦った。
同人誌という奴ね。ってか、何で私が知ってるのかしら?
ていうか、コレ、誰の持ち物よ?
紙袋には他にも、小さな縫いぐるみや携帯電話のストラップ、ハンドタオルなどが入っていた。
袋自体はそれほど大きくないが、如何せんピンクな漫画本が入っているのでこれが重い。
何処かに捨てようかと思ったけど、『何か』引っ掛かるので、結局持っている次第だ。
これは意識が戻ったときに気付いたのだけれど、私は何故かこの紙袋を手に持っていた。
中身は、やたらと厚みのない漫画。表紙は………『ピンク』な絵柄。
紙袋から完全に出さなくて良かった。本当に焦った。
同人誌という奴ね。ってか、何で私が知ってるのかしら?
ていうか、コレ、誰の持ち物よ?
紙袋には他にも、小さな縫いぐるみや携帯電話のストラップ、ハンドタオルなどが入っていた。
袋自体はそれほど大きくないが、如何せんピンクな漫画本が入っているのでこれが重い。
何処かに捨てようかと思ったけど、『何か』引っ掛かるので、結局持っている次第だ。
謎の紙袋はさておき、次は「時間」と「場所」を把握しよう。
場所は良く分かった。ここは誰が何と言おうと「小田原駅」だ。
景色がまるっきし違うけど、「小田原駅」と書いてあるから小田原駅だ。
私は駅の入口にあった、閉店間際の売店で大あわてで余った夕刊を買った。
ついでに紙パックの林檎ジュースも。
何故か消費税は徴収されなかった。あ、今は税込み価格で表示するんだっけ。
新聞の日付をすぐさまチェックする。
場所は良く分かった。ここは誰が何と言おうと「小田原駅」だ。
景色がまるっきし違うけど、「小田原駅」と書いてあるから小田原駅だ。
私は駅の入口にあった、閉店間際の売店で大あわてで余った夕刊を買った。
ついでに紙パックの林檎ジュースも。
何故か消費税は徴収されなかった。あ、今は税込み価格で表示するんだっけ。
新聞の日付をすぐさまチェックする。
「…………やっぱりそうね」
驚いた。
日付を見た感想ではない。
新聞に印字された日付を見て『何故か納得してしまった自分』に驚いた。
新聞には昭和5X年12月18日と印字されてあった。
新聞の一面には「世界最強タッグ決定リーグ戦」と題し、白黒の写真にでかでかと写っていたのは、
私が小学生の頃に亡くなったはずのジャイアント馬場選手とジャンボ鶴田選手の勇姿だった。
日付を見た感想ではない。
新聞に印字された日付を見て『何故か納得してしまった自分』に驚いた。
新聞には昭和5X年12月18日と印字されてあった。
新聞の一面には「世界最強タッグ決定リーグ戦」と題し、白黒の写真にでかでかと写っていたのは、
私が小学生の頃に亡くなったはずのジャイアント馬場選手とジャンボ鶴田選手の勇姿だった。
私とつかさは平成元年、まつり姉さんといのり姉さんは昭和60年代の生まれだから、
私たち姉妹は全員生まれていない。
それどころか、お父さんとお母さんもまだ結婚しておらず、
特に18歳で結婚したお母さんは、まだ小学生である。
私たち姉妹は全員生まれていない。
それどころか、お父さんとお母さんもまだ結婚しておらず、
特に18歳で結婚したお母さんは、まだ小学生である。
成る程。だから『ここの』小田原駅と行き交う人のファッションがやたらと古臭いのか。
これ、所謂「タイムリープ」ってヤツか。面白いわね。
私は今ハマっているラノベで、主人公が20年前に飛ばされたシーンを思い浮かべながら、笑った。
心の中で。
これ、所謂「タイムリープ」ってヤツか。面白いわね。
私は今ハマっているラノベで、主人公が20年前に飛ばされたシーンを思い浮かべながら、笑った。
心の中で。
「誰がやったか知らないけれど、とにかく私を30年前の小田原に飛ばしたというからには、
何かやって欲しいことがあるようね。
いいわ、その挑戦状、受けてあげるわ」
私は見えない相手に向かって、与えられた『試練』に立ち向かうことを宣言した。
何かやって欲しいことがあるようね。
いいわ、その挑戦状、受けてあげるわ」
私は見えない相手に向かって、与えられた『試練』に立ち向かうことを宣言した。
まさか、あんなことになるとは、ね。
たった今、やたらとスカートの長い、癖の入った黒髪の高校生達が私の前を通り過ぎた。
アンタ達、今、私の事で何か話してるでしょ?
悪口だけはたとえ小声でも良く聞こえるのよね。
アンタ達、今、私の事で何か話してるでしょ?
悪口だけはたとえ小声でも良く聞こえるのよね。