5.
『青森ー青森ー、青函連絡船は─────』
私の脳内で『津軽海峡・冬景色』が流れている。
歌詞の通り「上野発の夜行列車降りた時から~青森駅は雪の中~」の青森駅。
目は覚めたものの、頭がまだ夢の中。
しかし、列車から降りた瞬間、強烈な寒さで一気に頭も覚めた。
歌詞の通り「上野発の夜行列車降りた時から~青森駅は雪の中~」の青森駅。
目は覚めたものの、頭がまだ夢の中。
しかし、列車から降りた瞬間、強烈な寒さで一気に頭も覚めた。
「寒っ!!」
元々寒さに弱い私にとって、軽く氷点下に達しているであろう青森の寒さは正に地獄だった。
比較的日の出が早い青森でも、まだ空は真っ暗。夜行列車はとんでもない時間に青森駅に到着した。
東北地方は遠いようで意外と近い。そう実感した。
元々寒さに弱い私にとって、軽く氷点下に達しているであろう青森の寒さは正に地獄だった。
比較的日の出が早い青森でも、まだ空は真っ暗。夜行列車はとんでもない時間に青森駅に到着した。
東北地方は遠いようで意外と近い。そう実感した。
そんな場合では無い。
「ここで私はどうしろと。まさかここで凍え死ねというコトなの?」
こんなトコで死ぬのはゴメンだ。でも、これから何をすれば良いのか分からない。
こんなトコで死ぬのはゴメンだ。でも、これから何をすれば良いのか分からない。
乗客のほとんどは猛ダッシュで青函連絡船の連絡口へと消えてしまった。
私だけ一人、取り残される。
駅は独特の静寂に包まれていた。
ホームで聞こえるのは寝台列車の床下から聞こえる送風機の音。
電車というモノは停まっていても五月蠅い乗り物だ。
私だけ一人、取り残される。
駅は独特の静寂に包まれていた。
ホームで聞こえるのは寝台列車の床下から聞こえる送風機の音。
電車というモノは停まっていても五月蠅い乗り物だ。
さて、寒いからさっさと改札口へ行くとしよう。
改札口を出て外に出てみたが、まだ日は昇っていないし、とにかく寒いので、私は早々と待合室に避難した。
その待合室にはストーブが置かれてあるが、非情な事に火が点いていない。
寒い。寒い。寒い。
その待合室にはストーブが置かれてあるが、非情な事に火が点いていない。
寒い。寒い。寒い。
この時代基準で見てもボロボロの待合室は木造で、窓枠も木製なので密閉性は最悪。
隙間風が容赦なく入り込んで来てとても寒い。
四方の壁は半分以上が窓ガラスで、窓枠も壁も白に近いクリーム色で塗られている。
少しでも視覚的に明るくしようと努めたのだろう。確かに少ない照明の下でも明るい様な気がする。
でも、お陰で部屋は寒々しいし、実際、寒い。ええい、ストーブの点火はまだかー!!
部屋の隅には出入り口とは別の扉がある。
これがRPGだったら謎の地下ダンジョンへ繋がっているのだろうが、
開けたら『嫌なモノ』が出てきそうな予感がするので、悪戯をするのは止めにした。
隙間風が容赦なく入り込んで来てとても寒い。
四方の壁は半分以上が窓ガラスで、窓枠も壁も白に近いクリーム色で塗られている。
少しでも視覚的に明るくしようと努めたのだろう。確かに少ない照明の下でも明るい様な気がする。
でも、お陰で部屋は寒々しいし、実際、寒い。ええい、ストーブの点火はまだかー!!
部屋の隅には出入り口とは別の扉がある。
これがRPGだったら謎の地下ダンジョンへ繋がっているのだろうが、
開けたら『嫌なモノ』が出てきそうな予感がするので、悪戯をするのは止めにした。
ところで、この格好プラスこの身長でたった一人で待合室に佇んでいるのは明らかに異様だと思う。
さっきから通り過ぎる掃除のおばさんや駅員が、奇妙なモノを見る目でこちらを見ている。
喧嘩を売られている訳ではないのでスルーしていたつもりだが、さっきから気になって気になって仕様がない。
「あー…これ何て羞恥プレイ?」
私はハッキリ言って恥ずかしかった。
今は地味な服装なのでまだいい。これがもっとお洒落なやつだったらもっと『浮いていた』に違いない。
さっきから通り過ぎる掃除のおばさんや駅員が、奇妙なモノを見る目でこちらを見ている。
喧嘩を売られている訳ではないのでスルーしていたつもりだが、さっきから気になって気になって仕様がない。
「あー…これ何て羞恥プレイ?」
私はハッキリ言って恥ずかしかった。
今は地味な服装なのでまだいい。これがもっとお洒落なやつだったらもっと『浮いていた』に違いない。
5時50分。もうすぐ夜が明ける頃かな?
青森の朝は埼玉よりも少し早く訪れる。これは緯度の関係なんだろうね。
青森の朝は埼玉よりも少し早く訪れる。これは緯度の関係なんだろうね。
そんなことはどうでもいい。
「一体全体私に何をしろと言うのだ」
私はさっきから機嫌が悪い。無理も無い。私はいきなり30年前に飛ばされ、訳も分からずに未踏の地・青森駅に行かされたのだ。
それも雪降る未明の朝に。
「一体全体私に何をしろと言うのだ」
私はさっきから機嫌が悪い。無理も無い。私はいきなり30年前に飛ばされ、訳も分からずに未踏の地・青森駅に行かされたのだ。
それも雪降る未明の朝に。
訳も分からずに30年前に飛ばされた身にもなって欲しい。
私はまだ高校生だけど、私にはお父さんや一緒に暮らしている従姉のゆーちゃんも居る。
それに親友のかがみんやみゆきさん、最近仲良くなったみさきちや峰岸さん、
寝る前のネトゲで一緒に楽しんでくれる黒井先生………、
私の『元の時代』には沢山の掛け替えのない人達が沢山居る。
まだやりかけのゲームや読みかけの漫画も山積みだ。
だから、私はさっさと元に時代に帰りたい。てか、さっさと帰せ。
私の心の中の怒りがこみ上げてくる。しかし、ここで爆発させたとしても私にとって何の得にはならない。
私は静かに、静かに、次に何をすれば良いのかを考えていた。
普段だったら「面倒臭い」で片付けてしまう私だけど、色々な意味で深刻な問題なので逃げる訳にはいかない。
私はまだ高校生だけど、私にはお父さんや一緒に暮らしている従姉のゆーちゃんも居る。
それに親友のかがみんやみゆきさん、最近仲良くなったみさきちや峰岸さん、
寝る前のネトゲで一緒に楽しんでくれる黒井先生………、
私の『元の時代』には沢山の掛け替えのない人達が沢山居る。
まだやりかけのゲームや読みかけの漫画も山積みだ。
だから、私はさっさと元に時代に帰りたい。てか、さっさと帰せ。
私の心の中の怒りがこみ上げてくる。しかし、ここで爆発させたとしても私にとって何の得にはならない。
私は静かに、静かに、次に何をすれば良いのかを考えていた。
普段だったら「面倒臭い」で片付けてしまう私だけど、色々な意味で深刻な問題なので逃げる訳にはいかない。
「そうだ!」
私は元の時代に帰らなければならない。誰も帰してくれなさそうだから、自分の力で、帰るんだ。
でも、どうやって?
「そこが問題なんだよねぇ~」
私は元の時代に帰らなければならない。誰も帰してくれなさそうだから、自分の力で、帰るんだ。
でも、どうやって?
「そこが問題なんだよねぇ~」
私が冷蔵庫状態の待合室で私が冷蔵庫状態の待合室でブツブツひとりごちていると、
出入り口の戸がガラガラと音を立てて開いた。
出入り口の戸がガラガラと音を立てて開いた。
待合室に入ってきたのは、詰め襟を着た学生だった。この駅のアルバイトか、単なる旅行客かどうかは分からない。
歳は……私より少し下くらいかな? 私よりもずっと背の高い彼は、茶封筒を片手に私に近付いて来た。
「伝言です。どうか聴いて下さい。この封筒の中には乗車券が入っています。
これで富山まで行って下さい。
途中で『貴方に近しい方』と乗り合わせる筈です。その彼女と話をして下さい」
「富山? なにゆえ?」
富山と言えば北陸地方。ここからは結構な距離の筈。
ちなみに富山県のお隣、石川県はお父さんとお母さんの故郷であり、二人とも能登半島の田舎町で生まれ育ったという。
「そこで、貴方が『するべき事』がある筈です。それを必ず遂行して下さい」
意味が分からない。
「それと」
だからあによ?
「貴方に『近しい』人が、途中で乗り合わせる筈です。その人に声を掛けてみて下さい。
伝言は以上です」
「ちょっと待って」
「はい」
「それって、誰からの伝言?」
「それは…」
彼は黙ってしまった。怪しい。
「それはそうと」
「何さ?!」
「早くしないと列車が発車してしまいます」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「さぁ、早く!」
私は彼に背中を押され、待合室を強制退場させられると、そのまま改札口へ急がせた。
歳は……私より少し下くらいかな? 私よりもずっと背の高い彼は、茶封筒を片手に私に近付いて来た。
「伝言です。どうか聴いて下さい。この封筒の中には乗車券が入っています。
これで富山まで行って下さい。
途中で『貴方に近しい方』と乗り合わせる筈です。その彼女と話をして下さい」
「富山? なにゆえ?」
富山と言えば北陸地方。ここからは結構な距離の筈。
ちなみに富山県のお隣、石川県はお父さんとお母さんの故郷であり、二人とも能登半島の田舎町で生まれ育ったという。
「そこで、貴方が『するべき事』がある筈です。それを必ず遂行して下さい」
意味が分からない。
「それと」
だからあによ?
「貴方に『近しい』人が、途中で乗り合わせる筈です。その人に声を掛けてみて下さい。
伝言は以上です」
「ちょっと待って」
「はい」
「それって、誰からの伝言?」
「それは…」
彼は黙ってしまった。怪しい。
「それはそうと」
「何さ?!」
「早くしないと列車が発車してしまいます」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「さぁ、早く!」
私は彼に背中を押され、待合室を強制退場させられると、そのまま改札口へ急がせた。
6時台に発車した特急「いなほ」号は、新潟へ向かって南下している。
「これで丸一日掛けて行けというのか」
変な学生から渡された封筒には、一枚の乗車券と二枚の特急券が入っていた。
一枚は今乗っている「いなほ」号のもの。もう一枚は新潟駅で乗り換える予定の「北越」号のものだ。
「いなほ」には時間ぎりぎりで間に合った。
おにーさん、私に封筒を寄越してくれるのはいいけれど、もっと早くしてよね。
こっちだって色々と…………まぁ暇だったから別にいいけどさ。
一枚は今乗っている「いなほ」号のもの。もう一枚は新潟駅で乗り換える予定の「北越」号のものだ。
「いなほ」には時間ぎりぎりで間に合った。
おにーさん、私に封筒を寄越してくれるのはいいけれど、もっと早くしてよね。
こっちだって色々と…………まぁ暇だったから別にいいけどさ。
その特急券は、何と『グリーン車』と呼ばれる特別車両のモノだった。
最初は「ラッキー」と浮かれていたのだが、その喜びは当該列車の到着とともに瞬く間に消えた。
グリーン車は「特別車両」と呼ばれるだけあって、確かに他の車両よりも立派な座席だった。
でも、それは『この時代』での話。
ぶっちゃけ、小学校の修学旅行で乗った「スペーシア」の方がずっと立派だった。
(鉄研のクラスメイト(男子)によると、「スペーシア」はそこらの特急よりもずっとハイスペックらしいけど………)
特にテーブルがあまりにもショボいのには閉口した。これじゃ飲み物しか置けないぢゃないか!!
でも、いいや。
クッションはふかふかだし、背もたれもぐぐぐぃーっと倒れるから、終点までゆっくりと寝られる。
一番残念なのは「フットレスト」だね。
この車両、特別車両なだけあって座席の間隔が広く、背丈が小学生並の私では……、
「足が………届かない………」
最初は「ラッキー」と浮かれていたのだが、その喜びは当該列車の到着とともに瞬く間に消えた。
グリーン車は「特別車両」と呼ばれるだけあって、確かに他の車両よりも立派な座席だった。
でも、それは『この時代』での話。
ぶっちゃけ、小学校の修学旅行で乗った「スペーシア」の方がずっと立派だった。
(鉄研のクラスメイト(男子)によると、「スペーシア」はそこらの特急よりもずっとハイスペックらしいけど………)
特にテーブルがあまりにもショボいのには閉口した。これじゃ飲み物しか置けないぢゃないか!!
でも、いいや。
クッションはふかふかだし、背もたれもぐぐぐぃーっと倒れるから、終点までゆっくりと寝られる。
一番残念なのは「フットレスト」だね。
この車両、特別車両なだけあって座席の間隔が広く、背丈が小学生並の私では……、
「足が………届かない………」
ああ、もうちょっとだけ、あとちょっとだけ大きくなりたいな。
午前8時。
雪が降っているにも拘わらず、私が乗っている特急「いなほ」号は時間通りに秋田駅に到着した。
時間調整のために5分ほど停まるとのこと。お腹が減っていたのでホームで駅弁を買って食べることにした。
この時代の物価の安さには感謝するよ。所持金残り3000円+何故か渡された乗車券で何処まで持つか分からないからネ。
雪が降っているにも拘わらず、私が乗っている特急「いなほ」号は時間通りに秋田駅に到着した。
時間調整のために5分ほど停まるとのこと。お腹が減っていたのでホームで駅弁を買って食べることにした。
この時代の物価の安さには感謝するよ。所持金残り3000円+何故か渡された乗車券で何処まで持つか分からないからネ。
新幹線が通る前の時代だけど、朝の秋田駅は活気に溢れていた。
反対側のホームには別の特急列車が停まっていた。
何処に行くのかな~っと「行き先を表示するやつ」を注意して見てみると、何と上野行きだった。
新幹線が出来る前は、特急列車が長い距離を走って色んな街を結んでいたんだなぁ。
反対側のホームには別の特急列車が停まっていた。
何処に行くのかな~っと「行き先を表示するやつ」を注意して見てみると、何と上野行きだった。
新幹線が出来る前は、特急列車が長い距離を走って色んな街を結んでいたんだなぁ。
そう言えば、お父さんとお母さんの故郷にも、延々と長い距離を走る列車がある。
「能登」号ってやつだ。
お父さんはああ見えても忙しい人なので、私が帰省のお供をする機会はあまりない。
前帰ったのは何時だっけ? あ、確か、昨年のお盆だったな。
「能登」号ってやつだ。
お父さんはああ見えても忙しい人なので、私が帰省のお供をする機会はあまりない。
前帰ったのは何時だっけ? あ、確か、昨年のお盆だったな。
和倉のお婆ちゃんの家に行く時は、いつもゆき叔母さん、つまり、ゆーちゃんの家族といつも一緒なんだよね。
最終列車で北千住からJRで上野駅まで行くんだよね。
ゆーちゃんは既に電池切れで小さい子の様にフラフラなんだ。
で、「能登」号って他の列車と違って下の方にあるホームから発車するんだ。日付が変わる直前に。
電車は、そう、今乗ってるやつみたいにとても古いやつで、中もボロボロで、何故か肘掛けだけ水色で気持ち悪くて……。
ふと目が覚めるとそこはもう日本海。で、津幡で降りて普通列車で和倉駅に行くの……。
そこから今度は「のと鉄道」っていう列車に乗って、本当は「矢波(やなみ)」駅まで行くんだけど、
2年くらい前に穴水から先が廃止になっちゃったから、あの時は穴水駅からバスに乗って、
それから、それから────────、
最終列車で北千住からJRで上野駅まで行くんだよね。
ゆーちゃんは既に電池切れで小さい子の様にフラフラなんだ。
で、「能登」号って他の列車と違って下の方にあるホームから発車するんだ。日付が変わる直前に。
電車は、そう、今乗ってるやつみたいにとても古いやつで、中もボロボロで、何故か肘掛けだけ水色で気持ち悪くて……。
ふと目が覚めるとそこはもう日本海。で、津幡で降りて普通列車で和倉駅に行くの……。
そこから今度は「のと鉄道」っていう列車に乗って、本当は「矢波(やなみ)」駅まで行くんだけど、
2年くらい前に穴水から先が廃止になっちゃったから、あの時は穴水駅からバスに乗って、
それから、それから────────、
どちらかと言えば家の中に居る方が好きな私だけど、家族みんなで行く「旅行」はとても楽しかった。
「今頃お父さん、どうしてるかな………。ゆーちゃんも、ゆい姉さんも、ゆき叔母さんも…」
みんな、みんなどうしているのかな…………?
「今頃お父さん、どうしてるかな………。ゆーちゃんも、ゆい姉さんも、ゆき叔母さんも…」
みんな、みんなどうしているのかな…………?
『夏影』(Airの挿入歌)のボーカル付きバージョンが脳内再生される。
「あ……あれ、わ…私…………ダメだよ………こんな所で……………」
私の中で、何かが『破裂』した。
「うっ…………うっ……………ううぅ…………………」
「あ……あれ、わ…私…………ダメだよ………こんな所で……………」
私の中で、何かが『破裂』した。
「うっ…………うっ……………ううぅ…………………」
私は、止まらない涙を必死に止めようとした。
涙は、止まらなかった。
涙は、止まらなかった。
「帰りたい………………。私の居た時代に帰りたい」
帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい……………。
帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい、帰りたい……………。
私が心の中で何度も叫んだ「帰りたい」は、決して怠惰から来るものではなかった。
こういうのって、何て言うのだろう。
お父さんだったら私の今の感情を、ちゃんと言葉で表すことが出来るのだろう。
こういうのって、何て言うのだろう。
お父さんだったら私の今の感情を、ちゃんと言葉で表すことが出来るのだろう。
涙が止まらず、私は食べかけの弁当を座席に置いて、洗面所へと走った。
その時……、
「きゃっ……」
「あ、ご、ごめんなさいっ」
その時……、
「きゃっ……」
「あ、ご、ごめんなさいっ」
他の人とぶつかってしまった。
この後、私はこの女性と本日の目的地・富山までお付き合いすることになる。
この後、私はこの女性と本日の目的地・富山までお付き合いすることになる。
間.
それは史上最悪の鉄道事故だった。
2年前、福知山線(通称: JR宝塚線)脱線事故の様子が、
また、同じ年に起きた羽越本線の脱線事故の様子が脳裏に再生された。
前者は会社の出張で三田(さんだ)まで行く時に宝塚線に乗ったので、事故現場となった場所を通ったことがある。
後者はテレビの映像でしか知らないが、無惨な姿を晒す車両と、現場で涙を流すご遺族の様子を見て、心を強く痛めたものだ。
2年前、福知山線(通称: JR宝塚線)脱線事故の様子が、
また、同じ年に起きた羽越本線の脱線事故の様子が脳裏に再生された。
前者は会社の出張で三田(さんだ)まで行く時に宝塚線に乗ったので、事故現場となった場所を通ったことがある。
後者はテレビの映像でしか知らないが、無惨な姿を晒す車両と、現場で涙を流すご遺族の様子を見て、心を強く痛めたものだ。
そして、今日…………。
側にいたみさおが、着信音を奏でる携帯電話を操作する。どうやらメールが届いた様だ。
そのみそおは、先ほどからずっとくっついていて離れようとしない。
「あやのは無事だって。一本後の電車に乗ってて、途中で足止め喰らったらしい」
それは良かった。
峰岸あやの。おれの小さな恋人。みさおの親友でもある。
みさおとは違う意味での理解者。
そんな彼女は今日、東京の日比谷という街まで出掛ける用事があったらしい。
「今、電車の中に缶詰にされてるみてーだ。電話には出られないらしい」
「そうか。おれ達も無事だって、返信してあげな」
「それくらい自分でやれよ。…って何ニヤニヤしてんだ、このムッツリエロ兄貴!!」
「ちょ……い、今メールを送ろうとしていた所なんだよ」
「何照れてんだ。気持ち悪いからやめろ」
「おまっ………まぁいい。とにかく無事で良かった」
そのみそおは、先ほどからずっとくっついていて離れようとしない。
「あやのは無事だって。一本後の電車に乗ってて、途中で足止め喰らったらしい」
それは良かった。
峰岸あやの。おれの小さな恋人。みさおの親友でもある。
みさおとは違う意味での理解者。
そんな彼女は今日、東京の日比谷という街まで出掛ける用事があったらしい。
「今、電車の中に缶詰にされてるみてーだ。電話には出られないらしい」
「そうか。おれ達も無事だって、返信してあげな」
「それくらい自分でやれよ。…って何ニヤニヤしてんだ、このムッツリエロ兄貴!!」
「ちょ……い、今メールを送ろうとしていた所なんだよ」
「何照れてんだ。気持ち悪いからやめろ」
「おまっ………まぁいい。とにかく無事で良かった」
おれ達が聞いた話によると、伊勢崎線の新田(しんでん)駅~蒲生駅との間の高架橋が突然崩れ、
ちょうどそこを走っていた列車が巻き込まれて川に落ちたという。
事故の発生時間は18時~18時10分頃、列車は普通列車らしい。
詳しいことは家に帰ってから調べてみることにするが、全員無事であることを祈ってやまない。
ちょうどそこを走っていた列車が巻き込まれて川に落ちたという。
事故の発生時間は18時~18時10分頃、列車は普通列車らしい。
詳しいことは家に帰ってから調べてみることにするが、全員無事であることを祈ってやまない。
ところで、何故鷲宮町民のおれとみさおが春日部に居るのかというと、
折角の休日な上、あやのは姉貴(因みにおれの幼馴染みで腐れ縁)と日比谷へお出掛けなので、
折角だから古着屋でも行こうかと…………つまり、お互い暇だったからちょっくら出掛けた訳だ。
でもみさおさん、貴方は確か受験生だったような気がするのですが………?
折角の休日な上、あやのは姉貴(因みにおれの幼馴染みで腐れ縁)と日比谷へお出掛けなので、
折角だから古着屋でも行こうかと…………つまり、お互い暇だったからちょっくら出掛けた訳だ。
でもみさおさん、貴方は確か受験生だったような気がするのですが………?
春日部からは駅員がアナウンスしている通り、野田線で大宮駅まで行けばJRで久喜駅まで行くことが出来る。
そこからはバスなりタクシーなりを使えば家に帰る事は出来るのだが……。
「あれだけ駅がごった返してちゃ、とでもじゃねーけど電車には乗れねーな」
我が妹の言う通り、今あの駅に行ったら明日の朝まで身動きがとれなくなりそうだ。
そこからはバスなりタクシーなりを使えば家に帰る事は出来るのだが……。
「あれだけ駅がごった返してちゃ、とでもじゃねーけど電車には乗れねーな」
我が妹の言う通り、今あの駅に行ったら明日の朝まで身動きがとれなくなりそうだ。
お、いいこと考えた!
「なぁ、みさお」
「あん?」
「歩いて帰るか?」
「どこまで?」
「大宮」
「距離あるな。何時間掛かると思ってんだよ!」
「何なら走るか?」
「えー、私短距離専門だから200m以上は走れねーよ」
「お前、毎朝2km走ってるだろ?」
「それとこれとは別だよ」
「だったら何だよ?」
「コレ持ってどうやって走れってんだ?」
みさおが指さすのは、おれ達の足下にある大きな袋。お互い、ちょっと服を買いすぎた。
あれはヨーカドーが一着1000円の特売セールをやったのが悪い。ついつい買ってしまったんだ。
「言い訳すんな」
「お、お前だってまたボロボロのジーンズ買ったじゃないか!」
「うるせーな。『ヴィンテージ品』って言って貰いたいね。
ま、自転車と(仕事柄)ブレーキの事しか頭にねーカタブツ頭にはコイツの良さは一生わかんねーだろーけどな!」
「な、なんだと!」
「お、やるか?」
「上等だ」
「なぁ、みさお」
「あん?」
「歩いて帰るか?」
「どこまで?」
「大宮」
「距離あるな。何時間掛かると思ってんだよ!」
「何なら走るか?」
「えー、私短距離専門だから200m以上は走れねーよ」
「お前、毎朝2km走ってるだろ?」
「それとこれとは別だよ」
「だったら何だよ?」
「コレ持ってどうやって走れってんだ?」
みさおが指さすのは、おれ達の足下にある大きな袋。お互い、ちょっと服を買いすぎた。
あれはヨーカドーが一着1000円の特売セールをやったのが悪い。ついつい買ってしまったんだ。
「言い訳すんな」
「お、お前だってまたボロボロのジーンズ買ったじゃないか!」
「うるせーな。『ヴィンテージ品』って言って貰いたいね。
ま、自転車と(仕事柄)ブレーキの事しか頭にねーカタブツ頭にはコイツの良さは一生わかんねーだろーけどな!」
「な、なんだと!」
「お、やるか?」
「上等だ」
「二人とも、いい加減にしなさいっ!」
おれとみさおが取っ組み合いの喧嘩になりかけた時、後から聞き覚えのある声が耳に届いた。
「「あやの?!」」
「何やってるのよ。こんな時に」
「何だ、お前まで居たのか」
おれが言う『お前』とはあやのの姉であり、おれの腐れ縁の誰かさんである。
おれとみさおが取っ組み合いの喧嘩になりかけた時、後から聞き覚えのある声が耳に届いた。
「「あやの?!」」
「何やってるのよ。こんな時に」
「何だ、お前まで居たのか」
おれが言う『お前』とはあやのの姉であり、おれの腐れ縁の誰かさんである。
結局おれ達は、豊春駅まで歩いて、そこから野田線に乗って大宮駅に行き、
大宮からJRで久喜駅まで行って、バスで帰宅した。
大宮からJRで久喜駅まで行って、バスで帰宅した。