13.
「本当にあるの?」
「うーん………確かに『気配』はするんだけど……」
「うーん………確かに『気配』はするんだけど……」
1時間近く経ったのだろうか?
灰色の寒空の下、私とあゆちゃんは熊本城の中にある公園で『あるモノ』を探していた。
灰色の寒空の下、私とあゆちゃんは熊本城の中にある公園で『あるモノ』を探していた。
その『あるモノ』とは私が現代へ帰るための、『鍵』。ここではキーワードって意味かな。
そのキーワードを揃えられれば、私は現代へ帰れるらしい。
実際はそれが『物』なのか、『者』なのか、『モノ』なのかは、まだ分からない。
困った事に、あゆちゃん自身も分からないという。ただ、『気配』を感じ取る事は出来るらしい。
そのキーワードを揃えられれば、私は現代へ帰れるらしい。
実際はそれが『物』なのか、『者』なのか、『モノ』なのかは、まだ分からない。
困った事に、あゆちゃん自身も分からないという。ただ、『気配』を感じ取る事は出来るらしい。
「ふぁ~~~~~~~、もう動けません」
「わ…私も………、はぁ」
「わ…私も………、はぁ」
私達は遂にエネルギーが切れてしまった。へなへなと茶色の芝生の上にへたり込む。
お昼ご飯も食べずにずっと探していたせいか、もう立ち上がる力も沸いてこない。
今すぐ充電しないと動けないや。
悴む指をすりすりしながら、あゆちゃんの様子を伺う。
あゆちゃんもやっぱり寒いようで、私と同じく指をすりすりしていた。
『チカラ』を使ったせいか、すっかり疲れている様でちょっと辛そう。
「構わないで。私は大丈夫だから」
「で、でも、顔青いよ」
「だ、大丈夫って言ったら大丈夫なの。ちょっと寒いだけなの!!」
「わ、分かったよぉ。で、で、でも、ほ、本当に辛かったら言ってね」
「うん………………分かった」
2人の会話は、そこで一旦途切れた。
私達に吹き付ける冬の風が、限りなくゼロに近い体力を更に奪う。
ふらふらと風の当たらない城壁の裏に回って、そこにあったベンチに腰掛ける。
お互いの身を寄せ合うと、何となくだけど暖かく感じられた。
お昼ご飯も食べずにずっと探していたせいか、もう立ち上がる力も沸いてこない。
今すぐ充電しないと動けないや。
悴む指をすりすりしながら、あゆちゃんの様子を伺う。
あゆちゃんもやっぱり寒いようで、私と同じく指をすりすりしていた。
『チカラ』を使ったせいか、すっかり疲れている様でちょっと辛そう。
「構わないで。私は大丈夫だから」
「で、でも、顔青いよ」
「だ、大丈夫って言ったら大丈夫なの。ちょっと寒いだけなの!!」
「わ、分かったよぉ。で、で、でも、ほ、本当に辛かったら言ってね」
「うん………………分かった」
2人の会話は、そこで一旦途切れた。
私達に吹き付ける冬の風が、限りなくゼロに近い体力を更に奪う。
ふらふらと風の当たらない城壁の裏に回って、そこにあったベンチに腰掛ける。
お互いの身を寄せ合うと、何となくだけど暖かく感じられた。
「ちょっと、休憩しよっか」
「う、うん」
「う、うん」
熊本城は、私がイメージしていたモノとは大分雰囲気が違っていた。
一番びっくりしたのは、壁が黒いこと。
私はてっきり、お城は壁が白いものだと思っていたんだけど、期待は見事に裏切られた。
それでも灰色の曇り空の中、でんと構える佇まいは、おバカな私でも何となく「凄いなぁ」と思えた。
お城自体は改修工事をしている最中のようで、
工事現場でよく見る足場が組んであったり、ブルーシートを被せている建物もあった。
日本史の授業で習ったんだけど、確か熊本城は西南戦争で一回焼けちゃったらしい。
つまり、今ある建物は最近になって建て直したもので、中は史料館になっているらしい。
時間があったら2人で中に入ろうって決めていたんだけど、今日は工事があるそうでお休みだった。
残念。現代へ帰ったら『一緒』に行こうね、あゆちゃん。
一番びっくりしたのは、壁が黒いこと。
私はてっきり、お城は壁が白いものだと思っていたんだけど、期待は見事に裏切られた。
それでも灰色の曇り空の中、でんと構える佇まいは、おバカな私でも何となく「凄いなぁ」と思えた。
お城自体は改修工事をしている最中のようで、
工事現場でよく見る足場が組んであったり、ブルーシートを被せている建物もあった。
日本史の授業で習ったんだけど、確か熊本城は西南戦争で一回焼けちゃったらしい。
つまり、今ある建物は最近になって建て直したもので、中は史料館になっているらしい。
時間があったら2人で中に入ろうって決めていたんだけど、今日は工事があるそうでお休みだった。
残念。現代へ帰ったら『一緒』に行こうね、あゆちゃん。
──────そう言えばあゆちゃんって、私と一緒に帰るのかな? 現代に。
「もう一回、探してみようよ。まだ感じるんでしょ? 『気配』」
「うん、感じる。
でもおっかしーなー。一番強く感じたのはあそこだったんだけど……」
と言ってあゆちゃんが指さすのは黒壁の天守ではなく、反対側の園内の植木。
既に何十回も探し回った所だけど、結局これと言ったモノは見付からなかった所だ。
「ねぇ、その『気配』ってあの植木の所しか感じないの?」
「うん。多分。あの木、えっと、いちょうって言うの?」
「胃腸?」
「違う!! イチョウっ!! ギンナンっ!!」
「あ、銀杏かぁ」
熊本城は、銀杏城という異名を持つそうで(とガイドブックに書いてあった)、確かに銀杏の木が多い。
「あの木。あの一番大きいやつ!」
「そこ、さっきも探したけど、無かったよね」
「うん。穴まで掘ったもんね」
私はあゆちゃんの手を引いて、散々探した一番大きな銀杏の木の下へ向かう。
根元は私達が公園の隅に捨てられていたスコップで穴ぼこだらけ。
今にもプレーリードッグが「きゃんっ」って鳴いて出てきそう。
「……これだけ掘ったんだもん」
「……出る訳無いよねぇ」
その穴ぼこだらけの銀杏の木の前で、2人同時に7回目の溜息をつく。はぁ。
「うーん、もしかして、この木そのものが『鍵』だったりして」
「それは無いと思う。木そのものには『気配』を感じない……と…思う」
あゆちゃんの答えがあやふやになってきた。
一発で見付からなかったのが余程効いたのか、かなり凹んでいる。
「うん、感じる。
でもおっかしーなー。一番強く感じたのはあそこだったんだけど……」
と言ってあゆちゃんが指さすのは黒壁の天守ではなく、反対側の園内の植木。
既に何十回も探し回った所だけど、結局これと言ったモノは見付からなかった所だ。
「ねぇ、その『気配』ってあの植木の所しか感じないの?」
「うん。多分。あの木、えっと、いちょうって言うの?」
「胃腸?」
「違う!! イチョウっ!! ギンナンっ!!」
「あ、銀杏かぁ」
熊本城は、銀杏城という異名を持つそうで(とガイドブックに書いてあった)、確かに銀杏の木が多い。
「あの木。あの一番大きいやつ!」
「そこ、さっきも探したけど、無かったよね」
「うん。穴まで掘ったもんね」
私はあゆちゃんの手を引いて、散々探した一番大きな銀杏の木の下へ向かう。
根元は私達が公園の隅に捨てられていたスコップで穴ぼこだらけ。
今にもプレーリードッグが「きゃんっ」って鳴いて出てきそう。
「……これだけ掘ったんだもん」
「……出る訳無いよねぇ」
その穴ぼこだらけの銀杏の木の前で、2人同時に7回目の溜息をつく。はぁ。
「うーん、もしかして、この木そのものが『鍵』だったりして」
「それは無いと思う。木そのものには『気配』を感じない……と…思う」
あゆちゃんの答えがあやふやになってきた。
一発で見付からなかったのが余程効いたのか、かなり凹んでいる。
「ねぇ、もしかして、上の方にあったりとか」
「あー、そう言えばまだ………………ああ!!」
「ひゃっ?!!」
もう、脅かさないでよ。
私に続いて顔を上げた途端、いきなり大声を出したから吃驚しちゃった。
「あれ、あれ!! 『鍵』ってきっと、あれだよ」
「え? え? どこ? どこ?」
「ほら、あれだよあれ!!」
「だから何処??」
「あれだってば!!」
「どれだか分からな…………あああっ!!」
「あー、そう言えばまだ………………ああ!!」
「ひゃっ?!!」
もう、脅かさないでよ。
私に続いて顔を上げた途端、いきなり大声を出したから吃驚しちゃった。
「あれ、あれ!! 『鍵』ってきっと、あれだよ」
「え? え? どこ? どこ?」
「ほら、あれだよあれ!!」
「だから何処??」
「あれだってば!!」
「どれだか分からな…………あああっ!!」
「にゃうっ?!!」
「ひゃうっ!!」
あゆちゃんが変な声を上げた。私もそれに思わず反応してしまう。
「つかさまで驚くことないじゃない」
「だ、だってだって、あゆちゃんが辺な声出すから……」
「うるさいうるさいうるさい!! 脅かすな」
「そ、そんなに怒らなくたっていいじゃない!!」
「つかさだって怒ってるじゃん!!」
「怒ってないもん!!」
「怒ってる!!」
「な、い!!」
「あ、る!!」
「ない!!」
「ある!!」
「ひゃうっ!!」
あゆちゃんが変な声を上げた。私もそれに思わず反応してしまう。
「つかさまで驚くことないじゃない」
「だ、だってだって、あゆちゃんが辺な声出すから……」
「うるさいうるさいうるさい!! 脅かすな」
「そ、そんなに怒らなくたっていいじゃない!!」
「つかさだって怒ってるじゃん!!」
「怒ってないもん!!」
「怒ってる!!」
「な、い!!」
「あ、る!!」
「ない!!」
「ある!!」
「「むぅ~~~~~!!!!!」」
しばらくの沈黙。
すると、突然突風が吹いて、火花を散らしている私達の間をひゅうっと抜ける。
すると、突然突風が吹いて、火花を散らしている私達の間をひゅうっと抜ける。
「…………」
「………ごめん」
「ごめんね、ムキになっちゃった」
私、ちょっと大人気なかったね。私の方がお姉さんなのに。
「こっちこそ、ごめん………なさい。け、喧嘩してる場合じゃなかった」
「そだったね。ほら、探そう。あの木の上でしょ?」
「うん」
「でも……」
「………ごめん」
「ごめんね、ムキになっちゃった」
私、ちょっと大人気なかったね。私の方がお姉さんなのに。
「こっちこそ、ごめん………なさい。け、喧嘩してる場合じゃなかった」
「そだったね。ほら、探そう。あの木の上でしょ?」
「うん」
「でも……」
『鍵』となるモノは、銀杏の木の上、一番高い枝にぶらさがっていた。
それは、キラキラと光る、何かの『石』のようだった。
問題は…………。
「どうやって」
「登ろっか?」
そう。この木の上に登る手だてが無いことだった。
私は全然木に登れないし、運動神経の良さそうなあゆちゃんも木が大きすぎて一番下の枝に捕まれない。
しばらく考えた結果、
私があゆちゃんを肩車して木に登らせて、あゆちゃんがスコップで『それ』をはたき落とす。
それを私がキャッチすることにした。
「責任重大だからね。つかさ」
「あんまり言うと余計緊張しちゃうよぉ」
「落としたら帰れないからね」
「だからあんまり言わないでぇ」
思わず泣きそうになってしまう。でも、頑張らなきゃ。私がお姉さんなんだから。
「じゃあ、行くよ」
「うん、いいよ」
あゆちゃんがしゃがんだ私の背中から肩に乗る。
子どもって、意外と重い。
「よーし、行くよ。せーので行くよ。せーのっ」
「せーのっ」
よ、よっこいしょういちっと!!
肩にずしりと荷重が掛かる。私より小さいとはいえ、やっぱり重い。
それは、キラキラと光る、何かの『石』のようだった。
問題は…………。
「どうやって」
「登ろっか?」
そう。この木の上に登る手だてが無いことだった。
私は全然木に登れないし、運動神経の良さそうなあゆちゃんも木が大きすぎて一番下の枝に捕まれない。
しばらく考えた結果、
私があゆちゃんを肩車して木に登らせて、あゆちゃんがスコップで『それ』をはたき落とす。
それを私がキャッチすることにした。
「責任重大だからね。つかさ」
「あんまり言うと余計緊張しちゃうよぉ」
「落としたら帰れないからね」
「だからあんまり言わないでぇ」
思わず泣きそうになってしまう。でも、頑張らなきゃ。私がお姉さんなんだから。
「じゃあ、行くよ」
「うん、いいよ」
あゆちゃんがしゃがんだ私の背中から肩に乗る。
子どもって、意外と重い。
「よーし、行くよ。せーので行くよ。せーのっ」
「せーのっ」
よ、よっこいしょういちっと!!
肩にずしりと荷重が掛かる。私より小さいとはいえ、やっぱり重い。
「うぅぅぅぅ~~~~、重いよぉ」
「ほら、しっかり立って!! そんなフラフラしてたら私が落ちちゃうじゃない」
「ご、ごめん~~、ひゃぁ!!」
思わず左足の荷重が抜ける。
「きゃあ!!」
「ご、ごごごごごめん………しゅん」
「ちょっと、ホントに落としたら怒るからねっ!!」
「わ、分かったから早く登って!!」
「わ、分かってるわよ!! だからフラフラしないで!!」
分かってるよぉ。ああ、やっぱり私、力無いなぁ。
そんな事を考えていたら、片足が穴に躓いてしまった。しまった!!
「きゃっ!!」
「ひゃあっ!!」
体重が一気に前へ移動して、両脚に掛けていた力が全部抜けた。
私の顔はそのまま、太くて堅くて乾いた幹に、顔が勢いよくぶつかる。
つまり、バランスを崩して転んでしまった。
あゆちゃんはと言うと、上手く私から離れて幹にしがみつき、そのまま一番下の太い枝に掴まった。
「ふにゃ~~~」
もう動けません。ホントに。
「ほら、しっかり立って!! そんなフラフラしてたら私が落ちちゃうじゃない」
「ご、ごめん~~、ひゃぁ!!」
思わず左足の荷重が抜ける。
「きゃあ!!」
「ご、ごごごごごめん………しゅん」
「ちょっと、ホントに落としたら怒るからねっ!!」
「わ、分かったから早く登って!!」
「わ、分かってるわよ!! だからフラフラしないで!!」
分かってるよぉ。ああ、やっぱり私、力無いなぁ。
そんな事を考えていたら、片足が穴に躓いてしまった。しまった!!
「きゃっ!!」
「ひゃあっ!!」
体重が一気に前へ移動して、両脚に掛けていた力が全部抜けた。
私の顔はそのまま、太くて堅くて乾いた幹に、顔が勢いよくぶつかる。
つまり、バランスを崩して転んでしまった。
あゆちゃんはと言うと、上手く私から離れて幹にしがみつき、そのまま一番下の太い枝に掴まった。
「ふにゃ~~~」
もう動けません。ホントに。
頭の中が真っ白になって、私の視界は無彩色の渦巻きがぐるぐると回っていた。
何故だか分からないけれども、ぐるぐるの渦巻きの中、耳には大喜利の掛け声と笑いが聞こえる。
ああ、ここは何処? 私は誰? 楽太郎さんは今何て?
「───かさ、──かさ」
??
「大丈夫?」
昇太さん達とは違う声がする───。
「ねえ、つかさ!」
視界がぐるぐる渦巻きからうすぼんやりとした「誰か」の影に変わる。
さっきから私の名前を呼んでいるのは貴方?
「んもう……、えい!! 起っきろ~~~!!!」
身体が揺さぶられる。今度は「影」がぐるぐると回る。
「あれ?? ここは何処? 私は誰? 笑点終わったの?」
「何意味不明な事言ってんのよ。ほら、あったわよ」
「えっと……何が?」
「もう、しっかりしなさいよ。ほら、『鍵』、あったわよ!!」
───『鍵』??
「────!!!!!」
その一言で目が覚めた。
視界が一気にクリアになった。
灰色の寒空の下、私はいつの間にか銀杏の木の下で横になっていた。
寒さをそれほど感じなかったのは、私の身体の上にもう一枚、厚手の白いコートが被せてあったから。
丈が短いので、お腹から下はすっかり冷えてしまっている。
「ご、ごめん、あ、えっと、み、みみみみ見付かった??」
「落ち着いて。ほら、これ」
私が焦って周りをきょろきょろしていると、あゆちゃんは私の目の前に『何か』をぶらさげた。
ちょっと顔を離してピントを合わせると、それは透き通った黄色い『石』だった。
ほのかにふわぁっと光っている……様な気がする。
「『鍵』って、これなの?」
「そう、この『石』。私が感じてた気配はコレだったわ」
と、言う事は…………。
何故だか分からないけれども、ぐるぐるの渦巻きの中、耳には大喜利の掛け声と笑いが聞こえる。
ああ、ここは何処? 私は誰? 楽太郎さんは今何て?
「───かさ、──かさ」
??
「大丈夫?」
昇太さん達とは違う声がする───。
「ねえ、つかさ!」
視界がぐるぐる渦巻きからうすぼんやりとした「誰か」の影に変わる。
さっきから私の名前を呼んでいるのは貴方?
「んもう……、えい!! 起っきろ~~~!!!」
身体が揺さぶられる。今度は「影」がぐるぐると回る。
「あれ?? ここは何処? 私は誰? 笑点終わったの?」
「何意味不明な事言ってんのよ。ほら、あったわよ」
「えっと……何が?」
「もう、しっかりしなさいよ。ほら、『鍵』、あったわよ!!」
───『鍵』??
「────!!!!!」
その一言で目が覚めた。
視界が一気にクリアになった。
灰色の寒空の下、私はいつの間にか銀杏の木の下で横になっていた。
寒さをそれほど感じなかったのは、私の身体の上にもう一枚、厚手の白いコートが被せてあったから。
丈が短いので、お腹から下はすっかり冷えてしまっている。
「ご、ごめん、あ、えっと、み、みみみみ見付かった??」
「落ち着いて。ほら、これ」
私が焦って周りをきょろきょろしていると、あゆちゃんは私の目の前に『何か』をぶらさげた。
ちょっと顔を離してピントを合わせると、それは透き通った黄色い『石』だった。
ほのかにふわぁっと光っている……様な気がする。
「『鍵』って、これなの?」
「そう、この『石』。私が感じてた気配はコレだったわ」
と、言う事は…………。
私とあゆちゃんは、その場でハイタッチを交わして目的を達成した事を喜び合った。
タイミング的には遅いけど、それに、目的は全部達成した訳じゃないけど、
兎に角、『鍵』となる『石』が見付かった。
タイミング的には遅いけど、それに、目的は全部達成した訳じゃないけど、
兎に角、『鍵』となる『石』が見付かった。
「これで私『達』、帰れるね」
「ええ。でも、まだ遠くに気配を感じるわ。行きましょ?」
「うん」
「ええ。でも、まだ遠くに気配を感じるわ。行きましょ?」
「うん」
熊本城を後にした私は、あゆちゃんの手を引いて市街地へ向かう。
鶴屋百貨店というデパートで遅めの昼ご飯を食べ終えて、トイレに行く。
すると、個室の中で私の携帯電話がブルブルと震えた。
メールが一件、届いていた。送り主は鹿児島の時と同じく不明。
内容は、
鶴屋百貨店というデパートで遅めの昼ご飯を食べ終えて、トイレに行く。
すると、個室の中で私の携帯電話がブルブルと震えた。
メールが一件、届いていた。送り主は鹿児島の時と同じく不明。
内容は、
『ホンB2-0046』
という不思議な記号の羅列だった。
次に私がしなきゃならない事だとは思うけれども、一体何なのだろう?
次に私がしなきゃならない事だとは思うけれども、一体何なのだろう?
「どうしたの? つかさ」
「うん、それがね」
トイレに誰も居ない事を確認して、携帯電話の画面をあゆちゃんに見せる。
ウサギの髪飾りが2度揺れると、あゆちゃんはあっさりと答えてしまった。
「これってさ、アレじゃないの?」
「どれ?」
「この暗号が意味する場所に行けば、何かがあるんじゃないの?」
何かと聞いて、とっさに思い出すもの。それは──、
「『鍵』のこと?」
「ううん、このデパートの中では感じない」
残念。外れちゃった。
でも、このタイミングで(時代から考えて)来る筈の無いメールが来たのだから、
もしかしたら、ここ鶴屋百貨店で何かがあるに違いない。
「取り敢えず、このデパートの中を調べてみない?」
私から提案してみる。あゆちゃんは怪訝な表情。
「ここにあるってコト?」
「そう、たぶん……だけど」
「根拠は?」
「何となく。でもね、ありそうな気がするの。ちょっと探してみよう?」
「まぁ、ここでボケーっとしていてもしょうがないもんね。行きましょ」
「うん、それがね」
トイレに誰も居ない事を確認して、携帯電話の画面をあゆちゃんに見せる。
ウサギの髪飾りが2度揺れると、あゆちゃんはあっさりと答えてしまった。
「これってさ、アレじゃないの?」
「どれ?」
「この暗号が意味する場所に行けば、何かがあるんじゃないの?」
何かと聞いて、とっさに思い出すもの。それは──、
「『鍵』のこと?」
「ううん、このデパートの中では感じない」
残念。外れちゃった。
でも、このタイミングで(時代から考えて)来る筈の無いメールが来たのだから、
もしかしたら、ここ鶴屋百貨店で何かがあるに違いない。
「取り敢えず、このデパートの中を調べてみない?」
私から提案してみる。あゆちゃんは怪訝な表情。
「ここにあるってコト?」
「そう、たぶん……だけど」
「根拠は?」
「何となく。でもね、ありそうな気がするの。ちょっと探してみよう?」
「まぁ、ここでボケーっとしていてもしょうがないもんね。行きましょ」
私達は7階のレストラン街を後にし、ガラス張りのエスカレータを使って下のフロアへ向かった。
まずは7階。
フロアの各売り場をくまなく歩いた後、
ロッカーや休憩所のゴミ箱、トイレの掃除用具入れまで手分けして探した。
男子トイレも……………誰もいない事を確認して、2人で入った。
けど…………。
「無いねぇ」
「うん、無い」
次に6階。
「無いね」
「無いわね」
5階。
「「無い」」
4階。
「「無い!」」
3階。
「「無い!!」」
2階。
「「無い!!!」」
1階。
「「無い!!!!」」
「あー、もう!! ここまで探したんだから、ここにはもう無いわよ! 駅に戻りましょ?」
「う、うん、おかしいなぁ」
「おかしいも何も無いわよ!! つかさの思いつきでしょ?!」
そ、それは確かにそうだけど………、
「あ!!」
思わず声を上げてしまった。ここは1階の化粧品売り場。
女の人達が一斉に私達に注目する。
「ば、ばか、何大声出してんのよ!!」
「だだだだだ、だって、だって」
「だって、何?!」
「ここの百貨店、地下2階まであるから……」
あゆちゃんの恐い顔に圧倒されて思わず縮こまっちゃったけど、何とか言ってみた。
そう、鶴屋百貨店は地下が2階まである。
「それを早く言えばいいでしょ?」
「う、うん。ごめんね」
「まぁいいわ、行きましょ?」
「うん、行こう!」
フロアの各売り場をくまなく歩いた後、
ロッカーや休憩所のゴミ箱、トイレの掃除用具入れまで手分けして探した。
男子トイレも……………誰もいない事を確認して、2人で入った。
けど…………。
「無いねぇ」
「うん、無い」
次に6階。
「無いね」
「無いわね」
5階。
「「無い」」
4階。
「「無い!」」
3階。
「「無い!!」」
2階。
「「無い!!!」」
1階。
「「無い!!!!」」
「あー、もう!! ここまで探したんだから、ここにはもう無いわよ! 駅に戻りましょ?」
「う、うん、おかしいなぁ」
「おかしいも何も無いわよ!! つかさの思いつきでしょ?!」
そ、それは確かにそうだけど………、
「あ!!」
思わず声を上げてしまった。ここは1階の化粧品売り場。
女の人達が一斉に私達に注目する。
「ば、ばか、何大声出してんのよ!!」
「だだだだだ、だって、だって」
「だって、何?!」
「ここの百貨店、地下2階まであるから……」
あゆちゃんの恐い顔に圧倒されて思わず縮こまっちゃったけど、何とか言ってみた。
そう、鶴屋百貨店は地下が2階まである。
「それを早く言えばいいでしょ?」
「う、うん。ごめんね」
「まぁいいわ、行きましょ?」
「うん、行こう!」
そして、地下1階を経て地下2階の食品売り場へ辿り着いた私達は、
今までと同じ様に案内図で売り場のだいたいの配置を把握した後、まずはトイレに向かった。
女子トイレは……無かった。
男子トイレは………誰か居るから後にしよう。
非常階段の方へ行ってみる。こちらにも………それらしきモノは無かった。
今までと同じ様に案内図で売り場のだいたいの配置を把握した後、まずはトイレに向かった。
女子トイレは……無かった。
男子トイレは………誰か居るから後にしよう。
非常階段の方へ行ってみる。こちらにも………それらしきモノは無かった。
最後に残ったのは………、
「このロッカーだね」
地下2階にある、影の薄いロッカールーム。
生鮮フロアのせいか、お魚とかを冷やす保冷機能付きのものも並んでいる。
私とあゆちゃんは、2人してずらっと並ぶ正方形の青い扉をじーっと見ていた。
『ホンB2-0046』
あれは何を意味するものなんだろうか?
「このロッカーだね」
地下2階にある、影の薄いロッカールーム。
生鮮フロアのせいか、お魚とかを冷やす保冷機能付きのものも並んでいる。
私とあゆちゃんは、2人してずらっと並ぶ正方形の青い扉をじーっと見ていた。
『ホンB2-0046』
あれは何を意味するものなんだろうか?
……………あ!!
「どうしたの?」
頭の上でランプが付き、ぽんと手を打った私の顔を、不思議そうに見るあゆちゃん。
「………あぁ、そうか」
あゆちゃんの方が分かったみたいだった。
「46番目」
ぼそっと言う。
「46番……………あ、そっか、そういうことか!!」
何でこんな簡単なパズルが解けなかったのだろう!!?
結局答えは「鶴屋百貨店本(=『ホン』)館地下2階(=『B2』)にある、ロッカーの『0046』番」だった。
「い、言っておくけど、私は最初から分かってたんだからね」
「ホントに?」
「う、う、嘘じゃないもん!! た、ただ言わなかっただけだもん!!」
「ホントにホントにぃ?」
「……………つかさ、意外と鋭いね」
だって誤魔化してるって丸わかりだもん。
「だめだよ、嘘ついちゃ」
「は、半分はホントだもん!!」
「でも凄いね。あの時は分からなかったのに、分かっちゃったんだから」
「だ、だから、私はつかさよりもとっくに分かってたんだから!!」
「分かったよ」
「………………そんなに見るな」
あらあら、照れちゃった。私、こんな妹が欲しかったなぁ。
「どうしたの?」
頭の上でランプが付き、ぽんと手を打った私の顔を、不思議そうに見るあゆちゃん。
「………あぁ、そうか」
あゆちゃんの方が分かったみたいだった。
「46番目」
ぼそっと言う。
「46番……………あ、そっか、そういうことか!!」
何でこんな簡単なパズルが解けなかったのだろう!!?
結局答えは「鶴屋百貨店本(=『ホン』)館地下2階(=『B2』)にある、ロッカーの『0046』番」だった。
「い、言っておくけど、私は最初から分かってたんだからね」
「ホントに?」
「う、う、嘘じゃないもん!! た、ただ言わなかっただけだもん!!」
「ホントにホントにぃ?」
「……………つかさ、意外と鋭いね」
だって誤魔化してるって丸わかりだもん。
「だめだよ、嘘ついちゃ」
「は、半分はホントだもん!!」
「でも凄いね。あの時は分からなかったのに、分かっちゃったんだから」
「だ、だから、私はつかさよりもとっくに分かってたんだから!!」
「分かったよ」
「………………そんなに見るな」
あらあら、照れちゃった。私、こんな妹が欲しかったなぁ。
「ほ、ほら、さっさと開けましょうよ」
「う、うん、分かった」
ロッカーには鍵が刺さっている。つまり、いつでも開けられる様になっていた。
「せーの、で開けるよ?」
「うん」
あゆちゃんの同意を得て、「せーの」でロッカーの扉を開ける。
「う、うん、分かった」
ロッカーには鍵が刺さっている。つまり、いつでも開けられる様になっていた。
「せーの、で開けるよ?」
「うん」
あゆちゃんの同意を得て、「せーの」でロッカーの扉を開ける。
「……………」
「……………」
「……………これ、何?」
「…………言うまでも、無いでしょ?」
ロッカーを開けて出てきたのは、おもちゃのピコピコハンマーと怪しげな茶封筒。
茶封筒の中身は、またもや切符だった。
入っていたのは「熊本〜大阪」と書かれた乗車券と「寝台特急『なは』」「熊本〜新大阪」と書かれたの乗車券。
そう言えば西鹿児島からの切符は、あの時(……あまり思い出したくないや)に落としちゃったんだっけ。
気が利くなぁと思った一方、どうして私達が切符を落とした事が分かったのだろう。
私があゆちゃんとしなきゃいけない事は何となく分かる──鍵を揃える──けど、
疑問はどんどん増えるばかりだ。
「……………」
「……………これ、何?」
「…………言うまでも、無いでしょ?」
ロッカーを開けて出てきたのは、おもちゃのピコピコハンマーと怪しげな茶封筒。
茶封筒の中身は、またもや切符だった。
入っていたのは「熊本〜大阪」と書かれた乗車券と「寝台特急『なは』」「熊本〜新大阪」と書かれたの乗車券。
そう言えば西鹿児島からの切符は、あの時(……あまり思い出したくないや)に落としちゃったんだっけ。
気が利くなぁと思った一方、どうして私達が切符を落とした事が分かったのだろう。
私があゆちゃんとしなきゃいけない事は何となく分かる──鍵を揃える──けど、
疑問はどんどん増えるばかりだ。
取り敢えずピコピコハンマーをあゆちゃんのリュックに押し込み、
封筒をコートのポケットにしまってロッカールームを後にする。
そろそろお店を出ようと思った時だった。
「………ねぇ、あゆちゃん」
「なに?」
私がさっきからずっと感じていた事を、彼女に伝える。
「お風呂、入りたい」
「そう言えば……………」
ずっと走り回っていたせいか、汗の臭いが鼻につく。
気が付けば、身体はベタベタするし、臭いもキツい。それに、髪の毛もゴワゴワで何だか気持ちが悪い。
トレードマークのリボンも枯れた花の様にしおれていた。
あゆちゃんも例外ではなかった。
封筒をコートのポケットにしまってロッカールームを後にする。
そろそろお店を出ようと思った時だった。
「………ねぇ、あゆちゃん」
「なに?」
私がさっきからずっと感じていた事を、彼女に伝える。
「お風呂、入りたい」
「そう言えば……………」
ずっと走り回っていたせいか、汗の臭いが鼻につく。
気が付けば、身体はベタベタするし、臭いもキツい。それに、髪の毛もゴワゴワで何だか気持ちが悪い。
トレードマークのリボンも枯れた花の様にしおれていた。
あゆちゃんも例外ではなかった。
「それじゃあ」「行こっか」
寝台列車の発車まで、まだまだまだまだ時間がある。
私達は百貨店で服を買った後、市内電車でちょっと離れた温泉へと向かった。
寝台列車の発車まで、まだまだまだまだ時間がある。
私達は百貨店で服を買った後、市内電車でちょっと離れた温泉へと向かった。