kairakunoza @ ウィキ

ひよ☆ゆり

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 薄く開いた目に、カーテン越しの日の光を感じる。ひよりはまだ意識のはっきりしないまま体を起こした。胸までかかっていた白いシーツが落ちる。
「……あれ?」
 ここはどこで、自分は何をしていたのだろう。そんなことを思いながら周りを見る。
 自分の部屋ではなかった。どこかのアパートの一室。壁にはアニメのカレンダーが貼られ、漫画やアニメ雑誌がそこそこにまとめてあった。雑多だが、それなりに清潔感を保っている。
「……って、パティのアパートか」
 そうこうするうちに思い出してきた。ひよりは昨日、パティの家にお泊まりしたのだった。
(えーっと昨日は確かパティと……HALO3の協力プレイで盛り上がった後、ご飯食べながら攻殻のDVD見て、お風呂入った後はアニソン聞きながらまったりしてて……えっと、それから――)
 まだ寝ぼけている頭で、昨夜の出来事を思い出そうとする。
(それから――……どうしたんだっけ?)
 いつ頃眠りについたのか、その辺の記憶がハッキリしない。
「……え?」
 ある異常に気づき、ひよりの頭は急激に元通りの回転速度を取り戻す。
「裸!?」
 今さら気付くのも相当間抜けだが、大慌てでシーツを体に手繰り寄せた。ひよりは身に一糸もまとっていない状態で眠っていたのだ。
「な、何故に!?」
 もう一つ。これはあるいは無意識に気づかないようにしていたのかもしれないが、大変な異常事態があった。
 ひよりのすぐ横に、人の気配があった。ここの住人である。ひよりと同じく、マッパで。パティの瑞々しくも豊満な乳房が、ひよりの腕にダイレクトに当たっている。
「うおあああっ!!?」
ひよりは大慌ててで後ずさろうとし、後頭部を壁に思い切り強打する。
「っ~……!」
 驚くやら痛いやらで声が出ない。
「ン~? 朝ですカぁ……?」
 騒がしさに目を覚ましたパティは体を起こし、あくびをしながら大きく伸びをする。
「ふぁ~ァ……Morning ヒヨリ」
「モ、モーニン……」
 涙目で後頭部を押さえながら、ひよりは何とか挨拶を返す。惜しげもなくさらされているパティの裸体からは目をそらし。
「どうしたですカ?」
「いやちょっと……寝ぼけてて頭打っちゃって」
「大丈夫ですカ?」
「う、うん……平気」
「それならよかったでス」
 屈託のない笑顔を見せるパティ。そこからは何の含みも見て取れない。裸だけど。
(落ち着け……ただ裸で一緒のベッドで寝てたからといって、ナニがあったと決まったわけじゃない……)
 普通に考えればそれだけでも十分エロい――じゃなくてえらいことだが、ひよりはとにかく気を落ち着けて自分に言い聞かせる。
「あ、あのさパティ……その、昨日のことだけど……」
「昨日ノ? なんですカ?」
「いやあの……何、してたんだっけ……?」
「……ひょっとしてヒヨリ、おぼえてないですカ?」
「何を?」
「ゆうべはおたのしみでしたネ、なことですヨ」
「――っ!!」
 ひよりの顔が火のついたように赤くなる。
「日本ではこういうのをキヌギヌというんですよネ」
「いや普通それは男女の――ってそういう問題じゃなくて! その、つまり、それは……!」
 ひよりはそれ以上言葉が出てこず、池の鯉みたいに口をパクパクさせている。
 パティはそんなひよりに妖しく微笑みかけると、身を乗り出して肌に触れた。
「ちょ、ちょっと!?」
「忘れたのなラ、思い出させてあげまス」
 静かにそう呟いてから、パティの唇がひよりの首筋に当てられた。熱く柔らかい感触に、ひよりは総毛立つ。
 パティは首筋から肩、胸へと、ゆっくり舌を這わせていく。
「ちょっ、っぁ……」
 戸惑うひよりをよそに、パティは背中まで腕を回した。肌と肌とがぴったりと合わせる。
(うわ柔らか……!)
 肌と肌とが吸い付くようだ。言いようのない感覚に、ひよりは思わず吐息を漏らす。ひんやりした皮膚が、だんだんと熱を帯びていく。
 上気したひよりの表情を見ると、パティは満足げな顔で声をかける。
「思い出しましたカ?」
「え……」
「まあどっちでもいいでス。学校もあるからこれくらいにしておきますネ」
 そう言って、パティは悪戯っぽい笑みを浮かべながらひよりの肩を噛んだ。歯形が付くか付かないか程度に。


「何だったんだろう、一体……」
 肩に残る微かな感触を意識しながら、ひよりはひとりごちた。朝の学校。ホームルーム前の時間である。あの後、パティとひよりはごく普通に朝の支度を終え、揃って学校に来たわけだが。
 ひよりはパティの席に視線を移す。特に変わりなく、普段通りの様子だ。しかし今朝の一幕は、どう考えても昨晩一線を越えた出来事があったとしか――
「いや待て!」
 思わず声に出してしまい、周りのクラスメイトが何事かと振り向く。ひよりは慌てて愛想笑いしてごまかす。
(……私にリアルでそっちの趣味なかったはず……間違いない! どういうことだ? 誰かが私を陥れようとしているのか? これは何者かによる黒い陰謀だというのか……?)
 悶々と悩み続けるひよりをよそに、ホームルームが始まった。

「今日はちょっと部室の方行ってくるね」
 昼休み。いつも一緒にお昼を食べているゆたか達にそう言って、ひよりは教室を出た。パティと顔を合わせにくかったからだ。
 アニ研部室には誰もいなかった。ひよりは何となくホッとして息をつく。
「おっすひよりん」
 ポン、といきなり肩を叩かれ、ひよりは思わず飛び上がりそうになった。
「あ、こ、こうちゃん先輩スか……」
「どしたの焦って? 爆弾でも仕掛けようとしてた?」
「しませんよ」
「それじゃあ誰かのロッカーにラブレター入れようとしてたとか?」
「誰がアニ研にラブレターなんか持ち込みますか」
「そりゃ残念」
 冗談めかしてそう言うと、こうは椅子に座って弁当の包みを広げた。ひよりも倣って腰掛ける。
「先輩、いつもお昼ここですか?」
「いつもってわけじゃないけど。今日はたまたま。ひよりんこそどうして?」
「……まあ、私もたまたま……」
「ふーん」
 その後は二人とも黙々と弁当を食べる。食後、こうはペットボトルのお茶を部室にあった紙コップに注ぎ、ひよりに差し出した。
「ありがとうございます」
「ん。ところでさー、ひよりん」
「何スか?」
「首んとこの赤いの、キスマーク?」
「ッッ!?」
 口に含もうとしたお茶を吹く。狼狽したひよりは、席を蹴立てて首筋を手で押さえた。
「あらら……ひょっとしてマジで?」
 そう言われて、ひよりは自分の失策に気づく。虫さされでも何でも適当に誤魔化せば良かったのだ。顔を真っ赤にしてそこを隠すなど、「はいそうです」と言っているようなものではないか。
「詳しい話を聞こうか」
「いや、これは、その……」
「まあまあ落ち着きなさい」
 何と言えばいいのか分からず涙目になっているひよりの両肩に、こうの手が優しく置かれる。と、不意にひよりの体が強い力で引き寄せられた。
「え――?」
 ひよりの首筋、件のキスマークが付いた場所に、こうが唇を押し当てていた。
「こうちゃん先輩……?」
「どこの泥棒猫だろうね、私のひよりんに手ぇ付けたのは」
「わ、私のって、何を……ぁ」
 こうの手がひよりの腰の後ろに回され、抱きすくめる。
「どこまでされたの? それともしたの?」
 詰問口調で尋ねながら、こうの手はひよりの制服を器用にはだけさせ、下着ごしに小振りな乳房を撫でる。
「黙ってちゃ分からないでしょ」
「ひぅっ……」
 こうが乳房に当てた手に力を込めると、ひよりは声を上げた。
 いつの間にか、ひよりの背は壁に押し当てられていた。
「首だけじゃないね、キスマーク。よく見たら歯形まで付いてる。誰とどんだけやらしいことしてたんだか……」
 怒っているような声音で呟きながら、こうはひよりの体を探るようにまさぐる。
「せ、せんぱっ、いっ……やめっ、て、ぁ」
「だーめ」
 こうはひよりの耳元で囁くと、そのまま耳たぶに歯を立てた。
「ぁ、ぅ」
 こうの手がひよりの下腹部に伸びる。スカートをたくし上げ、下着の中にまで指先を伸ばそうとする。その時、予鈴が鳴った。ひよりの耳にはその音がひどく遠くから聞こえる。
「時間切れか」
 こうは残念そうに呟きながら、ひよりの体を解放した。ひよりは荒く息をつきながらも、乱れた衣服を取り繕う。
「それじゃ、続きはまた今度ね♪」
 明るくそう言って立ち去るこうを、ひよりは呆然と見送った。


 放課後。ひよりはいつもの数十倍疲れた様子で廊下を歩いていた。部室にも寄らず、ゆたか達と一緒にも帰らず、一人である。
「今日は一体……何がどうなってんだか……」
 朝のこと、そして昼休みのことを思い出すだけで、顔が熱くなる。
 下駄箱の前に来た時、不意にひよりの肩を誰かの手が叩いた。
「――っ!」
 部室の時と同じパターンに、ひよりはまた飛び上がりそうになった。が、
「やほー、ひよりん」
「あ……泉先輩。ども」
 心の底からホッとしながら、ひよりはこなたに挨拶を返す。
「今日は柊先輩や高良先輩と一緒じゃないんスか?」
「まーね。ひよりんこそ部活は?」
「えと……今日はちょっと欠席で」
 さすがに理由は言えず、ひよりは言葉を濁す。
「んじゃ一緒に帰ろうか」
「いいっスよ」
 そんなわけで、ひよりとこなたは並んで昇降口を出た。
 いつもみたく漫画やアニメの話などしながら歩いていると、とある公園の前にさしかかった。
「あ、ごめん。ちょっとお手洗い寄っていい?」
 こなたがそう言うので、二人は公園に足を踏み入れた。この時間にしては珍しく、人気が無い。
「こういう公園来ると、ベンチにツナギを着たいい男が座ってないかとか考えちゃうね」
「普通は考えないと思いますが、まあ分かります」
 もちろんこの公園のベンチにいい男は座っていないし、今トイレに向かって全力疾走しているのは予備校に通うごく一般的な男の子、強いて違うところをあげるとすれば男に興味があるってことかナ――でもない。
「それじゃひよりん、こっち来て」
「え? こっちって……先輩、トイレじゃ?」
「いいからいいから。こっち来て」
「?」
 よく分からないまま、ひよりは手招きするこなたに着いて行く。公園の中の、周囲から非常に見えにくい茂みの中へ。
「……!」
 嫌な予感にひよりは背筋を震えさせた。が、時既に遅し。次の瞬間、こなたの両腕がひよりの体を抱きすくめていた。
「ちょっ……い、泉先輩まで何するんスかーっ!?」
「いやなに。今日のひよりんからは何やら総受けの匂いがするので」
「何スか総受けの匂いて!?」
「いかにも襲って下さいなオーラを放っているんだよねー。性的な意味で」
 喋りながらこなたはもの凄い手際よくひよりを剥いていく。遠慮も躊躇も一切無く柔肌を露出させていく。
「そんなオーラ放ってないスから! そもそも意味が分かりません! なんなんスか今日はみんな――アッー!」


「……はっ!?」
 見開いた目に、カーテン越しの日の光を感じる。朝。ひよりはベッドで横になっている。
「ゆ……夢?」
 自分の手を見る。手に汗握るの言葉通り、じわりと湿っていた。
「……夢落ち……」
 確認するように呟くと、ひよりは上半身を起こし、大きく安堵の息をついた。
「そ、そりゃそうだよね……は、ははは。色々と、あり得ないし……」
 独り言を呟きながら、額に浮いている汗を手の甲でぬぐう。それにしてもリアリティのある夢だった。
 ふと気が付く。ここは自分の部屋ではなかった。
「そっか。パティのとこに泊まったのは本当だっけ」
 夢と違うのは今日が日曜だということ。そして夢の中のような出来事はあり得ないということだ。
(えーっと昨日は確かパティと……マッスルタッグマッチの対戦プレイで盛り上がった後、ご飯食べながらサムライトルーパーのDVD見て、お風呂入った後はMADテープ聞きながらまったりしてて……えっと、それから――)
 寝起きにしてはハッキリした頭で、昨夜の出来事を思い出そうとする。
(それから――……どうしたんだっけ?)
 いつ頃眠りについたのか、その辺の記憶がハッキリしない。
「……え?」
 ある異常に気づき――というより激しいデジャブを感じ、ひよりは驚愕した。
「裸!?」
 今さら気付くのも相当間抜けだが、大慌てでシーツを体に手繰り寄せた。ひよりは身に一糸もまとっていない状態で眠っていたのだ。
「な、何故に!?」
 もう一つ。これはあるいは無意識に気づかないようにしていたのかもしれないが、大変な異常事態があった。
 ひよりのすぐ横に、人の気配があった。ここの住人である。ひよりと同じく、マッパで。パティの瑞々しくも豊満な乳房が、ひよりの腕に――


 ――――現実オチデスカ?


おわり

















コメントフォーム

名前:
コメント:
  • てかサムライトルーパーって世代違うだろwww

    とりあえず突っ込んでおく。

    GJです! -- 名無しさん (2009-06-29 17:32:47)
  • かがみとやまと涙目wwww
    -- 名無しさん (2008-08-08 00:33:47)
  • ひよりんは総受け。←結論 -- 名無しさん (2008-08-07 23:46:16)
  • 夢限ループですね、わかります。
    そしてひよりんはどう考えても総受け。 -- 名無しさん (2008-08-07 00:18:39)
  • ひよxパティはいいねえ・・・ -- 名無しさん (2008-06-16 21:55:58)
  • ひよりんはガチで総受け。 -- 名無しさん (2008-02-23 19:46:36)
  • ひよりんは確実に総受け。
    -- 名無しさん (2008-02-18 21:16:52)
  • ひよりんは間違いなく総受け -- 名無しさん (2008-02-14 17:50:08)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー