2月14日、聖バレンタインデー。
女性にとっては大切な大切な日。
一部の男性にとっては大切かも知れない日。
そして、ある少女にとってはあまり嬉しくない日???
女性にとっては大切な大切な日。
一部の男性にとっては大切かも知れない日。
そして、ある少女にとってはあまり嬉しくない日???
2月8日、金曜日の放課後────。
「あやのー、折り入って頼みがあんだけど───」
教室を出る生徒のざわめきの中、日下部みさおは彼女の友人、峰岸あやのに相談を持ちかけた。
幼少の頃から彼女を知るあやのは、みさおが何の相談をしたいのかをすぐに察知した。
それでも敢えて、あやのはみさおの話に耳を傾ける。
みさおが珍しく真剣な顔をしている。これは本命か?
「あやのってお菓子作るのうめーよな?」
「う、うーん、そうかな?」
照れながらも内心嬉しいあやの。
「あ、あ、あ、あ、あの……、え、え、え、えっと……」
みさおは二度三度深呼吸するも、胸の内に秘めたドキドキが収まらず、中々口から言葉が出ない。
「焦らなくてもいいわ、みさちゃん」
「う、うん。あ、あのさ、私にも、作れる、かな?」
「チョコレート?」
「う、うん、そうだけど」
珍しくしおらしいみさお。そんな様子を見て、あやのは彼女をちょっとからかってみる。
「もしかして、お兄さん?」
しかし、
「違ぇよ」
答えは呆気なく外れた。
『お兄さん』とはみさおの歳の離れた兄。実は、あやのの恋人でもある。
あやのはみさおとは保育園の頃からの付き合いなので、彼との付き合いもまた長かった。
しかし、恋人同士であるにも拘わらず彼女が彼を「お兄さん」と呼ぶのは、
十数年間あやのが彼をそう呼んでいたからであり、その癖が直らずにいるからである。
「それじゃあ、柊ちゃんかしら?」
柊とはみさお達のクラスメートであり、友人でもある柊かがみの事である。
関東最古の由緒正しい神社の娘であり、双子の妹、つかさも同じ学校に通っている。
最近はかがみが休み時間の度につかさのクラスに行ってしまうため、
彼女らとかがみとの関係はある意味で『腐れ縁』状態となっている。
「内緒っ。兄貴でも柊でもねーよ」
「あら、柊ちゃんでもないんだ。そしたら、泉ちゃんかしら?」
「ばっ、ちょっ、な、何でチビっ子なんだよ! 第一、女同士じゃねーか!!」
ははーん。やっぱり泉ちゃんね。
決して表には出さないニヤケ顔を仮面の裏側に隠しつつ、あやのはそこで慌てふためく幼馴染みの様子を静かに観察する。
「い、いーからさ、よ、良かったら、私にも作れるチョコレート、教えてくんねーかな?」
「いいわよ。その代わり、」
「その代わり?」
「チョコレートを渡すお相手、私にも教えてね」
「な、ちょ、い、い、言える訳ねーだろっ!! あ、兄貴じゃねーって事は確かだっ!!」
やっぱりお兄さんに渡すのね。
そう思ったあやのは、半ば対抗心を抱きつつも、みさおにチョコレートの作り方を教える事を、快く承諾した。
「ふふふ、みさちゃん、可愛い」
「ばっ、からかうなよ。あやのの意地悪ぅ」
これ以上からかうと泣いてしまいかねないので、あやのはみさおをからかうのをやめにした。
みさおは今にも泣き出しそう。
「それじゃあみさちゃん、明日の土曜日、十時にうちに来て。まずは買い出しから行きましょ?
一緒に頑張ろうね、みさちゃん」
「お、おう、いいぜ。サンキュっ、あやの」
泣き出しそうな顔が一気に晴れる。
季節外れの向日葵の様な笑顔をあやのに向けると、そのままぴょんぴょん跳ねながら教室を飛び出してしまった。
「ま、待ってよ、みさちゃん」
「あやのー、折り入って頼みがあんだけど───」
教室を出る生徒のざわめきの中、日下部みさおは彼女の友人、峰岸あやのに相談を持ちかけた。
幼少の頃から彼女を知るあやのは、みさおが何の相談をしたいのかをすぐに察知した。
それでも敢えて、あやのはみさおの話に耳を傾ける。
みさおが珍しく真剣な顔をしている。これは本命か?
「あやのってお菓子作るのうめーよな?」
「う、うーん、そうかな?」
照れながらも内心嬉しいあやの。
「あ、あ、あ、あ、あの……、え、え、え、えっと……」
みさおは二度三度深呼吸するも、胸の内に秘めたドキドキが収まらず、中々口から言葉が出ない。
「焦らなくてもいいわ、みさちゃん」
「う、うん。あ、あのさ、私にも、作れる、かな?」
「チョコレート?」
「う、うん、そうだけど」
珍しくしおらしいみさお。そんな様子を見て、あやのは彼女をちょっとからかってみる。
「もしかして、お兄さん?」
しかし、
「違ぇよ」
答えは呆気なく外れた。
『お兄さん』とはみさおの歳の離れた兄。実は、あやのの恋人でもある。
あやのはみさおとは保育園の頃からの付き合いなので、彼との付き合いもまた長かった。
しかし、恋人同士であるにも拘わらず彼女が彼を「お兄さん」と呼ぶのは、
十数年間あやのが彼をそう呼んでいたからであり、その癖が直らずにいるからである。
「それじゃあ、柊ちゃんかしら?」
柊とはみさお達のクラスメートであり、友人でもある柊かがみの事である。
関東最古の由緒正しい神社の娘であり、双子の妹、つかさも同じ学校に通っている。
最近はかがみが休み時間の度につかさのクラスに行ってしまうため、
彼女らとかがみとの関係はある意味で『腐れ縁』状態となっている。
「内緒っ。兄貴でも柊でもねーよ」
「あら、柊ちゃんでもないんだ。そしたら、泉ちゃんかしら?」
「ばっ、ちょっ、な、何でチビっ子なんだよ! 第一、女同士じゃねーか!!」
ははーん。やっぱり泉ちゃんね。
決して表には出さないニヤケ顔を仮面の裏側に隠しつつ、あやのはそこで慌てふためく幼馴染みの様子を静かに観察する。
「い、いーからさ、よ、良かったら、私にも作れるチョコレート、教えてくんねーかな?」
「いいわよ。その代わり、」
「その代わり?」
「チョコレートを渡すお相手、私にも教えてね」
「な、ちょ、い、い、言える訳ねーだろっ!! あ、兄貴じゃねーって事は確かだっ!!」
やっぱりお兄さんに渡すのね。
そう思ったあやのは、半ば対抗心を抱きつつも、みさおにチョコレートの作り方を教える事を、快く承諾した。
「ふふふ、みさちゃん、可愛い」
「ばっ、からかうなよ。あやのの意地悪ぅ」
これ以上からかうと泣いてしまいかねないので、あやのはみさおをからかうのをやめにした。
みさおは今にも泣き出しそう。
「それじゃあみさちゃん、明日の土曜日、十時にうちに来て。まずは買い出しから行きましょ?
一緒に頑張ろうね、みさちゃん」
「お、おう、いいぜ。サンキュっ、あやの」
泣き出しそうな顔が一気に晴れる。
季節外れの向日葵の様な笑顔をあやのに向けると、そのままぴょんぴょん跳ねながら教室を飛び出してしまった。
「ま、待ってよ、みさちゃん」
2月9日、土曜日───。
鷲宮町のとある小さな住宅街、その一角に位置する比較的大きな戸建て住宅。そこがあやのの家だった。
冷凍庫の様に冷えた雪色の空の下、一台の黒いマウンテンバイクが彼女の家の前で豪快なブレーキを掛ける。
が、そのままみさおは派手にコケて尻餅をつく。路面が凍っていた。
手のひらの擦り傷を舐めてからインタホンを鳴らそう………とする前に、峰岸家の戸が開いた。
「いらっしゃい、みさちゃん。大丈夫? 凄い音したけれど」
「お、おーっす、来たぜ。私はこの通りだぜ……いててててて」
鷲宮町のとある小さな住宅街、その一角に位置する比較的大きな戸建て住宅。そこがあやのの家だった。
冷凍庫の様に冷えた雪色の空の下、一台の黒いマウンテンバイクが彼女の家の前で豪快なブレーキを掛ける。
が、そのままみさおは派手にコケて尻餅をつく。路面が凍っていた。
手のひらの擦り傷を舐めてからインタホンを鳴らそう………とする前に、峰岸家の戸が開いた。
「いらっしゃい、みさちゃん。大丈夫? 凄い音したけれど」
「お、おーっす、来たぜ。私はこの通りだぜ……いててててて」
みさおは峰岸家で応急処置をして貰った後、ザックを背負ってあやのと共に家を出る。
向かうのは最寄りのスーパー。しかし、最寄りと言ってもここは小さな田舎町。
二人は自転車でスーパーへと向かい、必要な材料を揃える。
最近は「手作りキット」という形で、必要なモノが一通り揃ったセットが売られている。
チョコレートはオーソドックスなハート型のものを買う事にした。
ハートの型は勿論、パウダーなどの飾り付け用のチョコや、マジペンなども入っていた。
クッキーもついでに焼く事にした。
レジに並んでいる時、手作りチョココーナーに柊かがみの姿があった。珍しく妹は居ない。
柊かがみはみさお達のクラスメートであり、中学2年からずっと一緒である。
しかし、かがみは「妹が居るから」という理由で休み時間の度に教室を抜け出しは
双子の妹であるつかさのクラスに行ってしまうため、学校内では中々一緒に話す機会が得られないで居る。
そんな彼女も想い人にとっておきのチョコレートを作るつもりなのだろうか。
しかし、彼女に好きな人が居ることなど、二人は聞いた事が無い。
向かうのは最寄りのスーパー。しかし、最寄りと言ってもここは小さな田舎町。
二人は自転車でスーパーへと向かい、必要な材料を揃える。
最近は「手作りキット」という形で、必要なモノが一通り揃ったセットが売られている。
チョコレートはオーソドックスなハート型のものを買う事にした。
ハートの型は勿論、パウダーなどの飾り付け用のチョコや、マジペンなども入っていた。
クッキーもついでに焼く事にした。
レジに並んでいる時、手作りチョココーナーに柊かがみの姿があった。珍しく妹は居ない。
柊かがみはみさお達のクラスメートであり、中学2年からずっと一緒である。
しかし、かがみは「妹が居るから」という理由で休み時間の度に教室を抜け出しは
双子の妹であるつかさのクラスに行ってしまうため、学校内では中々一緒に話す機会が得られないで居る。
そんな彼女も想い人にとっておきのチョコレートを作るつもりなのだろうか。
しかし、彼女に好きな人が居ることなど、二人は聞いた事が無い。
「それじゃあ、始めましょ」
「おう!! んで何すりゃいいんだ?」
みさおは家から持ってきた水色のエプロンを身につけ、律儀に三角巾も頭に着用している。
エプロンは小学校の家庭科調理実習で作ったもの。
両手には使い捨てのビニル手袋。衛生上の理由もあるが、傷口保護の目的もある。
ハタから見ればまるで家庭科の調理実習の様だが、本人は本気である。
ちなみに準備をする時にあやのに「可愛いね」と言われて赤面した事は内緒だ。
「おう!! んで何すりゃいいんだ?」
みさおは家から持ってきた水色のエプロンを身につけ、律儀に三角巾も頭に着用している。
エプロンは小学校の家庭科調理実習で作ったもの。
両手には使い捨てのビニル手袋。衛生上の理由もあるが、傷口保護の目的もある。
ハタから見ればまるで家庭科の調理実習の様だが、本人は本気である。
ちなみに準備をする時にあやのに「可愛いね」と言われて赤面した事は内緒だ。
「まずは買ってきたチョコを湯煎に溶かして……」
二時間後────。
冷蔵庫から型を取りだし、それを勢いよくステンレスのトレイに被せて型を外す。
「よっしゃ、出来たぜー!!」
「ちょっと崩れちゃったけど、上手く出来たわね」
あやのに褒められて照れ笑いを見せるみさお。本当に嬉しそうだ。
みさおがあやのと一緒に作ったチョコレートは、初めて作った割には上出来だった。
カカオの甘い香りがつんと鼻をつく。
「そ、そっかー? 何か、嬉しーなー。なぁなぁ、味見しよーぜ?」
「うん」
二人は形の崩れてしまったチョコを一個ずつ、ひょいとつまむ。
見た目が悪いだけだが、ちょっとこれは、流石に義理チョコでも人に出すのは憚れる。
「せーの、で行くぜ?」
「いいわよ」
「「せーの」」
二人の掛け声と共に、手に持ったチョコレートが口の中へと運ばれる。
甘みと共にカカオ独特の苦みが口いっぱいに広がる。
砂糖の分量を間違えたせいで、中途半端なビターチョコになってしまったようだ。
「むー、こりゃ兄貴向けだな」
「そうね」
みさおの兄は大の甘党でありながら、何故かチョコレートはビター派である。
余談だが、コーヒーと紅茶も無糖派である。
「まぁいいや。これは兄貴に『処理』して貰う事にして、今度は私が自分で作ってみるよ。
あやのが折角教えてくれたんだもん」
「そう? それじゃあ、お土産の用意も兼ねて、ラッピングの練習もしましょう」
「おう」
冷蔵庫から型を取りだし、それを勢いよくステンレスのトレイに被せて型を外す。
「よっしゃ、出来たぜー!!」
「ちょっと崩れちゃったけど、上手く出来たわね」
あやのに褒められて照れ笑いを見せるみさお。本当に嬉しそうだ。
みさおがあやのと一緒に作ったチョコレートは、初めて作った割には上出来だった。
カカオの甘い香りがつんと鼻をつく。
「そ、そっかー? 何か、嬉しーなー。なぁなぁ、味見しよーぜ?」
「うん」
二人は形の崩れてしまったチョコを一個ずつ、ひょいとつまむ。
見た目が悪いだけだが、ちょっとこれは、流石に義理チョコでも人に出すのは憚れる。
「せーの、で行くぜ?」
「いいわよ」
「「せーの」」
二人の掛け声と共に、手に持ったチョコレートが口の中へと運ばれる。
甘みと共にカカオ独特の苦みが口いっぱいに広がる。
砂糖の分量を間違えたせいで、中途半端なビターチョコになってしまったようだ。
「むー、こりゃ兄貴向けだな」
「そうね」
みさおの兄は大の甘党でありながら、何故かチョコレートはビター派である。
余談だが、コーヒーと紅茶も無糖派である。
「まぁいいや。これは兄貴に『処理』して貰う事にして、今度は私が自分で作ってみるよ。
あやのが折角教えてくれたんだもん」
「そう? それじゃあ、お土産の用意も兼ねて、ラッピングの練習もしましょう」
「おう」
そして、2月14日、昼休み────。
チャイムと同時に3年C組の教室を飛び出したみさおは、そのままダッシュでB組の教室に飛び込んだ。
C組の後の扉からB組の前の扉までは徒歩10秒。
そんなに走らなくてもいいのに、と思ったあやのは、扉越しに彼女の事をそっと見守っていた。
「やっぱり泉ちゃんかしら?」
「さぁ。てっきりお兄さんか私か峰岸だと思ってたんだけどね」
あやのの上に頭を並べるかがみが、そう言った。
チャイムと同時に3年C組の教室を飛び出したみさおは、そのままダッシュでB組の教室に飛び込んだ。
C組の後の扉からB組の前の扉までは徒歩10秒。
そんなに走らなくてもいいのに、と思ったあやのは、扉越しに彼女の事をそっと見守っていた。
「やっぱり泉ちゃんかしら?」
「さぁ。てっきりお兄さんか私か峰岸だと思ってたんだけどね」
あやのの上に頭を並べるかがみが、そう言った。
「おーっす、チビっ子~」
その呼びかけに答えたのは、長い蒼髪を持った、とても小柄な少女・泉こなただった。
「あれ? みさきち何で来たの?」
「ひでぇな。そんなに柊がいいのかよ?」
「どちらかと言えば」
『何だよ、それ』と扉の方で声がしたような気がするが、多分気のせいだろう。
相手にされていないショックを抑えつつ、みさおは意を決して手に持っていた包みを差し出す。
「チビ……いや、泉っ!!」
いきなりの大声でB組のクラスメート全員が二人に注目する。
「な、何さ?!」
「こ、これ、良かったら受け取ってくれ!!」
暖房ガンガンの筈の教室に、冷たい風が吹く。
暫くの間、時間が止まった。
扉の影に隠れていたかがみとあやのは、いつの間にか居なくなっていた。
その呼びかけに答えたのは、長い蒼髪を持った、とても小柄な少女・泉こなただった。
「あれ? みさきち何で来たの?」
「ひでぇな。そんなに柊がいいのかよ?」
「どちらかと言えば」
『何だよ、それ』と扉の方で声がしたような気がするが、多分気のせいだろう。
相手にされていないショックを抑えつつ、みさおは意を決して手に持っていた包みを差し出す。
「チビ……いや、泉っ!!」
いきなりの大声でB組のクラスメート全員が二人に注目する。
「な、何さ?!」
「こ、これ、良かったら受け取ってくれ!!」
暖房ガンガンの筈の教室に、冷たい風が吹く。
暫くの間、時間が止まった。
扉の影に隠れていたかがみとあやのは、いつの間にか居なくなっていた。
空気が完全に冷え固まって、数分が経過した。
「…………有り難う、貰っておくよ」
「………マ、マジか?」
「いや、まさかね。攻略した覚えのないキャラにフラグ立てられるとは思わなかったよ。
さて、かがみよりも不味いかどうか、この私が毒味してしんぜよう」
「んだよ、それ。酷ぇなぁ」
何も本人の前で言う事は無いだろ? そう思ったみさおは、幼い子どもの様に頬を膨らませる。
勿論、こなたは本気で言っているのではなく、みさおをからかっているだけである。
からかっている時のこなたはとても意地悪だが、
常人よりも思いやりのある優しい子である事は、みさおも良く分かっている。
「さーてさてさて幸手、みさきち特性チョコレートのご開帳~~~~~~~♪
って、うわっ、凄っ!!」
通常の三倍豪華な赤いリボンを解き、赤に近いピンク色の袋からそっとチョコレートを取り出す。
ひとつひとつ丁寧に個包装され、地球には優しくはないが、
丁寧に包まれたチョコレートの美しさにこなたは思わず感嘆の声をあげる。
男子生徒が約一名、さっきからこちらを見ている。もしかして、みさおに貰われたかったのか?
「うほっ、これ、本当にみさきちが作ったの? 峰岸さんが作ったんじゃないの?」
「だから違ぇよ!! あやのだったらもっと綺麗に作ってるよ!!」
そう言われれば、と思い、ハート型のチョコをよく見ると、微妙に形が崩れている。
「いいから早く食えよ。なぁ、どうだ? 旨いか?」
「まぁ待ちたまえ、みさきち。焦らしプレイも中々良いものだよ?」
焦らされているみさおは堪ったものではない。
「ほら、さっさと食え!! なら私が食わせてやるっ」
「ちょっ、まっ、待って!! ほにゃ?!」
無理矢理チョコを突っ込まさせられたこなたは、しばらくその場でばたばたしていたが、
やがて舌がチョコレートの味を感知したのを感じて、じっくりと噛み砕く。
「ふっふっふ。初めての割に上出来だねぇ。でもさ、これは本命の人にあげるものだよ?」
「五月蠅ぇな。で、でも、あんがと」
「…………有り難う、貰っておくよ」
「………マ、マジか?」
「いや、まさかね。攻略した覚えのないキャラにフラグ立てられるとは思わなかったよ。
さて、かがみよりも不味いかどうか、この私が毒味してしんぜよう」
「んだよ、それ。酷ぇなぁ」
何も本人の前で言う事は無いだろ? そう思ったみさおは、幼い子どもの様に頬を膨らませる。
勿論、こなたは本気で言っているのではなく、みさおをからかっているだけである。
からかっている時のこなたはとても意地悪だが、
常人よりも思いやりのある優しい子である事は、みさおも良く分かっている。
「さーてさてさて幸手、みさきち特性チョコレートのご開帳~~~~~~~♪
って、うわっ、凄っ!!」
通常の三倍豪華な赤いリボンを解き、赤に近いピンク色の袋からそっとチョコレートを取り出す。
ひとつひとつ丁寧に個包装され、地球には優しくはないが、
丁寧に包まれたチョコレートの美しさにこなたは思わず感嘆の声をあげる。
男子生徒が約一名、さっきからこちらを見ている。もしかして、みさおに貰われたかったのか?
「うほっ、これ、本当にみさきちが作ったの? 峰岸さんが作ったんじゃないの?」
「だから違ぇよ!! あやのだったらもっと綺麗に作ってるよ!!」
そう言われれば、と思い、ハート型のチョコをよく見ると、微妙に形が崩れている。
「いいから早く食えよ。なぁ、どうだ? 旨いか?」
「まぁ待ちたまえ、みさきち。焦らしプレイも中々良いものだよ?」
焦らされているみさおは堪ったものではない。
「ほら、さっさと食え!! なら私が食わせてやるっ」
「ちょっ、まっ、待って!! ほにゃ?!」
無理矢理チョコを突っ込まさせられたこなたは、しばらくその場でばたばたしていたが、
やがて舌がチョコレートの味を感知したのを感じて、じっくりと噛み砕く。
「ふっふっふ。初めての割に上出来だねぇ。でもさ、これは本命の人にあげるものだよ?」
「五月蠅ぇな。で、でも、あんがと」
この二人のやりとりが済んだ直後、教室から一斉に拍手がわいた。
しかし、それは二人を祝福する拍手では無かった───────。
しかし、それは二人を祝福する拍手では無かった───────。
ガラガラガラ。
教室の扉が開きかがみとあやのが飛び込んできた。
何故か外で待機していたつかさと友達の高良みゆきも入ってくる。
「お目出度う、みさちゃん」
「ま、まさかアンタがこなたを狙ってたとは………い、いや、別に何でも無いわよ」
二人とも、顔が恐い。特に前者は強大なATフィールド─絶対『恐怖』領域─を既に展開している。
何なんだ、この二人。
「泉さん、私からもどうぞ。是非、受け取って下さい」
「こなちゃん、はい、どうぞ」
「ちょっとそこの二人、フライング禁止!!
ほ、ほら、こなた、い、一応自分で作ったもの、なんだけど」
「泉ちゃん、私からもどうぞ」
「ちょ、ちょ、ちょ、待ってって、何か恐いよ、みんな」
「何言ってんのよ?」
「これは、私達のほんの気持ちだよ?」
「そうですよ。私達にとって、」
「泉ちゃんは大切な大切な─────」
「「「「友達だからよ」」」」
こなたが何に怯えているのかと言うと、友人達の用意した贈り物が、明らかに「それらしい」モノだったからだ。
かがみはキットで作ったチョコレート。ここまでは普通だが、量が尋常でない。
つかさは美味しそうなクッキー。しかし、手に持っているのはほんの一部で、
その後にはトイレットペーパーが入っていそうな大きな段ボール箱が控えている。
みゆきは市販品とは言え、世界各国の最高級チョコレートが台車の上に山積みとなっている。
そのヘブライ語らしき言語で書かれたチョコ、本当に食べて大丈夫か?
あやのの方は………何処から搬入したのか、教室の天井に届かんばかりの豪華なウェディングケーキ、
(元ネタの人、ごめんなさい)
一番マトモだったのは、みさおだった。
「み、みんな、何か恐いよ。ど、ど、どどどどどうしたの?」
何故か外で待機していたつかさと友達の高良みゆきも入ってくる。
「お目出度う、みさちゃん」
「ま、まさかアンタがこなたを狙ってたとは………い、いや、別に何でも無いわよ」
二人とも、顔が恐い。特に前者は強大なATフィールド─絶対『恐怖』領域─を既に展開している。
何なんだ、この二人。
「泉さん、私からもどうぞ。是非、受け取って下さい」
「こなちゃん、はい、どうぞ」
「ちょっとそこの二人、フライング禁止!!
ほ、ほら、こなた、い、一応自分で作ったもの、なんだけど」
「泉ちゃん、私からもどうぞ」
「ちょ、ちょ、ちょ、待ってって、何か恐いよ、みんな」
「何言ってんのよ?」
「これは、私達のほんの気持ちだよ?」
「そうですよ。私達にとって、」
「泉ちゃんは大切な大切な─────」
「「「「友達だからよ」」」」
こなたが何に怯えているのかと言うと、友人達の用意した贈り物が、明らかに「それらしい」モノだったからだ。
かがみはキットで作ったチョコレート。ここまでは普通だが、量が尋常でない。
つかさは美味しそうなクッキー。しかし、手に持っているのはほんの一部で、
その後にはトイレットペーパーが入っていそうな大きな段ボール箱が控えている。
みゆきは市販品とは言え、世界各国の最高級チョコレートが台車の上に山積みとなっている。
そのヘブライ語らしき言語で書かれたチョコ、本当に食べて大丈夫か?
あやのの方は………何処から搬入したのか、教室の天井に届かんばかりの豪華なウェディングケーキ、
(元ネタの人、ごめんなさい)
一番マトモだったのは、みさおだった。
「み、みんな、何か恐いよ。ど、ど、どどどどどうしたの?」
「さあ、こなた。全部食べて良いわよ」
「こなちゃん、はい、あーん」
「つかささん、私が先ですよ。では、先ずはこのGODIVAの新作を……」
「いやいや、私が先よ? さあ、まずはケーキの入刀を」
ギャ○曽根でも無い限り、この量は食べられない。
それにあやの、ケーキの入刀には普通、斧は使わないぞ。
「こなちゃん、はい、あーん」
「つかささん、私が先ですよ。では、先ずはこのGODIVAの新作を……」
「いやいや、私が先よ? さあ、まずはケーキの入刀を」
ギャ○曽根でも無い限り、この量は食べられない。
それにあやの、ケーキの入刀には普通、斧は使わないぞ。
(ここは逃げるべきだ)
そう悟ったこなたは出口を塞ぐ四人を突破しようか、それとも後の扉から逃げようか、
はたまた何とかして教室の窓(ちなみに教室は4階)から飛び降りようか、考えていた。
そして、後の扉から出ても四人に囲まれるのがオチだと思ったこなたは、
「ごめん!!」
と言って窓に向かってダッシュする。
が、
「何逃げてんだよ、チビっ子」
一人忘れていた。
みさおにセーラー服を掴まれて簡単に捕獲されてしまった。
格闘技が使えるとは言え、腕力ではみさおには敵わないし、投げ飛ばす訳にもいかない。
かくて、こなたは一気に窮地に追い込まれてしまった。
全身に嫌ぁ~な汗がダラダラと滴る。ああ、下着を替えたい。
「うわわわわわわわ、もうみんなの気持ちは分かったから、だ、だだだだだから、
離せぇ~~~~~!!」
「ふふふふ、恥ずかしがらなくてもいいのよ、こなた」
「そうだよ、こなちゃん、クッキー、沢山あるからね、ふふふふふ」
「泉さん、このガーナ産のチョコレートは如何でしょう? ふふふふふふふ」
「いーずーみーちゃん、ほら、早く食べましょう☆」
はたまた何とかして教室の窓(ちなみに教室は4階)から飛び降りようか、考えていた。
そして、後の扉から出ても四人に囲まれるのがオチだと思ったこなたは、
「ごめん!!」
と言って窓に向かってダッシュする。
が、
「何逃げてんだよ、チビっ子」
一人忘れていた。
みさおにセーラー服を掴まれて簡単に捕獲されてしまった。
格闘技が使えるとは言え、腕力ではみさおには敵わないし、投げ飛ばす訳にもいかない。
かくて、こなたは一気に窮地に追い込まれてしまった。
全身に嫌ぁ~な汗がダラダラと滴る。ああ、下着を替えたい。
「うわわわわわわわ、もうみんなの気持ちは分かったから、だ、だだだだだから、
離せぇ~~~~~!!」
「ふふふふ、恥ずかしがらなくてもいいのよ、こなた」
「そうだよ、こなちゃん、クッキー、沢山あるからね、ふふふふふ」
「泉さん、このガーナ産のチョコレートは如何でしょう? ふふふふふふふ」
「いーずーみーちゃん、ほら、早く食べましょう☆」
これは悪い夢だ。そうであって欲しい。
だが、これはまだ始まりに過ぎなかった。
だが、これはまだ始まりに過ぎなかった。
ガラガラガラ。
「こなたお姉ちゃ~ん」「……お邪魔します」「ちわっス、泉先輩っ」「Hi、コナタ!!」
「1年生ズ」ことこなたの従姉・小早川ゆたか、
その友人の岩崎みなみ・田村ひより・Patricia Martinの四人がクラスに入ってきた。
「お姉ちゃん、はい。実は前の日に作っておいたんだ」
「泉先輩…………良ければ……………是非…………」
「ふっふっふ、私もこの日の為に作ってみたっスよ。市販品を溶かしただけっスけど」
「コナタ~、私のアイを受け取って下サ~イ♪」
「ちょ、ゆーちゃん達まで!!」
この四人が用意したものは………………まぁ、想像にまかせるとしよう。
平静を失ったこなたには、もはや1年生ズが用意したモノを見る余裕など、無かった。
「1年生ズ」ことこなたの従姉・小早川ゆたか、
その友人の岩崎みなみ・田村ひより・Patricia Martinの四人がクラスに入ってきた。
「お姉ちゃん、はい。実は前の日に作っておいたんだ」
「泉先輩…………良ければ……………是非…………」
「ふっふっふ、私もこの日の為に作ってみたっスよ。市販品を溶かしただけっスけど」
「コナタ~、私のアイを受け取って下サ~イ♪」
「ちょ、ゆーちゃん達まで!!」
この四人が用意したものは………………まぁ、想像にまかせるとしよう。
平静を失ったこなたには、もはや1年生ズが用意したモノを見る余裕など、無かった。
「た・す・け・て・く・れ~~~~~~~~~~~~」
こなたは隙を突いて9人の壁を突破し、廊下を猛ダッシュしてしまった。
こなたは隙を突いて9人の壁を突破し、廊下を猛ダッシュしてしまった。
しかし、職員室の前で
「こら、泉、廊下に穴開いたらどないすんねん!!」
今度はこなたの担任、黒井先生に捕まった。
「あああああああああああのあのあのあのあの
ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ具合がわわわわわわわわわ悪いのでわわわわわわわわわわ私
そそそそそそそ総体………じゃなかった早退します!!」
だから今すぐ離して下さいと言わんばかりにこなたは必至に黒井に懇願した。
が、
「ちょう待ち。一つだけ約束守って貰うで。そしたら早退は認める。ええな?」
「な、何でもしますから早く帰して下さいっ」
こなたは既に半泣きだ。
「よう言うた。さっすが私の可愛え教え子やな。ほな、ウチと来(き)いや」
「こら、泉、廊下に穴開いたらどないすんねん!!」
今度はこなたの担任、黒井先生に捕まった。
「あああああああああああのあのあのあのあの
ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ具合がわわわわわわわわわ悪いのでわわわわわわわわわわ私
そそそそそそそ総体………じゃなかった早退します!!」
だから今すぐ離して下さいと言わんばかりにこなたは必至に黒井に懇願した。
が、
「ちょう待ち。一つだけ約束守って貰うで。そしたら早退は認める。ええな?」
「な、何でもしますから早く帰して下さいっ」
こなたは既に半泣きだ。
「よう言うた。さっすが私の可愛え教え子やな。ほな、ウチと来(き)いや」
言われるがまま、こなたは黒井に連れられて学校裏の駐車場まで行き、そこで「しまった」と思った。
黒井はいつものワゴンR(軽ワゴン車)ではなく、何故かハイエース(商用バン)で来ていた。
その中は………………、
「まぁ、ネトゲに付き合うて貰てる例と、授業中寝ている罰と、今日早退する罰や。
有り難く持って行き」
にっひっひと笑いつつ、黒井は後の扉を開ける。
黒井はいつものワゴンR(軽ワゴン車)ではなく、何故かハイエース(商用バン)で来ていた。
その中は………………、
「まぁ、ネトゲに付き合うて貰てる例と、授業中寝ている罰と、今日早退する罰や。
有り難く持って行き」
にっひっひと笑いつつ、黒井は後の扉を開ける。
ずどどどどどどどどどどどどどどど……………………………、
「ひゃぁあああああああああああお助けぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!」
「ひゃぁあああああああああああお助けぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!」
泉こなたのその後を知るものは、誰も居なかった。10人を除いて。
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- こなた総受けルートになるとは・・ -- ウルトラマンナイス (2008-04-13 04:14:01)
- 果たしてこなたは一体どうなったんでしょうねえ(・∀・) -- 名無しさん (2008-02-16 15:31:46)