kairakunoza @ ウィキ

夢からの旅立ち

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匿名ユーザー

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真っ暗な闇の中を、私は歩いている。
光のない世界の中で、見えるのは自分のからだだけ。

だけどおかしい。

私のからだはもう少し大きかったはず。
小さいことをからかわれてはいるけど、私もあしたで18歳。
いくらなんでもこのからだは小さすぎる。

それになんだか自分の思うとおりに動いてくれない。
ただまっすぐ歩き続けているだけ。

 - おかあさあん -

どこから小さな子どもの声が聞こえてくる。
どこにいるんだろう?

 - おかあさあん -

まただ。

はっきり聞こえてくるんだから、そんな遠くではないはず。
探してあげたい気持ちはあるんだけど、私の視線は前を向いたまま。

どうしたらいいんだろ?

 - おかあさあん! -

その声が自分のものであることに気づいた時、私の視界は暗転した。



「……」

回復した視界の先には見慣れた天井。
私のからだはベッドに横たわっている。

そう、ここは私の部屋。

ということは、さっきのは夢だったんだ。
久しぶりに見たな、あれ。
幼いころによく見た、胸が押しつぶされそうなあの夢を。

「もう大丈夫だと思ってたんだけどなあ」

ひとりつぶやいてベッドから半身を起こす。
あくびをしてから目覚ましを手に取る。
見ると、目覚ましは5時を表示していた。

「うわ、めちゃくちゃ早起きじゃんか」

どうしちゃったんだろうと思いつつ、ベッドから出ることに。
二度寝しちゃったら遅刻確実だしね。

とりあえず、備え付けの鏡で今の自分の顔を見てみる。

あっちゃあ、こりゃダメだね。
まるっきり病人だよ、私。

元気のカケラのない、青ざめた顔。
このままじゃみんなに心配かけちゃうね、確実に。
ひとまずシャワーでも浴びることにしますか!



「♪~」

鼻歌まじりでシャワーを浴びる。
元気のない鼻歌だけど。

どうも、さっきの夢が気にかかるんだよね。
あの夢を見るときは、心のどこかに寂しいって気持ちを押し込めている時が多い。
お父さんが取材旅行に出かけて、ゆうちゃんやおばさんの家に止まりに行った時なんかにちょくちょくね。

でも一番多かったのはお母さんのこと。
やっぱり私だけお母さんがいないってのは寂しかったしね。
けど、そんなことお父さんに知られたら、死にそうな顔をするから口にしなかった。
だけど、結局はお父さんに気づかれて心配させちゃったんだけどね。

でも、今回のは違う。
なんなんだろうなと考えていたけど、全然思いつかなかった。

身体があったまって血色もよくなったみたいなので、もう一度パジャマに着替えて部屋にもどる。
ドライヤーで念入りに髪を乾かしながら、また原因を考え出したんだ。
髪が長いと乾くまで時間もかかるし、考える時間もいっぱい取れるだろうしね。



「あっ、そうか」

気づいたのはちょっとした偶然だった。
乾かしながら髪形を変えて遊んでいるうちに作ったツインテール、それを見たときのことだったんだ。

私は、みんなと別れ別れになるのが怖かったんだ……

かがみ、つかさ、みゆきさんの3人との友人関係。
これがなくなってしまうのが怖かったんだね。
なんだか目頭が熱くなってくる。

待て、待つんだ泉こなた。
今泣いてどうする。

目を閉じて頭をふり、無言で自分に気合を入れる。

今ここで泣いたって何にもならないんだぞ!
とにかく、卒業はまだずっと先の話だ!
みんなとのいい関係を続けていけば、必ず打開策はあるはず。

だから、ギブアップするには早すぎる!

もう一度気合を入れなおして、作り笑顔で鏡を見る。
うん、さっきよりはマシな顔になったね。

ようっし、最後の学園生活、みんなと一緒に楽しむぞうっ!




















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  • 誤字の指摘ありがとうございます。投下時には気づけませんでしたので、助かりました。ご指摘の点も含め、いくつか修正いたしました。 -- 20-612 (2008-06-03 23:16:28)
  • 最期ですか・・・ -- 名無しさん (2008-06-03 00:41:16)

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