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『1000のコナタ ~A Thousand Konatas~』

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だれでも歓迎! 編集
 うっとうしい梅雨も明けて、ようやく夏本番といった感じの糟日部市某所。
 期末試験も終わり、夏休みが近づくうわついた雰囲気の中、いつもの四人がいつものように登校中。

「むっふっふー♪」
「何よこなた、気持ち悪い笑い方して」
 相変わらず辛辣なかがみさん。しかし、上機嫌のこなたにはノーダメージ。

「まあこれを見たまへよ、かがみん」
 こなたが差し出したコンプには、『Figma泉こなた・制服バージョン発売間近!』の文字が踊っている。
「そっかぁ、そろそろ発売なんだね、こなちゃんのフィギャー」
 相変わらず、ぽやぽーやでまったりとつかさが笑う。『フィギュア』が発音できてないのはご愛嬌。
「あんただけ先行発売ってのが、どうにも納得いかないけどね」
「むふ、主人公の特権なのだヨ」
「まあ、私たちも発売予定みたいだし、別にいいけどね……どうしたの、みゆき?」

「……わ、私のフィギュアも、ちゃんと発売してもらえるんでしょうか……?」
 みゆきさん、ガクブル状態。カワイソスすぐる。

「大丈夫だよゆきちゃん、ちゃんと出してもらえるよ。……ねぇこなちゃん、ちゃんと『わんへす』で参考出品されてたんだよね?」
 頼むから、『ワンフェス』ぐらいまともに発音してくれ、つかさ。
「そ、そうでしょうか……信じていいですよね、つかささん?」
「うぃ、出てたよ~。私の読みじゃ、ストップモーションアニメでOP再現するツワモノが絶対出るよコレ」
 交換用の表情が(=ω=.)じゃなくて(>ヮ<.)であるあたり、メーカーも狙ってるネ、とこなたは言った。

「一分半のストップモーションアニメですか。相当大変そうですね……ところで」
「何よ、みゆき?」


「……私、確かこの春、大学に合格した覚えがあるのですが……」
「……考えたら負けかなと思ってる」



――――――――――――――――――――――
 『千のコナタ ~A Thousand Konatas~』 
――――――――――――――――――――――



 ここは干葉県松弩市、通称マッドシティ。グッド○マイルカンパニー、略して『ぐっ○ま』の本社商品倉庫。
 終業時間はとうに過ぎて、事務所には納期間近の原型師ぐらいしか残っていない。

 暗い倉庫の一角に、整然と積み上げられた段ボール。その腹には、「Figma」と「泉こなた」の文字。

 そう、みなさんお待ちかねの、あの商品である。


 ……がらん……と静まり返った、薄暗い倉庫の中で、
 ……その段ボールが、

 ……ゴトゴト……ゴトゴトと、蠢いている。


 ちょ、な、宵の口からホラーですか!? じょじょ、冗談はやめてくださいよ、ハハハ。
 ビビり入っちゃってるナレーターを尻目に、その蓋が突然、バリッ、と開いた。

「やふー」
「おはよん」
「うぃーっす」
「どもどもー」

 箱の中からぞろぞろと這い出してきたのは……泉こなた。
 曖昧十三センチ、それ十分の一ってことかい? ちょ。

 所狭しと倉庫に積まれた段ボールという段ボールから、出てくる出てくる小さいこなた。
 制服バージョンとコスプレバージョン取り混ぜて、その数なんと九百と九十八体。
 あたりはあっという間に、青と白、そしてピンクが蠢く大海原と化したのであった。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 


「……おーい、出口あった~?」
 遥か下から、コスプレこなたが呼びかける。
「……ダメだね、鍵かかってるよ~」
 その遥か頭上、窓のところから制服こなたの声が返ってくる。

 入口のドアのところでは、ドアノブにぶら下がって別のこなた軍団が奮闘している。
 足の掛けどころもなく、つるつる滑るドアノブは、いくら踏ん張ってもいっこうに回る気配がない。

「む~、マズいねこれは」
「だね~……これじゃ、あのアニメに間に合わないよ~」
 事の仔細を見守っていたその他大勢のこなたから、不満や焦りの声が挙がりはじめた、その時。

「アンタ達っ! 黙ってこっちを注目っ!」
 気の強そうな鋭い声が、広くはない倉庫に響き渡った。

 腕に輝く団長腕章。きりりと結んだ灰色のリボン。
 サフェーサーグレー一色のコスプレこなたが、段ボールの上からこなた軍団を見下ろしている。

「なんか、ずいぶんエラそうな私だね~」
「そだね~」
「う、うるっさいわね! 私は原型(マスターピース)、私にはその資格があるのよっ!」

『原型』と名乗った、そのコスプレこなた。仮に『原ちゃん』としようか。
 原型なので、当然色はついていない。サフェーサーグレーの腕を組み、なにやらふんぞり返っている。

「やー、高飛車だねぇ」
 その後ろには、のーほほんとした表情で見守る、同じくサフェーサーグレーの制服こなた。
「これが仕様なの♪」
 一瞬、原ちゃんの顔がいつもの緩い表情に戻り、

「……アンタ達! 私にいい考えがあるわ、協力しなさい!」
 また、きりりと引き締まった。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 


『……電車混み合いましてご迷惑おかけいたします。この電車は準急、南栗端行です。次の停車駅は……』

 ラッシュアワーを捌ききり、いくらかゆとりができたとはいえ、まだまだ混み合った夜の糖武伊勢先線。
 このクソ暑い中、どう見ても場違いなひとりの人影があった。

 黒いコートにスラックス、帽子を目深にかぶり、顔にはマスクとサングラス。
 身長百四十センチ強の小柄な身体。……しかし、不釣合いに大きい胸とお尻が、その中身が女の子であることを主張している。

 気のないそぶりで吊革に掴まっている、隣の中年親父。……断じて、筆者ではない。
 その手がそろそろと伸びて、少女の腰、コートとスラックスの隙間へと差し入れられ……

「……ぅぁ痛っ!!」

 大声を挙げて、飛び退る。
 周囲の目が自分に集まり、親父はそそくさとその場を逃げるように――実際逃げてるわけだが――離れていった。

「……ぺっ、ぺっ! うぁー、汗くさい……」
「むー、つねればいいのに噛みつくかねぇ。チャレンジャーだねぇ」
 少女の腰の辺りから、ひそひそとささやく声が聞こえてくる。
「まったく……なんでみんな、そんなナイスバディ演出してんのさ?」
「だって、髪の毛の分だけ人数余るんだもーん」

 腰のあたりから、制服こなたが上を見上げる。
 無数のこなたが『組み体操』の要領で、人のシルエットを形作っている。

 十掛ける十掛ける十、イコール一千。
 ……その人物の正体は、なんと一千体のFigmaこなただったのである。

 事情を知らない別の痴漢さんが、コートの奥のふくよかそうな胸に手を伸ばす。……だから、筆者じゃないっつーに。
 しかし、その袷の奥からじろりと覗く無数の視線に気づくと、ぎくしゃくとした足取りで逃げていき、隣の車両で腰を抜かしてへたり込んだ。
 そしてそこは、こともあろうに女性専用車両であった。合掌。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― 


「ふぃー、ごちそうさま~」
「ごちそうさまでした、おじさん」
「はい、お粗末さま」

 遅い夕食も終わり、時刻はちょうど五分前。
 後片付けも後回しにして、リビングのテレビの前に一同集合。

『よく動く、キレイ。』
 テレビからは、FigmaこなたのCMが流れてくる。
「お~、CM打ってるんだ」
「気合入ってるな~」

 いやが応にも盛り上がる一同。……その時、チャイムが鳴った。

「ん? 誰だろ、こんな時間に」
「ゆいちゃんかな?」
「私、出てきますね」
 あのアニメを待ちわびる二人に気をきかせて、ゆたかが玄関へと向かった。


「はい、どちらさまで……はうっ!?」
 玄関の三和土(たたき)には、全身黒ずくめの怪しい人物が立っていた。ゆたかの目が点になる。

「ふー、やっと着いたよ……ただいま~」
 その人物の声は、たしかにゆたかのよく知っている声。
「? ……こなた……お姉ちゃん?」
 しかしその人物は、テレビの前にかじりついているはず……

「あの……どちらさまで……」
もう一度ゆたかが話しかけた、その瞬間。


――目の前の人物が、まるで真夏の雪だるまのように崩れ落ちた。


「!? ……ひ、ひぃやぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!!!」

ゆーちゃん絶叫、そしてそのまま失神。きゅ~。

「ど、どしたの、ゆーちゃんっ!?」
 あわてて飛び出してきた、こなたの見たものは……


「やふー」
「ただいまー」
「うぃーっす」
「どもどもー」
「ヤバ、始まっちゃうよ! 急ご」

 コートの下からぞろぞろと這い出してきたのは……小さな自分(たち)。
 曖昧十三センチ、それ十分の一ってことかい? ちょ。

「んに゛ゃっ!?」
 思わず固まってしまったこなたの横を、無数のこなたがぞろぞろと上がっていく。
 身の丈ほどはある玄関の段差を、脱ぎ捨てられた靴を足がかりにして這い上がり、隊列を組んで進む一千体のミニこなた。

「あ……あの?」
やっとの事で声を絞り出したこなたに、
「ほら、こなたもゆーちゃんも、ボーっとしてないでさっさと戻んなさい!……まったく、団員にあるまじき遅さね!」
 ハルヒになりきった原ちゃんが、メガホン片手に激を飛ばす。
「は、はぁ……」


「おー、始まった始まった♪」
「最近のアニメって、アバンタイトル多いから油断ならないよね~」
「この曲、CDいつ出るのかなぁ」
「うわー、MAD作ってくださいって言わんばかりのポーズだねコレ」

 食卓の上、ソファーの肘掛け、椅子の背のてっぺん。
 ありとあらゆる場所を埋め尽くし、無数の小さなこなたが、目の前の新作アニメに釘付けになっている。

「おとーさん、肩借りるね~」
 そうじろうの作務衣にしがみつき、わらわらとこなたんズが這い上がる。

「…………」
 目の前の光景に、なんかこうキャパシティを超えちゃったそうじろう。
 画面の中で踊る主人公は、はたしてその目に入っているのか、いないのか。


「ちょ、おとーさん? ヒゲ痛いってば!」

 目が点になったまま、彼はそれでも、無意識にチビこなたに頬擦りをしている。


 ……そう。泉そうじろうは、そんな業の深い男なのだった。




― なんだかよくわからないがおわる ―


















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  • しかしおもったんだけど13cmの10倍って130だからこなたって142cmだったから違うんじゃ……w
    まぁそれはさておき面白かったです カオスな話やパラレル系が好きな俺にとってはGJですw -- 名無しさん (2009-01-17 20:37:15)
  • 中途半端すぎだろ~! -- 名有りさん (2009-01-17 19:27:50)

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