【第9話:cry】
三連休の後の一週間というものはとても長く感じる。
火曜日に学校が始まるので、一週間がいつもより短いとはいえそう思ってしまうのは倦怠感のせいか。
そんな日も、一日が24時間であることは変わりないわけで、学校の教室に立てかけられている時計の通りに、一日は過ぎていく。
次の日、あさって、明々後日、と
あっという間に一週間がたち、9月20日土曜日だった。
火曜日に学校が始まるので、一週間がいつもより短いとはいえそう思ってしまうのは倦怠感のせいか。
そんな日も、一日が24時間であることは変わりないわけで、学校の教室に立てかけられている時計の通りに、一日は過ぎていく。
次の日、あさって、明々後日、と
あっという間に一週間がたち、9月20日土曜日だった。
久喜駅に下りる。それから10分ほど歩く。
今日も、私はゆたかの家にでかけた。何でも成美さんは警察の仕事が忙しく(成美さんが忙しくしている姿はあまり想像できないが)今日は帰ってこれないらしい。
終電に間に合わないとかで、カプセルホテルかネット喫茶で今日はつぶさなきゃいけないんだよ~、とかこなたに嘆いていた、と聞いた。
それで、私はゆたかに呼び出された。
終電に間に合わないとかで、カプセルホテルかネット喫茶で今日はつぶさなきゃいけないんだよ~、とかこなたに嘆いていた、と聞いた。
それで、私はゆたかに呼び出された。
私がチャイムを鳴らすと、がちゃりとオートロックを外す音がし、ゆたかが笑顔で迎えてくる。
私は憮然と顔を背ける。ゆたかが手招きをする。私は居間に通される。
紅茶が出された。独特のにおいを発するアールグレイ。
つかさが入れたアールグレイはおいしくて、大好きな紅茶だったのに、入れたあいてがゆたかだと思うだけで、出がらしの緑茶のようにまずいと思った。
たわいのない世間話をゆたかが振ってくる。私は頬杖をついて、そっぽをむきながら「ふん」とか、「あっそ」とかろくに返事をしない。
それでも、辛抱強く会話を成立しようと、ゆたかは話しかけてくる。
私は憮然と顔を背ける。ゆたかが手招きをする。私は居間に通される。
紅茶が出された。独特のにおいを発するアールグレイ。
つかさが入れたアールグレイはおいしくて、大好きな紅茶だったのに、入れたあいてがゆたかだと思うだけで、出がらしの緑茶のようにまずいと思った。
たわいのない世間話をゆたかが振ってくる。私は頬杖をついて、そっぽをむきながら「ふん」とか、「あっそ」とかろくに返事をしない。
それでも、辛抱強く会話を成立しようと、ゆたかは話しかけてくる。
「ライトノベルを買ってみました」
「あっそ」
「涼宮ハルヒの憂鬱――という本です。かがみ先輩もしっていますか?」
「そりゃあ」
「おもしろかったです」
「まあ、有名なラノベだからね。私も既刊されれば発売日にかいにいくし」
「……こんど私にも貸してください」
「冗談でしょ」
ラノベの話が出たときだけ、私は反応した。実際、こうしたことを話す相手はほとんどいない。ほんの好奇心だ。すぐに心変わりして、辛辣な言葉を返して強制的に会話を終了させた。
「あっそ」
「涼宮ハルヒの憂鬱――という本です。かがみ先輩もしっていますか?」
「そりゃあ」
「おもしろかったです」
「まあ、有名なラノベだからね。私も既刊されれば発売日にかいにいくし」
「……こんど私にも貸してください」
「冗談でしょ」
ラノベの話が出たときだけ、私は反応した。実際、こうしたことを話す相手はほとんどいない。ほんの好奇心だ。すぐに心変わりして、辛辣な言葉を返して強制的に会話を終了させた。
どうせこの後は、ベッドに呼ばれて、いつものようにゆたかと体を重ね合わせるだけだ。
そのために来たわけだし、今更それを拒む気はない。だからさっさとやって、さっさとこの嫌な生活臭のする部屋から抜け出したい、と私は思う。
案の定、そろそろやります?とかなんとか白々しい言葉をなげかける。
私はやっぱり鼻息を荒くするだけ。それを首肯の意と受け取ったゆたかは自分の寝室に案内した。
見慣れた部屋。そう思ってしまえる私に抵抗感はあるけれど。
そのために来たわけだし、今更それを拒む気はない。だからさっさとやって、さっさとこの嫌な生活臭のする部屋から抜け出したい、と私は思う。
案の定、そろそろやります?とかなんとか白々しい言葉をなげかける。
私はやっぱり鼻息を荒くするだけ。それを首肯の意と受け取ったゆたかは自分の寝室に案内した。
見慣れた部屋。そう思ってしまえる私に抵抗感はあるけれど。
――いくら私を好きにさせようと躍起になっても、私の気持ちが変わるわけなんてない。
ゆたかの手さばきは、悔しいけれどうまい。もう、5、6回は体を重ね合わせている成果、私の弱いところは熟知していて、正確にそこを攻めてくる。
実際、私はゆたかとえっちをするたびにイってしまっている。
「……気持ちいいですか?」
ちびっこい、こなたよりも小さいゆたかは無邪気のように聞いてくる。
「そんなわけ、ないでしょ」
嘘だ。
嘘でも、本当のことなんていう気はない。
ゆたかの手さばきは、悔しいけれどうまい。もう、5、6回は体を重ね合わせている成果、私の弱いところは熟知していて、正確にそこを攻めてくる。
実際、私はゆたかとえっちをするたびにイってしまっている。
「……気持ちいいですか?」
ちびっこい、こなたよりも小さいゆたかは無邪気のように聞いてくる。
「そんなわけ、ないでしょ」
嘘だ。
嘘でも、本当のことなんていう気はない。
「私、先輩のことが好きなんです。好きで好きでたまりません」
「だからなに?」
「どうして、先輩は、そんなに冷たいんですか?」
「これだけのことをしていてよく言えるわね」
「だからなに?」
「どうして、先輩は、そんなに冷たいんですか?」
「これだけのことをしていてよく言えるわね」
私は軽蔑する、それが精一杯の抵抗。
――逃げるわけにはいかないから、私はそれでつまらない自尊心を満たす。
――逃げるわけにはいかないから、私はそれでつまらない自尊心を満たす。
「これ、きれいです」
鞄から取り出したのは、私があげたカーネーションの花だった。鮮やかな黄色の花。
「……そうね」
私は嬉しそうに笑うゆたかを横目に冷笑する。私がどうしてゆたかに送ったかなんて、まるでわかってないみたいだから。
結局それだってプライドを保つためのつまらないものなのはわかっている。
こなたに白いカーネーションを、ゆたかに黄色のカーネーションを贈ったところで何も変わるわけではない。
自己満足とかすかな希望に体をうずめる、くだらないものだ。
鞄から取り出したのは、私があげたカーネーションの花だった。鮮やかな黄色の花。
「……そうね」
私は嬉しそうに笑うゆたかを横目に冷笑する。私がどうしてゆたかに送ったかなんて、まるでわかってないみたいだから。
結局それだってプライドを保つためのつまらないものなのはわかっている。
こなたに白いカーネーションを、ゆたかに黄色のカーネーションを贈ったところで何も変わるわけではない。
自己満足とかすかな希望に体をうずめる、くだらないものだ。
☆
私は馬鹿だ。
あの日。こなたの家で、我慢しなきゃいけないことはわかっていたのに、体がうずいて、自分を抑え切れなかった。
デスクトップパソコンが一角をでかでかとしめている。
学生の本分を全うする場所である勉強机は、まるで新品のようにきれいだ。あくまでも鉛筆の傷跡や赤ペンの痕跡がないという意味で。
普通は教科書が置かれているはずなのに、こなたは置き勉をしている。
「今日宿題がたっぷりとでたよ……」とつかさが嘆いていたのに、こいつはどうするつもりなのだろう。
そう言いながら、微笑む。
よくもまあ、と閉口したくなるほど周りをみるとギャルゲーのポスターが節操もなく張られている。
「パッケージは正義だよね」とか意味不明のことをいって、買いだめたあれげー系のゲームのパッケージや、フィギュアが所狭しとならんでいる。
いくつかは私の知っているものもある。
そんなこなた生活感が漂っている部屋は、あのときの私にはとても魅力的だった。
あの日。こなたの家で、我慢しなきゃいけないことはわかっていたのに、体がうずいて、自分を抑え切れなかった。
デスクトップパソコンが一角をでかでかとしめている。
学生の本分を全うする場所である勉強机は、まるで新品のようにきれいだ。あくまでも鉛筆の傷跡や赤ペンの痕跡がないという意味で。
普通は教科書が置かれているはずなのに、こなたは置き勉をしている。
「今日宿題がたっぷりとでたよ……」とつかさが嘆いていたのに、こいつはどうするつもりなのだろう。
そう言いながら、微笑む。
よくもまあ、と閉口したくなるほど周りをみるとギャルゲーのポスターが節操もなく張られている。
「パッケージは正義だよね」とか意味不明のことをいって、買いだめたあれげー系のゲームのパッケージや、フィギュアが所狭しとならんでいる。
いくつかは私の知っているものもある。
そんなこなた生活感が漂っている部屋は、あのときの私にはとても魅力的だった。
自室ではないのに。他人の部屋なのに。
ふと、こなたはここで寝ているのかな、と思いながらシーツに顔をうずめてみた。鼻から広がってくる、こなたの匂い。
自分の感覚器が麻痺していることに否定はしないけど、すごくいい匂いだと思った。
「な、なにやってるんだ私は! 変態じゃないか!」
なんて自己否定して、やめようと思うのに、やっぱりやめられなかった。
ふと、こなたはここで寝ているのかな、と思いながらシーツに顔をうずめてみた。鼻から広がってくる、こなたの匂い。
自分の感覚器が麻痺していることに否定はしないけど、すごくいい匂いだと思った。
「な、なにやってるんだ私は! 変態じゃないか!」
なんて自己否定して、やめようと思うのに、やっぱりやめられなかった。
だから、まさか、誰かに聞き耳を立てられているなんて思いもよらなかった。
がちゃっ。
私ははっとする。
がちゃっ。
私ははっとする。
何度かこなたの家に泊まったことはある。たいていはつかさと一緒だし、もちろん友達通しがする戯れのお泊り会だ。
こなたはたっぷり一時間はお風呂に入り、汗を流す。少なくても今は安全時間のはず。そうじろうのおじさんは出かけていていないはず。
もしかして……
「こんばんは、かがみ先輩」
きっかけは電車で助けたことだろう。そして、そもそもの始まりはここにあった。
こなたはたっぷり一時間はお風呂に入り、汗を流す。少なくても今は安全時間のはず。そうじろうのおじさんは出かけていていないはず。
もしかして……
「こんばんは、かがみ先輩」
きっかけは電車で助けたことだろう。そして、そもそもの始まりはここにあった。
☆
「――先輩」
「なによ」
「ここ、かがみ先輩の好きなところ……ですよね!」
そういって、私のあそこを手で撫で回す。あん、ああ、んっ!! 私は喘ぐ。
慣れた指さばきに、濃厚なディープキス。
「イって、いいですよ」
「うるさい」
「……かがみ先輩は相変わらずですね」
「なによ」
「ここ、かがみ先輩の好きなところ……ですよね!」
そういって、私のあそこを手で撫で回す。あん、ああ、んっ!! 私は喘ぐ。
慣れた指さばきに、濃厚なディープキス。
「イって、いいですよ」
「うるさい」
「……かがみ先輩は相変わらずですね」
そう、ゆたかの言葉を借りるならば、あいかわらずの光景だ。ゆたかがセックスの主導権を握り、私はそれにひれ伏す。たとえイッテも、決して私は認めない。
それが私の抵抗であり、拒絶あり、私を私たらしめているぎりぎりの限界ラインなのだ。ここで折れれば、私はもう昔の私に戻れない。
こなたのことを愛している自信、その抽象的で、曖昧で、不確かさに、一縷の望みを与えてくれる形のない、けれども信じ続けている、そのすべてを私はその拒絶、抵抗をもって確かめていた。
いくら私を愛していたとしても、ゆたかのそれは、虚像に過ぎないのだと。
だから今日もこうして時間が来て、私はいつものようにゆたかに辛らつな言葉を投げかけて、この忌まわしいアパートを成実さんに悪いと思いながら一瞥するのだと思った。
そう、今。この瞬間までは。
それが私の抵抗であり、拒絶あり、私を私たらしめているぎりぎりの限界ラインなのだ。ここで折れれば、私はもう昔の私に戻れない。
こなたのことを愛している自信、その抽象的で、曖昧で、不確かさに、一縷の望みを与えてくれる形のない、けれども信じ続けている、そのすべてを私はその拒絶、抵抗をもって確かめていた。
いくら私を愛していたとしても、ゆたかのそれは、虚像に過ぎないのだと。
だから今日もこうして時間が来て、私はいつものようにゆたかに辛らつな言葉を投げかけて、この忌まわしいアパートを成実さんに悪いと思いながら一瞥するのだと思った。
そう、今。この瞬間までは。
「先輩」
「……なによ」
「――いいもの、見せてあげますよ」
ぱちっ、と合図をする。
これから何が始まるというのだ。否、何が始まろうと知ったことではない。ゆたかの親友といっていたみなみちゃんが来るのかもしれない。
それはそれで耐えようのない羞恥心が襲ってくるわけだけど、なにを今さら、と自重気味に笑い飛ばせる。
「……なによ」
「――いいもの、見せてあげますよ」
ぱちっ、と合図をする。
これから何が始まるというのだ。否、何が始まろうと知ったことではない。ゆたかの親友といっていたみなみちゃんが来るのかもしれない。
それはそれで耐えようのない羞恥心が襲ってくるわけだけど、なにを今さら、と自重気味に笑い飛ばせる。
がちゃり。
そう、みなみちゃん、田村さんとか、いっそのことつかさなら良かったと思う。
それなら私はまだずたずたに引き裂いた心を、なんとか直してあげられる。我慢できるし、事実そうしてきた。
ぼろぼろの雑巾のように汚くて、醜くて、価値のないものだとしても、私は私を愛してあげられる。
それなら私はまだずたずたに引き裂いた心を、なんとか直してあげられる。我慢できるし、事実そうしてきた。
ぼろぼろの雑巾のように汚くて、醜くて、価値のないものだとしても、私は私を愛してあげられる。
こなたと一緒にまた遊べる。幸せな思い出は永遠に残り、私を癒してくれるものだし、どんな辛いものでは、時間はすべてを解決してくれる。
人は強い生き物だと思う。どんな辛い出来事や経験も月日がなにものも癒してくれる。災害や人災の後、そうした癒しの効果が得られないとき、PTSDなどを発症することがある。
けれども多くの人は、苦い経験となって心のわだかまりとして留まり続けていても、それをバネにしたり、時には古傷がうずく時もあっても、いつだって乗り越えていくものだ。
人は強い生き物だと思う。どんな辛い出来事や経験も月日がなにものも癒してくれる。災害や人災の後、そうした癒しの効果が得られないとき、PTSDなどを発症することがある。
けれども多くの人は、苦い経験となって心のわだかまりとして留まり続けていても、それをバネにしたり、時には古傷がうずく時もあっても、いつだって乗り越えていくものだ。
過去ばかり案じていても成長できないし、前に進めない。
例えば私だって一年前の、今の私から見れば「なんて能天気」と笑ってしまう私だったら、今の惨状をある種の諦念とともに受け入れられたかといったら、ノーだろう。
こなたやつかさ、みゆき達とともに変わらない平凡、当たり前の毎日と言うぬるま湯に浸かっていた私が、今の私を見て耐えられたはずがない。
最悪の手段――自殺だって考えていたかもしれない。
例えば私だって一年前の、今の私から見れば「なんて能天気」と笑ってしまう私だったら、今の惨状をある種の諦念とともに受け入れられたかといったら、ノーだろう。
こなたやつかさ、みゆき達とともに変わらない平凡、当たり前の毎日と言うぬるま湯に浸かっていた私が、今の私を見て耐えられたはずがない。
最悪の手段――自殺だって考えていたかもしれない。
それでも私は、こうした現実をも受け入れているし、現に今も生きている。
確かにそうしたことが幾度となく頭に浮かんだことがあるとはいえ、やっぱり怖いし、それに私は今だって、わずかな幸福を見出そうともがいている。
過去の幸せな憧憬を時々は思い出しながらも、私はこうして生きている。
こなたと一緒に、連敗続きとはいえ格闘ゲームで熱中した、懐かしい感覚に私は酔いしれる。
確かにそうしたことが幾度となく頭に浮かんだことがあるとはいえ、やっぱり怖いし、それに私は今だって、わずかな幸福を見出そうともがいている。
過去の幸せな憧憬を時々は思い出しながらも、私はこうして生きている。
こなたと一緒に、連敗続きとはいえ格闘ゲームで熱中した、懐かしい感覚に私は酔いしれる。
仮にこれからさらに辛いことがあったとしても、受け入られるのだと思う。
今の私がそうであるんだから、これからの私もそうに違いない。それでも私は生きているのだから。
私は一緒に泣いてあげられる。大丈夫だから頑張ろう、と悲しみにくれる私を慰めてあげられる。
今の私がそうであるんだから、これからの私もそうに違いない。それでも私は生きているのだから。
私は一緒に泣いてあげられる。大丈夫だから頑張ろう、と悲しみにくれる私を慰めてあげられる。
だから、私は、何にだって、どんなものにだって、耐えてみせる。そう思っていた。
「や、やほ、かがみ」
一番会いたくない相手。一番知られたくない相手。
そして、一番大好きな人。
泉こなたが、いた。
そして、一番大好きな人。
泉こなたが、いた。
こなたは相変わらずのあほ毛をきれいに立たせて、無頓着なこなたが良く手入れできるなと思うほどの綺麗な長髪をなびかせている。
私はぼうっと、贔屓目に見ても中学生、ともすれば小学生にもみえる、けれども好きでたまらない少女を眺めていた。
たぶんこの瞬間、私は私という存在を認められなかった。だから他人事のように、一種の離人感覚を持ってこなたを眺めていた。
私はぼうっと、贔屓目に見ても中学生、ともすれば小学生にもみえる、けれども好きでたまらない少女を眺めていた。
たぶんこの瞬間、私は私という存在を認められなかった。だから他人事のように、一種の離人感覚を持ってこなたを眺めていた。
「…こ、こなた!? ど、どうして」
事情が飲み込めない。どうしてこなたが? いや、そんなことよりも、こなたに知られた。私とゆたかの関係。それが辛い。悲しい。狂しい。
私は全裸であることも忘れて固まった。時間はこの時、確かに止まった。少なくても私の周りを流れている私的な時間は凍結した。
こなたは無表情で私を見つめている。その視線が痛い。
事情が飲み込めない。どうしてこなたが? いや、そんなことよりも、こなたに知られた。私とゆたかの関係。それが辛い。悲しい。狂しい。
私は全裸であることも忘れて固まった。時間はこの時、確かに止まった。少なくても私の周りを流れている私的な時間は凍結した。
こなたは無表情で私を見つめている。その視線が痛い。
「うーん、ゆーちゃんに呼び出されたっていうか。な、なんていうか、お楽しみなんだね、二人とも」
曖昧にこなたは答える。
「私が、呼んだんだよ。私の『恋人』の紹介のつもりで」
「な。ちが――」
曖昧にこなたは答える。
「私が、呼んだんだよ。私の『恋人』の紹介のつもりで」
「な。ちが――」
「私、邪魔?」
こなたは哀れむような、蔑んでいるようだった。とても悲しくて、泣きたくなった。
ゆたかが、私のあそこを執拗に責める。私はやっぱし喘いでしまう。こなたに聞かれたと思うと、余計に羞恥心が沸いてきた。恥ずかしくて、泣きたくなる。
「ねえ、こなたお姉ちゃん、かがみ先輩、きれいだと思わない?」
「正直、どう返せばいいか困るんだけど……」
「そっか、そうだよね」
こなたは哀れむような、蔑んでいるようだった。とても悲しくて、泣きたくなった。
ゆたかが、私のあそこを執拗に責める。私はやっぱし喘いでしまう。こなたに聞かれたと思うと、余計に羞恥心が沸いてきた。恥ずかしくて、泣きたくなる。
「ねえ、こなたお姉ちゃん、かがみ先輩、きれいだと思わない?」
「正直、どう返せばいいか困るんだけど……」
「そっか、そうだよね」
強く胸をもむ。
私はひたすらに、責められる。言葉と体の二重の責め。
なによりもこなたにまで無言の責め。どんな言葉よりも、どんな刺激よりも、なによりも、私の心をずたずたの使い物にならないものにさせる。
「かがみん……」
何かを言うのかと思い、私は体を強張らせる。緊張と恐怖、ただそれだけだ。ゆたかが私の唇を塞ぐ。
くちゅくちゅと、舌と舌が絡み合う。
開放されたときには、どくんどくんとゆたかやこなたにもわかるんじゃないと、思うほど心臓を鳴らしながら、酸素不足のためにぜいぜいと、激しく喘ぐ。
私はひたすらに、責められる。言葉と体の二重の責め。
なによりもこなたにまで無言の責め。どんな言葉よりも、どんな刺激よりも、なによりも、私の心をずたずたの使い物にならないものにさせる。
「かがみん……」
何かを言うのかと思い、私は体を強張らせる。緊張と恐怖、ただそれだけだ。ゆたかが私の唇を塞ぐ。
くちゅくちゅと、舌と舌が絡み合う。
開放されたときには、どくんどくんとゆたかやこなたにもわかるんじゃないと、思うほど心臓を鳴らしながら、酸素不足のためにぜいぜいと、激しく喘ぐ。
喘いだ後、辛く辛くて咽た。同時に瞳から、涙が流れた。
流れて伝う頬に、鋭利の刃物のような痛みに私はただひれ伏した。
流れて伝う頬に、鋭利の刃物のような痛みに私はただひれ伏した。
こなたは、結局何も言わずに黙った。そのまま俯いた。
ゆたかが私の首筋にふうっと、生暖かい息を吹きつける。悪寒を感じて震えた。
ゆたかが私の首筋にふうっと、生暖かい息を吹きつける。悪寒を感じて震えた。
「……こなた、もしかして、知ってたの」
何度も何度も。この関係が続いていた時、私はこなたのことを想うことをもって希望をつないでいた。
「――さあ、どうなんだろ、かな…」
曖昧にこなたは答える。私と視線を合わせないように、俯きながら。
ひとつひとつ、私をつなぎとめていた希望が絶望にかわっていく。
何度も何度も。この関係が続いていた時、私はこなたのことを想うことをもって希望をつないでいた。
「――さあ、どうなんだろ、かな…」
曖昧にこなたは答える。私と視線を合わせないように、俯きながら。
ひとつひとつ、私をつなぎとめていた希望が絶望にかわっていく。
こなたが顔をあげ、私のほうへ向けられる。
その視線が私の髪、胸、最後に下半身にと移動する。
じゅっと、あそこがうずく。
こなたは、落ち込んだような、辛いような目をみせた後、ゆたかに「言われたもの、パソコンにいれるから、パソコン開いていい?」と聞いていた。ゆたかの肯定。
「じゃあ、その、なんていえばいいかな」
こなたは言葉に迷いしどろもどろになって、結局何も告げずに出て行った。
ちらり。
白い白いカーネーションの造花が、見えた気がした。
後には私と、ゆたかが残った。
その視線が私の髪、胸、最後に下半身にと移動する。
じゅっと、あそこがうずく。
こなたは、落ち込んだような、辛いような目をみせた後、ゆたかに「言われたもの、パソコンにいれるから、パソコン開いていい?」と聞いていた。ゆたかの肯定。
「じゃあ、その、なんていえばいいかな」
こなたは言葉に迷いしどろもどろになって、結局何も告げずに出て行った。
ちらり。
白い白いカーネーションの造花が、見えた気がした。
後には私と、ゆたかが残った。
「先輩、わかりましたか? お姉ちゃんは、私との関係を認めてくれています。
「うそ、でしょ」
「こなたお姉ちゃんが嘘だと思うんですか?」
「違う。でも、そんなこと、ありえない。こなたが、私のこと、見捨てるなんて」
「あれは、本物のこなたおねえちゃんです」
「うそ、でしょ」
「こなたお姉ちゃんが嘘だと思うんですか?」
「違う。でも、そんなこと、ありえない。こなたが、私のこと、見捨てるなんて」
「あれは、本物のこなたおねえちゃんです」
……。
閉口する私に、ゆたかはふっと、唇を重ね合わせる。
またディープキスをされるのかと思い、目いっぱい、いや口いっぱい閉じてそれを拒もうとした。
しかし数秒触れただけで、私とゆたかは離れた。
「――私は、かがみ先輩のことが好きです。大好きです」
そういって、私の胸を、優しく愛撫する。
閉口する私に、ゆたかはふっと、唇を重ね合わせる。
またディープキスをされるのかと思い、目いっぱい、いや口いっぱい閉じてそれを拒もうとした。
しかし数秒触れただけで、私とゆたかは離れた。
「――私は、かがみ先輩のことが好きです。大好きです」
そういって、私の胸を、優しく愛撫する。
信じている。こなたが私のこと――。
確信なんてもてない。私の心の奥底に、深い深い陰を落とした。
悲しくって、涙がとりとめもなく流れる。ゆたかのか細い指が、目じりに寄って涙をふいた。
確信なんてもてない。私の心の奥底に、深い深い陰を落とした。
悲しくって、涙がとりとめもなく流れる。ゆたかのか細い指が、目じりに寄って涙をふいた。
「先輩――私は、先輩の味方です」
左指で拭いた私の大して価値のない一滴の雫を、そのまま口に運ぶ。しょっぱいですね、なんてはにかみながら私に笑いかける。
初めて、ゆたかとのセックスが気持ちいいかな、と思った。
――死にたくなった。
左指で拭いた私の大して価値のない一滴の雫を、そのまま口に運ぶ。しょっぱいですね、なんてはにかみながら私に笑いかける。
初めて、ゆたかとのセックスが気持ちいいかな、と思った。
――死にたくなった。