「遅くなっちゃってごめん」
男子生徒が息を切らせ、かがみの教室の扉を開ける
「もう、何十分待たせるのよ」
かがみはうんざりした表情で、読んでいたラノベを鞄にしまい立ち上がった
この男子生徒と交際を始めて半年がたつ
付き合った当初はどこかお互いよそよそしく、気疲れもしたが、今では文句も言言い合える仲になっていた
「いや~、なんか居残りさせられちゃってさ」
男子生徒は、ばつが悪そうに笑いながら言い訳した
頭は決して悪くないのだが少し怠惰なところがある彼の姿に、かがみはときどき同じような性格の友人を思いだし苦笑していた
「ちゃんと宿題やらないからそんなことになるんだからね」
形だけ注意するが、彼女は彼の少しだらしないところも嫌いではなかった
彼女自身が割りと几帳面ななので、逆にそういう性格の人との方が気が楽なのかもしれない
「ほら、さっさとく帰るわよ。夕食食べていくんでしょ?」
「なんか毎週のように夕食に招待してもらって悪い気がするなー」
交際して3ヶ月目くらいから、食事に招待されるようになった
「いいのよ、お父さんとお母さんが連れてこいって言ってるんだから」
息子がいない彼らにとって、娘の彼氏はその役割を果たすのにうってつけなのだろう。彼らは何かにつけて家に招待しては、盛大にもてなしてくれた
(まぁ恐いお父さんじゃなくて良かったけど)
「なにボーッとしてるのよ」「うわっ」
かがみは彼の手を取り教室を出ていった
男子生徒が息を切らせ、かがみの教室の扉を開ける
「もう、何十分待たせるのよ」
かがみはうんざりした表情で、読んでいたラノベを鞄にしまい立ち上がった
この男子生徒と交際を始めて半年がたつ
付き合った当初はどこかお互いよそよそしく、気疲れもしたが、今では文句も言言い合える仲になっていた
「いや~、なんか居残りさせられちゃってさ」
男子生徒は、ばつが悪そうに笑いながら言い訳した
頭は決して悪くないのだが少し怠惰なところがある彼の姿に、かがみはときどき同じような性格の友人を思いだし苦笑していた
「ちゃんと宿題やらないからそんなことになるんだからね」
形だけ注意するが、彼女は彼の少しだらしないところも嫌いではなかった
彼女自身が割りと几帳面ななので、逆にそういう性格の人との方が気が楽なのかもしれない
「ほら、さっさとく帰るわよ。夕食食べていくんでしょ?」
「なんか毎週のように夕食に招待してもらって悪い気がするなー」
交際して3ヶ月目くらいから、食事に招待されるようになった
「いいのよ、お父さんとお母さんが連れてこいって言ってるんだから」
息子がいない彼らにとって、娘の彼氏はその役割を果たすのにうってつけなのだろう。彼らは何かにつけて家に招待しては、盛大にもてなしてくれた
(まぁ恐いお父さんじゃなくて良かったけど)
「なにボーッとしてるのよ」「うわっ」
かがみは彼の手を取り教室を出ていった
「でねー、そこでこなたがね────」
「はは、そりゃあ大変だったな」
二人は肩を並べて、駅に向かって歩いていた
「あっ!」
そのときかがみの視線が、駅前の一角にあるゲームセンターに止まり、彼女はそこの入り口近くにある一台のUFOキャッチーに駆け寄っていく
「このぬいぐるみ、ずっと欲しかったのよ」
そう言ってかがみが指差したのは、緑色の体に、星マークのついた黄色の帽子を被ったカエル風のぬいぐるみであった
「……なにこれ?カエル……か?」
「ケロロ軍曹よ。漫画のキャラクター、かわいいでしょ?」
そう言ってうっとりとした視線を、そのカエル風ぬいぐるみに向ける
「かがみってさ…………」
男子生徒はニヤリと笑う
「な、なによ……」
「結構オタクだよね」
「なっ!ち、違うわよ。こなたン家に遊び行ったときに、たまたま漫画読んだだけで……」
「まぁまぁ言い訳はいいから」
「ちょっと、話聞きなさいよ!」
かがみは赤面しながら弁解するが、最後まで聞き入れられることはなかった
「で…………やるの?早く帰った方がいいんじゃない?」
「う、うるさいわね。すぐ取るからちょっと待ってなさいよ」
財布を取り出し、小銭を入れるポケットを探る。100円玉を4枚見つけ、コイン投入口のそばに置いた
「この400円で取れなかったら素直に諦める。それでいいでしょ?」
腕捲りし、両手で軽く頬を叩いて気合いを注入する
「さ、行くわよ!」
こうしてかがみとケロロ軍曹の熾烈な戦いが始まった─────
「はは、そりゃあ大変だったな」
二人は肩を並べて、駅に向かって歩いていた
「あっ!」
そのときかがみの視線が、駅前の一角にあるゲームセンターに止まり、彼女はそこの入り口近くにある一台のUFOキャッチーに駆け寄っていく
「このぬいぐるみ、ずっと欲しかったのよ」
そう言ってかがみが指差したのは、緑色の体に、星マークのついた黄色の帽子を被ったカエル風のぬいぐるみであった
「……なにこれ?カエル……か?」
「ケロロ軍曹よ。漫画のキャラクター、かわいいでしょ?」
そう言ってうっとりとした視線を、そのカエル風ぬいぐるみに向ける
「かがみってさ…………」
男子生徒はニヤリと笑う
「な、なによ……」
「結構オタクだよね」
「なっ!ち、違うわよ。こなたン家に遊び行ったときに、たまたま漫画読んだだけで……」
「まぁまぁ言い訳はいいから」
「ちょっと、話聞きなさいよ!」
かがみは赤面しながら弁解するが、最後まで聞き入れられることはなかった
「で…………やるの?早く帰った方がいいんじゃない?」
「う、うるさいわね。すぐ取るからちょっと待ってなさいよ」
財布を取り出し、小銭を入れるポケットを探る。100円玉を4枚見つけ、コイン投入口のそばに置いた
「この400円で取れなかったら素直に諦める。それでいいでしょ?」
腕捲りし、両手で軽く頬を叩いて気合いを注入する
「さ、行くわよ!」
こうしてかがみとケロロ軍曹の熾烈な戦いが始まった─────
10分後、コイン投入口のそばに積まれていた4枚の硬貨は消え、愕然とするかがみの姿がそこにはあった
ケロロ軍曹は完璧なバランスとその掴み所のなさを武器に、かがみの操作するアームをことごとくかわした
「………………えーと」
後ろで彼女の激闘を見守っていた男子生徒も、果たして何と声をかければいいのだろうかと思案して
「ま、まぁ、こんなこともあるって!さっさと帰って旨いもん食って忘れようぜ!」
それでも彼なりの精一杯の励ましをした
「………………」
「か、かがみさん……?一体何を……?」
彼の励ましを無視し、かがみは財布から千円札を取り出し、無言のまま両替機へ歩き出した
「あー」
男子生徒は二度目の激闘が始まるのを覚悟した
ケロロ軍曹は完璧なバランスとその掴み所のなさを武器に、かがみの操作するアームをことごとくかわした
「………………えーと」
後ろで彼女の激闘を見守っていた男子生徒も、果たして何と声をかければいいのだろうかと思案して
「ま、まぁ、こんなこともあるって!さっさと帰って旨いもん食って忘れようぜ!」
それでも彼なりの精一杯の励ましをした
「………………」
「か、かがみさん……?一体何を……?」
彼の励ましを無視し、かがみは財布から千円札を取り出し、無言のまま両替機へ歩き出した
「あー」
男子生徒は二度目の激闘が始まるのを覚悟した
さらに20分後
「……………1400円も使ったのに……」
かがみは愕然を通り越して、茫然自失するしかなかった
100円玉がないか財布を逆さにしてみるが、出てくるのは1円玉と10円玉のみ
まだ千円札が何枚かあるにはあるが、これを両替するのはさすがに躊躇われた
かがみは恨めしそうにぬいぐるみを見つめる。しかしいくら見つめても、ケロロはガラスの向こうからは出てこない
(うぅ……もう諦めるか……)
財布を鞄にしまい、帰ろうとしたとき──
「……………1400円も使ったのに……」
かがみは愕然を通り越して、茫然自失するしかなかった
100円玉がないか財布を逆さにしてみるが、出てくるのは1円玉と10円玉のみ
まだ千円札が何枚かあるにはあるが、これを両替するのはさすがに躊躇われた
かがみは恨めしそうにぬいぐるみを見つめる。しかしいくら見つめても、ケロロはガラスの向こうからは出てこない
(うぅ……もう諦めるか……)
財布を鞄にしまい、帰ろうとしたとき──
チャリーン──
「え?」
かがみが振り返って見ると、さっきまで後ろで気まずい表情をしていた恋人がUFOキャッチャーの前に立っている
「俺もちょっとやってみようかな」
「あんた、こういうの得意なの?」
「いや、あんまりやったことないけど……」
そう言って彼は、①と書かれたクレーンの操作ボタンを押した
「え?」
かがみが振り返って見ると、さっきまで後ろで気まずい表情をしていた恋人がUFOキャッチャーの前に立っている
「俺もちょっとやってみようかな」
「あんた、こういうの得意なの?」
「いや、あんまりやったことないけど……」
そう言って彼は、①と書かれたクレーンの操作ボタンを押した
ウィーン……ウィーン……クレーンは独特の機械音をたてながら、横方向へ動いていく
「よし」
彼は次に第②ボタンを押し、クレーンを奥方向へ移動させる
ウィーン……ウィーン……
「今だ!」
ボタンから指を離し、クレーンをストップさせるが……
「よし」
彼は次に第②ボタンを押し、クレーンを奥方向へ移動させる
ウィーン……ウィーン……
「今だ!」
ボタンから指を離し、クレーンをストップさせるが……
「もう、全然ダメじゃない。はぁ~、ちょっとは期待してたのに……」
「ごめんなさい……」
ストップするのが遅かったのか、クレーンはケロロの胴体から外れてしまっていた。このままクレーンが降りても、ぬいぐるみの頭の先を撫でて終わりだろう
「ごめんなさい……」
ストップするのが遅かったのか、クレーンはケロロの胴体から外れてしまっていた。このままクレーンが降りても、ぬいぐるみの頭の先を撫でて終わりだろう
ウィーン……ウィーン……アームが開き、クレーンが標的目掛けて降りてくる
「「えっ?」」
二人は思わず声をあげてしまった
開いたアームの先が偶然にも、ぬいぐるみの頭頂部分についていたタグ紐に引っ掛かったのだ
二人は思わず声をあげてしまった
開いたアームの先が偶然にも、ぬいぐるみの頭頂部分についていたタグ紐に引っ掛かったのだ
ウィーン……ウィーン……
アームは上手く紐を引っ掛けたまま、ゆっくりと景品ダクト上まで来る
かがみは男子の肩越しに、食い入るようにクレーンを見つめていた
アームは上手く紐を引っ掛けたまま、ゆっくりと景品ダクト上まで来る
かがみは男子の肩越しに、食い入るようにクレーンを見つめていた
そして────
アームが再び開き、アームの先に引っ掛かっていたタグ紐が外れ、ケロロはゴトッと音を立てダクトに落下した
「やったぁ!1回で取っちゃうなんてすごいじゃない」かがみは自分のことのようにはしゃいでいる
「いやーまさか本当に取れるとは……」
男子生徒は苦笑いを浮かべながら、取り出し口からぬいぐるみを取り出し、かがみに差し出した
「はい」
「え?……くれるの?」
「あ、当たり前だろ。俺はこんなの欲しくねぇよ」
かがみは照れて少しぶっきらぼうになっている彼から、ぬいぐるみを受けとった
「わぁ、ありがとう」
彼女はぬいぐるみを抱き締めて、本当に嬉しそうに笑った
(うっ……か、かわいいな)
いつもは冷静で気が強いのに、たまに見せる女の子らしい笑顔がたまらなくかわいくて愛しい
「じゃ、じゃあそろそろ帰るか」
「うん!」
二人は手を繋ぎ、騒がしく音楽が鳴り響くゲームセンターを後にした
アームが再び開き、アームの先に引っ掛かっていたタグ紐が外れ、ケロロはゴトッと音を立てダクトに落下した
「やったぁ!1回で取っちゃうなんてすごいじゃない」かがみは自分のことのようにはしゃいでいる
「いやーまさか本当に取れるとは……」
男子生徒は苦笑いを浮かべながら、取り出し口からぬいぐるみを取り出し、かがみに差し出した
「はい」
「え?……くれるの?」
「あ、当たり前だろ。俺はこんなの欲しくねぇよ」
かがみは照れて少しぶっきらぼうになっている彼から、ぬいぐるみを受けとった
「わぁ、ありがとう」
彼女はぬいぐるみを抱き締めて、本当に嬉しそうに笑った
(うっ……か、かわいいな)
いつもは冷静で気が強いのに、たまに見せる女の子らしい笑顔がたまらなくかわいくて愛しい
「じゃ、じゃあそろそろ帰るか」
「うん!」
二人は手を繋ぎ、騒がしく音楽が鳴り響くゲームセンターを後にした
ゲームセンターを後にして公園のそばを通りかかったとき、二人は子どもの泣き声を聞いた
彼らは顔を見合せ、公園の中へと入っていく
公園と言っても遊具が敷き詰められた狭苦しいものではなく、中央に噴水、その周囲にはいくつもベンチが置かれ、外周は多くの植物に囲まれた解放感のある森林公園といった風のものだった
「うわーん。ひっく、ぐすっ、えーん」
その噴水のそばで小学校低学年くらいの男の子が、鼻水と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣きわめいていた
転んだのだろうか、膝を擦りむいている。辺りを見回すが、母親らしき姿は見当たらない
「ボク、お母さんは?」
かがみはしゃがんで、優しく話しかけた
「うわああぁん。ひっく、お、おかあ、ひっく、さん、ぐすっ」
「そっか、迷子になっちゃんたんだね。すぐ見つかるから大丈夫だよ。とりあえず傷洗っちゃおうか」
彼女は優しく男の子の手を引いて水道まで連れて行く。蛇口を捻り、水で傷口をサッと流しハンカチで優しく拭いたあと、鞄から取り出した絆創膏をそこに貼った
「これでよしっと。あー、顔も鼻水でぐちゃぐちゃだね」
苦笑しながらポケットティッシュを取り出し、鼻水を拭いてやる
その頃には男の子も幾分落ち着いたようだった
「ぼく、お名前は?」
「やまもと……ひっく……たかし……ひっく」
「たかし君かー。たかし君はお母さんと来たのかな?」
「お母さんと……お買い物に……ひっく、来たの」
どうやら母親との買い物の途中ではぐれてしまったようだ
「買い物ってことは、商店街の方から来たんじゃないか?」
「そうね、たぶんそこで迷子になって、ここまで歩いてきたのね」
公園と商店街は距離にして300m程度しか離れていないので、迷子の子供が歩いてきてしまってもおかしくはない
「とりあえず、商店街の方に行ってみましょ?」
かがみは男の子の手を引いて、さっさと歩き出してしまった
(やっぱこういうのは女の子の方が上手いなぁ)
手を繋いで何やら話をしている二人の少し後ろを歩きながら、彼は素直に感心していた
自分ではこういう場面に立ち合っても、何も出来ないだろう
絆創膏どころかハンカチ、ティッシュも持ち歩いていないし、何よりもこんなに優しい笑顔は出来ないからだ
彼らは顔を見合せ、公園の中へと入っていく
公園と言っても遊具が敷き詰められた狭苦しいものではなく、中央に噴水、その周囲にはいくつもベンチが置かれ、外周は多くの植物に囲まれた解放感のある森林公園といった風のものだった
「うわーん。ひっく、ぐすっ、えーん」
その噴水のそばで小学校低学年くらいの男の子が、鼻水と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣きわめいていた
転んだのだろうか、膝を擦りむいている。辺りを見回すが、母親らしき姿は見当たらない
「ボク、お母さんは?」
かがみはしゃがんで、優しく話しかけた
「うわああぁん。ひっく、お、おかあ、ひっく、さん、ぐすっ」
「そっか、迷子になっちゃんたんだね。すぐ見つかるから大丈夫だよ。とりあえず傷洗っちゃおうか」
彼女は優しく男の子の手を引いて水道まで連れて行く。蛇口を捻り、水で傷口をサッと流しハンカチで優しく拭いたあと、鞄から取り出した絆創膏をそこに貼った
「これでよしっと。あー、顔も鼻水でぐちゃぐちゃだね」
苦笑しながらポケットティッシュを取り出し、鼻水を拭いてやる
その頃には男の子も幾分落ち着いたようだった
「ぼく、お名前は?」
「やまもと……ひっく……たかし……ひっく」
「たかし君かー。たかし君はお母さんと来たのかな?」
「お母さんと……お買い物に……ひっく、来たの」
どうやら母親との買い物の途中ではぐれてしまったようだ
「買い物ってことは、商店街の方から来たんじゃないか?」
「そうね、たぶんそこで迷子になって、ここまで歩いてきたのね」
公園と商店街は距離にして300m程度しか離れていないので、迷子の子供が歩いてきてしまってもおかしくはない
「とりあえず、商店街の方に行ってみましょ?」
かがみは男の子の手を引いて、さっさと歩き出してしまった
(やっぱこういうのは女の子の方が上手いなぁ)
手を繋いで何やら話をしている二人の少し後ろを歩きながら、彼は素直に感心していた
自分ではこういう場面に立ち合っても、何も出来ないだろう
絆創膏どころかハンカチ、ティッシュも持ち歩いていないし、何よりもこんなに優しい笑顔は出来ないからだ
「あー、すごい人混みねぇ……」
商店街は夕食の買い物に来た主婦、下校途中の中高生の集団などで込み合っていた
確かにこの人混みの中では、130㎝程度しかない男の子など簡単に紛れ込んでしまうだろう。そして一度紛れたら、そこから母親を見つけ出すのは至難の業だ
「こりゃあ見つけるの大変だぞ」
「うっ……ぐすっ……うわわぁん」
男子生徒が顔をしかめて言うと、一気に不安になったのか男の子は途端にまた泣き出してしまった
「ちょっとあんた、不安にさせるようなこと言わないでよ!」
「うッ……す、すいません……」
かがみは恋人に一喝した後、再び男児をあやしにかかった
「大丈夫よ、すぐ見つかるからねー。あ、そうだ!」
かがみはそう言って、鞄の中からさっきのぬいぐるみを取り出す
「……ひっく、ケロロ?…ひっく……」
「そうだよ。お姉ちゃんのあげるから、もう泣かないでね」
現金なもので、男の子はぬいぐるみを貰うとすっかり笑顔になってしまった
「んー、でも確かにこの人混みだとねぇ……あ!ちょっとあんたしゃがんで、ほら早く」
「え?おっ、おう」
せかされるように彼が腰を落としたのを確認すると、かがみは男の子に優しく声をかけた
「たかし君、このお兄ちゃんが肩車してくれるって」
「え!?おい、肩車って……」
「わーい!」
男の子はケロロを抱いたまま彼の肩に跨がった
「マジですか……かがみさん」
「高いところからの方が見つけやすいし、向こうからも分かりやすいでしょ」
「うぅ……しょうがねーな。よいしょっと」
彼は掛け声と共に、男の子を肩に跨がらせたまま立ち上がる
「お母さーん!」
「たかし君のお母さーん」
「た、たかし君のお、お母さーん……」
小学生と高校生の男女(男の方は小学生を肩車して、恥ずかしそうにしている)という、奇異な組み合わせは周囲の目を引くのに十分だった
商店街は夕食の買い物に来た主婦、下校途中の中高生の集団などで込み合っていた
確かにこの人混みの中では、130㎝程度しかない男の子など簡単に紛れ込んでしまうだろう。そして一度紛れたら、そこから母親を見つけ出すのは至難の業だ
「こりゃあ見つけるの大変だぞ」
「うっ……ぐすっ……うわわぁん」
男子生徒が顔をしかめて言うと、一気に不安になったのか男の子は途端にまた泣き出してしまった
「ちょっとあんた、不安にさせるようなこと言わないでよ!」
「うッ……す、すいません……」
かがみは恋人に一喝した後、再び男児をあやしにかかった
「大丈夫よ、すぐ見つかるからねー。あ、そうだ!」
かがみはそう言って、鞄の中からさっきのぬいぐるみを取り出す
「……ひっく、ケロロ?…ひっく……」
「そうだよ。お姉ちゃんのあげるから、もう泣かないでね」
現金なもので、男の子はぬいぐるみを貰うとすっかり笑顔になってしまった
「んー、でも確かにこの人混みだとねぇ……あ!ちょっとあんたしゃがんで、ほら早く」
「え?おっ、おう」
せかされるように彼が腰を落としたのを確認すると、かがみは男の子に優しく声をかけた
「たかし君、このお兄ちゃんが肩車してくれるって」
「え!?おい、肩車って……」
「わーい!」
男の子はケロロを抱いたまま彼の肩に跨がった
「マジですか……かがみさん」
「高いところからの方が見つけやすいし、向こうからも分かりやすいでしょ」
「うぅ……しょうがねーな。よいしょっと」
彼は掛け声と共に、男の子を肩に跨がらせたまま立ち上がる
「お母さーん!」
「たかし君のお母さーん」
「た、たかし君のお、お母さーん……」
小学生と高校生の男女(男の方は小学生を肩車して、恥ずかしそうにしている)という、奇異な組み合わせは周囲の目を引くのに十分だった
しばらく歩いていると、男の子にそっくりな女性がこちらに近づいて来るのが見えた
「たかし!」
「お母さん!」
彼が男の子を肩から降ろすと、男の子はその女性に駆け寄った
女性も相当気を揉んでいたのだろう、男の子を抱き締めて涙を流していた
「本当にありがとうございました」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんバイバーイ!」
母親は何度も頭を下げながら、男の子はニコニコしながら手を振って帰っていった
「たかし!」
「お母さん!」
彼が男の子を肩から降ろすと、男の子はその女性に駆け寄った
女性も相当気を揉んでいたのだろう、男の子を抱き締めて涙を流していた
「本当にありがとうございました」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんバイバーイ!」
母親は何度も頭を下げながら、男の子はニコニコしながら手を振って帰っていった
「良かったの?」
男子生徒は、親子の姿が見えなくなるまで手を振り返していたかがみに聞いた
「なにが?」
「ぬいぐるみ……カエルの」
あんなに嬉しそうにしてたのに、彼女はそれをあっさり他人にあげてしまった
「泣き止ませるのが先決だったし、まぁしょうがないわよ。それに……」
「それに?」
男子生徒は、親子の姿が見えなくなるまで手を振り返していたかがみに聞いた
「なにが?」
「ぬいぐるみ……カエルの」
あんなに嬉しそうにしてたのに、彼女はそれをあっさり他人にあげてしまった
「泣き止ませるのが先決だったし、まぁしょうがないわよ。それに……」
「それに?」
「また取ってくれるんでしょ?」
「………………」
困惑する少年を見て、かがみはクスクスと笑った
「………………」
困惑する少年を見て、かがみはクスクスと笑った
「やっぱり子供ってかわいいわね」
その帰り道、何気なくかがみは言った
「かがみって意外と子供好きなんだな」
「……意外ってどういう意味よ」
瞬間彼女の顔が不機嫌になったのを見て、彼は自分が不適切な発言をしてしまったことに気付き焦る
「い、いや、そういう意味じゃなくて……えーと、あ、そうだ、かがみは何人くらい子供欲しいの?」
「ごまかしたわね……。うーんそうねぇ、最低でも3人は欲しいかな」
子供に囲まれた家庭を想像しているのか、そのときの彼女はとても幸せそうな顔をしていた
(……あ!良いこと考えた。よーし……)
そんな彼女の隣で、男子生徒は悪戯を思い付いた子供のような表情をしている
その帰り道、何気なくかがみは言った
「かがみって意外と子供好きなんだな」
「……意外ってどういう意味よ」
瞬間彼女の顔が不機嫌になったのを見て、彼は自分が不適切な発言をしてしまったことに気付き焦る
「い、いや、そういう意味じゃなくて……えーと、あ、そうだ、かがみは何人くらい子供欲しいの?」
「ごまかしたわね……。うーんそうねぇ、最低でも3人は欲しいかな」
子供に囲まれた家庭を想像しているのか、そのときの彼女はとても幸せそうな顔をしていた
(……あ!良いこと考えた。よーし……)
そんな彼女の隣で、男子生徒は悪戯を思い付いた子供のような表情をしている
「そっか、3人か……じゃあ俺たちもそろそろ頑張らないとな!」
彼としてはほんの冗談で言っただけだ。さっきはいきなり肩車をさせられたり、からかわれたり散々な目に合ったので、ちょっとした仕返しのつもりだったのだ
彼の予想では「何言ってんのよバカ」と顔を真っ赤にしたかがみに怒られるはずだったのだが、いつまで待ってもその声はこない
(あ、あれ?)
疑問に思い隣を見ると、彼女はなぜが俯いてもじもじしていた
「…………わ、私たち……まだ学生だし……そういうのはまだ早いっていうか……で、でももうちょっとたってからなら……」
ゴニョゴニョ言っていてよく聞こえないが、どうやら完全に真に受けてしまったらしい
「い、いや冗談だって!冗談!さ、さすがにまだ無理だろ!」
予想外の展開に彼が慌てて訂正すると、かがみも顔を真っ赤にして焦る
「じよ、冗談ね。そ、そりゃそうか。あーびっくりした」
彼としてはほんの冗談で言っただけだ。さっきはいきなり肩車をさせられたり、からかわれたり散々な目に合ったので、ちょっとした仕返しのつもりだったのだ
彼の予想では「何言ってんのよバカ」と顔を真っ赤にしたかがみに怒られるはずだったのだが、いつまで待ってもその声はこない
(あ、あれ?)
疑問に思い隣を見ると、彼女はなぜが俯いてもじもじしていた
「…………わ、私たち……まだ学生だし……そういうのはまだ早いっていうか……で、でももうちょっとたってからなら……」
ゴニョゴニョ言っていてよく聞こえないが、どうやら完全に真に受けてしまったらしい
「い、いや冗談だって!冗談!さ、さすがにまだ無理だろ!」
予想外の展開に彼が慌てて訂正すると、かがみも顔を真っ赤にして焦る
「じよ、冗談ね。そ、そりゃそうか。あーびっくりした」
「ははは…………」
「ははは…………」
二人はお互いに引きつった笑みを浮かべた
そこから家に着くまで、妙に気まずい空気が二人の間に流たのだった
「ははは…………」
二人はお互いに引きつった笑みを浮かべた
そこから家に着くまで、妙に気まずい空気が二人の間に流たのだった
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- 続き続き! -- 名無しさん (2008-08-17 06:25:03)