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まあ、定番と言えば定番

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匿名ユーザー

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らっきーちゃんねる終了後。たまたま呑みに誘われた白石みのるは、飲み会終了後にある荷物を抱えて家路についていた。
「まあ、仕方がないといえば仕方ないけど……」
その荷物は現在、白石の背中に体重を預けて寝息を立てていた。一度立ち止まり、ずり落ちそうになった大きな荷物こと小神あきらを揺さぶって背負い直す。
「何で俺があきら様を家に持って行かなくちゃいけないんだろうか……」
ちなみに、マネージャーはさっさと帰ってしまい、さすがに呼び出すのは気が引ける。あきら本人ならば召喚も可能だったろうが本人がこの様だし、他のメンバーは全員が辞退していた。
……まあ、酒が入っていたわけだし車以外の交通機関になってしまうからだろう。それに、偶然にもあきらと白石の帰る方向は同じだという条件が重なってしまった。
「ん……しりゃいし……」
「起きましたか、あきら様?」
「…………」
白石の呼びかけに反応はない。ただの寝言か、と思った次の瞬間……

「……すき……」

「……へっ?」
な、何と言った!?白石の脳裏に電流が流れる。
「すき……やき……たべたい……」
が、それもつかの間。次にあきらの口から漏れた言葉に白石は思わずつんのめってしまいそうになった。
「……ん?もち、あんたのおごり……」
「どういう夢見てんですか、あきら様……」
どうやら、あの時のようにあきらに無茶振りをされているようだ。夢の中でも酷い扱いを受けているようで、そんな自分に涙する白石。
「いいから、あたしにおごりなさいよぉ……」
「む、無理ですよあきら様。俺の財政事情ぐらい知ってるでしょう?」
なんとなくではあるが、思わず答えを返してしまった。……まあ、どうせ裏の顔で迫ってくるんだろうな、と考えながら。……しかし、返ってきた言葉は意外なものだった。
「……しりゃいしのけち……わぁったわよ。あんたのはらえるところでいいから……」
「はあ……」
裏の顔で迫ることはせず、妥協案を持ちかけた。まあ、白石が代金を持つ事は決定付けられているようだが。
白石がため息ともつかない呟きを漏らした数秒後、夢の中の彼は肯定の返事をしたのか、あきらの嬉しげな声が返ってきた。


「あんたがあたしにおごるのはとーぜんのことよ。……あたしのこいびとなんだから」

「な、何ですとぉ!?」
先ほどの発言よりも衝撃的な発言に、白石は思わず立ち止まって人目をはばからずに絶叫していた。
「うぇ……ん……あれ?ここ――」
その絶叫にってあきらは目覚め……自分の置かれた状況を見て固まった。
「あ、あ、あ、あきら、様?お、起きましたか?」
「え?し……白、石?」
あきらの爆弾発言で混乱した白石と、『白石に背負われている』という状況を把握して混乱したあきら。
あきらはしばらくの間、口の中で色々と――主に『え、あたし白石に背負われてるの?これ夢?夢じゃない?』など――呟いていたが、少し時間が経つと落ち着きを取り戻し……
「え、えっと……降ろしてくれる?」
「あ、あ、はい」
白石はあきらに言われるまま、彼女を地面に降ろした。
「え、えーっと……なんであたし、白石に背負われてたの?」
「それはですね、あきら様が酔いつぶれて寝てしまったのを俺が運ぶことになりまして……」
「あ、そっか……」
白石の説明と共に記憶を取り戻したのか、あきらは考えるしぐさを取った。
「と、ところであきら様?」
「何?」
「さ、さっきの……恋人とかの発言……アレは……」
「あ、う……ね、寝言よ寝言!まさか本気にしたのっ!?それこそ寝言は寝て言いなさいよ!」
まさに地雷を踏んでしまったかのような勢いであきらは白石に怒鳴り散らした。
「そ、そうですよね。寝言……ですよね?」
「……何複雑な顔してんのよ。それはそれでムカつくわね……」
すっかり機嫌を悪くしてしまったあきらに、『すみません』と謝る白石。
「ま、いいわ。……とりあえず、はい」
そう言って、あきらは両手を前に出したまま立ち止まる。……その意図がわからずに白石が首を傾げていると。
「あんた馬鹿じゃないの?あたしを背負えって事よ!まだ一人で帰れそうもないし、あんたしか頼める人間がいないからこうやって頼んでるのよ!?」
「あ、ああ、すみません!」
「まったく、鈍くさい亀かっての」
あきらの言葉に、白石は慌ててあきらの前でしゃがんで彼女の両腕を肩の上に乗せるようにする。両腕はそのまま白石の首に巻かれ、背負われる状態になった。
その後にあきらの両足に腕をかけて立ち上がり、再び歩き出した。
「……言いたくても言えないのはめんどくさいなぁ」
「何か、言いましたか?」
あきらの漏らした小さな呟きを耳に入れたのか、白石が聞き返す。しかし、あきらは『いいからさっさと家に連れてけ』と誤魔化しついでに命令した。
「りょ、了解しました」
命令に従い、歩くペースを速める白石。そんな彼の背中に揺られながら、少しでも長くこの背中の感触を覚えていようと抱きつく力を強めるあきらだった。


















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