いつもと同じ
何事もない日になるはずだった今日
夕暮れの差し込む教室で
私は
たった今
………みさおに告白された
「よーひぃらぎぃ、今日暇か?」
帰り支度をしていると日下部が声をかけてきた。
「んー?残念だけど、これから委員会があるのよ」
「それって遅いのか?」
「結構掛かるかもね、なに?まさか待ってるなんて言わないわよね」
「それって遅いのか?」
「結構掛かるかもね、なに?まさか待ってるなんて言わないわよね」
冗談で言ってみたけどあろうことか日下部は待ってると言い出した。
「終わったら教室来てくれよなっ、ひーらぎ!」
「はぁ、わかった。ちゃんと行くから待ってなさいよ」
「はぁ、わかった。ちゃんと行くから待ってなさいよ」
日下部は「おうっ!」と元気な声で返事をして委員会へ向かう私を見送った。
― ― ― ― ―
委員会が終わったのはあれから1時間後が過ぎていた。
そろそろ外が暗くなり始めて、もしかしたら帰ってしまったかもしれないと考えながら教室へ向かった。
教室の前まで来た時、中から人の動く気配が無い事に気付いた。やっぱり帰ってしまったかと思いつつ確認のために声をかけた。
そろそろ外が暗くなり始めて、もしかしたら帰ってしまったかもしれないと考えながら教室へ向かった。
教室の前まで来た時、中から人の動く気配が無い事に気付いた。やっぱり帰ってしまったかと思いつつ確認のために声をかけた。
「くさかべー?」
扉の隙間から覗くと、
――いた
机をベットにして横になっていた。
その姿があまりにも無防備だっため、ふと悪戯をしてやろうと考えた。
出来るだけ足音を立てないように日下部の近くまで近寄り、顔を覗き込んだ。
少しの間、日下部の寝顔を堪能した後、どんな悪戯をしてやろうかと思考を働かす。
その姿があまりにも無防備だっため、ふと悪戯をしてやろうと考えた。
出来るだけ足音を立てないように日下部の近くまで近寄り、顔を覗き込んだ。
少しの間、日下部の寝顔を堪能した後、どんな悪戯をしてやろうかと思考を働かす。
定番といえば顔にらくがきだけど、学校でそんなことをするのは流石に可哀相だ。
となると、どこかをこしょぐってやろう。やっぱりわき腹だな。前に私のわき腹をつままれた恨みを込めて。
となると、どこかをこしょぐってやろう。やっぱりわき腹だな。前に私のわき腹をつままれた恨みを込めて。
そうと決まったら後の行動は早く自分の腕を日下部のわき腹に持って行き指を……
ぷにっ
「ひゃわっ!」バン!
「うひゃ!」ガタンッ!
「いてっ」
「うひゃ!」ガタンッ!
「いてっ」
わき腹をつまんだ瞬間、まず日下部が奇声と共に机を叩き出した。それにビックリした私は後に仰け反り、椅子ごと床に倒れた。
「な、なんだ、なんだっ!?……なんだぁひいらぎじゃねーか」
「ッ……今のは私も悪かったけどアンタもなんでこんな所で寝てるかなぁ」
「ッ……今のは私も悪かったけどアンタもなんでこんな所で寝てるかなぁ」
体勢を直しつつ日下部に聞いた。
「いやー思ってより遅くて暇で暇でつい寝ちまった。て言うかひいらぎは私に何したんだ?」
「わきこちょしてやったのよ。そしたらアンタ変な声出すもんだからビックリして私が後ろに倒れちゃったのよ」
「うわーだっせーのー」
「うっさい、大体アンタだって無防備過ぎるのよ、少しは気をつけなさいよ」
「わきこちょしてやったのよ。そしたらアンタ変な声出すもんだからビックリして私が後ろに倒れちゃったのよ」
「うわーだっせーのー」
「うっさい、大体アンタだって無防備過ぎるのよ、少しは気をつけなさいよ」
日下部はさっきまで寝ていた机に座り、私は倒した椅子に座って本題に入ろうとした。
「…で、何の用なの?こんな遅くまで待つなんてよっぽど重大そうだけど?」
「あ、あぁ、別にそんなじゃねーよ。ひいらぎに聞きたいことがあったからさ」
「ふーん。で?何聞きたいの?」
「………」
「?……」
「………」
「あ、あぁ、別にそんなじゃねーよ。ひいらぎに聞きたいことがあったからさ」
「ふーん。で?何聞きたいの?」
「………」
「?……」
「………」
もじもじしたまま何も喋らなくなった。しかも時間が経つごとに明らかに日下部の頬が赤くなってきているのがわかる。よっぽど恥ずかしいことなのだろうか。
「どうしたのよアンタらしくない。言いたいことがあるなら言っちゃいなさい」
「…おう」
「…おう」
日下部の目が据わってる。ちょっと怖い…
「あのな、ひいらぎ、は…好きな奴とか…いる、のか?」
―は?
「どうしたのよ、アンタからこんな話し出すなんて」
「どうなんだひいらぎ!」
「どうなんだひいらぎ!」
まさか日下部がこんな話をするとは思わなかったからビックリしていたが、本人は真剣らしい。
「まぁ、いないわよ……ん?誰かに頼まれたの?」
「いや……うん、そうなんだ」
「どっちだよ!全く、アンタに頼むなんてその子も馬鹿よね」
「だ、だよな!あはは…」
「いや……うん、そうなんだ」
「どっちだよ!全く、アンタに頼むなんてその子も馬鹿よね」
「だ、だよな!あはは…」
何か変だ。多分他にもあるんだろうな。
「……他にもあるんでしょ?」
「……え?」
「峰岸ほどじゃないけどアンタとは中・高と一緒だったんだからそれ位わかるわよ」
「そっか……うん……あのな、いきなりこんなこと言ってビックリするかもしんねーけどな、アタシ…」
「……え?」
「峰岸ほどじゃないけどアンタとは中・高と一緒だったんだからそれ位わかるわよ」
「そっか……うん……あのな、いきなりこんなこと言ってビックリするかもしんねーけどな、アタシ…」
「ひいらぎが……好きだ」
私は頭を抱えた。
今なんて言った?
今なんて言った?
「ゴメン日下部、もう一回お願い」
「な、何度も言わせんなよぉ......だから...ひぃらぎが......好き、だっ!」
「な、何度も言わせんなよぉ......だから...ひぃらぎが......好き、だっ!」
顔赤らめて少し上目使いで告白してきた。
やばっ、私が男ならイチコロだったかもしれない。
やばっ、私が男ならイチコロだったかもしれない。
「だって私たち女同士だし、」
「分かってるけどアタシッ」
「それに普段アンタの事ほったらかしなのに......なんで?」
「……」
「分かってるけどアタシッ」
「それに普段アンタの事ほったらかしなのに......なんで?」
「……」
私と日下部の間に気まずい空気が流れた気がした。
「...アタシだって知らないよ」
まるで開き直るかのように
「でもな!」
気持ちをぶつけるように
「アタシはいつの間にかひいらぎが!」
でも、言葉に出来なかった感情が
「好きなんだよっ!」
涙になってしまったのかもしれない
「ううぅ~、ひいらぎなんて嫌いだ」
「どっちだよ、おい」
「どっちだよ、おい」
日下部が私にもたれ掛かって来た。女の力で支えるには少し重い位だった。
「あーもーしょうがないなー」
泣き出した日下部を抱きしめて背中をさする私。
日下部も私に抱きついてきた。
日下部も私に抱きついてきた。
と、思った次の瞬間
「んっ…」
「……んんっ!?」バンッ
「ぎゃっ!」
「……んんっ!?」バンッ
「ぎゃっ!」
ビックリして思わず日下部を突き飛ばしてしまった。
「な、な、なななな何すんのよ!」
「何ってチューしたんだよ」
「じゃなくって、なんでキ…キスとかするわけ?」
「…ひいらぎが好きだから」
「何ってチューしたんだよ」
「じゃなくって、なんでキ…キスとかするわけ?」
「…ひいらぎが好きだから」
―実に直球かつ簡素な答えをどうもありがとう。
ヤバイ、声に艶がある。下手したら襲われる。
逃げようと右足を一歩踏み出した時にはもう
逃げようと右足を一歩踏み出した時にはもう
「つーかまーえたー」
捕まってしまった。
「ちょっと、しっかりしなさいよ。ねぇってばっ!」
引き離そうとするも、とんでもない力で締め付けてやがる。
「んん~~」
またキスしようとしてきたので思わず、叩いてしまった。
パンッ!
「……」
左手がヒリヒリする。
「…ゴメン、でも落ち着いた?」
「……あぁ、そうだな。落ち着いたよ」
「……あぁ、そうだな。落ち着いたよ」
酷く落ち込み、日下部の右頬は私の叩いた後で赤くなっているだけだった。
「…アタシって最低だよな、いくら好きだからって無理矢理したら嫌われるに決まってのにな」
日下部も目には今にも溢れ出しそうなほど涙がたまっていて、いつもの元気を一片も感じられなかった。
「あ……」
「じゃ、じゃあなひいらぎ!また明日な」
「じゃ、じゃあなひいらぎ!また明日な」
逃げるように帰ろうとする日下部を止める術はないかと頭を動かした。
「待ちなさいよ!」
「なんだよっ」
「アンタ、私にあんなコトしときながらただ謝っただけで許してもらおうと思ってるわけ?」
「ッ!……」
「……行動で示して欲しいわね」
「……なに、すればいいんだ?」
「なんだよっ」
「アンタ、私にあんなコトしときながらただ謝っただけで許してもらおうと思ってるわけ?」
「ッ!……」
「……行動で示して欲しいわね」
「……なに、すればいいんだ?」
今のは日下部はとても普段のアイツからは想像も付かないほどしおらしかった。
そして、可愛かった。
こうも可愛いと冗談で言ったこの言葉も本気でしてもらおうという加虐心が芽生えてしまった。
「そうね……その机でねているだけでいいわ」
「え?それだけでいいのか?」
「えぇ、アンタはそれだけやればいいから」
「わかったよ……」
「え?それだけでいいのか?」
「えぇ、アンタはそれだけやればいいから」
「わかったよ……」
日下部は私の言葉に従って縦に二つ並んだ机に横になった。従ったはいいが何をされるか気が気ではない日下部の顔は不安でいっぱいだった。
「な、なにする気だ?」
「怖かったら目つぶってていいわよ」
「怖いから遠慮する」
「怖かったら目つぶってていいわよ」
「怖いから遠慮する」
じと目で遠慮した日下部。で、私はというと自分の両手を日下部のわき腹に持ってきた。
「さっきは出来なかったからね、もう一度やらせてもらうわよ」
「な、何のことだよ」
「えいっ!」
「ちょ!おまぁ、なに、あっはははっ、やめろっ、あははっ」
「止めろと言われて止める馬鹿じゃないわよ私は」
「な、何のことだよ」
「えいっ!」
「ちょ!おまぁ、なに、あっはははっ、やめろっ、あははっ」
「止めろと言われて止める馬鹿じゃないわよ私は」
2分ぐらいわきこちょをしていたら、日下部が笑い死しかけていた。
「はっ…はっ…はっ……あー…」
「…大丈夫?」
「…大丈夫?」
流石にやりすぎたか?
「…はっ、このくらい……いくら、でも、平気だっ!」
「強がるじゃないの、ほら」
「強がるじゃないの、ほら」
日下部の乱れた服をポンポンと払い、直しに掛かる。暴れ回ったせいでシワシワになっていまった。
「…へへっ、なんだかんだ言って、やっぱひいらぎは優しいな…」「ちょっ、へ、変なこと言わないでよ…」
さっきは好きと言われたのに、たったこれだけで照れるなんて、どうしたのかしら私。
「ほ、ほらもういいでしょ」
回復しかけた日下部に手を差し出す。その手を取ると立ち上がる日下部。
「……」
パッ、パッ、
「……」
自分で乱れている服を直している間、私達は何も口を開かず、無言だった。
「…帰ろうか」
「…そだな」
「…そだな」
私達は自分のカバンを持ち、教室を後にした。
誰もいない、長い学校の廊下を私と日下部と二人で歩いている。
「……」
「……」
「……」
そんな時も私達は無言だった。いつもうるさい日下部も流石に堪えているらしい。
でもこの空気に、私は耐えられなかった。
だから無理矢理話を切り出した。
でもこの空気に、私は耐えられなかった。
だから無理矢理話を切り出した。
「…アンタはさ」
「ん?」
「バカっぽくて、うるさくて、同じ女を好きになってるヤツだけど」
「みゅう…」
「でも……でも!私は…アンタのこと好きだよ」
「えっ…」
「あっー!待って、友達としてだからね、いい?」
「あ、あぁ…」
「でも、たまになら峰岸だけじゃなく、私に甘えてもいいんだからね」
「ん?」
「バカっぽくて、うるさくて、同じ女を好きになってるヤツだけど」
「みゅう…」
「でも……でも!私は…アンタのこと好きだよ」
「えっ…」
「あっー!待って、友達としてだからね、いい?」
「あ、あぁ…」
「でも、たまになら峰岸だけじゃなく、私に甘えてもいいんだからね」
日下部の目と口は大きく開いて、いかにも嬉しそうな顔をしていた。
と、いよいよ校門前。つまり、ここでお別れになってしまう。
「じゃあね」
「あぁ…」
「あぁ…」
また落ち込んでる。
―そうだ、最後にビックリさせてやろう。
「また明日ね……みさおっ!」
出来るだけ最後の笑顔でみさおにさよならをした。
「…お、おう、じゃーなかがみっ!」
大きく手を振り、満面の笑みでみさおも私にさよならをした。
――――終わり――――
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- うんうん!いいよぉ
89点だぁー! -- aizen.G (2009-05-18 14:23:57) - だからみさおは可愛いんだ
-- 新潟の佐藤さん (2009-05-11 23:52:58) - いいね~ 少し切ない・・・ -- mkl (2009-04-25 05:43:31)
- 清々しい切なさだ -- 名無しさん (2009-04-13 12:42:06)
- こんな話を待ってたのよ -- 名無しさん (2009-04-12 08:07:07)
- これだよ。これが欲しかったんだよ!! -- 名無しさん (2009-02-16 16:03:52)