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七五三

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だれでも歓迎! 編集
「ははは、どうだ大きいだろう?ここらでは一番大きな神社だぞ?」
「ほぉぉぉぉわぁぁぁ~~」
巨大な鳥居に目を奪われる。
自転車を駐輪場に止め、ハンドルに取付けられている子供用椅子から降ろす。
近所の小さな神社なら、即、野生児と化してそこらへとダッシュしていくのだが、
その大きさと漂っている空気に圧倒されたのか、感嘆の声をあげつつ辺りを見回している。

しかし……案外、人が多い。
別にそこまで有名何処では無いはずなのだが、関東最古という肩書きは伊達ではないよう。
はぐれないようしっかりと手を握り、てくてくと歩いて行く。
「よし、ここらでいいか。こなた、ちょっとここで写真を撮ろう。ここで立ってくれな」
鳥居の足下に立たせると首から下げたカメラを手に後ろに下がって行く。
こなたも毎度のこととばかりに、おとなしくモデルを務める。
撮影が一通り終わり、再びこなたと歩き出す。

「おとうさんおとうさん」
父を見上げ問いかける。
「ん?なんだ、こなた?だっこか?肩車か?」
よしきた!とばかりに抱き上げようとするが…
「おしっこ」
肩すかしを喰らう。
「げっ!ちょ、ちょっとがまんしろよ」
「うん」
子供は容赦ないからな…と思いつつ、急いでトイレを探す。
せっかくの晴れ着をおしっこまみれにされてはたまらない。
「ん~~トイレはどこだ……お、あったあった」

用を済ませ、こなたの手を洗い、次に自分の手を洗っている隙に
こなたが野生児化して奇声をあげ走り出す。
「あ!こら、こなた!!何処へ行く!!」
手を拭く間もなく追いかける。
こんな人ごみで見失えば迷子確定なのは目に見えている。

誰に似たのか、小さな身体ですばしっこく人ごみの間を器用に縫って走って行く。
「ぬぅぅ、要らんとこまで似おってからに」
周りから頭一つ抜けた大柄な体格ながらも、負けじと器用にすり抜けて走って行く。
人ごみを抜け、何をするかと思いきや、御神木と思しき木によじ上ろうとし出す。
すんでのところで追いつき、げんこつがこなたの頭に飛来する。
「アホちんが!!」
「ふがっ!!」
さっきまで笑顔だったものが一転、
「うぐっ…うぐっ……うあぁぁぁあぁぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさい」
大声をだして泣き出す。
そこに畳み掛けるように説教が続く。
「そんな所に登っちゃだめだろう!!それに、一人で勝手にどっか行くなって
いつもお父さん言ってうだろう?迷子になったらどうするんだ!!
変な人に誘拐でもされたら大変だろ!!」
厳しい顔でキツくしかる。
「あぐぁぁぁぁぁぁぁぁ~ごめんなさい~うわぁぁぁぁぁぁぁん」
泣き叫ぶ我が娘を見て、ふぅ~とため息を付く。
何度見ても気分がいいものではない。
今すぐ抱きしめてやりたいぐらいだ。
だがしかし、何度でも叱っとかなければと思う。
いつもの公園や神社ならともかく、こんな人ごみのなかでやられてはシャレにならない。
やってはいけないことはきっちりと教え込んでいかないと。
こなたにもしもの事があれば……
考えただけでぞっとする。
かなたを失い、こなたまで失ったならば、生きて行ける自信はない。
こなた目線までしゃがみ、優しく、しかし厳しく諭す。
「いいか~こなた。今日みたいに人がいっぱい居るところで
お父さんから離れちゃうと、迷子になっておうちに帰れなくなっちゃうんだぞ?
お父さんと逢えなくなっちゃうんだぞ?」
「ひっく、ひっく…」
しゃくりあげてはいるが、泣き止んだこなたがそうじろうの話を聞いて、
「ひっく…そんなの…やだ……」
どうにか、しかし力強く答える。
「だろ?だったら、お父さんと約束だ。
おそとで勝手にお父さんから離れたりしちゃダメだ」
こなたの目線までしゃがんだまま、肩に手を置く。
何も言わず、コクリと頭を上下させるこなた。
「よし!!いいこだ!!」
頭をわしゃっ、とひとなでして
涙と鼻水でわちゃくちゃになった顔をハンカチとティッシュで拭き拭きする。
一通り拭き終わり、立ち上がるついでに抱き上げ左腕に載せるように抱っこをする。
すかさず、こなたが首周りに腕を回しきゅっとしがみつく。
「さて、お参りに行こう」
本殿を目指し歩いて行く。

お参りも無事済ませ、駐輪場へと戻るふたり
そんな時、小説のネタが浮かび上がり、ふと立ち止まりメモを取り出すそうじろう。
「こなた、少しばかり手を離すから、ちょいとお父さんの服の裾を握っててな」
「はぁーい」
と言う返事と、裾を握らせ引っ張られてる感覚を感じて、目を離しメモを取り出す。
さらに首から下げたカメラにて、周りの風景やら建物をいくつか撮影する。
人の流れに逆らって立ち止まっているせいか、
人ごみに少し揉まれ気味になってしまう。
こなたの様子が心配になるが、裾を引っ張る力は無くなっていない。
「さて、いこうか」
裾まで手を下ろし、裾を引っ張る小さな手を握って再び歩き始める。
「そうだ、こなた、千歳飴でも買って行くか!」
こなたの方に振り返る。
「おや?」
そうじろうの裾を握っていたのがいつの間にか知らない女の子になっていた。
その子は不安気に、今にも泣き出しそうな顔でそうじろうを見上げている。
年の頃合いはこなたと同じくらいの3歳児クラスだろう。
「あ、れ?お嬢さんは、どちらのお子さんかな~~?って………
こなた?!おーーーーい!!こなたーーーーーーー!!どこだーーーー!!」
血の気が引いて行く。
そしてちゃんと目視で確認しなかった己の甘さを後悔する。
「なんてこった。肝心の俺が目を離しちまったじゃないか……」
あたふたきょろきょろする、そんなそうじろうを見て、
見ず知らずの女の子が、とうとう泣き出した。
おかあさん、おとうさん、おにいちゃーん」
(いや…泣きたいのはこっちだよ…とほほ)
泣いている女の子の隣りにしゃがみ、女の子の頭に手をのせて軽くなでてあげる。
「よし!…おじさんの娘も迷子になっちゃったみたいだから、一緒にさがそう!
ところで、お嬢ちゃんの名前は?」
一緒にさがそうと言われ、泣きやみそうじろうを見つめる。
「さがすの、ほんとう?」
そう言うその目はまだまだ不安でいっぱいの涙を浮かべたままだ。
「ああ、本当だとも。だから…まずはお名前を教えてもらえないかな?」
再度、名前を問いかける。
迷子の問い合わせをするにも先ず名前が判らなければ始まらない。
「ヒック、ヒック……みさお……くさかべみさお」
「みさおちゃんかぁ~、おかあさんやおとうさんはどんな感じの人かなぁ」
じーっとそうじろうのことを見てから
「おかあさんもおとうさんも、わたしより大きくておじさんよりちいさい
おかあさんはお兄ちゃんよりおっきくておとうさんよりちいさい」
「あはははは……で、おかあさんとかの名前は判るかなぁ?」
「えっとね、おにいちゃん5さいでわたし3さいでいっしょに
しちごさんにきたんだよ~そんでね~~……」
味方だと理解したのか、不安気な表情が消え笑顔で兄の事を語る。
肝心の質問には答えてはいないのだが。
「あははははは、そうかそうか(いや~これは手強いな)
…素直に社務所に行くかな、こりゃ……」
泣き止んでくれただけでもよしとして自力で探すのをほぼ諦め、社務所へと足を進めて行く。

「…ひっく…おとうさん……」
父親とはぐれてしまったこなたが、涙目できょろきょろ辺りを伺いつつしゃがみ込んでいる。
そんな時、御神木の前で一人で泣いている女の子がいると連絡があり
巫女を務めていたみきが確認しにやってきた。
「あらあら…迷子さんね…お母さんかお父さんとはぐれちゃったのかなぁ~?」
みきを見上げたこなたが、大きくコクッと頷く。
「ひっく…おされて…ころんで……おとうさんいなくなっちゃった…」
「この人ごみで流されてしまったのね…お母さんは?一緒には来てないのかな?」
特になにも考えず、いつも通りに母親のことも尋ねる。
「おかあさんはしんだっていってた…………」
「………!!」
まさかの答えに衝撃を受ける。
「しんでいないけど、いつかおかあさんかえってくるよ」
見上げて答えるその目は真剣だ。
まるでサンタクロースを信じて疑わない子供の目と同じように。
その言葉とまなざしに、反射的にこなたを抱き上げ抱っこしてしまった。
「ええ…そうね、帰ってくるのをいい子で待ってましょうね」
「うん!!」
それ以上は何も言葉を言えなくなってしまった。
なにかを言えば、きっと涙が出てしまう。
(まだ死ぬという事がよく理解できていないのかしら)
こなたを抱き上げ社務所へと歩きながら、考え込んでしまうみき。
きっとこの子の父親も幾度となく説明は試みているだろう。
だが、いかんせん3歳。もしくはまだ3歳に届いてないのかもしれない。
まだまだ、理解出来ていないのだろうと察しがつく。
(うちの下の子達もそこら辺は怪しいものね…)
しかし、神様も酷いことをするものだと思う。
こんなに小さな子供から母親を取り上げてしまうなんて。
話しかけてあげる代わりにきゅうーっと抱きしめてあげる。
「えへへ、あたたかくてやわらかーーい」
抱き上げられたこなたがきゃっきゃっと騒ぐ。
「あらあら、鳴いたカラスがもう笑うってね…くすくす…
そういえば、まだお名前聞いてなかったわね。お名前はなんていうのかしら?」
楽しげにしているこなたに聞いてみる。
「なまえ?こなた。えーとね…いずみこなた」
「こなたちゃんね~、それで、お父さんのお名前はわかるかなぁ~?」
父親の名前も聞いてみる。
「おとうさんはねぇ~~………????あれ?…おとうさんだよ。
おかあさんはしってる、かなたっていうんだよ。いつもおとうさんがいってる」
「え?そ、そうなんだ……」
(親の名前を知らないってのは、まぁありがちだけど…
亡くなっている母親の名前は知っている…というか父親がいつも言っている?
亡くなったってことを、一生懸命話しているのかしら?)
若干混乱気味のみき。
「ぶつだんってところにあるしゃしんにむかっていつも、はなしかけてるんだよ」
「へぇ~」
一応答えるが、涙腺が崩壊しないように堪えるのが精一杯になってきた。
これ以上の会話を避けたかったみきが足早に社務所へと向かう。
(とにかく、この子を一旦降ろして落ち着かないと)
今にも泣きそうなみきとは対照的に
こなたは迷子になった不安はどこかにいってしまったようにきゃっきゃと笑っている。

社務所へと、てくてくやってくるそうじろうとみさお。
みさおの家族がすでにそこへ娘を探しにやってきていた。
「あっ!!おかあさん、おとうさん、おにいちゃん!!」
家族をみつけ、ダッシュしていく。
「ああーもうーーどこへいっていたの?みさお!
だから、あれほど、一人で勝手に歩いちゃダメって言ったでしょう?」
ゴスッ!
母親からげんこつが落とされる。
「うわぁぁぁあぁん!!」
母親のお説教と娘の泣き声の二重奏がはじまった。
「娘がお世話になりまして……わざわざ、こちらまでありがとうございます、
おてんばなものでして……助かりました」
父親からはお礼の言葉が述べられた。
「いや~~、そんな大したことは……私も、その、お恥ずかしながら、
娘とはぐれてしまいまして……って、あ~~っこなた!!おまえここに居たか!!
いや~~よかった。ここにも居なかったらどうしようかと思ったぞ?」
騒ぎを聞いたのか、奥の方からヒョコッと顔を出してきたこなたを発見する。
「おとうさん!!」
こなたがダーッと走りよってくる。
そんなこなたを両手でひょいと持ち上げ抱きしめる。
「ごめんなぁ~お父さんが目を離したばっかりに……
大丈夫だったか?寂しくなかったか?」
「うん…でもちょっとさみしかった…あれ?おとうさん、なんでないてるの?」
「なんでって、こなた、おまえまで居なくなっちまったら、お父さん、もう生きていけないぞ?」
こなたをぎゅーと抱きしめる。
「……よくわかんないけど…ごめんなさい」
良くわからないけど、きっと自分が原因…
お父さんに悲しい思いをさせてしまった。
そんなことにちょっと引け目を感じてしまったこなたがあやまる。
そうだ、お父さんとはぐれて一人になった時、すごく寂しかった。
もう逢えないんじゃないか?と思った時、ものすごく悲しくなった。
そうか、お父さんもきっとそれで……
もう、お父さんから勝手に離れてどっかに行くのは止めようと思うこなたであった。
「おとうさん…」
きゅーと肩周りにしがみつく。

みさおの父親が声をかけてくる。
「お互い子供が無事で何よりです。それでは、私たちはこのへんで失礼いたします」
「あ、いえいえ、そんな大したことでも……お?!ばいばい、みさおちゃん」
ばいばいと手を振っているみさおに気づき、そうじろうがばいばいと返す。
そして日下部家の両親が深くお辞儀をして帰っていく。
(親子揃って…か…)
親子4人揃って帰って行く後ろ姿を見つめるまなざしに
羨望と憧れと諦めと悲しみの色が混ざって、なんとも言えない切なさが漂う。

先程からじっと見守っていたみきが
声をかけるタイミングを掴めないでいた。
妻を亡くしたのが何時なのかは判らないが、
少なくともここ3年以内であることは子供を見れば察しがつく。
かといってこちらから聞き出す事柄でもない。
とりあえずはその手の話題に触れないように気をつけるしかない。
「あの…こなたちゃんのお父さんで?」
みきがそうじろうに話しかける。
「え?あっ、はい。そうです。泉そうじろうと申します。
娘がお世話になりまして……なんてお礼を言っていいやら…」
抱っこしているこなたを降ろして、ぺこりとお辞儀をする。
「いえいえ、お礼なんて…毎年、迷子はどうしても出てしまいますから。
こなたちゃんも、一人で泣いている女の子がいるという連絡がありまして
それでここまで…この社務所が迷子保護所も兼ねてるんですよ。
あ、あと、あまり叱らないでやってくださいね。
お父さんの後を付いてて人ごみに揉まれて転んでしまってはぐれたようですので」
さりげに、こなたのフォローを入れて上げる。
「それはもちろん…目を離してしまった自分の責任なんで…」
そうじろうが申し訳無さげに答える。
みきがこなたの目線までしゃがみ込み、頭をなでながら
「よかったわね~お父さんにあえて」
「うん!!」
満面の笑みで答える。
「そいじゃ、失礼します」
「はい、ではお気をつけて」
こなたの手を引きその場を離れようとしたときに、こなたが社務所の奥の方に向かって
「ばいばい~かがみ~つかさ~」
大声でさよならの挨拶をする。
「「ばいばーーい」」
奥から、ひょっこり、丁度こなたくらいの二人の女の子が顔を出す。
「お?なんだ、迷子仲間か?」
そうじろうがこなたにたずねる。
そんなそうじろうに意外な方から答えが返ってくる。
「あっいえ……うちの娘たちです…双子なんですよ。
今年七五三なんでこなたちゃんとは同い年ですね」
こなたを保護してくれたお巫女さん……みきが答える。
「おぉぉ、双子とはこれまた……お巫女さんの娘さんたちでしたか
しかし、子供はすぐに馴染んで友達になっちまいますなぁ~」
「そうですね、ふふ」
「おっと、長居してもいけないな。それでは、お世話になりました」
「いえいえ、お気をつけて」
二人がてくてくと駐輪場の方へと歩いて行くのを見送る。
結局、母親の事を話題にすることはなかった。
それで良かったのだろうと思う。
「お母さん?どうしたの?」
かがみが、どこか悲しげな母親の表情を見て少し心配気味に聞く。
「え?うんん、なんでもないわよ。
お母さん、まだ仕事があるからお姉ちゃん達が来るまでここで待っててね。
それじゃ、お巫女さん達の言うこと聞いていい子でね」
「「はーい」」
そう告げ二人の返事を聞くと、再び本殿の方へと出かけて行った。

駐輪場へ戻る途中にて
「さて、千歳飴でも買って帰るか」
「あめ?あまいヤツ?」
「ああ、そうだ。あの甘いヤツだ。ちょっと面白い仕掛けもあるんだぞ?」
「おもしろいの?」
「ま、帰ってからのおたのしみだ」
「へぇ~おたのしみおたのしみ~♪」
千歳飴も無事購入し、自転車が見えてきた辺りでこなたを引く手が、ガクンッと引っ張られる。
「ん?なんだ?転んだか?」
ふいっとこなたの方を見れば、
うつらうつらと眠りかけで、どうにか立っているという状態になっていた。
「おーおーおー、いろいろあったし、今日はまだお昼寝もしてないしな。よっこらしょっと」
落ちる寸前のこなたを、ひょいっと持ち上げ抱っこする。
抱き上げられたこなたが、そうじろうの首周りにしがみつくようにして抱きつく。
「おと……さ……ん…」
こなたの電池が切れ、そのまま眠りにつく。

夕飯、お風呂と済まし、こなたが寝付いたその夜の仏間にて
ラップトップのワープロを打つのを止め、仏壇のかなたの写真に目を向ける。
「かなた~今日な、こなたの七五三だったんだが、こなた迷子になっちまってな~
大変だったんだよ~誘拐でもされてたらどうしようかと思ったぜ」
仏壇の写真に向けて嬉しそうに話す。
仏壇には千歳飴と早くも現像された今日の七五三の写真が供えられていた。

「おとうさんおしっこ」
寝ぼけたこなたが顔をだす。
「おおっと、はいはい」
トイレを後にして寝室へと戻る途中に
「おとうさんどこにもいかない?」
ふと、こなたがたずねる。
「へ?なんでまた?」
「おひるひとりでさみしかった。ひとりだとやだ」
泣きそうな顔で訴える。
「あ~~ふむふむ、そゆことね。はは、大丈夫。
お父さんはこなたを置いて何処にもいかないさ。
さ、お父さん、まだやることが少しあるから、また先に寝といでな」
そのまま寝室に連れて行こうとするが
「や~~!」
首を横にふり拒否する。
「おとうさんとこにいる!」
「おいおい~(昼間の迷子が相当効いてるなぁこりゃ、ま、続きは明日早く起きてやるか)
ん~~しょうがないな、そいじゃ~お父さんも、もう寝るとしますか」
どこか嬉しそうなそうじろう。
「だっこ~」
珍しく、積極的に甘えてくる。
「よしきた!」
嬉しそうにひょいっと抱き上げる。
こなたがご機嫌で首まわりに抱きつく。
(いつ頃までこうして寄り付いてくれることやら。でもま、そんなのは
もっとずっと先の事だし、今からそんなの考えてもしょうがないしな、ははは)
「こなた…お父さんはどこにも行かないから、大丈夫さ。
おまえは俺の大切な宝物だからな。なにがあってもおまえだけは守るからな」
「んじゃーおとうさんはわたしがまもる!」
「ん~?それはそれは。そいじゃ、もしものときはよろしくな?」
「だいじょーぶ、まーかせて!!」
「はははは、頼もしい限りだな」
寝室に着き、そのまま布団へと直行する。
布団の中で眠りに付くまでの間、今日の出来事を中心に雑談タイムとなる。
次第にこなたのろれつがまわらなくなり、パタリと落ちる。
(いやー電池切れの限界ぎりぎりまで稼働できるなんて、こなた位の小さな子は
ほんと不思議だよな~……しかし、可愛いよなぁ~親バカなんだろうけどさ、
この寝顔はホントに可愛い。すまんな、かなた。この寝顔を独占しちまって。
できることならおまえにも見せてやりたいよ…写真にでも納めて仏壇にでも供えるか
…ただ今日は、ちょっとカメラ取りに行けなさそうなんでまた今度な)
こなたががっちりと腕に抱きついて寝ているので
そのまま、一緒に寝てしまう以外に選択肢が無い。
無理に振りほどけば、いくらでも自由にはなれるのだが
さすがに可哀想でそれは出来ない。
「おとうさん……にひひひ……」
なんの夢か気になる寝言だが、嬉しそうな表情を見るにいい夢なのは間違いない。
「ふぁぁぁぁ……それじゃ、お父さんも寝るとしますか、おやすみこなた」

翌朝、こなたの声で起こされる。
「おとうさん、おとうさん。おきておきて」
「…お……おん?なーん、こなた~?」
「きょうも、しちごさんいこ!!」
「……あははは……いや~~あれは1回キリなんだよ、だから今日はもう行かないんだよ」
「え~~」
こなたが悲しげにぶーたれる。
そうじろうにとってそんなこなたの表情は、心にズサズサと刺さってくる。
「ん~~そうだ、ゆきの所に行くか。ゆいちゃんやゆーちゃんとも最近あってないしな」
何気に代替え案を言ってみる。
「おお!おねーちゃんとゆーちゃんちにいく」
こなたの目がパァーッと輝く。
その顔をみて、よし!、と心で呟く。
「そうと決まれば、さっさと準備するぞーー」
「おうーーー」
やり残した仕事があるが、ええいままよ、と鞄にラップトップワープロを突っ込み、
向こうでやればいいさ、ゆきの家の方が自由になれる確率が高いしなと自分に言い聞かせる。

一通り準備を済ませ、
「いってきまーーーす」
こなたが元気な声を響かせて出て行く。
「いってくるな……ちょっくら留守をよろしくな、かなた」
そうじろうも無人の玄関に向かって声をかける。

「さて行くか。こなた、あーーーーこら走るんじゃ……転けたか…まったく世話の焼ける…」
そして今日もバタバタな一日が始まる。



















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  • 綺麗にまとまった、とても良い
    作品。原作た遜色ないクオリティ! -- チャムチロ (2012-10-08 18:53:10)
  • 俺の両親もこのくらい俺の事を想っててくれてたのかな?


    もし何時か子供を持つ事ができたら、こんな父親になりたい。
    GJ( ^ ^ )/□ -- ユウ (2010-04-14 03:56:16)
  • よつばと!を思い出したw -- 名無しさん (2010-02-16 04:01:11)
  • やっと分かった。

    私は泉家を心から愛していると。 -- 名無しさん (2009-01-16 02:19:26)
  • まさか ここで 幼い頃のみさおが登場するとは…

    とっても あたたまるお話しでした -- ラグ (2009-01-15 12:31:18)

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