「ふぅ……」
初夏に日差しが眩しい休日の午後、私はお父さんとゆーちゃんと一緒にクーラーの効いた居間で小の字になって寝転んでいた。
お昼ごはんの後でお腹がふくれているということもあって、私たちはのんびりまったりとまどろんでいた。
窓からは強めの日光が差し込んでいるが、この心地よさを邪魔するような事はなく、むしろ蝉の鳴き声や風の音と相まってほのぼのとした雰囲気をより強くしていた。
横を見ると、ゆーちゃんは早くもすぅすぅと寝息をたてていて、既に夢の世界の住人となっている。
お父さんもうとうととしはじめていて、ゆーちゃん同様睡魔の誘惑に屈するのは時間の問題と思われる。
どこの家庭にも見られる平和な風景……
私も心地よさに身をまかせて昼寝してしまおうかと目を閉じたときだった。
ふわっと私の身体にタオルケットがかけられた。
あれ?
お父さんもゆーちゃんも寝てるんじゃ……
そう思って目をあけてみると、
「あら、起きちゃった?」
私と同じ色の長い髪と、私そっくりの顔をした女性……
私が小さい頃に死んじゃった、写真でしか見たことのない、私のお母さんがいた。
「おか……」
声を出そうとすると、お母さんは人差し指を唇に当てて、しーっ、っと言って隣を指差した。
見るとお父さんとゆーちゃんにもタオルケットがかけられていて、二人とも気持ちよさそうに眠っていた。
「くすっ、いいこね……」
そう言いながらお母さんは、そっと私の額に手をあてて、子守唄を唄い始めた。
「ねんね~んころりよ おころりよ♪
こなたはよい子だ~ねんねしな~♪」
とたんに強烈な睡魔が私を襲った。
瞼がたちまち重くなり、ゆっくりと閉じていく。
「ぼうやのお守りは どこへ行った♪
あの山こえて 里へ行った♪」
目を閉じると、まだ私が物心つく前のこと。
お母さんがまだ生きていて、私に子守唄を唄ってくれたことがおぼろげな記憶としてよみがえった。
「お……か……ぁ…さ……」
涙が溢れて頬を濡らした。
お母さんは指でそっと涙を拭い、子守唄を続けていく。
「里のみやげに 何もろうた♪
でんでん太鼓に 笙の笛♪」
初夏に日差しが眩しい休日の午後、私はお父さんとゆーちゃんと一緒にクーラーの効いた居間で小の字になって寝転んでいた。
お昼ごはんの後でお腹がふくれているということもあって、私たちはのんびりまったりとまどろんでいた。
窓からは強めの日光が差し込んでいるが、この心地よさを邪魔するような事はなく、むしろ蝉の鳴き声や風の音と相まってほのぼのとした雰囲気をより強くしていた。
横を見ると、ゆーちゃんは早くもすぅすぅと寝息をたてていて、既に夢の世界の住人となっている。
お父さんもうとうととしはじめていて、ゆーちゃん同様睡魔の誘惑に屈するのは時間の問題と思われる。
どこの家庭にも見られる平和な風景……
私も心地よさに身をまかせて昼寝してしまおうかと目を閉じたときだった。
ふわっと私の身体にタオルケットがかけられた。
あれ?
お父さんもゆーちゃんも寝てるんじゃ……
そう思って目をあけてみると、
「あら、起きちゃった?」
私と同じ色の長い髪と、私そっくりの顔をした女性……
私が小さい頃に死んじゃった、写真でしか見たことのない、私のお母さんがいた。
「おか……」
声を出そうとすると、お母さんは人差し指を唇に当てて、しーっ、っと言って隣を指差した。
見るとお父さんとゆーちゃんにもタオルケットがかけられていて、二人とも気持ちよさそうに眠っていた。
「くすっ、いいこね……」
そう言いながらお母さんは、そっと私の額に手をあてて、子守唄を唄い始めた。
「ねんね~んころりよ おころりよ♪
こなたはよい子だ~ねんねしな~♪」
とたんに強烈な睡魔が私を襲った。
瞼がたちまち重くなり、ゆっくりと閉じていく。
「ぼうやのお守りは どこへ行った♪
あの山こえて 里へ行った♪」
目を閉じると、まだ私が物心つく前のこと。
お母さんがまだ生きていて、私に子守唄を唄ってくれたことがおぼろげな記憶としてよみがえった。
「お……か……ぁ…さ……」
涙が溢れて頬を濡らした。
お母さんは指でそっと涙を拭い、子守唄を続けていく。
「里のみやげに 何もろうた♪
でんでん太鼓に 笙の笛♪」
目が覚めたとき、もちろんお母さんはいなかった。
でも、私たちにかけられたタオルケットが、それは夢ではなかった事を物語っていた。
でも、私たちにかけられたタオルケットが、それは夢ではなかった事を物語っていた。
「どう思う?ゆーちゃん」
その夜、私はこのことをゆーちゃんに話してみた。
「もちろん、かなたさんがお姉ちゃんに会いに来てくれたんだよ」
意外にも、ゆーちゃんははっきりと言い切った。
「お姉ちゃん、今日は親子の日だってこと、知ってる?」
「親子の日?」
「うん。7月26日は親子の日なんだ。
親と子の関係を見つめ、生をうけたことを感謝できる社会を築こうと、長年親子の姿を撮影し続けてきた写真家のブルース・オズボーン氏と井上佳子氏が提案して生まれた日なの。5月の第2日曜日が『母の日』、6月の第3日曜日が『父の日』であることから、7月の第4日曜日をその記念日としたんだって」
「へぇ~」
「それとね、今日は幽霊の日でもあるの。
1825年(文政8年)の今日、日本の代表的な怪談ばなし、鶴屋南北の作とされる『東海道四谷怪談』が江戸・中村座で初演されたことに由来するんだ。今でも、四谷怪談が演じられるとケガ人が出るとの言い伝えがあり、関係者は必ず四谷・左門町のお岩稲荷にお参りするのだとか。
つまり、幽霊の日ということでかなたさんはこっちの世界にくることができて、お姉ちゃんと親子の日を過ごしたいって思ったんだよ」
「そっか……なんかすごい説得力あるなー」
そう言うと私はゆーちゃんに背をむけて大きく背伸びした。
涙ぐんでるのを、悟られないために。
額にはまだお母さんの手のぬくもりが残っていて、油断すると寂しさがこみ上げてきてしまうのだ。
「ぐすっ……」
「お姉ちゃん……」
不覚にも嗚咽が漏れてしまい、ゆーちゃんに聞かれてしまう。
「あはは……そだ、今の話お父さんにもしてあげてよ。親子の日だから、お父さんも仲間に入れてあげないとね」
「そ、そうだね!」
言いながら私とゆーちゃんは今を出てリビングへ向かった。
(お母さん。来てくれてありがとう。私、幸せだよ。家にはお父さんもゆーちゃんもいるし、学校に行けばかがみやつかさ、みゆきさんがいる。大好きな友人に囲まれて、楽しくすごしてるよ。だから安心して、これからも見守っていてね。お母さん)
その夜、私はこのことをゆーちゃんに話してみた。
「もちろん、かなたさんがお姉ちゃんに会いに来てくれたんだよ」
意外にも、ゆーちゃんははっきりと言い切った。
「お姉ちゃん、今日は親子の日だってこと、知ってる?」
「親子の日?」
「うん。7月26日は親子の日なんだ。
親と子の関係を見つめ、生をうけたことを感謝できる社会を築こうと、長年親子の姿を撮影し続けてきた写真家のブルース・オズボーン氏と井上佳子氏が提案して生まれた日なの。5月の第2日曜日が『母の日』、6月の第3日曜日が『父の日』であることから、7月の第4日曜日をその記念日としたんだって」
「へぇ~」
「それとね、今日は幽霊の日でもあるの。
1825年(文政8年)の今日、日本の代表的な怪談ばなし、鶴屋南北の作とされる『東海道四谷怪談』が江戸・中村座で初演されたことに由来するんだ。今でも、四谷怪談が演じられるとケガ人が出るとの言い伝えがあり、関係者は必ず四谷・左門町のお岩稲荷にお参りするのだとか。
つまり、幽霊の日ということでかなたさんはこっちの世界にくることができて、お姉ちゃんと親子の日を過ごしたいって思ったんだよ」
「そっか……なんかすごい説得力あるなー」
そう言うと私はゆーちゃんに背をむけて大きく背伸びした。
涙ぐんでるのを、悟られないために。
額にはまだお母さんの手のぬくもりが残っていて、油断すると寂しさがこみ上げてきてしまうのだ。
「ぐすっ……」
「お姉ちゃん……」
不覚にも嗚咽が漏れてしまい、ゆーちゃんに聞かれてしまう。
「あはは……そだ、今の話お父さんにもしてあげてよ。親子の日だから、お父さんも仲間に入れてあげないとね」
「そ、そうだね!」
言いながら私とゆーちゃんは今を出てリビングへ向かった。
(お母さん。来てくれてありがとう。私、幸せだよ。家にはお父さんもゆーちゃんもいるし、学校に行けばかがみやつかさ、みゆきさんがいる。大好きな友人に囲まれて、楽しくすごしてるよ。だから安心して、これからも見守っていてね。お母さん)
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- みw(ry -- 名無しさん (2009-07-28 15:39:29)
- 親子の日とか幽霊の日とか、知っている人は果たしてどれくらいいるだろうか?
皆さんの、こういう感じのさり気無い博識さには、僕は何度も驚かされるよ。
少なくとも僕にはできないことだからね。 -- 病院坂黒猫 (2009-07-27 23:24:18)