―――お母さん
何度も何度も夢の中で呼んだ
―――お母さん
朧気だけど、すごく…すごく暖かかったのは覚えている
―――お母さん
届くはずもないのに手を伸ばした
―――お母さん
いるはずもないのに話しかけた
―――お母さん
―――……
何度も何度も考えた
――どうして私には
――お母さんがいないんだろうと
――お母さんがいないんだろうと
「……はぁ」
5月10日
今日は私にとって、とても憂鬱な日だ。
5月10日
今日は私にとって、とても憂鬱な日だ。
今日は学校で模試があるので、今私達は学校へ向かっている。
「今日、私お母さんにカーネーションあげようとおもうんだけど……どうかな、お姉ちゃん?」
「まあ、それが定番かもね。でも折角だから二人でお金出し合って少しいいものでも買わない?」
「あ、それいいかも♪さすがお姉ちゃんだね……でもお母さんの喜ぶものってなんだろ?」
「ん~……そうねぇ……」
「まあ、それが定番かもね。でも折角だから二人でお金出し合って少しいいものでも買わない?」
「あ、それいいかも♪さすがお姉ちゃんだね……でもお母さんの喜ぶものってなんだろ?」
「ん~……そうねぇ……」
「……」
二人のそんな会話をBGMに、一人考え込む私……
お母さんの話……
物心ついた頃にはお父さんしかいなかった私にとって
それは興味のある話ではあるけれど……同時に
お母さんという単語を聞いただけで、体の真ん中に穴が開いたような感覚に見舞われる。
お母さんの話……
物心ついた頃にはお父さんしかいなかった私にとって
それは興味のある話ではあるけれど……同時に
お母さんという単語を聞いただけで、体の真ん中に穴が開いたような感覚に見舞われる。
お父さんとお母さんてやっぱり違うのかなぁ?
うちのお父さんは「優しい」けど、やっぱりお母さんの「やさしい」とは違うのかなぁ?
そんなことを無意識に考えた……
うちのお父さんは「優しい」けど、やっぱりお母さんの「やさしい」とは違うのかなぁ?
そんなことを無意識に考えた……
お母さんと子供は最初一本の糸で繋がっている。
お母さんは赤ちゃんをやさしく包んで
赤ちゃんはそのおかげで、安心して「そこ」にいられる。
子供にとってお母さんは
お母さんは赤ちゃんをやさしく包んで
赤ちゃんはそのおかげで、安心して「そこ」にいられる。
子供にとってお母さんは
……自分の居場所
それじゃあ
――私の居場所は?
自分の部屋?秋葉原?ネット世界?お父さんの傍?ゆーちゃんやゆいねーさんの隣?
……それとも
……それとも
「こなちゃん?」
自分の世界に漬かっていたら、ふと自分に声が投げかけられた。
声の聞こえた方に目だけを向ける。
黄色いリボンを結った薄紫色の髪の……垂れ目の女の子。
眉毛をハの字に曲げたつかさが心配そうにこちらを覗き込んでいる。
声の聞こえた方に目だけを向ける。
黄色いリボンを結った薄紫色の髪の……垂れ目の女の子。
眉毛をハの字に曲げたつかさが心配そうにこちらを覗き込んでいる。
「大丈夫?なんだか元気がないみたいだけど……あ……」
不意に普段からよく聞く、ちょっと不安が入り混じった声に変わる。
「ご、ごめんね?こなちゃん、お母さんいないのに…こんな話ばかりして…」
……何気に鋭いんだよねつかさって。
本当に心配性だなぁ……あーもうそんなにうるうるしないでよ
本当に心配性だなぁ……あーもうそんなにうるうるしないでよ
「別にそんなことで落ち込んでたわけじゃないよ、つかさ♪」
―――作り笑い
これももう慣れた、いや別にいつも作り笑いをしているわけじゃないんだけど……
私の場合常時笑ってないと辛気臭い顔になっちゃうからね
まあその性で軽いやつだと思われることも多いんだけど……ね……
これももう慣れた、いや別にいつも作り笑いをしているわけじゃないんだけど……
私の場合常時笑ってないと辛気臭い顔になっちゃうからね
まあその性で軽いやつだと思われることも多いんだけど……ね……
「どーせあんたのことだから、ネットゲームとかで寝不足なんでしょ?」
逆から聞こえたツンとした声。
その方向に顔を向ける。
2つの黒っぽいリボンで頭の両端を結び薄紫色の髪を2つに分けた……つり目の女の子。
声の主は、そんな憎まれ口をたたきながらもどこか心配しているような、呆れているような
なんだかよく分からない顔でこちらを見ていた。
その方向に顔を向ける。
2つの黒っぽいリボンで頭の両端を結び薄紫色の髪を2つに分けた……つり目の女の子。
声の主は、そんな憎まれ口をたたきながらもどこか心配しているような、呆れているような
なんだかよく分からない顔でこちらを見ていた。
「まあ……ね」
「……ん?」
「……ん?」
しまった……
ちょっと今の気持ちが声に出ちゃった
かがみが変な顔してるよ……フォロー入れとかなきゃ。
ちょっと今の気持ちが声に出ちゃった
かがみが変な顔してるよ……フォロー入れとかなきゃ。
「いやぁ~パーティー組んでたみんなが異様にテンション高くてさ~
それに付き合っていたらいつの間にか朝の5時半ですよ」
「あんた……少しは学ぶということをしたらどうなの?」
「いやいやかがみんや、たとえネット上といえど人間関係の持続というものは重要なんだよ?」
「はいはい分かったわよ、御託はもういいから」
それに付き合っていたらいつの間にか朝の5時半ですよ」
「あんた……少しは学ぶということをしたらどうなの?」
「いやいやかがみんや、たとえネット上といえど人間関係の持続というものは重要なんだよ?」
「はいはい分かったわよ、御託はもういいから」
むぅ~……なんだか馬鹿にされた感がありますな……まあいつものことか
なんとかごまかせたみたいだし、気をつけなきゃ……
なんとかごまかせたみたいだし、気をつけなきゃ……
何のかんの言ってかがみんもかなりの心配性だし
というかうちのグループはみんな心配性があるんだよね……
周りに気を配れるっていうのは悪いことじゃないんだけど……
でも私にすれば結構、疲れるわけで。
というかうちのグループはみんな心配性があるんだよね……
周りに気を配れるっていうのは悪いことじゃないんだけど……
でも私にすれば結構、疲れるわけで。
……今日一日感づかれないように気をつけよう。
心配……かけるわけにはいかないしね 。
心配……かけるわけにはいかないしね 。
慣れた道を三人で並んで歩く。
まだ5月だというのに、この人込みのせいで蒸し暑く感じた。
両隣の友達も、時折深い息を吐いているようだ。
車、電車、足音、話し声……いろいろ混ざり合った音が
耳から入り脳を揺さぶる……うっとおしい……
まだ5月だというのに、この人込みのせいで蒸し暑く感じた。
両隣の友達も、時折深い息を吐いているようだ。
車、電車、足音、話し声……いろいろ混ざり合った音が
耳から入り脳を揺さぶる……うっとおしい……
……本当は今日、さぼっちゃおうかと思った。
五月病+母の日というダブルのマイナスベクトルが働いて
学校どころか今日一日なにもしたくなかった。
それなのにお父さんときたら……
五月病+母の日というダブルのマイナスベクトルが働いて
学校どころか今日一日なにもしたくなかった。
それなのにお父さんときたら……
『今日は母の日なんだし、今日一日くらいこなたの元気な姿を
天国のかなたに見せてあげてくれ』
天国のかなたに見せてあげてくれ』
『それがかなたにとって最高の……
母の日のプレゼントなんだから……な?』
……あんなこと言われたら……だらだらしていられないじゃないか。
――あ
思い出したら……なんだか元気出てきた、かも?
思い出したら……なんだか元気出てきた、かも?
「……うむ」
「?……こなた?」
「どうしたのこなちゃん?」
「しゃあないなぁ~」
「?……こなた?」
「どうしたのこなちゃん?」
「しゃあないなぁ~」
なんだか二人ともきょとんとしいてる。
そりゃあいきなりこんな言葉を発せられても何がなんだか分からないよね。
そりゃあいきなりこんな言葉を発せられても何がなんだか分からないよね。
「さあ諸君!あの夕日に向かって走ろうじゃないか!」
「いきなりなんなんだ……諸君って私とつかさしかいないじゃない!ていうかまだ朝だっての!」
「ちっちっち、理屈じゃないんだよかがみん……感じるのさ!!」
クルリと向きを変え
思いっきり地面を蹴る。
「意味わかんないわよ!」
「こ、こなちゃん!お姉ちゃん!待ってよぉ~!」
「いきなりなんなんだ……諸君って私とつかさしかいないじゃない!ていうかまだ朝だっての!」
「ちっちっち、理屈じゃないんだよかがみん……感じるのさ!!」
クルリと向きを変え
思いっきり地面を蹴る。
「意味わかんないわよ!」
「こ、こなちゃん!お姉ちゃん!待ってよぉ~!」
いきなり全力疾走。
体を動かすのは疲れるから嫌いだけど……たまにはこういうのもいいかもしれない。
頬をなでる風が気持ちいい……
後ろからなんとか追いつこうと必死な顔のかがみ。
ちょ……その顔は女の子としてどうかと思いますよかがみさん。
そして完全に置いてけぼりをくらったつかさ。
涙目だ…そのくらいで泣くんじゃありません。
体を動かすのは疲れるから嫌いだけど……たまにはこういうのもいいかもしれない。
頬をなでる風が気持ちいい……
後ろからなんとか追いつこうと必死な顔のかがみ。
ちょ……その顔は女の子としてどうかと思いますよかがみさん。
そして完全に置いてけぼりをくらったつかさ。
涙目だ…そのくらいで泣くんじゃありません。
「つかまえてごら~~~~~~~~~~ん!!」
「だああああ!恥ずかしいから叫ぶなあああああ!」
「ま……ま、待っ……て、お姉ちゃん……こなちゃん……ゼエゼエ」
「だああああ!恥ずかしいから叫ぶなあああああ!」
「ま……ま、待っ……て、お姉ちゃん……こなちゃん……ゼエゼエ」
――お母さん
見てくれていますか?
――お母さん
私はどうしようもない馬鹿で、いつも1人でつっぱしって
周りの皆を巻き込んでばかり―――
周りの皆を巻き込んでばかり―――
「つっ捕まえた!!」
考え事をしていて、気づいたら追いついたかがみんにしっかりと肩を掴まれていた
「うおお!?まさかこの私が捕まるとは……はぁ、これで私はかがみのものだね」
「な!ば、馬鹿なこと言うな!」
そう言いながらも少しだけ頬を染めるかがみ。
「お父さんお母さん……こなたは……かがみのところに行きます……あふん」
「うおお!?まさかこの私が捕まるとは……はぁ、これで私はかがみのものだね」
「な!ば、馬鹿なこと言うな!」
そう言いながらも少しだけ頬を染めるかがみ。
「お父さんお母さん……こなたは……かがみのところに行きます……あふん」
とかなんとか言って目を潤ませる
……自然とお母さんと言う単語が出てきたのは、なんでだろう……
……自然とお母さんと言う単語が出てきたのは、なんでだろう……
「う、うう、うううるさい!!恥ずかしいからやめなさい!!」
「ま……待ってぇ~~~~ゼエゼエ」
「ま……待ってぇ~~~~ゼエゼエ」
――でもねお母さん
私の周りには、そんな私を受け入れてくれて…
一人でどんなにつっぱしっても、追いかけてきてくれて…
ちゃんと捕まえていてくれる、そんなかけがえのない人たちがいてくれるよ。
一人でどんなにつっぱしっても、追いかけてきてくれて…
ちゃんと捕まえていてくれる、そんなかけがえのない人たちがいてくれるよ。
――いつも、少し……ほんの少し離れたところからやさしく
見守っていてくれるみゆきさん
見守っていてくれるみゆきさん
――怖がりで、涙もろくて、どじっぽくて放って置けなくて
いっしょにいるとどこか暖かくなるつかさ
いっしょにいるとどこか暖かくなるつかさ
――いつもきついこといって私に突っ込みをいれてくるんだけど…
本当はすごくやさしくてどうしようもなく心配性で世話焼きで
誰よりも私のことを見ていてくれるかがみ
本当はすごくやさしくてどうしようもなく心配性で世話焼きで
誰よりも私のことを見ていてくれるかがみ
そりゃあちょっとやりすぎて3人から非難が轟々ってときもあるけれど…
最後にはちゃんと…やさしく包み込んでくれる。
最後にはちゃんと…やさしく包み込んでくれる。
――『私の居場所』
やっとみつけた――居心地のいい場所。
いっしょにいるだけで幸せな気分になれる所。
いっしょにいるだけで幸せな気分になれる所。
ときどき馬鹿もやっちゃうけれど
――お母さん
私……大丈夫だから
――お母さん
――ずっと笑って見守っていてください
「よお~~~~しこのまま学校までダッシュだああああああああ!!」
「ちょ!!バスがあるでしょバスが!!……ってかこの突っ込みもなんかおかしい気が」
「待ってよぉ~~~~」
「ちょ!!バスがあるでしょバスが!!……ってかこの突っ込みもなんかおかしい気が」
「待ってよぉ~~~~」
空を見上げる。
大空のかなたに浮かぶ小さな雲が……少し……ほんの少しだけ……
笑顔で手を振るお母さんに見えた。
笑顔で手を振るお母さんに見えた。

【 fin 】
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- 絵がいいなぁ・・・
-- 名無しさん (2010-10-24 10:50:11) - こなたに幸せあれぇぇぇぇ〜〜〜〜〜(絶叫)
7-896殿はらき☆すたスレで間違いなく5本の指に入る実力の持ち主だと、改めて思いました -- にゃあ (2008-09-16 05:40:30) - GJ!死ぬほど感動した!!
絵もいい感じ! -- 将来ニートになるかも (2007-10-05 22:46:10) - 感動した! -- namu (2007-10-05 06:28:12)
- こなフェチシリーズの作者とは思えないくらい感動系作品だった件について
GJ(TдT) -- 名無しさん (2007-10-04 22:45:13)
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