kairakunoza @ ウィキ

お父さん大好き

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だれでも歓迎! 編集
 日中の暑さが和らいできた午後。蝶番が軋み、靴底が三和土に当たる音が玄関に響く。
 何者かがこの家に進入したようだ。
 誰だ……!?
 足音のメトロノームは、ゆったりしたテンポを刻みながらリビングへ接近する。
 残り数拍で、二人は出会ってしまう。
 座った状態のまま、全神経と視界を廊下へ向ける。
 姿を現したのは――
「お父さん、ただいま~」
 ――オレの愛娘だった。
「こなたか。おかえり」
 亡き妻そっくりの容姿をしているが、中身はオレと同じオヤジだ。
 今日もアニメショップに行ってきたのだろう。手に青いビニル袋を提げている。
「想定外の出費と戦利品があって大変だったよ~。
 あれ? お父さんがジグソーパズルやるなんて珍しいね」
 机上に散らばる紫や灰色の欠片を見て言った。
「これか。ゲームの特典でついてきたんで、ちょっとした息抜きにな……」
 封は切ってあるものの、パネルにはまだ絵が浮び上っていない。
 袋の中にあるピースは五百。どこから手をつけていいのやら、さっぱりだった。
「……ねえ、このパズルなんだけど、私も手伝っていい?」
「おお、いいぞ。むしろそのほうが助かる」
「ありがと。じゃあ、そのかわり、と言っちゃアレだけど……」
「なんだ?」
「このゲーム、お父さんがやる前に少し貸してくれない?」
 そうきたか……。だが、特に断る理由も特にないので了承する。
「いいだろう。手伝ってくれるお礼だ」
「本当!? お父さん、大好き! じゃあゆーちゃんも呼んでくるね」
 そう言うと、こなたはすぐに居なくなってしまった。
 オトウサン、ダイスキ……。
 嗚呼、なんとすばらしい響き。
 嗚呼、なんと心にしみる響き。
 確信。
 やっぱりオレは勝ち組だった。




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  • そうじろうになりたい -- 名無しさん (2008-08-15 07:24:17)
  • ちょwww短いなwwwww -- 名無しさん (2007-10-07 20:46:32)
  • ワロタw -- 名無しさん (2007-08-08 23:36:09)
  • それだけか -- 名無しさん (2007-08-08 21:57:52)

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