日中の暑さが和らいできた午後。蝶番が軋み、靴底が三和土に当たる音が玄関に響く。
何者かがこの家に進入したようだ。
誰だ……!?
足音のメトロノームは、ゆったりしたテンポを刻みながらリビングへ接近する。
残り数拍で、二人は出会ってしまう。
座った状態のまま、全神経と視界を廊下へ向ける。
姿を現したのは――
「お父さん、ただいま~」
――オレの愛娘だった。
「こなたか。おかえり」
亡き妻そっくりの容姿をしているが、中身はオレと同じオヤジだ。
今日もアニメショップに行ってきたのだろう。手に青いビニル袋を提げている。
「想定外の出費と戦利品があって大変だったよ~。
あれ? お父さんがジグソーパズルやるなんて珍しいね」
机上に散らばる紫や灰色の欠片を見て言った。
「これか。ゲームの特典でついてきたんで、ちょっとした息抜きにな……」
封は切ってあるものの、パネルにはまだ絵が浮び上っていない。
袋の中にあるピースは五百。どこから手をつけていいのやら、さっぱりだった。
「……ねえ、このパズルなんだけど、私も手伝っていい?」
「おお、いいぞ。むしろそのほうが助かる」
「ありがと。じゃあ、そのかわり、と言っちゃアレだけど……」
「なんだ?」
「このゲーム、お父さんがやる前に少し貸してくれない?」
そうきたか……。だが、特に断る理由も特にないので了承する。
「いいだろう。手伝ってくれるお礼だ」
「本当!? お父さん、大好き! じゃあゆーちゃんも呼んでくるね」
そう言うと、こなたはすぐに居なくなってしまった。
オトウサン、ダイスキ……。
嗚呼、なんとすばらしい響き。
嗚呼、なんと心にしみる響き。
確信。
やっぱりオレは勝ち組だった。
何者かがこの家に進入したようだ。
誰だ……!?
足音のメトロノームは、ゆったりしたテンポを刻みながらリビングへ接近する。
残り数拍で、二人は出会ってしまう。
座った状態のまま、全神経と視界を廊下へ向ける。
姿を現したのは――
「お父さん、ただいま~」
――オレの愛娘だった。
「こなたか。おかえり」
亡き妻そっくりの容姿をしているが、中身はオレと同じオヤジだ。
今日もアニメショップに行ってきたのだろう。手に青いビニル袋を提げている。
「想定外の出費と戦利品があって大変だったよ~。
あれ? お父さんがジグソーパズルやるなんて珍しいね」
机上に散らばる紫や灰色の欠片を見て言った。
「これか。ゲームの特典でついてきたんで、ちょっとした息抜きにな……」
封は切ってあるものの、パネルにはまだ絵が浮び上っていない。
袋の中にあるピースは五百。どこから手をつけていいのやら、さっぱりだった。
「……ねえ、このパズルなんだけど、私も手伝っていい?」
「おお、いいぞ。むしろそのほうが助かる」
「ありがと。じゃあ、そのかわり、と言っちゃアレだけど……」
「なんだ?」
「このゲーム、お父さんがやる前に少し貸してくれない?」
そうきたか……。だが、特に断る理由も特にないので了承する。
「いいだろう。手伝ってくれるお礼だ」
「本当!? お父さん、大好き! じゃあゆーちゃんも呼んでくるね」
そう言うと、こなたはすぐに居なくなってしまった。
オトウサン、ダイスキ……。
嗚呼、なんとすばらしい響き。
嗚呼、なんと心にしみる響き。
確信。
やっぱりオレは勝ち組だった。
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- そうじろうになりたい -- 名無しさん (2008-08-15 07:24:17)
- ちょwww短いなwwwww -- 名無しさん (2007-10-07 20:46:32)
- ワロタw -- 名無しさん (2007-08-08 23:36:09)
- それだけか -- 名無しさん (2007-08-08 21:57:52)