放課後、かがみはこなたたちと帰ろうと、Β組にやってきた。
「おーす。一緒に帰ろう……おや?」
「~♪」
その時、こなたが歌を歌いながら、ノートを見ていた。
「珍しいわね、あんたが勉強してるなんて」
かがみがノートを横から覗くと、英文と和訳が書いてあるのが見えた。
「こなちゃん、ついにやる気になったんだね」
つかさがこなたに負けるものか、と気合いを入れている。
「ふっふっふ。今回の私はひと味違うよ」
「よーし。私も負けないようにがんばるぞー」
つかさがやる気になるのは良いが、こなたの方は何かがひっかかる。
かがみはそれを見つけようと、再びノートを見ようとした。
その時、同じように覗きこんでいたみゆきが、かがみを呼んだ。
「? かがみさん、この英文……どういう意味でしょうか」
「え? なになに……」
かがみは、みゆきが指さした英文に目を通す。
『No one needs the green member.』
「――緑の子はいらない子? ……何コレ」
かがみは和訳を読み上げ、怪訝な顔でこなたを見た。
こなたは、そんなかがみを気にする事なく答える。
「ん。コレは『もえたん』だよ」
「『もえたん』、ですか?」
みゆきが鸚鵡返しにこなたに問う。
「そ。『萌える英単語』略して『もえたん』だよ」
無い胸を張って、こなたは答えた。
かがみの覚えた違和感の原因はこれだったのだ。
「勉強じゃないのかよっ!」
かがみは全力で突っ込む。勉強と言えなくは無いが、何か違うだろう。
「どういう意味なのでしょうか?」
そんなかがみとは関係なく、みゆきはこなたに意味を聞いている。
「みゆき……」
かがみは気勢をそがれてしまい、思わず肩を落とした。
「アニメや特撮で、緑色のキャラの影が薄かったり、空気だったりする事が多いから、そう言われるんだよ」
「聞いてるのはそっちじゃないだろ」
疲れた突っ込みをいれるかがみとは対照的に、
「そうなんですか。勉強になりました」
「へー、そうなんだ」
みゆきとつかさは関心していた。
「それ勉強になるのかよ……」
かがみは呆れながらも突っ込んだが、答えは思わぬ方から返ってきた。
「『好きこそ物の上手なれ』と言いますし、泉さんならきっとやりとげますよ」
「あー。確かにこなたならやりかねんなあ」
かがみはみゆきの言葉に同意した。
『下手の横好き』だと言いたかったが、こなたは興味のある物が絡むと、
普段では考えられない程の能力を発揮するのだ。
「こんどのテストに期待してくれたまえー」
こなたは既に勝利を確信しているようだ。
「あーはいはい。がんばってね」
「んー。かがみ、信用してないな」
「出来るかよ」
投げやりなかがみにこなたが絡む。いつものやりとりである。
だがそのやりとりの影で、ある事件が起きていたのだ。
「おーす。一緒に帰ろう……おや?」
「~♪」
その時、こなたが歌を歌いながら、ノートを見ていた。
「珍しいわね、あんたが勉強してるなんて」
かがみがノートを横から覗くと、英文と和訳が書いてあるのが見えた。
「こなちゃん、ついにやる気になったんだね」
つかさがこなたに負けるものか、と気合いを入れている。
「ふっふっふ。今回の私はひと味違うよ」
「よーし。私も負けないようにがんばるぞー」
つかさがやる気になるのは良いが、こなたの方は何かがひっかかる。
かがみはそれを見つけようと、再びノートを見ようとした。
その時、同じように覗きこんでいたみゆきが、かがみを呼んだ。
「? かがみさん、この英文……どういう意味でしょうか」
「え? なになに……」
かがみは、みゆきが指さした英文に目を通す。
『No one needs the green member.』
「――緑の子はいらない子? ……何コレ」
かがみは和訳を読み上げ、怪訝な顔でこなたを見た。
こなたは、そんなかがみを気にする事なく答える。
「ん。コレは『もえたん』だよ」
「『もえたん』、ですか?」
みゆきが鸚鵡返しにこなたに問う。
「そ。『萌える英単語』略して『もえたん』だよ」
無い胸を張って、こなたは答えた。
かがみの覚えた違和感の原因はこれだったのだ。
「勉強じゃないのかよっ!」
かがみは全力で突っ込む。勉強と言えなくは無いが、何か違うだろう。
「どういう意味なのでしょうか?」
そんなかがみとは関係なく、みゆきはこなたに意味を聞いている。
「みゆき……」
かがみは気勢をそがれてしまい、思わず肩を落とした。
「アニメや特撮で、緑色のキャラの影が薄かったり、空気だったりする事が多いから、そう言われるんだよ」
「聞いてるのはそっちじゃないだろ」
疲れた突っ込みをいれるかがみとは対照的に、
「そうなんですか。勉強になりました」
「へー、そうなんだ」
みゆきとつかさは関心していた。
「それ勉強になるのかよ……」
かがみは呆れながらも突っ込んだが、答えは思わぬ方から返ってきた。
「『好きこそ物の上手なれ』と言いますし、泉さんならきっとやりとげますよ」
「あー。確かにこなたならやりかねんなあ」
かがみはみゆきの言葉に同意した。
『下手の横好き』だと言いたかったが、こなたは興味のある物が絡むと、
普段では考えられない程の能力を発揮するのだ。
「こんどのテストに期待してくれたまえー」
こなたは既に勝利を確信しているようだ。
「あーはいはい。がんばってね」
「んー。かがみ、信用してないな」
「出来るかよ」
投げやりなかがみにこなたが絡む。いつものやりとりである。
だがそのやりとりの影で、ある事件が起きていたのだ。
3年Β組の教室前、ゆたか達もこなた達と合流するため、やってきていた。
「へー。そんなのがあるんだ」
「でもかがみ先輩の言う通り、勉強にはならないと思うなあ」
廊下でこなたの話を聞いていたゆたかとひよりが、感想を述べていた。
「みなみちゃんはどう思う? ……あれ?」
ゆたかがみなみに話を振ろうとしたが、様子がおかしい。
「岩崎さん、どうしたの?」
ひよりもみなみの様子がおかしい事に気づき、声を掛けた。
「……私は……いらない子?」
みなみがショックを受け、佇んでいる。顔色も心なしか青かった。
「みなみちゃんがいらない子だなんて、絶対無いっ!」
「そうだよ。どうして突然そんな……あ、もしかして」
ゆたかとひよりが全力で否定をする。そんな中、ひよりがある可能性に気づいた。
「もしかして岩崎さん、『緑の子はいらない子』ってのを気にしているの?」
先ほどの会話から考えられるのはそれしか無かったからだ。
「……」
みなみは無言で頷いた。
緑色が好きであり、自らも緑の髪色を持つみなみからすれば、自分を否定されたかの様に思えたのだ。
「へー。そんなのがあるんだ」
「でもかがみ先輩の言う通り、勉強にはならないと思うなあ」
廊下でこなたの話を聞いていたゆたかとひよりが、感想を述べていた。
「みなみちゃんはどう思う? ……あれ?」
ゆたかがみなみに話を振ろうとしたが、様子がおかしい。
「岩崎さん、どうしたの?」
ひよりもみなみの様子がおかしい事に気づき、声を掛けた。
「……私は……いらない子?」
みなみがショックを受け、佇んでいる。顔色も心なしか青かった。
「みなみちゃんがいらない子だなんて、絶対無いっ!」
「そうだよ。どうして突然そんな……あ、もしかして」
ゆたかとひよりが全力で否定をする。そんな中、ひよりがある可能性に気づいた。
「もしかして岩崎さん、『緑の子はいらない子』ってのを気にしているの?」
先ほどの会話から考えられるのはそれしか無かったからだ。
「……」
みなみは無言で頷いた。
緑色が好きであり、自らも緑の髪色を持つみなみからすれば、自分を否定されたかの様に思えたのだ。
「みなみちゃんは気にし過ぎだよ」
ゆたかはみなみの右手を、そっと祈るような仕草で握る。
「私はいつもみなみちゃんに元気を貰っているよ。他の誰が何て言っても、
私はみなみちゃんが大切なの」
「ゆたか……」
手のひらから、ゆたかの温もりが伝わってくる。
ゆたかの真っ直ぐな言葉と気持ちに、みなみは感謝した。
「そうっスよ! 緑はいらなくなんかないっス! 縁の下の力持ち、いぶし銀の魅力。
それが解らないなんて、モグリっス、素人っス!」
ひよりは興奮しすぎて、所謂『オタク喋り』になっていた。
「……」
ひよりが何を言っているか、みなみにはわからないが、みなみを想っての発言であろう。
ちょっと困った表情のみなみに気づいたのか、ひよりがいつもの話し方に戻った。
「……それに私も知ってるよ。岩崎さんはみんなをよく見ているって。それはきっと
小早川さんが一番よく知ってる」
ひよりがみなみの空いている左手を優しく握った。
「……ありがとう……」
とても暖かい。それは手のひらの温もりよりももっと深い、胸の奥から感じられる温もりだ。
感情を表すのが苦手で、怖がられた事のあるみなみにとって、先ほどの『いらない子』
という言葉はとても怖かったのだ。
でも、もう一人では無かった。自分の事を解ってくれる、大切な友達がいる。
「……ゆたか、田村さん」
高校に入って初めての友達。優しく側で笑ってくれるゆたか。
ちょっと暴走しがちだけど、見守ってくれているひより。
「……ありがとう、もう大丈夫……」
ゆっくりと二人を見ながら、みなみはお礼を言った。
「よかった。みなみちゃんが元気ないと、私も元気じゃなくなっちゃうよ」
ゆたかが屈託なく笑う。
「そうそう、二人一緒が一番だよ」
ひよりも優しく笑っていた。
「……」
みなみの顔が熱くなってきた。今、二人につられて笑えているのに気づいたのだ。
「みなみちゃん、行こうか」
ゆたかがみなみの右手側に、
「そうだね、そろそろ先輩達の話も終わってるだろうし」
ひよりがみなみの左手側に、手を繋いだまま教室へ向かっていく。
普段はゆたかを中心にいる事が多いが、今はみなみを中心としていた。
「……うん……」
友達との絆を感じながら、みなみは教室へと歩いていった。
ゆたかはみなみの右手を、そっと祈るような仕草で握る。
「私はいつもみなみちゃんに元気を貰っているよ。他の誰が何て言っても、
私はみなみちゃんが大切なの」
「ゆたか……」
手のひらから、ゆたかの温もりが伝わってくる。
ゆたかの真っ直ぐな言葉と気持ちに、みなみは感謝した。
「そうっスよ! 緑はいらなくなんかないっス! 縁の下の力持ち、いぶし銀の魅力。
それが解らないなんて、モグリっス、素人っス!」
ひよりは興奮しすぎて、所謂『オタク喋り』になっていた。
「……」
ひよりが何を言っているか、みなみにはわからないが、みなみを想っての発言であろう。
ちょっと困った表情のみなみに気づいたのか、ひよりがいつもの話し方に戻った。
「……それに私も知ってるよ。岩崎さんはみんなをよく見ているって。それはきっと
小早川さんが一番よく知ってる」
ひよりがみなみの空いている左手を優しく握った。
「……ありがとう……」
とても暖かい。それは手のひらの温もりよりももっと深い、胸の奥から感じられる温もりだ。
感情を表すのが苦手で、怖がられた事のあるみなみにとって、先ほどの『いらない子』
という言葉はとても怖かったのだ。
でも、もう一人では無かった。自分の事を解ってくれる、大切な友達がいる。
「……ゆたか、田村さん」
高校に入って初めての友達。優しく側で笑ってくれるゆたか。
ちょっと暴走しがちだけど、見守ってくれているひより。
「……ありがとう、もう大丈夫……」
ゆっくりと二人を見ながら、みなみはお礼を言った。
「よかった。みなみちゃんが元気ないと、私も元気じゃなくなっちゃうよ」
ゆたかが屈託なく笑う。
「そうそう、二人一緒が一番だよ」
ひよりも優しく笑っていた。
「……」
みなみの顔が熱くなってきた。今、二人につられて笑えているのに気づいたのだ。
「みなみちゃん、行こうか」
ゆたかがみなみの右手側に、
「そうだね、そろそろ先輩達の話も終わってるだろうし」
ひよりがみなみの左手側に、手を繋いだまま教室へ向かっていく。
普段はゆたかを中心にいる事が多いが、今はみなみを中心としていた。
「……うん……」
友達との絆を感じながら、みなみは教室へと歩いていった。