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みさ☆つか

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「はぁ……私って、どうしてハードルダメなんだろ……」

 体育館を挟んだ向こう側から、楽しそうな音楽とみんなの歓声が聞こえる。
 だけど、私はちょっとだけ凹んでる。
「万能な人なんてそうそういないよ。つかさには料理っていう特技があるじゃん?
 それに、ドジっ子は運動神経がないほうが萌えるんだよ」
 ……って、こなちゃんはなぐさめてくれたけど……

「……でもやっぱり、シオシオのパーだなぁ」
 落ち込むときまで死語使ってるよ、でもそんなの関係ねぇ。

 変なギャグが、誰に聞かれることもなく高い秋空に吸い込まれてった。

「……はぁ……」


――――――――――
   みさ☆つか
 ~アドバイスの巻~
――――――――――


「……おっ、柊の妹さんじゃーん」
 にぱっと笑いながら声をかけてきたのは、えっと……
「C組の……えと、日下部さん?」
「そだよー。……そういや、今まで直接話したことってなかったっけなー」
「えへ、そ、そだね」

 ……うぁー、やっぱ何か緊張するよぅ。

「こんなところでどしたのサ?」
「え、うん……ちょっと……」
 倉庫の壁に寄せて集められた、数台のハードルが目に入ると、
「はぁ~……」
 またひとつ、ため息が出ちゃう。

「どしたー? ため息つくと幸せが逃げてっちゃうんだぜー?」
 日下部さんの口元から、八重歯がちらり。
「うん、お姉ちゃんもそう言ってたけど……はぁ~」

「……あ、そーゆーことかぁ」
 日下部さんの頭の上に、ピコン、って電球が灯ったみたいに見えた。
「妹さん……って、なんか言いにくいなぁ。でも柊だとアイツとかぶっちゃうし、う~~ん……」
「つ、つかさでいいよー、日下部さん」
「んじゃつかさ、ちょっと時間いっかー?」
「え? うん……」


― × ― ― × ― ― × ― ― × ― 


 裏の階段のところから非常口の前まで、ハードルが三つ。
「おっし、できたZE☆」
 拳で「ぐっじょぶ」のポーズを作って、日下部さんが自画自賛してる。テンション高いなぁ。
「えっと、その、あの……」
「まあまあ、ここはこの私にまかせたまへー(ドンッ!)……げ、げほげほっ」
 力いっぱい自分の胸を叩いて、咳き込んでる。なにやってるんだろ。

 ていうか……私何も言ってないのに、なんでこんなことになっちゃってるんだろ?

「んじゃ、やってみよっかー」
「ふ、ふぇっ!?」
 さっきの失敗が頭に浮かんで、思わず目が点になっちゃう。
「まずはハードルじゃなくて、横走ってみなよ」
「横……って、何もないとこ?」
「そそ。好きな曲とか歌いながらさー」

 別にいいよー、って言おうと思ったんだけど、なんだか断れなかった。
 だって、日下部さんの目はとっても真剣で……
 真剣、っていっても怖いんじゃなくて……何ていうのかな、

 一生懸命な、コーチさんみたいな目をしてたから。


― × ― ― × ― ― × ― ― × ― 


 土の上に足先で引かれた、スタートラインに立つ。
「えと……じゃ、やってみるね」

 好きな曲、好きな曲……えーと。

 ――♪失敗なんてGood Night 寝逃げすることも 悪くないよね♪――

 あっという間にゴール。コースの長さがほとんどないから、ワンフレーズで終わっちゃった。

「んー、なんかスローテンポすぎね? まぁいっか」
 日下部さんはそう言って、
「んじゃ、今度はテンポに合わせて、右足だけ高く上げてみ」

 今度はスタート地点に向かって、

 ――♪きっと 目が覚めて 忘れちゃう みんな♪――

 って、歌いながら走った、私の上げた右足は……


 ……ちょうど、ハードルのところで上がってた。
「……あ……!」


「まあ、あれなんじゃね? つかさ、『1,2,3』で跳んでたんじゃね?」
 腕を組んで顎に手を当てて、ちょっと空を見上げたポーズ。
「え、うん、そうだけど……」
「あれってさー、緊張してる時はダメなんだよなー。順番ぐちゃぐちゃになっちゃってさ☆」
 そう言って日下部さんはまた、にはは、って笑った。

「んじゃ、今度はハードルまたいでみよっか」
「……うんっ! やってみるね!」


― × ― ― × ― ― × ― ― × ― 


 翌朝……は代休でお休みだったから、その次の朝。

「おっす、こなた」
「あー、こなちゃんとゆきちゃんだ。おはよー」
「おはよん」
「おはようございます」
 いつものように、校庭で朝の挨拶。こなちゃんとゆきちゃんが一緒って、ちょっと珍しいかも。

「どったのつかさ? やけにご機嫌じゃん」
「うん、ちょっとね~」

 って、言いかけたところで、前を行くあの人に気がついた。
 峰岸さんと一緒に、並んで登校してるのは……

「おーい、みさちゃーん、おはよー♪」
「おーっす、つかさー♪」

「!! み、みさちゃんん!?」
「いつの間にみさきちとの友情フラグを……なかなかやるな、つかさ」
「日下部さんとはほとんどお話されていなかったので、心配していたのですが……思いのほか仲が良くてよかったです」

 みんなが驚いてる。お姉ちゃんも驚いてる。ゆきちゃんは笑ってるけど。
 ……そりゃそうだよね。一昨日のことは、まだ誰にも話してないもん。
 今度の体育の時に、ちゃんとハードル跳んでみせて、みんなをびっくりさせてやるんだ。えへへ。


――ありがとう、みさちゃん☆


― Fin. ―













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  • こういうのが読みたかったんだ!!ありがとう!! -- 名無しさん (2009-08-04 12:56:25)
  • ほっこり -- 名無しさん (2009-03-31 03:06:42)
  • いいねぇ -- MAZDA 3MPS-kai (2008-08-26 17:20:25)
  • うわ、すいません。修正しましたorz
    指摘感謝です! -- 妄想屋(仮名) (2008-08-15 11:14:52)
  • 誤植だろうが肝心なトコで「みゆきさん」になっとる -- 名無しさん (2008-08-11 23:10:21)

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