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私のすべて

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
きっとカサブタに似ているのだと思う。
私はそんなに走ったりしないから転んで怪我をすることは少ないけど、調理中に指を切ったりはする。
カサブタは放置していても中々消えず、つい触ったりしてカサブタを剥がして再び血が出る。
分かっているけど触ってしまうし、また傷をつけて痕を残してしまう。
きっと……そういうものなんだと思う。
私の、愚かな感情は。




「だぁああー! づかれだよー、あづいよー!」

家に帰ってくるなり自分の部屋へ本を置いてクーラーを付けた後、お姉ちゃんはリビングにスライディングで滑り込んで寝転がった。
摩擦熱で余計に熱くなりそうなのに、コツでもあるのかお姉ちゃんはクーラーの風が当たる位置で止まってそのまま涼む。
確かに外は暑かったし、お姉ちゃんは行きがけは私を後ろに乗せて二人乗りをしていたし、帰り道は上り坂で自転車を押して登っていた。
当然私より疲れていると思うけど……

「ダメだよお姉ちゃん、汗かいた後にクーラーの直風あびたら風邪ぶりかえしちゃうよ」
「そうだぞ、こなた。ほら、水分補給で冷たいお茶飲むか?」
「飲む!!」

ガバッと腕の力で飛び上がって、おじさんからお茶を受け取るお姉ちゃん。
苦笑しながらお茶を渡して、お姉ちゃんの頭に持っていたタオルを乗せるおじさん。
当たり前のように流れる光景が少し羨ましく感じた。

「はい、ゆーちゃんも」
「あ、ありがとうございます」

おじさんから私専用になったコップを受け取り、座ってから氷が入って冷えたお茶を一口飲んだ。
外的要因で熱くなっていた体には、染み入ってくるお茶がとても気持ちいい。
一口飲んだのを確認して、おじさんはタオルを手渡ししてきた。
お姉ちゃんの時みたいに頭に乗せたりしないのは、ちょっとした遠慮の表れなのかもしれない。
時々お姉ちゃんと一緒に抱きしめられる時はあるけど。
おじさんはタオルとお茶を渡した後は部屋に戻っていった。
お姉ちゃんはタオルを首に掛けて、お茶はもう飲んでしまったのかテーブルの上にコップを置いて床に仰向けに寝転がっている。
バサッと床に広がった髪を、薄く上下している胸を、半開きの口を何となくぼんやりと見つめていた。
ほんの数十分前までは抱きついていたんだと思ってしまうと、今のこの距離が遠い。
けど、髪に埋まっていた感覚と、頬や胸で触れた体温と、お腹にまわした手の触覚を思い出して心臓が弾んだ。

「……どしたの、ゆーちゃん。何かご機嫌だね」
「えっ、そ、そうかな?」
「さては……二人乗りが気に入った?」

うーん、当たってるようなちょっと外れているような。
『お姉ちゃんとの』二人乗りは気に入ったから……当たり、なのかな。
でも、私は走ったりして風を感じたりなんて事が少ないから、風を切る感覚がちょっと新鮮だったのも確か。

「うん。楽しかった」
「そっか。ならまた二人乗りで本屋行こうか?……出来れば涼しくなってから」
「そ、そうだね」

期待なんかしていない。報われるとも思っていない。私の気持ちが伝わっているとも全然思わない。
だけど、そんな風に言ってくれるのを喜ばないわけがない。
微笑んでしまっているだろう顔を隠すためにお茶を飲む。
見ていないだろうし、見られたって『また本屋に行くのを楽しみにしている妹』ぐらいにしか思われてないことは明白だけど。
コクンと冷たいお茶が喉を通る。気持ちいいけど、勿体無い気がした。
たぶん、お姉ちゃんに触れたという内的要因で熱くなった体には……勿体無いんだと思う。
それでも飲まないわけにはいかないし、氷も解けてきていたので残った少量を飲んでしまう。
立ち上がって、お姉ちゃんがテーブルの上に置いたままのコップも掴んで台所へ。
先に洗ってしまってからリビングに戻るとお姉ちゃんは目を瞑っていた。
寝てるのかな?と思って「お姉ちゃん?」と呼んでみる。
反応がなかったから寝ているお姉ちゃんの隣に座って、もう一度呼んでみた。

「こなたお姉ちゃん」

今度は少し大きい声で。反応は「……ぅん?」と眠そうな返事が聞こえただけ。
それでも内心驚いて、数秒静かにした後にもう一度「眠いの?」と訊ねた。
「ん……」と、さっきより微かな声が耳に届く。

なんて無防備なんだろう、と心の深い部分が騒ぎ出した。
もう、隠さなくたっていいかも。
心の奥、ドアが開きそうになる。
散々鍵を閉めて開けない様にしていたドアが、こうもあっけなく開きそうになることに笑ってしまいそうになる。
言うつもりはないって決めてるのに。
見てしまうから……目で、お姉ちゃんを追ってしまうから。
消えることのない傷のカサブタを自分で剥がして、ますます痕をつけて。
それでも言うつもりがないなんて気持ちを殺してる。

「……絶対に言わないよ」

言えないのかな。言わないのかな。どっちなんだろう。
自嘲を含んでしまった物言いが、余計にドアを押し開く。
何も知らないで寝ているお姉ちゃんが羨ましい。
そして――『愛しい』んだと、私は心の中ではっきりと叫んだ。
口に出した瞬間に終わってしまうだろう今のこの空気が大事だと思っているのに。
お姉ちゃんが羨ましくて、愛しくて……少し、腹立たしい。

「お姉ちゃんは、何も知らないんだよ」

首にかかっているタオルをどかして、首に触れる。
小さな声で何か言っているけど寝言のような感じで意味は分からない。
ペトっと指が首に吸い付く感じがするのは汗のせいかもしれないし、私の気持ちのせいかもしれない。
何とか指を離して、今度は頬に。柔らかな弾力を数度突いて、左目の下のホクロを撫でた。
「はぅ」と犬みたいな声を出して、お姉ちゃんがぼんやりと目を開けた。

「ゆー……ちゃ」
「これは夢だよ、お姉ちゃん」

頬に片手を当てたまま、もう片方の手でお姉ちゃんの目を覆う。
目隠しされたと気づいてないのか、把握できてないのか、お姉ちゃんがアクションを起こす前に。

「ん……っ!?」

何にも知らないお姉ちゃんに、触れてるだけのキスをする。
空気が崩れる幻聴を聞いた……気がする。
でも、今の私にとっては唇に触れるお姉ちゃんの熱と柔らかさだけがすべてだった。
















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  • よう俺 -- 名無しさん (2007-09-29 18:21:46)
  • このカップリングはねーよと思っていた十分前の俺を殺したい… -- 名無しさん (2007-09-29 16:33:50)

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