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In The Midnight

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だれでも歓迎! 編集
「お帰りなさいませ、ご主人様☆」
 今日もいつものように、コスプレ喫茶で仕事仕事。
 そろそろ冬のコミケの軍資金を稼がにゃ~。いろいろ買わにゃ~。

 ……でも、いくらコスプレ喫茶のバイト代がいいといっても、あのお祭りじゃ焼け石に水なんだよね。
 あー、そろそろ例の仕事入らないかな……

「ご注文お伺いします~」
 案内したお客は、こういう店には似つかわしくない初老のおじさん。
 こーゆー人がこんな店に来るのは、ちょっとというか、かなり珍しい。
 ……もしかしたら、これは期待できるかな?

 おじさんが、紙ナプキンを利き手と反対の方向にずらした。
 そして、その跡地にお冷やのコップを置いて、呟くように言った。

「バルサミコ酢のペペロンチーノ、大盛りで頼む」
 ……き、来たぁっ!!


 × × × × ×


「ふ~っ、今日もちかれたびー」
鞄を投げ出して、普段着に着替えて、ベッドにごろん。
今日は天気がよかったから、お母さんがお布団を干してくれたみたい。お日様の匂いがしてほんわか幸せ。

♪なんじゃこりゃ~ なんじゃこりゃ~ なんじゃこりゃ~♪

 その時、机に置いたケータイが鳴った。……誰だろ?

ケータイを手にとって、パカッと開いて……あれ、開かないよ?
……ヒンジが逆だったみたい。どんだけー。

着信したメールは、知らない人からだった。
件名はナシ、本文にはたった一言だけ。

『バルサミコ酢至急送れ 頼む』

……うわぁ、久しぶりに来ちゃったよ!どうしよ、どうしよう!?


 × × × × ×


 ラノベ片手にポッキーを咥える、それが私の至福の時間。
 新進気鋭のあの作家が書いた、漫画からのスピンオフ作品。
 荒削りだけど、読者をグイグイ引きこむこの筆致は悪くないわね。こんどこなたにも勧めてみよっかな。

 お話も佳境に入り、私の脳内映画館もクライマックスの盛り上がりに入ろうというその時、ケータイが鳴った。
 ……ったく、せっかくいいところなのに、誰よいったい。

「はい、もしもし?」
 電話の向こうの声は、聞いたことのない初老のおじさんの声だった。
『……すまない、番号違いだ。ひとつよろしく』
 言葉の後に、プッシュホンのボタンを押す短い音が三つ。

 ……何も、こんな時にこなくてもいいのに、まったく。


 × × × × ×


 ……糖武動物公園駅前のロータリーに停めた、白いミニバンの中。時間は午前零時。
 シートを回転させて、向かい合わせになって座った、私たち三人。

「…………」
 運転手が無言のまま差し出したワンセグケータイの画面には、後姿の男性の影。
 今まで何度となく見てきた光景だけど、未だに一度もその顔を見たことはない。
 ……ま、いいんだけどね。

 男性の手がわずかに動いたかと思うと、画面は何かの写真のアップに切り替わった。
 見栄えの良くない、三十歳ぐらいのサラリーマン。
 何をしでかしたのか知らないけれど……悪く思わないでよね。

「やれやれ、ぱっとしない相手ね」
「おぉ。楽勝っぽいね~♪」
 こなたはちょっとハイテンション。まったく、現金なもんね。
「ふぁ~~……眠いよぅ」
 つかさはさっきから生あくび。大丈夫なのかしら、この子。

 間を置かず、私たちのケータイが鳴る。
 届いたメールには、一見なんだかわからない文字列。……普通の人たちにはね。
「ふ~ん……」
 内容を頭に入れて、私たちはメールを削除した。


 × × × × ×


「さて、行きますか」
 こなたの衣装は、いつものセーラー服。
「ちょっとあんた、その服で行くつもり?」
「こういう格好のほうが普通だし、バレないもんだよ」
「いや、午前零時に女子高生がうろついてたら余計目立つだろ」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ♪」
 指先のないグローブをはめながら、こなた。
 指の付け根の部分には金属製のプレートがつけられ、手首から伸びたカールコードがセーラー服の袖に潜りこんでる。
「やれやれ……」
「そういうかがみだって、普段着じゃん」
「つかさ、どうする?眠そうだけど」
「ん~、大丈夫だよぅ、ちゃんとお仕事はするから」
「ほんとに大丈夫なのかしら……」
 つかさはというと……黒一色のファッション。
 手にはバルサミコ酢の瓶。一本で十万円はくだらない高級品を、逆手に持ってる。
 その瓶を除けば、この"仕事"としては正統派なんだろうけど……リボンがかえって目立つから、外して行きなさいよね。

 スライドドアを開けて、夜の街に降り立つ。
 ひんやりとした風が頬を撫で、私は気を引き締める。
「んじゃ、行こっか」
 こなたの表情からいつものユルさが消え、いっぱしの仕事師の顔になる。
「そだね、こなちゃん」
 さっきまでの眠そうな顔がウソのような、つかさ。

「じゃ、また後で」
 そういい残して、私は商店街の石畳を歩き始める。

 さっきのメールによれば、問題の彼はまだ残業中。
 ……さて、どうしようかしらね。会社に乗り込むか、帰宅を狙うか。
 さっきのラノベの展開を思い出して、私は帰宅を待つことにした。


 ……あんたが何をしでかしたのかは知らないし、知る気もないけど。
 ま、私たちに狙われたのが運の尽きだと思って、あきらめてよね。


 いずれ、地獄で会いましょ。可哀想なターゲットさん。


― Fin. ―













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  • 史上最も頼りなさげな暗殺チーム☆ -- 名無しさん (2011-05-01 02:14:34)

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