Dark Rebellion

               はじまりの物語





「やれやれ、いくら超展開が多い書き手ロワだからと言って、こんな真似をして許されるのかい?」
「許して貰おうとは思っていません。私はどうせ……死ぬんですから」

書き手ロワ3rd・一日目・深夜。
二人のロワ書き手が香川県の民家に集っていた。ただし、一人は強制的に、ではあるが。

「ありのまま起こったことを話そう。
俺は急に暗い森の中にワープさせられた。と思ったら次の瞬間、民家にいた。
……回りくどい言い方はよそうか。
どんな能力かは知らないけど、始まって早々他の参加者と共にワープするなんて凄いことをするものだね」
「ご無礼は承知の上です。できるだけ時間を有効に使わなければこの『物語』は成り立ちませんから」
「まあ、どうでもいいよ。面白い物語を聞かせてくれるのならね」

ここでこの物語の役者を紹介しよう。

一人は薄ら笑いを浮かべた青年。顔立ちは精悍、と表現しても良いだろう。
その心を彩るのは微かな苛立ちの色、しかしその色は彼のキャンパスを彩るほんのアクセントにすぎない。
彼の心のキャンパスに描かれている感情は真っ黄色に染められた多大な期待。
見知らぬ誰かに拉致されたと言うのに、その心に青い怯えは一切浮かんでいない。
今から何が起こるのか、どんな事態が待っているのだろうか。それは果たしてどのくらい面白いのだろう。
まるで物語が始まるのを楽しみに待っているかのように、浮かんだ苛立ちは早く始まらない物語に対してのブーイングであるかのように。
彼、『喪失の物語』は外道王の形を持ってその場に存在していた。

その隣で椅子にちょこん、と座っているのは愛らしい巨乳美少女。
まさに『萌え要素の塊』とでも言うべき豊満、そして小柄な肉体。
愛らしく笑っていればさぞかし学園のアイドルになれるかのような愛らしい目鼻立ち。
しかし、今はその顔に真剣そのものといった表情を貼り付けている。
彼女、『親愛の物語』は朝比奈みくるの姿をしてその場に存在していた。


部屋は既に照明が付けられ、二人を静かに照らしていた。
親愛の物語は意を決したかのようにその小さな口を開き、物語を語り出す。

「手短に言わせていただきます。狼を倒すために力を貸してください、喪失の物語さん。
このままでは、書き手ロワ3rdが……狼の一人勝ちになってしまうんです」

このロワを根幹から揺るがすような“狼の物語”を。

「つまり君は、僕に殺されかけてチートに目覚め、
時間移動して物語の結末と狼を見て、でもどうすれば良いか判断に困った……」

ここで一息。息を大きく吸い込む。

「だからとりあえず同ロワのトップ書き手である俺を頼って
わざわざ俺が書き手ロワに飛ばされた瞬間を狙って俺を連れて時空移動したと」

ああ疲れた、と呟きながら外道王は親愛の物語が淹れた紅茶を口に含んだ。
彼女が語った物語は要約するとそうなるらしい。一見様お断りのような超展開である。
彼女は正に波瀾万丈と言えるような時間を書き手ロワ3rdで過ごしてきたようだ。

「君は、以前……いや、俺にとってはこの後か、俺に殺されかけたんだろ ?
また殺されるかも知れないって思わなかったのかい?
まあ、それ自体は僕を信頼した、とかなんとか理由はあるんだろうけどさ……これ、まだ序盤だよ?
読み手の皆さんに引かれたらどうする気だい?
俺はもっと普通の参加者としてロワを楽しみたかったんだけど?」
「仕方ありません、貴方以外にラノロワ書き手が……
地図氏は居ましたが、彼女は色々と規格外ですので……
頼れる人がいなかったんですよ。これも運命だと思って諦めてください。
そもそも、貴方が私を殺そうとするからこんな事になったんですよ?」
「そんな文句は未来の俺に言って欲しいねえ。
それでだ……“狼”が俺の愛するロワを汚すような害虫だと言うことは理解したよ。
どう転んでも狼の一人勝ちだなんて、萎えることこの上ないしね」
「それでは……協力してくれますか?」
「まあね、俺に出来る限りのことはしよう」

マーダーが優勝したら、そのマーダーがU.N.オーエンだったことになる。
全滅したならば、U.N.オーエンは始めから参加していなかったことになる。
生還したなら生還者の一人がU.N.オーエンになって他の生還者を殺す。
これを聞いて真面目にロワをしようとする馬鹿がいるだろうか、いや居ない。
ロワそのものを愛する喪失の物語にとって、“狼”はロワを台無しにする排除すべき存在だと言えるだろう。

「でも、分かってるよね?これを他の参加者に話すことは殺し合いの抑止になると同時に大きな危険をはらんでいるってことを」
「はい、だからこそ私は『ロワを愛し、盛り上げようとする』貴方にアドバイスをいただきたいと思ったんです」

“狼”の存在は他の参加者のロワに対する気力を著しく削ぐ可能性がある。
当たり前のことである、自分がいくら頑張って対主催をやってもマーダーをやっても徒労に終わるのだから。
そうなると書き手ロワはロワでは無くなる。
マーダーは人を殺める事を止める、いくら殺しても最終的にU.N.オーエンが優勝するのだから。
対主催は主催者に抗うことを止めるだろう、いくらあがいて生還してもその後に殺されるのだから。
その結果訪れるのは『停滞』。
停滞の結果、500話を超える話数を誇りながら完結できなかったラノロワ。
その書き手である二人にとって、停滞の恐ろしさは他人事ではなかった。

「つまり、俺は“狼”のことを他の参加者にあまり知らせずに“狼”を引きずり出して倒さなくちゃいけないわけだ。
いやはや、前途多難だねえ」

「だからこそ、私はロワのために人生かけてるような貴方を選んだんです。
そんな目で見ても駄目ですよ、既に貴方の考えその他諸々は『禁則事項です☆』でお見通しですから。
それに他にいくつか手は打つつもりです。貴方に全てを押しつけるわけではありません」

ジト目で見られていることも無視し、親愛の物語は物語を加速させる。
出来るだけこの物語は迅速に終わらせる必要がある。
主催者に気付かれないように、また、メタ的な理由で読者の皆様に飽きられないために。
物語は誰かに読まれてこそ意味がある。読者の居ない物語など、こなたのいないらき☆すたにも劣る代物だろう。
そしてこなたのいないらき☆すたなどはルーが無いカレーのような物で、筆者は断じてそんな物は認めな(ry


閑話休題。話を元に戻す。


「まず、『保険』の選定。
もし貴方がジョーカーを見つけることなく死亡した場合、待ち受けるのは最悪の結末になりますから。
貴方とは別に、何人かにこのことを話しておくつもりです」
「候補は?2,3にんは欲しいよねえ」
「いえ、ですからその……参加者が多すぎて絞り込めないんですよ。
ですから、そのことに関しても知恵をお借りしたいなあ、と」
「…………君、少々人任せ過ぎるきらいがあるんじゃないかなあ」
「しょっ、しょうがないじゃないですか!私は頭脳担当じゃないんです!」

まあいい、とどこぞの悪魔のように独り言を一つ。
喪失の物語の灰色の脳味噌は彼の目的のために最大限振るわれる。
最善の結論を模索する、思考する、探求する。
素晴らしき頭脳戦『ウソツキサイクル/信疑の天秤』を執筆した当時のように。
池袋の全てを操ろうとする男、彼のモデルとなった外道王、吐き気を催す邪悪、折原臨也のように。
そして彼の下した結論は……

「まず、マーダーは駄目だね。聞いてくれるかどうか分からないからリスクが高すぎる。
それにこの話を信じたら、その参加者はマーダーを止めるだろうしねえ。
貴重なマーダーを減らすなんてとんでもない!」
「そうですね。もしも私が『喪失の物語に殺される』以外の理由で殺された場合、書き手ロワ3rdは矛盾に飽和され最悪消滅します。
おかげで私はうかつに動くことも出来ません。全く、困った物です」
「さらりと恐ろしいことを言わないで貰いたいね。ついでに俺への嫌みも言ってくれちゃって。
だからこそ、不確定要素の入らないように誰もいない香川県を話し合いの場に選んだってわけか」
「ええ、この場もゲーム開始時から6時間後には崩壊しますから長居は出来ません。
できるだけ早くこの場を去る必要があるでしょう。
どこぞの参加者のように県一つを破壊する輩が香川県に狙いを定めては大変です」
「……詳しくは聞かないけど、相変わらず書き手ロワはチートだらけらしいね、怖い怖い」

「次に駄目なのは熱血対主催。
頑張って狼を探してくれそうだけど、そういうのは決まって頭が悪い。
他の参加者を庇って死亡だとかマーダーと相打ちとかやらかしてしてくれそうだしねえ」
「生きていなければ意味がありませんからね、この仕事は。
すると、残りの線は頭脳派対主催ってところですか」
「ああ。ついでに言えば、今のところ基本方針が良く決まっていない人物が好ましい。
そうすれば、その参加者は持て余された存在から一挙に重要なフラグ持ちとなって読み手に重大なインパクトを与えることが出来る。
あと、出来るだけ情報戦に長けた人物……パソコン持ちとかね。
狼の尻尾を見つけるには情報は必須だ。
ただ闇雲に探し回ったところで膨大な参加者から狼を絞り込む事なんて不可能だしね」
「成る程、情報戦に長け、基本方針があまり定まっていない人物ですか……」


「あと、元キャラ的に漫画ロワのコナンとか、アニ2の金田一のような姿の参加者も良いねえ。
そういうのは大抵頭が良いように作られてるだろうし……」
「他に何か理由があるんですか?」
「だって……そういう“キャラ”が探偵役をした方がロワが盛り上がりそうじゃないか♪」
「貴方って人は……こういう場でも自分の目的を最優先ですか……」
「当たり前だろう。狼を倒すのだって俺の目的の障害になるモノを排除するためさ。
別に君の、そして他の参加者のためにやるんじゃないよ」
「普通、そう言う台詞はツンデレだと扱われる事がありますが……貴方に関してそれはあてはまりませんね。
顔を見る限り、冗談でも何でもなく本気で言ってるようですし……」



「さてと……こんなところでしょうか」
「俺に出来るのなら、アドバイスだけじゃなくて実際に他参加者の選定も協力してあげたいんだけどねえ」
「謹んでお断りします。この後は私一人で十分ですよ。
……その期に乗じて何をするか分かりませんし、この外道野郎は……」
「うん?何か言ったかな?」
「いいえ、何も。それでは最終段階に入りましょうか」

保険の選定も終わり、残された仕事は一つ。
これが終われば親愛の物語は第163話【謎符「U.N.オーエンからの挑戦状」 】に飛ぶことになる。
喪失の物語からのアドバイスを受けての『保険』の選出に。
彼女に残された最後の仕事、それは



「では、最後に、貴方を『チート覚醒』させます」


喪失の物語の強化だった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「そんなことができるものなのかい?」
「ええ。私は参加者を一人しか殺さずに繋ぎに徹した書き手です。
ですから、今から貴方に『他のラノロワ書き手が持っていた全能力』を繋ぎます」

繋ぎ手書き手による能力譲渡。
普通に考えれば「ありえない」と一蹴されてしまうだろう。
しかしここは書き手ロワ。ありえないなんてことはありえない。
エリアを丸々破壊したり新しい県を作ったり旅の扉を自作したり、と普通のロワでは認められないような超展開の宝庫である。

「今絞り込んだ参加者はあくまで保険です。
本命は貴方、私は貴方の活躍に期待してるんですよ?
同じラノロワ書き手として、そして……」
「狼と同じ、『ウソツキ』としてかい?」
「……気付いてましたか。
ええ、否定はしません。私が貴方を選んだ理由の一つ、それは」

目には目を。歯には歯を、ウソツキにはウソツキを、と言うことである。
毒には毒をもって制す。最強のステルスマーダー、狼を相手取るにはこちらもそれなりの嘘吐きが必要である。
そう言うわけで選ばれたのが喪失の物語。
嘘吐きで対主催という人材が参加者多き書き手ロワでもそれほど居なかったことも重なり、見事白羽の矢を立てられたのだ。

「あと、この力は同じラノロワ書き手にしか使えないという制限が設けられています。
誰にでも使えるのならチートを通り越してただのマンセーですから、そう言う意味では良かったのかも知れません」
「今の状態も十分……いや、何でもない。
じゃあ、ついでにもう一つ言わせて貰おうかな」
「何でしょう?今の話題に関係のあるお話ですか?」




「そろそろ――――――――本当の姿を見せてくれても良いんじゃない?
ねえ、『インターセプタ』<年表干渉者> さん」




「――――――――やはり貴方は頼れる、そして恐ろしい存在ですね」

瞬間、そこにいる少女は朝比奈みくるでは無くなっていた。
椅子に座っているのは軽くウェーブがかったセミロングの少女。
『涼宮ハルヒの憂鬱』を執筆した谷川流のもう一つの代表作。『学校を出よう!』
その作品に登場する上位世界の住人、インターセプタの形を持って。
まるで始めからそこにいたかのように彼女は存在していた。


「どうして私の真の姿が『インターセプタ』だと分かりました?」
「そんなにがっつかなくても良いじゃないか。順々に説明していくよ」


「それじゃあ、答え合わせを始めよう」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「いつから、と言われると難しいかな。正確には俺の考えも単なる仮定に過ぎなかった。
えっ?どう見ても確信してるようにしか見えなかった?
俺は『嘘』のプロフェッショナルだよ、有り体に言えば鎌をかけたってわけ。
この推理が間違っていたとしても、俺が恥ずかしい思いをするだけですむからねえ。あはは。
とりあえず、いくつか俺の推理の根拠について述べようか。」


「一つめ。君は朝比奈みくるの外見を持っているにしては妙に言動が大人っぽかった。
書き手ロワじゃあ外見と中身が一致しないなんて良くあると思ってたからそこまで気にしてなかったんだけどね。
でも、この違和感のおかげで俺は君のことを少しだけ疑った。」


「二つめ。『禁則事項です☆』の名前で隠されてるけど、君の能力は朝比奈みくる準拠の物ではありえない。
彼女はいわば、下っ端、研修員の位置にいる未来人に過ぎない。
君はさっき、『既に貴方の考えその他諸々は『禁則事項です☆』でお見通しですから』と言ったね。
ただ未来のことを知るだけではそこまで多くの情報を持っているのはおかしいんだよ。
自分で言うのも何だけど、俺は自分の考えを開けっぴろげに話さない。
『独白でない限り』ね。
君の能力は未来のことを知るだけじゃない。
俺の独白、ひいては投下された話そのものを知る事が出来る。
つまり俺たちの物語、『書き手ロワ3rd』を読むことが出来る上位世界へのアクセスじゃ無いかってね」

「最後に三つ目。君は繋ぎ手書き手だから僕に『他のラノロワ書き手が持っていた全能力』を繋ぐ事が出来ると言ったね。
でもこれもおかしい。こんな前例が通ったら、別の話で別の繋ぎ手書き手も同じことが出来るようになっても文句は言えないからね。
よって、主催者が君が繋ぎ手書き手だからと言う理由でこんな能力を与えるのはおかしい。
いくつか他に候補はあるけど、君の時空移動以外の本当の能力は『運命の変更、もしくは書き換え』
そのような力に準ずる物だと仮定できる。確信にはほど遠いけどね。
何度も言うが、これはただの仮定、可能性の話に過ぎない。
一部間違っていたとしても、笑って見逃してくれると嬉しいな」


「だけど、ここまで揃えば自然と答えは見えてくるさ。
朝比奈みくるではあり得ない口調、時間移動可能、そして上位世界の可能性、極めつけは『運命への介入』。
一つ一つは大したことじゃないかも知れない。
けれど、いくつもの仮定が重なり合り、俺は一つの答えを思いついた。
君の本質は朝比奈みくるなんかではなく――――インターセプタではないかとね」


「でも、ラノロワ内部でもインターセプタは完全に運命を操作することは出来なかった。
十三万八千七百四十三回運命を改変しても宮野秀策と光明寺茉衣子の死を回避することはできない。
その事実を知っている君が諦めていないってことは“現在”俺はまだ死んでないってことだね。いや良かった。
俺の生存確率を増やすために、俺の『何の力も持っていない』と言う運命を書き換えようというわけだ。
最善の運命は『喪失の物語がラノロワ書き手が持ちうる全能力を持ち合わせている』という所かな。
君は俺にその運命を付加するために何回書き手ロワを繰り返すつもりなんだい?」


「そもそも、本当に君の行っていることは正しいのかい?
君が俺に能力を付加することでむしろ俺の死が早まるかも知れない。
俺に能力を付加するために犠牲にする何十万何百万の運命の中にだよ?
“狼”が倒されてハッピーエンドを迎える世界があるのかも知れない。
しかし、君はその可能性について知ることは出来ないだろう。
君が『運命の書き換え』において認識できる事象は一つしかない。そういう制限なんだろう。
そうでなければ君は神のような存在になり得るからねえ。
話を戻そう。
君のこれから行うことは、とある書き手一人のために他の書き手の無限大の可能性を潰すという事だよ?
これじゃただのマンセー展開に他ならない。どうして君はそこまでして……」

「……ふむ、なるほど。『ラノロワの書き手全員がロクに活躍もせずに全員死亡する未来は避けたい』ときたか。
結局、狼を倒す為と言っておきながら、君も自ロワ贔屓の書き手だったってことか。
本当に……『宮野秀策と光明寺茉衣子を助けるために他の参加者を犠牲にしたインターセプタ』とそっくりだよ、君は。
ははは、もしかして怒ったかい、だって本当のことだろう『偽善者』君。
君の話が本当なら地図氏も君も既に死ぬ運命は決定してるらしいしね。
つまり、残っているラノロワ書き手は俺だけって訳だ。
『この力は同じラノロワ書き手にしか使えない』、この言葉は本当なんだろう?
そうすれば、君が俺を選んだ理由についても補強できる。持っている能力は使いたくなるものだしねえ。」


「それにしても、君は本当にラノロワを愛してるんだねえ。さすが、『親愛』という名を持つだけのことはある。」


「だからこそ俺は問おう。君に覚悟があるのか、と。
君に覚悟はあるか?あらゆる可能性を切り捨て、俺を生かした先に……地獄が待っているかも知れない覚悟が。
いくらこんな事をしても次の話で死ぬときは死ぬ。それがパロロワってもんだ。
覚醒しても死ぬ。首輪解除フラグを持っていても死ぬ。脱出フラグを持っていても死ぬ。
君の努力が全部無駄になる可能性もあるわけだ。むしろ、その可能性が高い。
だって、こんな扱いずらい生存フラグは率先して折られるべきだろう?
『自分で言うな』?はいはい、分かりましたよ。
時間があまりないんだろう?君の覚悟を聞かせて貰おうか」


「…………ふーん。じゃあいいや。好きにやってくれ。
でも、俺の記憶は『凍結』しておいてくれないかな。
始めからこんな色んな事を知っているのは他の参加者に失礼という物じゃないか。
それに俺は普通にロワを楽しみたいんだよ――――何の力も持っていない折原臨也のようにね。
それじゃ狼について何の進展もない?君にアドバイスを与えた時点で進展はあったと思うけど。
じゃあ、俺も死にたくはないから『喪失の物語が死を意識した瞬間』
気憶、並びに全能力を解放できるように『設定』しておいてくれ。
なに、『学校を出よう!』本編でもインターセプタが記憶を弄くったりしてたからこれくらいは許容されるさ。」


「じゃあ、そろそろお別れかな。君と話すのはなかなか楽しかったよ。
次に会えるのは何回目のロワになるのかな、君の話を信じれば出会った直後に俺が君を殺すんだけどね。
それでは――――この『物語』に幕を下ろそうか。」


こうして『はじまりの物語』は外道王の身勝手な一人語りにてそのページを閉じられた。
次にこれが開かれるのは『喪失の物語』が危機に陥ったときであろう。
それまで、この物語は彼の記憶の中で眠り続けるのである。


fin

〈『はじまりの物語』再生終了〉

〈全能力の解放、確認。存在のゆがみ、許容範囲内〉


――――――――理解しましたか?

ああ、嫌ってほど理解したよ。お久しぶり、インターセプタ。


――――――――それでは私はもう行きますね。これも貴方の頭に残っている残滓のような物ですから

これからが正念場かと思うと気が滅入るねえ。まあ、なるようになるだろ。


――――――――だって俺はロワを愛してるんだから、ですか。

よく分かってるね、感心感心。それじゃあ、馬鹿馬鹿しくて愛しい現実に戻ろうか。


――――――――いってらっしゃいませ、我らがラノロワ最後の希望。


楽しい楽しい物語を再開しよう。

第一章でここで終了。力無き『嘘吐き』の役目はもう飽きた♪

読み飛ばしていたプロローグもようやく読み終わった。後は進むだけ。

ここから先は一方通行。前のページに戻ることはもう許されない。

さあ、今から波乱の次章へとページを進めよう。

今度の俺の役割は――――『  』。


「――――――――お楽しみは、これからだ」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

闘いは終わり悪は潰えた。

「……終わったか」
「大丈夫か、ロリィタ!?」
「えへへ、私、皆を救えた……よね?
役に……立てたよね……」
「ああ、勝てたのはお前のお陰だロリィタ。
良く頑張ったな!」
「無茶しやがって……麻痺毒とやらは完全には抜けきっていないのだろう?」
「だって……私のせいで死ぬ人を、もう見たくなかったから。
私はもう……足手まといになりたくなかったから、だから……」
「もういい、少し休め。ほら、背負ってやるよ」


これからだっちゃ氏とヘアニスト氏を探して、旅の扉をくぐって。
それで終わりだ、第一放送を無事に迎えられる。

「――――――――!?体が……」
「動かない!なんだこれは!?」


「いやあ、やっぱり長門有希の情報操作能力は便利だねえ。
こんなこともできちゃうんだから」


そうだったなら、どれほど良かっただろう。
現れた男は、無傷。気絶した少女を抱え、悠々自適に大地を踏みしめる。

「てめえ……どうやって!?」
「別に、大したことなんかしてないよ。
ちょっとばかしフォルテッシモの空間断絶で君たちの攻撃を無効化しただけだから」

どうして、私たちがこんな目に遭わなければならないんだろう。
どうして、こいつらみたいな屑が生きてるんだろう。
分からない。分からないけど一つだけ言えることがある。


「糞!動け、動かんか俺の身体!
こんな所で……死んでたまるか!」
「無駄だよ。長門有希の能力のチートさはkskロワの君たちなら身に染みて分かっているだろう?」


“運命”は残酷だ。
決して私たちに優しくなんか無い。


「じゃあね、バイバイ」


男の周りから発生した闇が私たちを覆い、包み込み、そこで私の意識はとぎれた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「やあ、初めまして。
君が“彼女”が選んだ『探偵役』かい?」
「……誰よ、あんた」

豪華客船がもう少しで太陽まで届こうかという時に、ソイツは突然現れた。
虚空から当然のように現れたソイツは、驚く私を尻目に軽ーい調子で自己紹介を始める。

「ああ、“もう”マーダーじゃないから安心して良いよ。
俺は君と同じ、『親愛の物語』によって選ばれた狼の狩人さ」

つまりあの朝比奈みくるの姿をした書き手の関係者ってこと?
こんな貴重なフラグ持ち同士が第一放送前に合流って、ひじょーに不味いんじゃない?
そろって虐殺でもされたらどう責任取るんだこいつ。

「申し遅れました、俺は『喪失の物語』。
君は『探偵役』だから、俺は『助手』でもしようかな。
気軽にワトソン君って呼んでくれて良いよ」
「誰が呼ぶか、馬鹿野郎」

「ワトソン君って呼んでくれて良いよ」?ああ、馬鹿らしい。
なんであの書き手もこんなヤツを選んだかなあ。
彼女なりに考えが有ってのことだろうけど、共感はできない。

「……で?
あんたの周りに転がってるそいつらはあんたとどういう関係なの?」

そう、男は別に一人で現れたわけじゃない。
いつの間にか男の周りに何人かが揃って倒れている。
呻き声一つあげてないってことは全員気絶してるんだろうか。
無賃乗船に加えて誘拐までしたのかこいつは。警察呼ぶぞけいさつ。


「ああ、一人を除いて仲良く殺し合った仲でね。
別に殺しても良かったんだけど、それじゃあ盛り上がらないと思って。
それに面白い物語には魅力的な多くのキャラクターが必要だろう?
暴れられちゃあ困るから全員気絶して貰ったけど」
「殺し合ったって……あんた自分でマーダーじゃないって言ってたじゃん?
それに、残りの一人は何なのよ」

それ以前に、こいつはどうやってここまで来たんだ?
ここ、かなり高度がある筈なんだけど。空間移動か何か?

「色々こっちにも事情があってね。
簡単に言えば、俺は彼女『舞い踊る車輪』君と一緒にマーダーやってたんだよ。
でも、“狼”のことを思い出したからにはマーダーをしてる暇はない。
だから、彼女と俺はここでお別れかな。
ああ、ついでに支給品も武器以外貰っておこう♪」

男は地面とキスしているやつらの中から一人の少女を指さし、笑う。少し残念そうに。
だけど、その子のデイパックから支給品を物色しながらそんな表情しても、説得力も糞もない。
きっと本当は残念とか微塵も思ってないんだろうなあ、と漠然と思った。

「ここでお別れって……まさかここから落としたりなんかしないだろうな?」

こいつなら笑ってやりかねない。
上手くは言えないけど、こいつは危険人物の臭いがぷんぷんする。
危険人物だらけだったアニ2を書いてた私には分かる。こいつはヤバイって。
今は大人しいけど、常に目を配っておかないと何をしでかす事やら。

「そんなことしないよ、傷つくなあ。
君は理由も無しに空を遊覧飛行する人間には見えないからね、見た目高遠遥一だし。
この辺りにあるんだろう?――――――――旅の扉が」
「あたしの推理が正しいならね。
時間になると太陽の近くに旅の扉が現れるって踏んでる」

別に隠し立てして良いことはないだろう。
どうせこいつも同じ船に乗ってるんだから、そろそれ分かることだ。
でも、それが「彼女とお別れ」とどう繋がるんだ?

ぱちぱちぱち。

「おお、本当にあったよ。
推理が当たっておめでとう、探偵君」
「あたしには抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》っていう名前がちゃんとあるんだけど……」

気の抜けた拍手と共に喪失の物語とやらは微笑んだ。
ヤツの見ている方向を見ると……やっぱりあったじゃん、旅の扉。
太陽が眩しいくらいに照り輝き、朝の訪れを告げる。
もうすぐ会場崩壊の時間。なんとか間に合ったみたい。
そしてヤツは『舞い降りる車輪』をそっと抱きかかえ、
――――――――旅の扉に向かって思いっきり放り投げた。

「って、えええええええええええええええ!?!?」

理解不能理解不能理解不能。
一体何がしたいんだこいつは。
私の混乱をよそに、彼女は予想以上にぐんぐん飛距離を伸ばして、旅の扉のど真ん中に突っ込んだ。
ナイスピッチング、あんたの細腕のどこからそんな力出るんだよ。
赤き征裁と葡萄酒の力を借りれば余裕?別に聞いてないから。
続いて、他の三人も同じように投げ飛ばす。
男はともかく、ネコと幼女を手荒に扱ったらkskロワの皆さんから大ブーイングが来るぞ。

ネコが、幼女が、男が旅の扉に吸い込まれ、ここにいるのはあたし達二人になった。
このアホは何かをやり遂げたような顔でニコニコとこちらに笑いかけている。
きもい、近寄んな変態。でもあたしも見た目高遠だから人のこと言えなかったり。

「感謝して欲しいねえ。
俺と一緒にいるところを見られたら君が後々困るだろうと思ってkskロワの三人も先にご招待しておいたよ。
俺はあの程度ならあしらえるけど、流れ弾にでも当たって君が死んだら俺も罪悪感で死んでしまいそうだからねえ。」
「嘘付け、あんたがそんな人間かよ」

あああ、鬱陶しい。所で聞きそびれたけど、あんたどうやってここまで来たの?

「何、ちょっと時空転移を行っただけだからお気になさらず。
対象を“狼”にしたら、もしかしたら狼にたどり着けると思ったんだけど……甘かったみたいで。
誰が邪魔してくれたのかは知らないけど転移の途中で無理矢理、対象を“狼に近しい者”に書き換えられたよ。
やっぱり、狼を探すのも一筋縄じゃいかないみたいだ」

誰が邪魔したのかは知らんが、十中八九主催者関係だろう。
そして、そのせいであたしはこんな得体の知れないヤツと逢い引きする羽目になった。
責任者出てこい、狼とか関係無しにぶん殴ってやるから。

あたしの気も知らないで、ヤツは笑い続ける。
これから面白いことが起こるとでも言うように。
残念ながらあんたが思ってるほど上手くはいかないと思うんだけどねえ。
だってここ、書き手ロワだし。

まあいい、愚痴愚痴言ってても仕方ない。
今は無事に旅の扉を抜けれたことを素直に喜んどくか。


「さあ、『物語』第二章の幕開けだ」


……電波ですか、こいつは。



【現在位置・新フィールドへ】

【舞い踊る車輪@LSロワ】
【状態】健康、気絶中
【装備】無し
【道具】ディアボリックファング@テラカオスロワ、刃に塗る毒全ロワセット
【思考】基本:バトルでは積極的に殺さないマーダー(本人談)
     1:????????
【備考】
※外見はプレセア・コンバティールのようです
※ディアボリックファングにはダメージを受ける毒と麻痺毒が塗られています。
 出展は不明。多分RPG系。
※自身が死んだと錯覚しています。



【kskst@kskロワ?】
【状態】強い決意、気絶中
【装備】小冊子@書き手3
【道具】支給品一式、不明支給品1、ライトスター@ニコロワ?スターミー@書き手3
【思考】基本:とにかくロリィタ氏は死んでも守るべきだろJK
     1:????????
【備考】
※自身が死んだと錯覚しています。



うっかリリカルロリィタ @kskロワ】
【状態】全身にダメージ中、疲労小、強い決意 、気絶中
【装備】地球人専用専守防衛型強化服 @kskロワ
【持物】無し
【思考】基本:管理人のために、他のみんなを守る
     1:????????
【備考】
※外見はスク水を着たキョンの妹です。
※自身が死んだと錯覚しています。

【必殺の土下座通信士 @kskロワ】
【状態】強い決意、気絶中
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品1~3
【思考】基本: 対主催として行動。
     1:????????
【備考】
※自身が死んだと錯覚しています。



【喪失の物語@ラノロワ】
【状態】健康
【装備】S&W M38(残弾沢山)@現実、核鉄「シルバースキン」@漫画ロワ
【道具】支給品一式×3、不明支給品0~4(確認済)、 バシルーラの杖(3)@カオスロワ
【思考】基本:ロワを盛り上げる、手段は問わない(ただし自身の命は最優先)
“狼”を倒すため、とりあえずは抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》と協力
1:さあ、これから何が起こるかな♪
【備考】
※外見は折原臨也です
※『ラノロワ書き手が持ちうる全能力』を内包しています。
連続して使いすぎると『存在のゆがみ』が酷くなって喪失の物語本人が消滅します
※ロワを愛するが故に、様々なロワの情報を知っています



【抉り〆る楽神の欠片《エックスカーテン》@アニメキャラバトルロワイアル2nd】
【状態】健康。
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、不明支給品0~2、飛行石@ラピュタが出てるロワ
【思考】
1:しゃーない、狼を見付けようか。
2:この男は警戒しとかないとね。
【備考】
※外見は高遠遙一@金田一少年の事件簿、キャラのベースは結城菜緒@舞-HIMEです。
※「書き手ロワ限定旅の扉事件」を解決したので船から出られるようになりました。



※ジョーカー『U.N.オーエン』が、生存者の一人に“なって”います。

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最終更新:2009年08月27日 21:47
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