二日目(火曜日)
(ひびきー)(ひびきー)
響が仕事から帰ると、足音も可愛らしくマンドラゴラの泉と墨が走ってきた。器用に人間の眉間にあたるところに皺をよせ、微妙な表情をしている。
「んー?」
(んー)(んー)
しばらく二人で顔を見合わせた後、響を見上げた。珍しく言葉を発する。
「「げんきない?」」
その拙くもストレートな言葉に笑みがこぼれる。だから嘘はつかず答えた。
「うんー…少しないかなあ…。」
「「みかづき?」」
またもやストレートな問いが来る。しかしその言葉に少し驚く。
「わかるの?」
「もやもやするのー」「たまになるのー」「ひびきのかー」「みかづきのなのー」「ねー」「ねー」
今度は苦笑が漏れた。マンドラゴラは主の影響を受けやすい。今回のように響と
三日月の両方だと感じやすいのだろう。
「けんかしたからねえー。ごめんごめん。」
謝りながら二体を撫でる。
「ひびき、わるいの?」
と泉。
「んー、悪いかもー。」
「みかづき、わるいの?」と墨。
「それも否定しきれないなあ…」
どうにも響の返答が鈍い。白黒は左右に首を傾げてしまった。
「様子見に一緒に行くかい?入れない気がするけどー。」
「あやまりに?」と泉。
「あやまらないー。」
「なにしに?」と墨。
「また喧嘩できるようになりにー」
「「きゃー?」」
またもよくわからない言葉に、二体は緑の葉を再度左右に振り首を傾げる。
「今のままずーっとお別れしてしまわないように、遊びに行くの。…でもまだ入れないから玄関で待つの。」
「出待ちー?」「はりこみー?」
「そう。」
どする?と目で二体に聞くとぴしっ、と手をあげて応えが返ってきた。
「がってんだー」「あたぼうよー」「「きゃーっ」」
こうして作戦人数が三人になった。
最終更新:2010年07月04日 16:36