屍の積まれた独善の天にて

その獣等は異端であった。
善悪を己が基準のみと定め、他者の意を聞くことは無かった。



獣は言った。
「我等は善を尊び悪を滅せねばならぬ」

獣は言った。
「然り然り、しかしどうやって?」

獣は言った。
「悪を滅せば、自ずと善は尊ばれよう」

獣は言った。
「良き案だ、なればまず何を滅す?」

獣は言った。
「ふむ、巨大な悪より滅すのが妥当であろう」

獣は言った。
「む・・・・・・すれば、それは?」

獣は言った。
「何よりも罪深く愚かしく、そして強大で巨大なモノ」

獣は言った。
「あい分かった、では」

獣は言った。
「うむ、我等一族が一丸となれば容易かろう」

獣は言った。
「では、神を滅するとしよう」

獣は言った。
「そして我等が神へと至り、正当な悪を滅すのだ」









獣は死んだ。
一柱の幼き神を残して。
最終更新:2011年01月24日 20:19