その獣等は異端であった。
流動と進化を拒み、普遍と不変を何よりも尊んだ。
空を支えるような巨樹の洞は、暗く白く青かった。
それは原初の檻に似て、酷く狭く何も無い場所だった。
洞に映された檻の中には獣等が眠っている。
あるいは翼を休め、蹄をたたみ、牙を収め、吐息を留め。
それら生物として、もしくは概念や存在として生み落とされた在り方を拒み。
時の一欠けらすらも零すことを拒んだ獣等は、しかし世界を揺らがせた異変に揺り起こされた。
異端が異端である理由を、強制的に崩壊せしめられた彼ら彼女等は憤り。
今度こそ決して動かぬ先を迎えるために、先へと進むことを決めた。
祖より出でて来るは先へ。
獣等は気づいていない、すでに祖は祖ではなく。
来る先は前進しかたどり着けぬ事に。
獣等は狂ったのだ。
最終更新:2011年01月24日 20:20