その獣等は異端であった。
拒むことを忘れ、何もかもを呑みこむ穴のように。
その獣は酷く数が少なかった。
喰われる事を望まれれば喰われたし、暴虐の贄と奉げられたならば受け入れたのだから。
隷属し、使役され、願われ続け。獣は数を減らしていった。
その獣等を知っていた他の獣等は焦りだした。
この獣等が居なくなるのは困る、永劫に我等と共に在って貰わねば。
それを聞いた獣等は、その願い(欲望)を呑み込んだ。
だから、獣等は世界を書き換えた。
だから、獣等を使う獣は呑まれたのだ。
数多の獣を内に宿し、"共に在る"こととしたその獣等は。
つまり世界を内に宿したのだ。
個と言う世界の中に、個が無数に孕まれたそれは正しく世界。
それは獣が創り出した世界の一部で、決して異端ではない。
故に異端であった。
獣等は永久に望むだろう。
全てと"共に在る"ために。
全てを己等が内に呑み込もうと。
最終更新:2011年01月24日 20:20