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――誰?貴女は
ある日突然、少女は知り合いからそんな言葉をかけられた。
最初は、ごめんごめんそうだったねと謝られたが、その頻度は多くなっていき、とうとう忘れられた。
――失礼だと思いますが、誰です?
知り合いから誰と告げられるようになってから、親友からもそういわれるようになった。
いじめかと疑ったがいっさいそういうそぶりもなくて、ものすごく謝られたけど、やっぱり最後には忘れられた。
――貴女誰ですか!?何で、家にいるんですか!?
親友から、誰と聞かれてから、肉親からもそう言われた。
少女は一連の流れから「とうとうきちゃったなあ」と諦める気持ち半分、悲しさが半分混ざり合った。
ほとぼりが冷めて家に戻ったものの、やっぱり、最後には忘れられた。
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次の日、少女はいつの間にか、寝ていて、「朝だぞ」という庭師の言葉とノックと共に目を覚ました。
「アタシのことを忘れたりしませんか……?」
彼女は開口一番、魔女と庭師の二人にそういった。
「安心しろ。俺は忘れても思い出す男だ」
「継君は黙っててくれないか……大丈夫、忘れたりしないから。それにその事象には見当がついている。まずは朝ごはんから食べよう」
最終更新:2013年09月20日 22:11