8月18日 Count Down_part1
8月16日、ちょうど2日前の事だった。私こと上条当麻は朝起きたら身体が縮んでいた。その前の夜にあの不良魔術師から貰ったプレゼントからすべては始まった。
右手に宿った幻想を打ち消す力・・・それを魔術で消すということだった。あの時のテンション、勢いというものでいつもの思考回路が変更されていたのは確かだった。
今、最も信頼のおける御坂美琴に助けを呼んだ。彼女から自分の正体をばれないようにするために親戚の“下條真登”と名乗ることにした。上条当麻は当分休みだ。
身体の調子はいたって今までと同じであるが時間がたつたびに、右手が痛む頻度、激しさが増した。そして、その翌日8月17日の夕方に倒れてしまったらしい・・・
右手に宿った幻想を打ち消す力・・・それを魔術で消すということだった。あの時のテンション、勢いというものでいつもの思考回路が変更されていたのは確かだった。
今、最も信頼のおける御坂美琴に助けを呼んだ。彼女から自分の正体をばれないようにするために親戚の“下條真登”と名乗ることにした。上条当麻は当分休みだ。
身体の調子はいたって今までと同じであるが時間がたつたびに、右手が痛む頻度、激しさが増した。そして、その翌日8月17日の夕方に倒れてしまったらしい・・・
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8月18日 午前6:14 大学病院内、とある病室にて
薄いカーテンから光が部屋にもれてくる。部屋の中すやすやと寝息が聞こえているだけの空間。ベッドの中でたまにもぞもぞと動いている。
しかし、もともと寝相がいいのか、かけられている布団は寝る前とほとんど同じ位置にある。そこでの長い眠りからようやっと目を覚ました少年はゆっくりと周りを見渡した。
しかし、もともと寝相がいいのか、かけられている布団は寝る前とほとんど同じ位置にある。そこでの長い眠りからようやっと目を覚ました少年はゆっくりと周りを見渡した。
「(・・・美琴。・・・あのあと、そうか運ばれたんだな。悪いことしちまったなぁ。)」
「すー・・・むにゃ・・・」
「(大変だったんだな。ありがとうな・・・)」
「・・・い、・・・いいの!!あんたのためじゃないんだから」
「(おまえはエスパーかよ?・・・てか、寝言か。こいつは夢でもツンデレなんですかね…)」
「起きてるわよ!!・・・あ・・・や・・・んは・・・じゃ・・・・ない・・・」
「(絶対寝たふりしてるだろこいつ…てか、すごい夢見てるな。・・・このままにしておこうか。すごい気持ちよさそうだな)」
「すー・・・むにゃ・・・」
「(大変だったんだな。ありがとうな・・・)」
「・・・い、・・・いいの!!あんたのためじゃないんだから」
「(おまえはエスパーかよ?・・・てか、寝言か。こいつは夢でもツンデレなんですかね…)」
「起きてるわよ!!・・・あ・・・や・・・んは・・・じゃ・・・・ない・・・」
「(絶対寝たふりしてるだろこいつ…てか、すごい夢見てるな。・・・このままにしておこうか。すごい気持ちよさそうだな)」
「あ・・・おはよ・・・頭痛くない?大丈夫?」
「あぁ」
「とりあえず、水とか買ってくるわ。なにがいい?」
「テキトーに頼むわ!」
「あぁ」
「とりあえず、水とか買ってくるわ。なにがいい?」
「テキトーに頼むわ!」
下條のベッドに体を倒して寝ている美琴が目を覚ました。下條もとい上条は彼女が妙にタイミングよく起きたことに突っ込みを入れたくなった。しかし、とても顔がつらそうだったのでやめた。
その代わり、今できる笑顔で言葉を返した。こっそりと繋いだ手を強く握りなおした。だが、これからやろうとしていることを悟られないようにすることがつらかった。自分以外の人間の心を傷つけてしまうと思ったから。
自分が倒れてしまう前に聞いたことを思い出した。土御門が電話口で言っていたこと――自分の存在を消すこと。――が頭の中でループする。というより、鳴り響いている。ほかのことを考えられなかった。
一人の時間が欲しかったから、美琴の言葉はありがたかった。一人になった部屋には涼しい風が入り込んでくる。下條は窓の外を眺めて倒れてから自分に何が起こっていたのかを考えていた。10分後美琴はかえってきた。
その代わり、今できる笑顔で言葉を返した。こっそりと繋いだ手を強く握りなおした。だが、これからやろうとしていることを悟られないようにすることがつらかった。自分以外の人間の心を傷つけてしまうと思ったから。
自分が倒れてしまう前に聞いたことを思い出した。土御門が電話口で言っていたこと――自分の存在を消すこと。――が頭の中でループする。というより、鳴り響いている。ほかのことを考えられなかった。
一人の時間が欲しかったから、美琴の言葉はありがたかった。一人になった部屋には涼しい風が入り込んでくる。下條は窓の外を眺めて倒れてから自分に何が起こっていたのかを考えていた。10分後美琴はかえってきた。
「ほら・・・水」
「サンキュ!悪いな。今何時なんだ?」
「ほれっ」
「(6:30前か。)あと30分したら飯だな」
「サンキュ!悪いな。今何時なんだ?」
「ほれっ」
「(6:30前か。)あと30分したら飯だな」
とりあえず、重いことを話したくなかったのでそれを言わないようにしていた。美琴がそれを気付かないわけない。嘘だと顔に書いてあると下條は言われた。必死に下條は抵抗した。
下條の抵抗もあっさり負けてしまう。美琴が額にチョップを食らわせる。そして、一人で抱えてどうする気だと言われた。本当の事に少しだけ触れてそれ以外はウソを通そうと考えていたのに、
きれいにその計画は音をなして崩れた。少し時間をくれと言って美琴を目の中に入れないように窓のほうを見た。窓の外は雲ひとつない空が・・・とはいかないが青く輝いている。
しばらく窓の外に目を遣っていた下條が美琴のほうに顔を遣った。彼女は頭の上に?マークをたくさん浮かべている。美琴は下條にその顔を近づける。少しずつ、少しずつ、近づいてみる。
いつの間にか、二人の頭の間は1センチもなかった。美琴が勢いを殺さないため、とうとう二人は頭をぶつけてしまった。ぶつけた額は痛々しく赤くなっている。先に口を出したのは下條だった。
下條の抵抗もあっさり負けてしまう。美琴が額にチョップを食らわせる。そして、一人で抱えてどうする気だと言われた。本当の事に少しだけ触れてそれ以外はウソを通そうと考えていたのに、
きれいにその計画は音をなして崩れた。少し時間をくれと言って美琴を目の中に入れないように窓のほうを見た。窓の外は雲ひとつない空が・・・とはいかないが青く輝いている。
しばらく窓の外に目を遣っていた下條が美琴のほうに顔を遣った。彼女は頭の上に?マークをたくさん浮かべている。美琴は下條にその顔を近づける。少しずつ、少しずつ、近づいてみる。
いつの間にか、二人の頭の間は1センチもなかった。美琴が勢いを殺さないため、とうとう二人は頭をぶつけてしまった。ぶつけた額は痛々しく赤くなっている。先に口を出したのは下條だった。
「ってぇー。いきなり何すんだよ。びっくりしたぞ?」
「あ・・・ご、ごめん!!だって、あんたがそんなポケーっとしてるからでしょ?」
「おれですか。んま、ぼけーっっとしてたのは悪かったな。別に上条さんは悪気があった訳じゃございませんから」
「あんたがそんな風にしてるの珍しいわね。カメラにでも入れておけばよかったわ・・・」
「そんなものとっておいて誰がうれしいんだよ。人が人生の岐路に立とうとしているのに」
「・・・私が・・・ってあんたは!本当のこと言いなさいよ?美琴お姉様はそんなんじゃ怒こらないから」
「話さないといけないのは分かってる。・・・悪ぃ。いきなりすぎることを言うかもしれないけど大丈夫か?」
「あ・・・ご、ごめん!!だって、あんたがそんなポケーっとしてるからでしょ?」
「おれですか。んま、ぼけーっっとしてたのは悪かったな。別に上条さんは悪気があった訳じゃございませんから」
「あんたがそんな風にしてるの珍しいわね。カメラにでも入れておけばよかったわ・・・」
「そんなものとっておいて誰がうれしいんだよ。人が人生の岐路に立とうとしているのに」
「・・・私が・・・ってあんたは!本当のこと言いなさいよ?美琴お姉様はそんなんじゃ怒こらないから」
「話さないといけないのは分かってる。・・・悪ぃ。いきなりすぎることを言うかもしれないけど大丈夫か?」
下條として生きている上条。ここで不幸に出会う。自分の決心を話そうとしたときにちょうど良く外からノックが聞こえる。そして、顔見知りのベテラン看護師が朝食を持ってきた。
上条はタイミングが良すぎて驚いたが、これで自分自身が救われたのは言うまでもなかった。ご飯プレートをベッドの上のテーブルに置くと、美琴に話があると言って外に連れ出した。
その時、下條に軽く笑顔でちょっくらあんたのお姉さん借りてもいいかしら?と聞いてきたので別に構いませんとか言って置いた。目の前にある栄養バランス的には文句のない朝食に箸をつける。
病院食だけあって余り味がないのが彼にとってがっかりものだが。最近外食ばかりだったこともあってそのがっかりも今までのツケが来たと思えばなんともないと下條の頭の中で判断が下された。
廊下には2人が話している姿が見える。それも、5分たってもまだいる。その光景が消えて間もなく美琴は元いた部屋の中に入る。入ろうとする。だが、ドアを握る手に汗をかいていた。
美琴は非常に緊張していた、原因は自分でもわからないが。看護婦の話の中で、下條の退院がいつになりそうかを伝えてくれたのだ。「今日の8時過ぎの検査の結果によってはすぐに帰ることができる」と。
安心するべきことなのだろうが、不安な気持に傾く。上条の不幸体質に付き合わされること長いのだが、退院した後に――また見てはいけないものを見るかもしれない――と。
こんな状態が何分続いていただろう。美琴は自分が考えていたことにばかばかしくなった。一人で笑ってしまいそうだった。我慢しきれなくなっていたため急いで戸の向こう側へ入って行った。
下條の場合、そんなことも知っていないのでいきなりドアを開いたことに驚いてしまうのだが。それよりも、いきなり入ってきた美琴が馬鹿笑いし始めたのに度肝を抜いてしまう。
上条はタイミングが良すぎて驚いたが、これで自分自身が救われたのは言うまでもなかった。ご飯プレートをベッドの上のテーブルに置くと、美琴に話があると言って外に連れ出した。
その時、下條に軽く笑顔でちょっくらあんたのお姉さん借りてもいいかしら?と聞いてきたので別に構いませんとか言って置いた。目の前にある栄養バランス的には文句のない朝食に箸をつける。
病院食だけあって余り味がないのが彼にとってがっかりものだが。最近外食ばかりだったこともあってそのがっかりも今までのツケが来たと思えばなんともないと下條の頭の中で判断が下された。
廊下には2人が話している姿が見える。それも、5分たってもまだいる。その光景が消えて間もなく美琴は元いた部屋の中に入る。入ろうとする。だが、ドアを握る手に汗をかいていた。
美琴は非常に緊張していた、原因は自分でもわからないが。看護婦の話の中で、下條の退院がいつになりそうかを伝えてくれたのだ。「今日の8時過ぎの検査の結果によってはすぐに帰ることができる」と。
安心するべきことなのだろうが、不安な気持に傾く。上条の不幸体質に付き合わされること長いのだが、退院した後に――また見てはいけないものを見るかもしれない――と。
こんな状態が何分続いていただろう。美琴は自分が考えていたことにばかばかしくなった。一人で笑ってしまいそうだった。我慢しきれなくなっていたため急いで戸の向こう側へ入って行った。
下條の場合、そんなことも知っていないのでいきなりドアを開いたことに驚いてしまうのだが。それよりも、いきなり入ってきた美琴が馬鹿笑いし始めたのに度肝を抜いてしまう。
「あ・・・あの・・・御坂さん?なにか、上条さんの顔に面白いものが書いてあったんでせうか?」
「いやっ!・・・え?・・・あっはははははははは・・・やばい・・・・止まらない!!」
「あのー。本当にどうしちまったんですかね。これから大事なこと話そうとしてるのにそんなんでは・・・」
「え?・・・なんか言ったかしら?」
「いや、だーかーら・・・それを今から言うんですよ?」
「あ。そっか。・・・ごめんね」
「いやっ!・・・え?・・・あっはははははははは・・・やばい・・・・止まらない!!」
「あのー。本当にどうしちまったんですかね。これから大事なこと話そうとしてるのにそんなんでは・・・」
「え?・・・なんか言ったかしら?」
「いや、だーかーら・・・それを今から言うんですよ?」
「あ。そっか。・・・ごめんね」
下條、本当は上条は、一呼吸おいて話しだした。最初に、お前にとっては少し受け入れられないものかもしれない。だけど、聞いてくれ。これッきりかもしれないからな。と付け加えた。
まず最初に、昨日の土御門との電話の内容を話した。自分がなぜ小さくなってしまったのかということを説明した。これでは美琴が納得してくれないのは明らかだった。でも、淡々と続けた。
最初のうちは、まだ原因が分かったということを伝えるだけ。遠隔操作系の魔術と、本来の原因となっている術式があって、それは最大主教(アークビショップ)・ローラ=スチュアートによるらしいことも。
ここまでは下條の予想通りの反応を見せていた。美琴は話の途中に茶々を入れつつ下條の話を聞いていた。本来、彼女に話そうとしていたことをとうとう伝えなければならなかった。ギリギリの時間。
今でなければ間に合わないと思ったので、少し深呼吸してから美琴の顔を見て言い放った。ツンツン頭の少年は、人生何度目かの勇気を振り絞った。ゆっくりとその口は動き出した。
まず最初に、昨日の土御門との電話の内容を話した。自分がなぜ小さくなってしまったのかということを説明した。これでは美琴が納得してくれないのは明らかだった。でも、淡々と続けた。
最初のうちは、まだ原因が分かったということを伝えるだけ。遠隔操作系の魔術と、本来の原因となっている術式があって、それは最大主教(アークビショップ)・ローラ=スチュアートによるらしいことも。
ここまでは下條の予想通りの反応を見せていた。美琴は話の途中に茶々を入れつつ下條の話を聞いていた。本来、彼女に話そうとしていたことをとうとう伝えなければならなかった。ギリギリの時間。
今でなければ間に合わないと思ったので、少し深呼吸してから美琴の顔を見て言い放った。ツンツン頭の少年は、人生何度目かの勇気を振り絞った。ゆっくりとその口は動き出した。
「なあ。頼みごとがあるんだ。――俺にお前の最大出力を飛ばしてほしい」
「なんでよ・・・何でアンタが死ななきゃいけないのよ。それは拒否したい願い事ね」
「それでも」
「だめ・・・だ・・・って・・・」
「・・・悪いな。いつも心配かけちまって。でも、これが一番の対処法なんだってよ」
「なんでよ・・・何でアンタが死ななきゃいけないのよ。それは拒否したい願い事ね」
「それでも」
「だめ・・・だ・・・って・・・」
「・・・悪いな。いつも心配かけちまって。でも、これが一番の対処法なんだってよ」
「(あら?取り込み中だったかしら)・・・下條くーん。検査の時間ですよ。ついてきてくれる?」
「あ、はっはい。今いくんで。っていつからいたんですか?・・・そんじゃ、退院できたらいいな。待っててくれ」
「あら?看護婦さんにこんなところ見せるとはなかなか度胸あるわね・・・フフフッ」
「「そんなんじゃないですって」」
「あ、はっはい。今いくんで。っていつからいたんですか?・・・そんじゃ、退院できたらいいな。待っててくれ」
「あら?看護婦さんにこんなところ見せるとはなかなか度胸あるわね・・・フフフッ」
「「そんなんじゃないですって」」
下條はいつの間にか部屋にいた豪快なおふくろ風のしゃべりの看護師に検査するために連れられて行った。今の今まで話し合っていた二人は同時にはぁーっと大きなため息をついた。
その後すぐに出た看護婦からのきつい突っ込みに二人は苦笑いした。美琴は、病室に一人取り残された。ふーっと深くため息をはいた後ベッドの隣に置かれた小さな時計をみた。
このとき、午前9:00前であった。そろそろ、外が騒がしくなる頃だった。一人、脳内でツンツン頭の少年の言っていたことをリピートしてみる。それを自分の中で噛み砕いていく。
その後すぐに出た看護婦からのきつい突っ込みに二人は苦笑いした。美琴は、病室に一人取り残された。ふーっと深くため息をはいた後ベッドの隣に置かれた小さな時計をみた。
このとき、午前9:00前であった。そろそろ、外が騒がしくなる頃だった。一人、脳内でツンツン頭の少年の言っていたことをリピートしてみる。それを自分の中で噛み砕いていく。
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8月18日 午前9:02 大学病院内、廊下にて。
「いやぁー。昨日は久々に働いたなぁー。帰ってからのビールが楽しみだわ。こりゃ」
「そうなんですか?って、昨日は大変だったんですね」
「そーよ。そーなの。そーでしたのよ!!昨日も昼までこの病院は平和って言う単語がふさわしかったんだから」
「それって、俺が来て不幸がやってきたっていうんですか?」
「そうね。あなたが来て、うちのドクターが総動員されて私たちもサポートとしてかなり下働きよ。不幸だわぁ」
「ほんと、返す言葉がございません。なんといっていいんやら・・・」
「って、何本気にしてんのよっ!冗談よ。冗談!!あなたってけっこううぶなのね・・・」
「うぶですか・・・(こんな話あいつには聞かせられないな)」
「あれ?落ち込んじゃってる?・・・ごめんね。あ!もうそろそろね。」
「そうなんですか?って、昨日は大変だったんですね」
「そーよ。そーなの。そーでしたのよ!!昨日も昼までこの病院は平和って言う単語がふさわしかったんだから」
「それって、俺が来て不幸がやってきたっていうんですか?」
「そうね。あなたが来て、うちのドクターが総動員されて私たちもサポートとしてかなり下働きよ。不幸だわぁ」
「ほんと、返す言葉がございません。なんといっていいんやら・・・」
「って、何本気にしてんのよっ!冗談よ。冗談!!あなたってけっこううぶなのね・・・」
「うぶですか・・・(こんな話あいつには聞かせられないな)」
「あれ?落ち込んじゃってる?・・・ごめんね。あ!もうそろそろね。」
同じ階の別棟に目的地が在ったため、5分くらい歩いていた。といっても、車いすで押されていた。看護師はその大胆かつ豪快な口調が似合わないほど華奢な身体をしている。
だが、出るとこ出て引っ込むところが引っ込んでいるのは下條もとい上条が驚いてしまうところだ。といっても、彼がフラグを建てた女性たちは必ずと言っていいほどルックスが素晴らしい。
見事に車いすを押してくれている看護師はその条件範囲に入っていた。下條は、後ろからからかってくる人間に何もできず視点をうろうろさせていたのは周りの人間でさえ感じ取れたくらいだ。
気付いたら、いつの間にか検査室の前だった。その中に入ると、無駄に大きな装置がいくつかおかれていた。相変わらずカエル顔の医師はまた来たのかい君は、という顔をしていた。
だが、出るとこ出て引っ込むところが引っ込んでいるのは下條もとい上条が驚いてしまうところだ。といっても、彼がフラグを建てた女性たちは必ずと言っていいほどルックスが素晴らしい。
見事に車いすを押してくれている看護師はその条件範囲に入っていた。下條は、後ろからからかってくる人間に何もできず視点をうろうろさせていたのは周りの人間でさえ感じ取れたくらいだ。
気付いたら、いつの間にか検査室の前だった。その中に入ると、無駄に大きな装置がいくつかおかれていた。相変わらずカエル顔の医師はまた来たのかい君は、という顔をしていた。
「やあ、今日はよく眠れたかい?眠れたなら、よかったね?」
「ええ。んま。身体に違和感も何も感じませんし」
「そうかい。それはよかった。医師としての僕の責任がかかっていたからね」
「ありがとうございます」
「っと。前置きはここまでにしよう。そこの部屋のCTスキャナーに入ってくれたまえ」
「分かりました」
「ええ。んま。身体に違和感も何も感じませんし」
「そうかい。それはよかった。医師としての僕の責任がかかっていたからね」
「ありがとうございます」
「っと。前置きはここまでにしよう。そこの部屋のCTスキャナーに入ってくれたまえ」
「分かりました」
カエル顔の医師は右手で行先を指すと、下條に行くように促した。そして、ゆっくりとその身体を起こして上条の横を歩く。というより、先導して部屋に入る。
下條は、控えていたさっきとは別の看護師に車いすを押されて検査用の部屋に入る。そして、その部屋に入った時に医師から、そこから歩けるかい?と聞かれた。
入口には手すりが在ったので、それに頼って車いすから立った。そして、少しふらふらしながら機械のほうに向かって歩いた。その機械に備わった椅子に腰をかけた。
その時に隣の部屋にいる医師は、準備はいいかね?そろそろはじめるよ?とマイク越しに言ってきたので、それに軽く会釈して身体を背もたれに倒した。
すると、頭の上に在った大きな円盤がぎゅいーんという音を立てながら下へ進みだした。青白い光を出しながら降りてくる円盤はUFOのようにも見える。
この作業は2分かからずに終わり、カエル医師がマイクで、それじゃこれで検査は終わったよ?さっきの場所で待っていてくれないか?と言ってきたのでゆっくりと身体を起こした。
一端深呼吸をして床に足をつけてゆっくりと立ち上がる。その時に中に入ってきた看護師が車いすは大丈夫?と言ってきたので、すかさずそれに首を縦に振った。
彼にもそれなりの信念がある。自分を世界で一番大切だと言ってくれた女の子をまた泣かせてしまった。だから、それを償う覚悟でボロボロからいまだ回復しきっていない身体で。
元気になったということを伝えるため。ゆっくりと自分の足で歩いて、指定された場所へ行く。少々よろけ気味だったが以外にも大丈夫だったのでそのまま歩いてカエル医師のもとへ行く。
すると、カエル医師は呆れた顔をして既に座っていた。下條の顔を見てゆっくりと話し始めた。これから言うことは僕の昔話だが、今の君を見ると思いだしたんだよ。いいかね時間をすこしもらうよ?と。
下條は、控えていたさっきとは別の看護師に車いすを押されて検査用の部屋に入る。そして、その部屋に入った時に医師から、そこから歩けるかい?と聞かれた。
入口には手すりが在ったので、それに頼って車いすから立った。そして、少しふらふらしながら機械のほうに向かって歩いた。その機械に備わった椅子に腰をかけた。
その時に隣の部屋にいる医師は、準備はいいかね?そろそろはじめるよ?とマイク越しに言ってきたので、それに軽く会釈して身体を背もたれに倒した。
すると、頭の上に在った大きな円盤がぎゅいーんという音を立てながら下へ進みだした。青白い光を出しながら降りてくる円盤はUFOのようにも見える。
この作業は2分かからずに終わり、カエル医師がマイクで、それじゃこれで検査は終わったよ?さっきの場所で待っていてくれないか?と言ってきたのでゆっくりと身体を起こした。
一端深呼吸をして床に足をつけてゆっくりと立ち上がる。その時に中に入ってきた看護師が車いすは大丈夫?と言ってきたので、すかさずそれに首を縦に振った。
彼にもそれなりの信念がある。自分を世界で一番大切だと言ってくれた女の子をまた泣かせてしまった。だから、それを償う覚悟でボロボロからいまだ回復しきっていない身体で。
元気になったということを伝えるため。ゆっくりと自分の足で歩いて、指定された場所へ行く。少々よろけ気味だったが以外にも大丈夫だったのでそのまま歩いてカエル医師のもとへ行く。
すると、カエル医師は呆れた顔をして既に座っていた。下條の顔を見てゆっくりと話し始めた。これから言うことは僕の昔話だが、今の君を見ると思いだしたんだよ。いいかね時間をすこしもらうよ?と。
「ここ2年前からかね。この病院のある常連さんがいてね。彼はたしか、当時…高校1年生だったかな?君みたいにツンツン頭だったね?顔はなんだかまだ子供っぽかったけど芯の強い子でね。
いつもいつも傷跡が絶たなくてね。そうそう。たとえば、複雑骨折とか、何十針も縫う大けがとか、僕も見たことがなかった大脳の「記憶損失」、たしか、右腕がきれいに切断されていたこともあったね。
いつもいつも傷跡が絶たなくてね。そうそう。たとえば、複雑骨折とか、何十針も縫う大けがとか、僕も見たことがなかった大脳の「記憶損失」、たしか、右腕がきれいに切断されていたこともあったね。
- 朝からこんなこと言うのも恐ろしいかね?それを自分で勝手に首を突っ込んだことですから自業自得ですと、困っている顔を見るとなんとかしたくなるんですよねと、最初は変なこと言うやつだと思ったよ。
でもね、数回彼が常連として入院を始めたときに気付いたんだよね。あの時言っていたことが本当だったのかと。なんでこんなになるまで誰かの幸せのために自分を投げ打つことができるのかとね。
あくまでも、これは僕の個人的な昔話なんだから聞き流してくれてもよかったよ?」
あくまでも、これは僕の個人的な昔話なんだから聞き流してくれてもよかったよ?」
「・・・ありがとうございます。なんか、自分の過去にそう言うのも在ったなって思って」
「そうなのかい?彼に助けられたとか・・・んま、いいや。とりあえず、先に結論だけ言っておこう。・・・良かったね、経過は順調だね。後は無理しない程度にしておくんだね?」
「そうですか。それじゃ・・・「退院できるけど?」」
「え?あ!、ありがとうございました」
「彼女・・・待たせてるんだから早くいきなさい。お大事にね」
「そうなのかい?彼に助けられたとか・・・んま、いいや。とりあえず、先に結論だけ言っておこう。・・・良かったね、経過は順調だね。後は無理しない程度にしておくんだね?」
「そうですか。それじゃ・・・「退院できるけど?」」
「え?あ!、ありがとうございました」
「彼女・・・待たせてるんだから早くいきなさい。お大事にね」
カエル医師のお許しが出た下條もとい上条は、すぐに病室へ戻った。5分かかった行きの道も帰りは7分もかかってしまった。急いで帰るつもりだったがさまざまな不幸が降り注いだのである。
歩いていると目の前を全速力で走っていた小さな男の子とぶつかりかけたり、なんともないところで転んだり、看護師との接触も何度か続いた。心の中で久々に叫ぼう――不幸だ・・・。
ボロボロになりながら帰ってきた彼氏を見て一言・・・これから入院なんでしょ?ねえ?っと言ってきた。一人でいた時間が長くなってしてしまったのが最近多くなっていたからだろうか、
少し自分がいなくなっただけで美琴は今にも泣き出しそうな顔をする。もしくは不貞腐れると言ったパターンが多くなってきた。今回は違った。何が違うか。雰囲気が、表情が、全てが。
確かに、自分の身に起こってしまった出来事は何もかも変えてしまった気がすると下條(上条)は思った。でも、彼女がいつもの様子とは違うことに気付いてしまった。だけど、言葉が出ない。
自分が寝ていたいつもの病室に入ったとたんに美琴のほうから近づいてきて手を両手で包むように握ってきた。ただ、目はなぜだか冷たく暗い。そして、下を俯いている。目線はそらしたまま。
彼女がここまでおかしい態度をとっているため、さすがに上条のほうも気付いた。ただ、本質は分からないというのがオチだが。同じ言葉を何度も繰り返している。また目の前からいなくなるの?と。
その理性が崩壊した姿は、かつての凛とした少女の面影はさらさらない。やつれている。一気に年を食ってしまったような雰囲気さえ漂わせている。その姿から強制的に抜け出させるため少年は動いた。
歩いていると目の前を全速力で走っていた小さな男の子とぶつかりかけたり、なんともないところで転んだり、看護師との接触も何度か続いた。心の中で久々に叫ぼう――不幸だ・・・。
ボロボロになりながら帰ってきた彼氏を見て一言・・・これから入院なんでしょ?ねえ?っと言ってきた。一人でいた時間が長くなってしてしまったのが最近多くなっていたからだろうか、
少し自分がいなくなっただけで美琴は今にも泣き出しそうな顔をする。もしくは不貞腐れると言ったパターンが多くなってきた。今回は違った。何が違うか。雰囲気が、表情が、全てが。
確かに、自分の身に起こってしまった出来事は何もかも変えてしまった気がすると下條(上条)は思った。でも、彼女がいつもの様子とは違うことに気付いてしまった。だけど、言葉が出ない。
自分が寝ていたいつもの病室に入ったとたんに美琴のほうから近づいてきて手を両手で包むように握ってきた。ただ、目はなぜだか冷たく暗い。そして、下を俯いている。目線はそらしたまま。
彼女がここまでおかしい態度をとっているため、さすがに上条のほうも気付いた。ただ、本質は分からないというのがオチだが。同じ言葉を何度も繰り返している。また目の前からいなくなるの?と。
その理性が崩壊した姿は、かつての凛とした少女の面影はさらさらない。やつれている。一気に年を食ってしまったような雰囲気さえ漂わせている。その姿から強制的に抜け出させるため少年は動いた。
「ククッ・・・」
「?・・・エッ!」
「ククッ・・・お前、なんちゅう顔してんだよ?」
「私、そんなに今ひどいの?」
「鏡みてこいよ。すごいぞ・・・」
「うっ!・・・(我ながらひどいなぁ。これは)」
「そんな顔してたらかわいい美琴タンが台無しですよ?」
「あ!・・・え?・・・なんでアンタはそんな顔してられんのよ?」
「そう言えば、さっきいきなり抱きつかれたせいでいうことを忘れてしまったみたいです。上条さんは」
「わたしのせい?」
「って…そんな上目遣いで言われたらなんというか…何にも言い返せなくなるだろうが」
「えへへ・・・。」
「でさ、美琴さんに嬉しいお知らせがございます。私、上条当麻は退院することになりました」
「え?良かったじゃない。・・・でもさ、あんたってバカみたいに回復早いわね」
「そうじゃねえだろ?俺一人の力じゃねえって・・・ありがと・・・な?」
「・・・///」カァァ
「そんじゃ、準備してさっさとここから出ますか」
「・・・///」カァァ
「てか、いつまでそんな固まってるんだよ?」
「もしもーし?み・・・美琴さん?あのぅ・・・そこにいられるとですね、ほしいものも届かないのですよ?」
「聞いてますか?・・・おーい!」
「それじゃあ、他のことを先にやってしまおう」
「?・・・エッ!」
「ククッ・・・お前、なんちゅう顔してんだよ?」
「私、そんなに今ひどいの?」
「鏡みてこいよ。すごいぞ・・・」
「うっ!・・・(我ながらひどいなぁ。これは)」
「そんな顔してたらかわいい美琴タンが台無しですよ?」
「あ!・・・え?・・・なんでアンタはそんな顔してられんのよ?」
「そう言えば、さっきいきなり抱きつかれたせいでいうことを忘れてしまったみたいです。上条さんは」
「わたしのせい?」
「って…そんな上目遣いで言われたらなんというか…何にも言い返せなくなるだろうが」
「えへへ・・・。」
「でさ、美琴さんに嬉しいお知らせがございます。私、上条当麻は退院することになりました」
「え?良かったじゃない。・・・でもさ、あんたってバカみたいに回復早いわね」
「そうじゃねえだろ?俺一人の力じゃねえって・・・ありがと・・・な?」
「・・・///」カァァ
「そんじゃ、準備してさっさとここから出ますか」
「・・・///」カァァ
「てか、いつまでそんな固まってるんだよ?」
「もしもーし?み・・・美琴さん?あのぅ・・・そこにいられるとですね、ほしいものも届かないのですよ?」
「聞いてますか?・・・おーい!」
「それじゃあ、他のことを先にやってしまおう」
固まっている美琴をしり目に病院を出る準備を始める下條…本当は上条。ベッドを直して、今まで来ていた入院服から着替えた。昨日出かけるときに何も物をもってきていない。
そのため、自分自身の支度ができれば準備万端であった。だが、美琴がフリーズ状態から抜け出せなくなっているため、整えたベッドの上に座って待っている。
だが、一向に物事が進まないため下條は美琴にちかづいて、おでこに軽くチョップを入れた。さりげなく、世話が焼けるお姫様ですこと。と呟きながら。極力聞こえないように。
そのため、自分自身の支度ができれば準備万端であった。だが、美琴がフリーズ状態から抜け出せなくなっているため、整えたベッドの上に座って待っている。
だが、一向に物事が進まないため下條は美琴にちかづいて、おでこに軽くチョップを入れた。さりげなく、世話が焼けるお姫様ですこと。と呟きながら。極力聞こえないように。
「痛っ!何すんのよ」
「やっとか・・・」
「やっとか・・・ってなにヤレヤレって顔してんのよ。私だってたまにはぼーっとしたいときだってあんの」
「さいですか。そんじゃいこうか?ずっとここにいても迷惑だしな」
「うん・・・その前に、さ」
「なんだ?」
「さっき言ったこと・・・」
「ん?あれか・・・あれはここじゃ長くなるし、それに他の人には聞かれたくないものだからな」
「そうなの・・・なら別にいいわよ。期待して待ったげるから」
「(さすがに、このタイミングで言えるもんじゃねえしな)」
「やっとか・・・」
「やっとか・・・ってなにヤレヤレって顔してんのよ。私だってたまにはぼーっとしたいときだってあんの」
「さいですか。そんじゃいこうか?ずっとここにいても迷惑だしな」
「うん・・・その前に、さ」
「なんだ?」
「さっき言ったこと・・・」
「ん?あれか・・・あれはここじゃ長くなるし、それに他の人には聞かれたくないものだからな」
「そうなの・・・なら別にいいわよ。期待して待ったげるから」
「(さすがに、このタイミングで言えるもんじゃねえしな)」
病室を出て、ナースステーションの前を通るついでに軽く挨拶をして、病院を後にした。下條は現在しっかりと地面に足をついて歩いている。検査の時のふらつきがウソのようだ。
というのも、検査後にリアルゲコ太先生が、これは君が望むならやってあげるよ?と言われて、筋肉へ電気マッサージなどの軽い処置をしてくれたおかげである。美琴も実はやっていたが。
病院はすでに人間が縦横無尽に歩く函体と化していた。それほどかなりの時間が過ぎていた。一般病棟のほうに出口が在るため、アナウンスの声がうるさいところをくぐりぬけてきた。
一階のホールにある会計に行き、美琴は料金を支払ったところで行先を上条の男子寮へ行くことにした。実は、2日前の漏電のせいで使い物ならなかったそのぼろアパートの一角は、
一晩にして新たな空間へと変わっている。それを上条は知らない。小さくなってもその鈍感は冴えわたっている証拠だ。炎天下という言葉が似合う空。こういうときは余り外に出たくないものだ。
しかし、それとは予想の斜め上を行く涼やかな風が内陸にある学園都市に吹いている。下條は、ゆっくり歩いて帰りたいと言っていたため、買い物がてら歩いて帰ることにした。
いつも使っているコンビニや、見慣れた警備ロボットが目に入る。午前中だというのに今では日差しが体に刺さっていたいくらい強い。ツンツン頭と茶髪の2人はだらだらと歩みを進めている。
下條の額には汗が噴き出してきている。それをたまに自分のハンカチでさりげなくふき取る美琴。そのあと顔が真っ赤になる下條。それを見て何かに満たされたような顔になる美琴。
延々とそれが繰り返されるようなローテーションが組まれたようだ。ただ、屋外かつ、それなりの人通りであるため、人とすれ違う時にそれをカモフラージュしようとしている。実は、周りの目を気にしている。
というのも、検査後にリアルゲコ太先生が、これは君が望むならやってあげるよ?と言われて、筋肉へ電気マッサージなどの軽い処置をしてくれたおかげである。美琴も実はやっていたが。
病院はすでに人間が縦横無尽に歩く函体と化していた。それほどかなりの時間が過ぎていた。一般病棟のほうに出口が在るため、アナウンスの声がうるさいところをくぐりぬけてきた。
一階のホールにある会計に行き、美琴は料金を支払ったところで行先を上条の男子寮へ行くことにした。実は、2日前の漏電のせいで使い物ならなかったそのぼろアパートの一角は、
一晩にして新たな空間へと変わっている。それを上条は知らない。小さくなってもその鈍感は冴えわたっている証拠だ。炎天下という言葉が似合う空。こういうときは余り外に出たくないものだ。
しかし、それとは予想の斜め上を行く涼やかな風が内陸にある学園都市に吹いている。下條は、ゆっくり歩いて帰りたいと言っていたため、買い物がてら歩いて帰ることにした。
いつも使っているコンビニや、見慣れた警備ロボットが目に入る。午前中だというのに今では日差しが体に刺さっていたいくらい強い。ツンツン頭と茶髪の2人はだらだらと歩みを進めている。
下條の額には汗が噴き出してきている。それをたまに自分のハンカチでさりげなくふき取る美琴。そのあと顔が真っ赤になる下條。それを見て何かに満たされたような顔になる美琴。
延々とそれが繰り返されるようなローテーションが組まれたようだ。ただ、屋外かつ、それなりの人通りであるため、人とすれ違う時にそれをカモフラージュしようとしている。実は、周りの目を気にしている。
だが、この超能力者(レベル5)と英雄(レベル0)の二人はこういうところには、鈍感、不器用などという言葉が浮かんでくるくらいである。周りは二人の様子をみて毒づきそうな雰囲気を醸し出していた。
二人を見た人間たちは、その中でも茶髪の女の子に面識がある者ならば、実は学園都市第3位(レールガン)は重度のブラザーコンだった。という印象を持ちかねない。
このことに続いて突っ込みどころは、そういえばあの子って兄弟いるのかね?とか、もしかしてあの黒いツンツン頭のガキが彼氏か?とかという話がいたるところから出てくるだろう。
彼らにばれないように、彼女を知る人間たちは携帯電話のカメラでその光景をとり、ネット上の複数の掲示板に挙げた。その画像がこの230万都市の好奇心あふれる多くの市民の目に触れた。
掲示板が発生源であるため、いろいろな突っ込んだコメントが多く寄せられた。その中には、ショタコンやら、なんやらといろいろ書かれていた。その掲示板のアクセス数はその日のトップ10を占めた。
後日そのようなことがあったとわかり、美琴は数日間世間の冷ややかな目にさらされてしまい、上条に24時間愚痴を聞いてもらい、その上、抱きついて離れなかったという話は別の話。
二人を見た人間たちは、その中でも茶髪の女の子に面識がある者ならば、実は学園都市第3位(レールガン)は重度のブラザーコンだった。という印象を持ちかねない。
このことに続いて突っ込みどころは、そういえばあの子って兄弟いるのかね?とか、もしかしてあの黒いツンツン頭のガキが彼氏か?とかという話がいたるところから出てくるだろう。
彼らにばれないように、彼女を知る人間たちは携帯電話のカメラでその光景をとり、ネット上の複数の掲示板に挙げた。その画像がこの230万都市の好奇心あふれる多くの市民の目に触れた。
掲示板が発生源であるため、いろいろな突っ込んだコメントが多く寄せられた。その中には、ショタコンやら、なんやらといろいろ書かれていた。その掲示板のアクセス数はその日のトップ10を占めた。
後日そのようなことがあったとわかり、美琴は数日間世間の冷ややかな目にさらされてしまい、上条に24時間愚痴を聞いてもらい、その上、抱きついて離れなかったという話は別の話。
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8月18日 午前10:12 とある近所のスーパーにて。
真夏の太陽は既に空高く上っている。既に25℃は既に超えている。内陸都市であるこの街ではしょっちゅう良く起こることであるのだが、今日はとりわけ暑かった。
スーパーの中ではクーラーがぐぉぉぉぉと低い音を響かせながら涼しい空気を送っている。そのため、屋内は最適な温度になっている。買い物客以外にもいろいろな人がいる理由もこのようなものだが。
小さいつんつん頭とその頭一つ分だけ背の高い茶髪が仲良く二人並んで歩いている。その後ろで幸薄そうな黒髪巫女さんが野菜を買っている。彼らのアツアツぶりをその眼に焼き付けて一人つぶやいていた。
今度は。私が。あなたのポジションをゲットする。と言っていた。しかし、彼らには当たり前だが聞こえていない。かわいそうな。私。と重ねて独り言を言って旬の野菜コーナーに向かって歩いていった。
スーパーの中ではクーラーがぐぉぉぉぉと低い音を響かせながら涼しい空気を送っている。そのため、屋内は最適な温度になっている。買い物客以外にもいろいろな人がいる理由もこのようなものだが。
小さいつんつん頭とその頭一つ分だけ背の高い茶髪が仲良く二人並んで歩いている。その後ろで幸薄そうな黒髪巫女さんが野菜を買っている。彼らのアツアツぶりをその眼に焼き付けて一人つぶやいていた。
今度は。私が。あなたのポジションをゲットする。と言っていた。しかし、彼らには当たり前だが聞こえていない。かわいそうな。私。と重ねて独り言を言って旬の野菜コーナーに向かって歩いていった。
「そうだ。当麻。アンタさ、今日何食べたい?」
「そうだな。人が食えるものなら何でも食えますが」
「って、アンタさ私をおちょくってんの?ここ出たらアンタに思いっきり電撃ぶち当てたいわね」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいですから!どうかそのびりびりをおおさめくださいー。お代官様ぁ!!」
「そんなでかい声で言われると恥ずかしいじゃない」
「・・・あ。スマン」
「・・・わっわかりゃいいのよ。ところで何食べたいのよ、ほんとに」
「そうだな。美琴タンの作るものなら上条さんは何でも食べられますからね」
「それは嬉しいけど・・・私のそばからいn」
「ちょっ!悪い!卵の特売の曜日だったの思いだしたのでそれでは!」
「いなくならないでって言ったのに・・・あ・の・バ・カ・は!」
「そうだな。人が食えるものなら何でも食えますが」
「って、アンタさ私をおちょくってんの?ここ出たらアンタに思いっきり電撃ぶち当てたいわね」
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいですから!どうかそのびりびりをおおさめくださいー。お代官様ぁ!!」
「そんなでかい声で言われると恥ずかしいじゃない」
「・・・あ。スマン」
「・・・わっわかりゃいいのよ。ところで何食べたいのよ、ほんとに」
「そうだな。美琴タンの作るものなら上条さんは何でも食べられますからね」
「それは嬉しいけど・・・私のそばからいn」
「ちょっ!悪い!卵の特売の曜日だったの思いだしたのでそれでは!」
「いなくならないでって言ったのに・・・あ・の・バ・カ・は!」
なんとも元気なきょうだいがスーパーの中を追いかけっこし始める。だが、すぐに逃げるほうは捕まった。店員さんはとてもうんざり顔をしている。周りの客もうんざりしている。
二人はその状況を読んだらしい。一瞬二人の間の空気が真夏日なのに急激に冷たく凍ってしまった。二人はとうとう思考停止した。
追いかけられていた男の子のほうは両手で頭を抱えながら激しく左右に首を振って不幸だと連呼している。その隣でごにょごにょと小さくなってるのはその彼女。二人とも変にくねくねしている。
たまたまその横を通って行った人影の中にあらあら、上条ちゃんはどうしてこんなに女の子に恵まれているのでしょうか。とか、今日は月詠んちで焼肉じゃん!とか、いろいろと。
美琴たちはそんな見知っている人間がいるとは知らなかった。特に上条の知り合いがほとんどであるが。しかし、いつの間にか人の輪の中に入ってしまっていた二人は二人揃ってうっ!っとなってしまった。
二人はその状況を読んだらしい。一瞬二人の間の空気が真夏日なのに急激に冷たく凍ってしまった。二人はとうとう思考停止した。
追いかけられていた男の子のほうは両手で頭を抱えながら激しく左右に首を振って不幸だと連呼している。その隣でごにょごにょと小さくなってるのはその彼女。二人とも変にくねくねしている。
たまたまその横を通って行った人影の中にあらあら、上条ちゃんはどうしてこんなに女の子に恵まれているのでしょうか。とか、今日は月詠んちで焼肉じゃん!とか、いろいろと。
美琴たちはそんな見知っている人間がいるとは知らなかった。特に上条の知り合いがほとんどであるが。しかし、いつの間にか人の輪の中に入ってしまっていた二人は二人揃ってうっ!っとなってしまった。
一端、作戦会議を開く。周りには人が壁を作っているのだから普通に話すこともできない。そのため、
「(なぁ・・・この状況、どうするんだ?)」
「(しっ知らないわよ。アンタが勝手にどっか行っちゃうから悪いんじゃない)」
「(それは悪いっつってんだろ?特売という言葉には弱いんですよ?)」
「(フーン・・・。そしたら、こんなかわいい彼女よりも特売の方が数倍いいのね)」
「(そんなわけj・・・ってそんなことやってる暇じゃねぇよ!さっさとここから抜け出すぞ?)」
「へっ・・・?」
「(しっ知らないわよ。アンタが勝手にどっか行っちゃうから悪いんじゃない)」
「(それは悪いっつってんだろ?特売という言葉には弱いんですよ?)」
「(フーン・・・。そしたら、こんなかわいい彼女よりも特売の方が数倍いいのね)」
「(そんなわけj・・・ってそんなことやってる暇じゃねぇよ!さっさとここから抜け出すぞ?)」
「へっ・・・?」
ぴゅーんという音が聞こえるほどの勢いで下條は美琴の手を取ってその場を去ってしまった。その場にたまたまいたという姫神、小萌は小さくため息をつきながら言う。
「やっぱり。上条君は。不幸ね。」
「そうですねぇ。相変わらず上条ちゃんは忙しいのですね。たまには先生もかまってほしいのですよぉ?」
「「あっ。先生。(姫神ちゃん)」」
「今日は何を買ったんですか?中身によってはうちに連行するですよ?」
「そうですねぇ。相変わらず上条ちゃんは忙しいのですね。たまには先生もかまってほしいのですよぉ?」
「「あっ。先生。(姫神ちゃん)」」
「今日は何を買ったんですか?中身によってはうちに連行するですよ?」
なぜ、彼女たちは上条が小さくなったことを知っているかは、本人たちからすると上条オーラというものが出ているらしい。だから、上条が変装しようとも女装しようともすぐにわかってしまうらしい。
今日も買い物中にその学園都市、いや、世界一不幸なフラグ男の臭いを感知した。もしかして、と思ったらその臭い(オーラ)は、小学生くらいのツンツン頭の少年のあたりから発せられている
というのがわかった。しかし、その小学生の男の子から出ているということはまずないと思ったが、いつまでもそのオーラが消えないため上条がいると判断した。いや、目の前にいる小学生の少年は
間違えなく上条そのものであると確信したのである。
この後、姫神は小萌につきっきりで自分のやることを完全に封じられていた。下條(上条)たちがスーパーから去ってからすぐに二人ともそこから去り、
小萌の運転で色々な場所に付き合わされた(おもにパチンコ、昼からの学会)。だが、買い物のものを冷蔵庫に入れないといけなかったらしく途中小萌の家に立ち寄った。
結局、美琴たちは買いたいものを買えずに、つまり、手ぶらの状態でスーパーから出てきてしまった。現在も、さっきまでのトラウマをぶち殺すために逃走中。
今日も買い物中にその学園都市、いや、世界一不幸なフラグ男の臭いを感知した。もしかして、と思ったらその臭い(オーラ)は、小学生くらいのツンツン頭の少年のあたりから発せられている
というのがわかった。しかし、その小学生の男の子から出ているということはまずないと思ったが、いつまでもそのオーラが消えないため上条がいると判断した。いや、目の前にいる小学生の少年は
間違えなく上条そのものであると確信したのである。
この後、姫神は小萌につきっきりで自分のやることを完全に封じられていた。下條(上条)たちがスーパーから去ってからすぐに二人ともそこから去り、
小萌の運転で色々な場所に付き合わされた(おもにパチンコ、昼からの学会)。だが、買い物のものを冷蔵庫に入れないといけなかったらしく途中小萌の家に立ち寄った。
結局、美琴たちは買いたいものを買えずに、つまり、手ぶらの状態でスーパーから出てきてしまった。現在も、さっきまでのトラウマをぶち殺すために逃走中。
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8月18日 午前10:34 路上にて
「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・」
「けほっ・・・けほっ・・・」
「ねえ・・・あの・・・さ・・・その体でよく走れたわよね」
「んま、上条さんの不幸体質で鍛えた体ですから・・・って、この体だと体力までなかったの忘れていた・・・」
「ほんっと、こういうところはほんとにバカなんだから・・・そこに座ってて?ジュース買ってくる」
「あ、そうか。んじゃ、俺はここらへんで座ってるわ」
「はいはい。それじゃ、良い子にしてなさいよ?」
「わぁーってるよ・・・それじゃ、ザクロコーラ頼む」
「はいよ。そんじゃ買ってくるわ」
「けほっ・・・けほっ・・・」
「ねえ・・・あの・・・さ・・・その体でよく走れたわよね」
「んま、上条さんの不幸体質で鍛えた体ですから・・・って、この体だと体力までなかったの忘れていた・・・」
「ほんっと、こういうところはほんとにバカなんだから・・・そこに座ってて?ジュース買ってくる」
「あ、そうか。んじゃ、俺はここらへんで座ってるわ」
「はいはい。それじゃ、良い子にしてなさいよ?」
「わぁーってるよ・・・それじゃ、ザクロコーラ頼む」
「はいよ。そんじゃ買ってくるわ」
路上に在るベンチに座って美琴を待っている下條。さっきの事もあってか、少々眠くなってしまった。この時間帯は休み中であるため人通りがかなり多いようだ。
しかし、下條の周りはすでに眠気というバリアで内外に境界を作っていた。今なら、誰に不幸を吹っかけられようとやり切れる気がした。
炎天下の通りの脇を固める緑の屋根に木目調の美しいベンチ。そこに黒いツンツン頭の少年が横になっている。日陰でゆっくりと風が吹いている。
夏休み、それは顔見知りといろんな時間に遭遇しかねない危険な環境。その中を自分に現在降りかかっている状況のまま生きられるわけはなかった。
しかし、下條の周りはすでに眠気というバリアで内外に境界を作っていた。今なら、誰に不幸を吹っかけられようとやり切れる気がした。
炎天下の通りの脇を固める緑の屋根に木目調の美しいベンチ。そこに黒いツンツン頭の少年が横になっている。日陰でゆっくりと風が吹いている。
夏休み、それは顔見知りといろんな時間に遭遇しかねない危険な環境。その中を自分に現在降りかかっている状況のまま生きられるわけはなかった。
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