とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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匿名ユーザー

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初春さん達がトイレから帰って来た後、また暫くとりとめのない話をして、それから別れた。
けど、昼時に寮に戻っても何もする事がなかった。
とりあえず上着を脱ぎ、ベッドに飛び込む。
一度反発して、身体は埋もれていく。

「はぁぁぁぁぁ………」

思いっ切りの溜め息。どうしていいか、さっぱりだ。

「アイツの方が年上なんだからリードしてくれたら…楽なのに」

ていうか気付け、ばか。
クローゼットに入った私の服を頭の中で思い出しながら、私は眠っていた。



――――…… …っ!!
慌てて枕から頭を離し、ケータイを見る。

「う、そ…っ」

『17:57』と表示されている液晶に無駄に訴え、急いで着替えを始めた。
つか、寮監とか見つからないわよねっ?うん、大丈夫!
制服を放り投げるのもまただらしないと言われそうなので、ハンガーに掛けるだけで取り繕う。
適当に選んだ服を着てから鏡で見る。
適当なシャツの上にニットパーカ、それとブーツカットのジーンズ……

「あ゛ー…やっぱりなぁ…」

時間がないのに少し悠長に迷う自分に笑えてくる。
ええいもうっ、これでいいや!
ケータイや財布に…ハンカチ、も持った。
ダッフルコートを着込み、マフラーを巻いて、私は寮を出て行った。


―――――――――
ぜぇっ、ぜぇっ、と呼吸が荒くなる。
冷たい空気が肺に入ってきて尚更辛いっつーの……。
信号待ちの間に一気に体力を回復をして、青になると思いっ切り走り出す。

「…どんだけ必死なのよ、私…」

街中にある時計は短針が『6』、長針が『3』を指していた。
必死なのは、約束の時間に間に合わないだけだからじゃない。
今走ってるのは、早く、アイツに―――
人が多いと走りにくいっ!近道も兼ねて道を曲がる。

「おう、ビリ…じゃなく、御坂」

道に入り込んだ所、アイツがいた。
しかし、遅刻に急いでた私は、アイツの前でブレーキを掛け切れなくなっていた。

「あ、あぶなっ!!」
「は?ってちょっ!」

思わず発したのは、衝突の合図だった。
私は目の前が真っ暗になり、直後ぶつかった感触があった。


「っつー…お、おい、大丈夫か御坂」

頑なに目を瞑ってる私はアイツの声で我に返り、目を開ける。
そこには、アイツが体を仰向けに倒してて、…私はその上にいた。

「……え」
「"え"はこっちの台詞だっつーの。…怪我ないか?」

状況が分かってくると、私の頭にはアイツの右手があり、頭を自由に動かせない。
押し倒している状況に身体を起こし、アイツの上から退く。
アイツも身体を起こし、背中をさする。

「ご、ごめん……」
「お前が怪我してなけりゃいいさ。俺は背中を床に打ち付けただけだしな」

もーちょっとでお前大事になってたぞ、と言いつつアイツの指差す壁を見ると、パイプが壁沿いにある。

「…だから、頭に手、置いてたの?」
「ん、まぁそうだな。判断がもうちょい早かったら避けれたんだが…悪かったな御坂」

何事もなく、右手をぷらぷらとさせてるアイツが私に謝る。
私は思わず唇を噛む。

「……でよ」

「は?…もしかしてどっか打ったりしたか!?」
「っ!違うわよ!何でよ!私が急いでなかったら怪我したんでしょっ!悪いも何もないでしょうがっ!」
「…御坂、さん?」
「突っ込んできた私が謝らなくちゃ、いけない、のに………」

無理矢理な怒りが私の中を駆け巡る。謝ればいいだけなのに。
あんなに、急いで走って私はこんなのを望んだんじゃない。
私はアイツに一歩近付き、アイツの右手をとる。
手の甲は折れてはいないものの、寒さによるものとの相乗効果でとても赤い。

「――――ごめん」

昨晩から楽しみにしてて、朝から悶々として、昼から寝ちゃって、夕方に慌てて来て。
結局私は、何をしてるんだろうと思えて来た。
もーダメじゃない…、ただでさえ私はコイツに喧嘩ばっか売って、こんな日にさえ――。

「ホント、ごめん………当麻」
「お前…」

私は泣いていた。アイツはきっと困惑して凄い迷惑になってるだろうな。

「お前、怪我してたのか?それが痛む…のか?」

私は首を横に振る。

「もしかして俺に怪我させたのに泣いてんのか?」

頷く。

「……何か、色々とゴメンねっ。こんな私と、クリスマスイヴなんか一緒で」
「なぁ御坂。俺がなんでここを歩いてたのか分かるか?」


私は思わず顔をあげる。目に涙を溜め、かつ流れている顔を。
アイツは私の頬に冷たい左手を添えて笑う。

「お前が急いでるのと同様、お前に会いたかったからだ。
   お前の性格上待ち合わせには早く来そうだし、まぁたトラブルに巻き込まれたのかとも思ったら心配でさ」

左手は私の頭に移る。優しく撫でられる。

「それに、俺なんか普段から怪我ばっかだし、こんなの大して痛くもねーよ。
   クリスマスイヴって世間的に大事な日にお前に怪我させるのよりよっぽどマシだ。
   あと、誰がお前を嫌うかよ。しかも心配してくれてんだろ?それだけで俺は嬉しいさ。
   だからさ、もう泣くなよ」

何でだろう、アイツの言葉が普段より嬉しかった。
「……うん」とだけ私は頷いて、腕で涙を拭き取った。

「ごめんね」


さっきとは違う、"ごめん"なのは分かってくれてるんだろう。
アイツは歯を見せて笑う。

「気にすんな。あと、お前は謝るより、笑ってお礼を言った方が可愛いと思うぞ」
「なっ……ありがと」
「そうそう」

途端な発言に少々戸惑いつつ従う。

「んじゃ、どうする?飯がいいかプレゼント選ぶか。イルミネーションはその後でいいよな?」
「んー…ちょっとお腹減ったし、ご飯かな。美味しいんでしょうね?」
「…常盤台のお嬢様のお口に合うか分かりませんが、美味しいと、思いますよ」
「それじゃあ楽しみにしてるわ。早くいきましょーよ♪」

「切り替わり早いなっ!」っていうアイツの台詞を無視して、その店に向かった。


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