とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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序章 デルタフォース


「「増強剤?」」

 声を合わせてそう言うのは、上条当麻と彼の友人である青髪ピアスの2人。
 放課後である今、彼らがいる場所は、どこにでもあるようなマンションの一室。そう、上条の部屋である。
 現在インデックスはスフィンクスとともに出かけており、変わりにいるのが青ピ。
 そしてもう一人、金髪グラサンの少年が室内にいた。

「そうぜよ!これを飲めば、たちまち全身の力がみなぎってくるんだにゃー。」

 そう言うのはデルタフォースの一角、土御門元春だ。
 3人は机を囲んだ状態で右から上条、青ピ、土御門の順で床に座り、机の真ん中には200mlの液体が入るらしい、1つの小ビンが置かれていた。
 そのビンの中身を飲むよう、土御門が2人に勧めているわけだが

「いや~……すごい色やな…」

 青ピは全く飲む気がないようで、テンション低めで言った。
 まあ、中の液体は緑色をしているのだ。普通なら飲む人の方が少ないだろう。
 そんなあからさまにヤバそうな液体を見た上条は、うんざりしたように土御門に言う。

「いや…力がみなぎるって、絶対ウソだろ。」
「おいおい上やん、この薬を甘く見てもらっちゃ困るぜよ!なんたってこれ1本で元気ハツラツ、24時間走り続けられるって代物なんだにゃー!!」
「アホか。それが事実ならマラソンランナーは鍛える必要がなくなるわ。」
「…こういうときだけ無駄に賢そうなこと言うんだにゃー…」
「悪かったな無駄に賢くて!!ていうか、こんなもんどうやって手に入れたんだよ…」
「ネットだにゃー。なんか安売りしてたから大量に買ってみたってわけですたい。」
「大量に!?お前バカだろ!!」

 上条は思わず声を荒げた。
 土御門としては聞き捨てならない。
 バカと言われたため上条に飛びかかろうと思い、立ち上がろうとしたのだが、

「じゃあ、もし上やんが飲んだら運動神経が良くなるん?それか他に効果とかあんの?」

 と、青ピが土御門に尋ねた。以外にも興味津々だ。

 だが土御門は『増強剤』について詳しく知らない。
 そもそも“なんだか面白そうだから”と思い衝動買いした物なのだから、詳細を知っているはずがなかった。
 とはいえ、ここで答えなければ、上条に飲ますことができなくなると考えた土御門はウソをついた。

「…そりゃ全てが増強されるんだから、運動神経アップだけじゃなくて、不幸じゃなくなって、今よりもっとモテて、『幻想殺し』が進化して、って感じだと思うぜよ?」
「ほんまかいな!!上やんにとっていいことづくしやないか!!」
「だろ?だから上やん、飲んでみない……あれ?」

 ない。
 ついさっきまで机の上にあったはずの小ビンが、一瞬目を離した隙に無くなっていた。
 床に落ちたのか、と土御門が下に目をやった時、上条が真顔で言った。

「土御門……今言ったことは本当なんだな…?」
「え?」

 その声に反応した土御門は上条に視線を移す。
 すると上条の手には小ビンがしっかりと握られていた。

「だから土御門、お前が今言った、この薬の効果は本当なんだな!?」
「いや、今のはただの予想…………いや、その通りぜよ。それを飲めばたちまち俺が言った効果が現れるぜい!!どうだ?飲むかにゃー?」

 土御門は再びウソをついた。
 『増強剤』を飲んだからといって不幸じゃなくなったり、もっとモテたり、『幻想殺し』のパワーアップするなんて全てでまかせだ。
 しかし、そのウソで上条が『増強剤』を飲むことになるなら、ウソをつかない手は無い。
 そして上条は土御門の作戦にまんまとひっかかることとなる。

「よし!飲む!!もちろん飲むぞ!!!」

 そう言ったかと思うと、上条は小ビンのふたを開け、中の緑の液体を一気に飲み干した。
 いや。飲んでしまった、と言ったほうが正しい。

(ていうか、上やんは何を強化したかったんだ…?不幸をなくしたかった、って可能性が一番高いが……まあ面白いことになりそうだし、別にいいか。)

 土御門は適当だった。

 この時、デルタフォースの3人は知らなかった。
 上条がこの『増強剤』を飲んだため、とんでもない騒動が起ころうとは―――







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