とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

18-2

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 一方で本来なら調理場で料理を作っているはずだった神裂と建宮はテーブルの一角を占拠して、もの凄く落ち込んでいた。
 お互い無言でウーロン茶を飲んでいる神裂が落ち込んでいる理由、それは当然ながら初春の渡英に他ならない。
 そこへやや申し訳なさそうに土御門がやって来た、右手には沢山のねぎまと串かつを乗せた皿、左手には小萌にばれないように舞夏に用意してもらったオレンジチューハイを携えて。

「にゃー、お2人とも心中お察しするぜい……。2週間も初春ちゃんがイギリスにおぶっ!」
「よくもまあぬけぬけとそのようなことが言えますね。飾利の渡英をっ! 知っていながらっ! 止めなかったっ! 重罪人がっ!」

 いつもの調子で話したのが悪かったのか、土御門は神裂の怒りを買ってしまい5回ほど顔面をテーブルに叩きつけられてしまう。
 聖人たる神裂の手でテーブルに叩きつけられた土御門のダメージは深刻で意識が飛びかけるほどだった。
 そこへ周囲にばれないように回復魔術で傷を癒してくれた建宮に感謝しようとした土御門だが、

「女教皇様も落ち着くのよね。この重罪人を殺るなら話を聞き終わってからでも全く問題無えのよ」

 単に話をさせる為だけにしてくれたことを知ると一瞬で感謝の念は消え去った。
 土御門は目の前の初春バカの2人に真面目な口調で今回の件について話した、当然ながら自分が初春の渡英を今日知ったことも忘れずに。

「成程。あなたも飾利の渡英は今日知ったはいいが渡英理由は知らされていない。そうゆうことですね?」
「まあな。闇咲と対馬が同行するって話だから十中八九魔術絡みだろう。おおかた最大主教が」
「飾利姫のあまりの可愛さにとうとう我慢出来なくなって自分の手元に置こうって考えたわけか、あの年齢不詳の女狐め」
「いや、そんなことは絶対に」
「むぅ、飾利の愛らしさなら起きうる事態ですね。建宮、こうしてはいられません! 我々も急ぎ飾利を追いあうっ!」

 人の話を聞かず、勝手かつおバカな結論を出す神裂と建宮に呆れた土御門は暴走しかけた2人を止めようとした。
 そこへ個展の最終チェックを終えたシェリーが神裂の頭をはたいて暴走を抑えた、真夜に作ってもらったぺペロンチーノを食べながら。

「ったく天草式のトップとナンバー2のお前らが取り乱してどうすんだよ。そんなんじゃ飾利も安心してイギリス行けねぇだろ」
「シェ、シェリー……」
「事情なら私が話してやる、包み隠さず全部な。だからもう妙なこと考えたりするなよ。飾利を困らせたくなかったらな」

 そしてシェリーの口から初春の渡英の理由、その間に入れ替わるように学園都市入りするオルソラとアンジェレネの目的が語られた。
 神裂と建宮はローラの目的に多少納得できなかったものの、キャーリサとヴィリアンとの思い出作りの為の渡英に納得した。
 土御門はローラの呼び出しと初春のイギリスの2人の義姉への配慮にそれぞれのらしさを感じる中、オルソラとアンジェレネに監察役が務まるのか心底不安になった。

「基本、オルソラとアンジェレネの監察対象は私とお前ら2人だけど土御門、お前や他の学園都市支部の奴らも対象に入ってるだろうから気を付けろよ」
「心得てるぜよ。あの2人に監察なんて出来るとは思えねぇけどそれなりに大人しくするから心配いらないにゃー。ねーちんと建宮も分かってるとは思うが」
「分かっています。飾利が居ないからといって腑抜けるようなことはしません。しかしオルソラとアンジェレネが飾利の代わりとは全く以って割に合いませんね」
「それは仕方の無いことなのよ女教皇様。にしてもシェリーには話して我らにはお話して下さらなかったとは……物悲しいものがあるのよな」
(そりゃお前らがそうゆうリアクション取るって飾利が分かってたからだっての……)

 失意のどん底からようやく立ち直った神裂と建宮を見て土御門とシェリーは安心したが、やっぱり初春不在ということを考えると不安が少し残った。
 立ち直った2人が本来やるべきパーティーの料理作りに向かおうとしたが、調理場から発せられる雰囲気を感じ取り向かうのを止めるのと同時に暇になってしまう。
 とりあえず何か食べようとしたその時、神裂の携帯が鳴ると神裂は相手が誰かも確認せずに電話に出た。

『もしも』
「飾利ですね! 良かった、渡英する前に貴女の声が聞けて!」
『あ、あの火織お姉ちゃん、黙ってイギリスに行くことになってゴメンなさい。けど安心して下さい、必ず火織お姉ちゃん達の所へ帰ってきますから』
「いいんです、いいんですよもう……。私も建宮もこうして貴女が電話をしてくれただけで充分です。ところで今どちらに居るのですか?」

 電話を掛けて来た初春から第二三学区の国際空港に居ることを伝えられた神裂、今回は心に余裕が出来たので建宮にも初春と話す許可を与えた。
 建宮も初春の言葉を聞いて心から満足していた、ただし初春と神裂の会話内容と殆ど同じことに気付かずに。
 神裂は建宮から電話を返してもらうとオリアナが居ることを初春から聞かされたので、オリアナと電話を代わってもらった。

「はーい。天草式の聖人さーん。こちらオリアナ・トムソン。
 貴方とまあた遊べなくなっちゃったのは残念だけど安心してえ。
 プロの『運び屋』の名に懸けて貴方の可愛い妹ちゃんはお姉さんが責任を持って運んであげるからね♡」
「また…?」
「あっ。いやいや、こっちの話よん。」
 何だか気になることを言われたのだが神裂にとってそれ以上に気になることは。
(な……何ていうか……私とはとても相いれなさそうな危険な香りを感じさせる女ですね。
 こんな女に本当に飾利を預けて大丈夫なんでしょうか)
 若干の不安を感じつつも、とりあえず飾利の『輸送』についての確認を慎重に取ることにした。
 だがこの後の彼女の卑猥極まりない発言の連発により飾利の身を別の意味で非常に案じることになるのだった。

――――――――――

パーティー本会場では、別の人物の電話も鳴っていた。
「ん?母さんか。ああ、真夜は今パーティーの調理中。
 そっちは?ああ、父さんと。」
ウィキ募集バナー