とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part07

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最終話 学園都市の崩壊と自覚と救出


垣根帝督はベッドで寝ている上条当麻と佐天涙子を見た。
違和感だけが、彼の頭のなかでぐるぐると回っていた。佐天涙子を異常に怖がりすぎた上条と、そもそも絶対銃姫はそんな性格じゃないハズだ。
相手を悲しみながら、数十年の命に謝りながら、愛銃のショットガンで頭蓋骨を粉砕するんじゃないのか。
そもそも一度対峙してことがあった。垣根がまだレベル5になって間もない頃に、当時7歳だった絶対銃姫と。
6年前のCTRR事件に使われたCTRRの改良型を使っていた事自体おかしいことだ。
アレは軍事兵器だ。流通しているモノじゃない。
それにCTRR事件に関与している垣根と上条と佐天が同じ場所に集められた事自体、何か理由があるはずだ。


「エレティスの電子攻撃事件……確かアレは初春飾利が起こしたはずだ。絶対銃姫に初春飾利……。
音速哨戒機破壊事件に関わっている白井黒子……そして。プライムは学園都市のA級犯罪者レベルの人材ばかりか」

音速哨戒機破壊事件。学園都市製の音速哨戒機がメンテナンス中に突然爆発した事件。
怪我人は幸いでなかったが、これで音速哨戒機のモデル機は存在しなくなった。
後にテレポーターの仕業だとして処理され、白井黒子が犯人だと判断された。
エレティス電子書庫攻撃事件とは関与している所は音速哨戒機の機密データが保管されていた第3ブロックがオメガパスワードで組み替えられていたからだ。
CTRRは音速哨戒機に搭載されており、佐天涙子が関与している。
音速哨戒機……CTRR……電子書庫。御坂美琴が残した事件というのはクローンしか無い。

「超電磁砲は関係ない?……クライアントは奴……クソヤロウが」
「そうです、御坂さんは関係ありません」
「……起きてたか」
「……私のクライアントは御坂旅掛。彼女の父親で私は雇われた。初春は木原数多に。白井黒子は私が雇いました。
御坂さんは第三位が纏めているという事実が欲しかったから、選ばれた。私達は御坂さんを守るのも仕事に入っています」
「そんな簡単に喋っていいのか」
「いいですよ。………そういや垣根さんは。六年前の内乱で指揮ととってた当時の第二位、第四位がどこにいるかしってますか」
「……アメリカの有名大学。アレが、格差社会問題の深刻化だってのに呑気なものだ」
「CTRR事件って……なんだったんですか。私はほんのすこししか関わってない」
「CTRR事件。お前が使ったCTRRS(ケルステルロブレスト・スナイプ)の旧型、CTRR(カールストレップレルレスト)を当麻が乱射した事件だ。
当時のレベル5は手で触れた物質の速度を変化させる能力や、炎を操る能力だなんて溢れた能力が多かった。第四位も第二位もその部類で
運悪く音速で飛ぶ弾丸を避けたりする芸当が出来なかった。当麻と俺の幼馴染……真下桜花っていう女だ。内乱で死んじまってな。
そこに設置されてたCTRR(カールストレップレルレスト)を無断で乱射して、約130人を大怪我させて、第二位と第四位。統括理事の人間を大怪我させた。
この事件の三年後に起こった音速哨戒機破壊事件、エレティス電子書庫攻撃事件の引き金になった……。
音速哨戒機に何があるのかは知らないが、学園都市を破壊出来るだけの何かがアレば……」

垣根は唸った。しかし音速哨戒機事件など表沙汰になってはいない。

「……どうやらクライアントの中では御坂さんと――――させる事を目的にしているそうですね。今時珍しい」

その時、ガタッ!と音が鳴った。
上条当麻は佐天の呟きを聴いて、居てもたっても居られなくなった。
この学園都市を崩壊させれば、ソレは無くなるんじゃないか?そう思い予め教えてもらっていたプライムのアジトへ向かう。
その道中、上条の携帯電話が振動した。

「垣根!?」
『当麻、今の聞いたな。まぁどうでもいいが……学園都市が正式に認めやがった。超電磁砲の擬似――をな」




聞きたくなかった。絶望するだけだった。思えば、少し前から意識していたのかもしれない。
我ながら女を好きになるのが早い。
にっちもさっちもいかぬ日々に、超電磁砲こと御坂美琴が手を差し伸べてくれた。たった数週間だったが、同じ屋根の下で過ごした。
時には風呂を覗いてしまった事もあるし、着替えも。
上条は涙で顔を崩した。ぐしゃぐしゃになって、袖で涙を拭きながら走った。
今なら間に合う。これからなら止められる。
始まればどうしようもない。そんな時だった。

「お姉様の――を邪魔するつもりですか?とミサカは涙ぐんでいるあなたに問いかけます」
「……ああ、そのつもりだ!」
「そうですか、お姉様の――は明日の午後十二時から。それまでに学園都市にケリを付けて下さい。今、各地でスクールが流した情報により暴動が起きています。
さぁ、早く。現在の統括理事に降伏させるのです、とミサカは迫っている処分時間を気にしながら言います」
「……いつなんだそれ……処分って延期じゃなかったのかよ!」
「明日の午前七時」

そう言ってクローンは去っていく。様々な感情が、渦巻く。
上条当麻は簡単に絶望できる。それはそうだ。例え何かの機関が電子でも使って脳内を弄り回しているわけでもない。
心理系能力者が関与している訳でもない。六年の地獄の生活を耐え続けてきた精神が瓦解しただけだ。
クローンの殺処分、御坂美琴の――。

「畜生……」




「学園都市制圧は目の前だ」

一方通行はコーヒーを呑みながら言った。わーわー、と騒がしい広場が写っているテレビを横目で見ていた。
暴動、暴動、暴動。第二位はうまくやったということだ。
にしても、こんな展開になるとは一方通行自身思っていなかった。未定だった政略結婚が現実のモノとなり、学園都市が崩壊しかけ、そして上条当麻は死ななかった。
一番最初に殺される予定だったハズだった。
しかし、殺されること無く、ここまでやってきた。

「すげェよなァ……あ、コーヒー切れた」



                                  *


ニュースで大々的に放送された。学園都市が制圧された。統括理事会の人間は降伏し、完全に学園都市は崩壊したのだ。
しかし、まだ終わっていない。
第四位の原子崩しは賭けで失敗した事をくやみ、そして何より超電磁砲に対して憎しみが湧いた。
しかしもう第四位は無力だ。欲に負けたのだ。

                                  *


上条当麻は走り続けた。学園都市は崩壊した。そうだ、崩壊した。
しかし戦いは終わっていない。何故なら、これから――。









『御坂美琴と一方通行の擬似政略結婚式が始まるからだ』








御坂旅掛が学園都市を巻き込んでまで行ったこの政略結婚。
学園都市にしてはレベル5同士の子はレベル5になると信じられていたからだ。それ、どこぞの人間よりも第一位の方が良かった。
政略結婚とは言っても、意味は違う。学園都市の継続の為に行われる予定だった結婚。
これがレベル5。レベル0とは違う道を歩むのが普通だった。
今までも、これからも。
しかし上条当麻は走り続けた。結婚式場の前には学園都市再建を目論む権力者が雇った兵隊が居る。
それを通り抜けるには……垣根達の協力が必要だった。
そうこれは、最後の崩壊戦争。『超電磁砲結婚式回避計画』。推進派と崩壊派がぶつかり合う――









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