バレンタイン
「あーふこ……美琴大好き」 「あーふこ……当麻大好き」
第一声で、見事なバカップルであることを証明した二人。
ご存じ、不幸プリンス、上条当麻と
悲運プリンセス、御坂美琴である。
ご存じ、不幸プリンス、上条当麻と
悲運プリンセス、御坂美琴である。
二人は上条宅に
逃げ込んだ。
「……なーんで私が受け取る側なのよ」
常盤台生から全力で逃げた美琴。
黒子は、犠牲になったのだ。
黒子は、犠牲になったのだ。
「今日逃げきれても明日がある、……どうしましょう」
学校中の男子+吹寄から逃げてきた上条。
周りの女子は、犠牲になったのだ。
周りの女子は、犠牲になったのだ。
「あーふこ……美琴大好き」 「あーふこ……当麻大好き」
これだけで、本当に幸せな気分になるから不思議だ。
やっすい二人である。
気を取り直して。
やっすい二人である。
気を取り直して。
「さーて、お待ちかね!! バレンタインのプレゼント!!」
「おー!! 初めてのバレンタインが、彼女からのチョコとは!!
間違いなく、オレは今幸せです!!」
間違いなく、オレは今幸せです!!」
しかし、この二人は、基本、
「はい!! 手作りクッキー!!!」
「……」
不幸である。
「……なんか、サラサラしてます」
「……」
「きっと、走り回っているうちに、砕けたんでしょうね」
「うぅ……」
「さらに袋は穴が開いています。現在進行形で消失し……終わりました」
「……ぐすっ」
「大丈夫だ!! 美琴!!」
「えっ!!??」
「残念ながら想定の範囲内だ!!」
「本当に残念よね、ふこ当麻大好き」
「なんと、材料は準備しています!!」
「おおー!!」
「だから、一緒に作ろうぜ!!」
「うん!!//////////」
湯煎していたら、コンロが爆発した。急に。
「ゴホッ、ゴホッ、あー美琴大好き」
「当麻大好き、ゴホッ、ゴホッ」
「チョコは……後で考えるとして、シャワーでも浴びてこいよ」
「え……ふぇ!!!!??」
「??……!!!! 違う違う!! 灰をかぶっただろ!!」
「ああ!! じゃ、じゃあ借りるね!!
「おう!!」
すっげー気まずい。さらに数分後、
「バスタオル、全部干してた……」
さすが上条クオリティ。ちなみに、乾いてはいる。
バスタオルを持ち、思案するツンツン頭。
バスタオルを持ち、思案するツンツン頭。
「さーて、どうしても脱衣所に入らなければならないのですが」
そうすると、裸の美琴と鉢合わせするのが上条である。
(ですので、オルソラ宅の轍は踏みませんのことよ)
コンコン。
ノックとは、成長したな上条当麻。
ノックとは、成長したな上条当麻。
「美琴、脱衣所に入っていいか?」
「当麻!!? ダメ!! 今はダメ!!!」
案の定、ちょうど出てきたところらしい。
策士上条が不幸に勝ったようだ。
策士上条が不幸に勝ったようだ。
その時、脱衣所の扉が落ちる。金具がとれたようだ。
違う、これは孔明の罠だ。不幸め奴は天下の奇才よ。
きっと「おなかすいたー」と言いながら、誰かがたたきすぎたせいです。
違う、これは孔明の罠だ。不幸め奴は天下の奇才よ。
きっと「おなかすいたー」と言いながら、誰かがたたきすぎたせいです。
「へっ??」
状況がわかっていない美琴をよそに、事態はさらに進む。
ドアは当然倒れる、上条の方に。もちろんです。
上条はギリギリ、
よけられない。足の指がドアで潰れる。
ドアは当然倒れる、上条の方に。もちろんです。
上条はギリギリ、
よけられない。足の指がドアで潰れる。
「○〒※×⇒△!!!!」
声にならない叫びをあげながら、一本足で飛び跳ねる不幸プリンス(笑)
はい、予想通り、倒れて美琴さんを押し倒します。
それだけでなく、
それだけでなく、
唇が重なった。
それからの事は二人とも、よく覚えていない。
ファーストなキスでありました。
どたばたと上条は部屋まで退避。
その場でもっとイチャつけ?? 余韻??
今彼女裸だぞコノヤロウ!!!
ファーストなキスでありました。
どたばたと上条は部屋まで退避。
その場でもっとイチャつけ?? 余韻??
今彼女裸だぞコノヤロウ!!!
そんなこんなで謝ることも、感想を言う暇もなく離れた二人。
どっちも屈伸の要領でしゃがみこみ、
全身真っ赤である。
どっちも屈伸の要領でしゃがみこみ、
全身真っ赤である。
(うわ~~~~~~~~~~~~~~!!)
(ふにゃ~~~~~~~~~~~~~!!)
一時間近くして、ようやく美琴が脱衣所から出てきた。
が、上条の方は見ない。見られない。
久しぶりに、小さくだが、ビリビリと漏電している。
が、上条の方は見ない。見られない。
久しぶりに、小さくだが、ビリビリと漏電している。
「……あ、あがりました。いい湯加減ですました」
「そ、それは用語ザンした」
シャワーだっただろ。日本語を話せ。
そして本題を話せ。
そして本題を話せ。
「////////////////////////」
「////////////////////////」
早く。
「あー、えーと、ごめん」
「いや、当麻にとっては、いつものことだし!!」
「見ちまったことには謝るけど……」
上条の顔はこちらからは見えない。
耳は真っ赤だけども。
耳は真っ赤だけども。
「あっちは……その、嫌、だった、か?」
「そ、そんなわけは、ない、よ!!」
「じゃ、じゃあ、そっちは、あ、あ、謝らないぞ!!」
「う、うん!! 別に!! 大丈夫!!!」
大丈夫じゃないです。もう限界です。
「きょ、今日は帰るね」
「お、おう。気をちゅけてな」
「うん、しょれじゃあ」
だめだこりゃ。
別々の場所で両者は考える。
(初めてのバレンタインで、初めての、キスしちゃった~~////////)
(バレンタインなのに、私がプレゼント貰っちゃった~~~////////)
この二人はチョコレートなんて、もうどうでもいいらしい。
(( 初めての二人のバレンタインは、とてもやわらかかったです ))