とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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(無題)2

これを参照



~簡単なあらすじです~

・かみじょーさんは、悪友にそそのかされ、みことさんとデートすることになりました。
・みことさんと愉快な仲間達は、ファミレスで大暴れしました。
・みことさんは、頭がぽーん!になりました。

以上。






或る者は、欣喜雀躍の表情。
或る者は、怒髪衝天の表情。
或る者は、青色吐息の表情。
或る者は、心満意足の表情。

人の感情は、正に十人十色、千差万別だ。
人それぞれ、様々な想いを胸に秘めている。

街を彩るピカピカのイルミネーションは、そんな事情を鑑みない。

デートの誘いを受け、驚喜する者も、
最愛の人を強奪され、憤怒する者も、
八方塞がりな状況に、悲哀する者も、
自分の欲望に従って、安楽する者も、

街を彩るピカピカのイルミネーションは、そんな事情を鑑みない。
街を彩るピカピカのイルミネーションは、全て分け隔てなく光りを投げかける。
あたかも、全ての人間が幸せであるかのように。

私は声を大にして叫びたい。
「クリスマスだからって全ての人間が幸せとは限らない!」
と。



事の顛末を簡潔に述べよう。

初春は黙々と、延々とパフェを食べ続けた。
佐天さんは何かを悟り、全てを放棄した。
私は店内の中心で、愛を叫んだ。

以上。

そして、お姉様は笑い続けた。

「ぐふ。ぐふふぐふふふふ。げへへへへへへへ……クリスマス……ぐふふふふふげへ……」

活字の世界では、もちろん声色を聞く事など出来ない。
上記のような変態極まりないお下劣ボイスを聞いた読者諸賢は、
「まーた白井黒子が何かやらかしやがったな」
と、嘆息を漏らすことだろう。

先に申し上げておく。
今のお下劣ボイスは、この私、白井黒子ではない。
御坂美琴お姉様、その人である。

美しさと気高さと優しさを兼ね備えた、弥勒菩薩のような人格をお持ちのお姉様が、壊れた。
原因は論ずるまでもない。
不倶戴天の怨敵、上条当麻だ。



「どうすれば……!山!?川!?よりやっぱ海!?いや!いずれ発覚する!もっと根本的な……」
怪しげな魔術師の如く、ぶつぶつと怨嗟の言葉を零しながら、
間接が真っ白になるほど拳を堅く握りしめて、怒りに身を震わせる。
そして、
『如何にして警備員にも風紀委員にも国家権力にもバレずに人を消滅させるか』
という命題について、一人煩悶していた。

するとお姉様が、エナメルコーティングされたような艶々した声で、
「なーに『どうすれば隠密に人を殺せるか』について考えてる殺人鬼みたいな顔してるのよ♪」
「第5位!?……別に何でも。お姉様は勝手に類人猿とデートでも結納でもすればいいんですわ」
「そんな怖い顔しないの♪折角の可愛い顔が台無しじゃない♪」
「……いま、お姉様は……!?何と申されたのですか……?」
「黒子の可愛い顔が台無しだ、って言ってるのよ!もう!恥ずかしいんだからあんまり言わせないでよ……」

お姉様はそう言って、少し顔を俯ける。
寒空の下、頬を赤らめるお姉様は、新雪の中に咲く一輪の真っ赤な椿のようだった。

可愛さ、美しさ、愛くるしさ、いじらしさ……
全ての美的要素を一切合切詰め込んだ表情が、私を魅了する。
私の理性はコーヒーに落とした角砂糖のように、一瞬にして瓦解した。




「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!お姉様!お姉様!お姉様!お・ね・え・さ・ま!なんなのですか?一体なんなのですか?黒子をキュン死にさせる気ですの?お姉様のその美しさはまさに凶器!兵器!武力!人間兵器とはこのことですのね!?お姉様はもっと自覚すべきですわ!お姉様の一挙一動が如何に黒子を魅了しているかを!何気ない仕草、台詞、表情が黒子を幻惑させているかを!そして黒子を破滅させるかを!罪!そう!その美しさは犯罪ですわ!ささ!『お姉様専属風紀委員』白井黒子の元に投降して下さいまし!さすれば、その美しさに免じて情状酌量、終身刑に処します!投獄先はも・ち・ろ・ん!黒子とお姉様の愛の巣ですわ!ささ!大人しく黒子の胸に飛び込んであばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!!!!!!!!!!!!」
「私の機嫌が良いからって調子に乗り過ぎなのよアンタはっ!」
「あああああ!!!!!もっと!もっと!お姉様の愛をもっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

抱きつこうとした私に、お姉様のお仕置きが襲い来る。
いや、お仕置きではない。
訂正させて頂こう。
『我々の業界ではご褒美です!』
と。

「さっきからずーっと思ってたんだけど、アンタはよっぽど私の不幸を望んでるみたいね?」
「滅相もございまあああ!!!私はお姉様の幸福だけをああああああ!!!!!!」
「ちっともそんな風には見えないんだけどぉ!?」
「ああああああ!!!!!!お姉様の愛が注がれてああああああああ!!!!!」



電撃によって自由を奪われた私は、なす術も無く地面をのたうち回る。
全身に剣山が突き刺さったような痛みも、頭頂部からつま先まで貫く痺れも、
私にとっては全てが愛おしい。

『お姉様が私に目を向けて下さる』

それだけが私にとっての全てだった。
私にとっての全てはそれだけだった。

狂っていると言われれば、確かにそうかもしれない。
しかし、それ程までにお姉様を愛していたのだ。

(でも、そんなお姉様も、もう……)

一抹の寂しさを感じながら、お姉様からのご褒美に身を委ねる。
たとえ電撃によるお仕置きでも。
たとえ私を愛してくれなくても。
せめて今だけでも、私の方を向いていて欲しい。
そう願うことすらも私には許されないのだろうか。

そんな願いも虚しく、突如としてお姉様の電撃が止んだ。
ぱったりと、何の前触れも、何の余韻もなく。

何事かと思い、お姉様の方を見やる。
お姉様自身も、自分の身に何が起きているのか理解出来ないようだった。
きょとんとした表情を浮かべ、きょろきょろと辺りを伺う。
やがて、自身の右肩に置かれた『右手』の存在を認め、『右手』の持ち主を認めた瞬間、

「ふにゃー」

一瞬にして顔が真っ赤に染まり、ふやけきったコーンフレークのような表情に変わった。

私は知っている。
いや、たった一人しか知らないと言うべきか。

お姉様の電撃を『右手』一つで打ち消す人間。
お姉様を一瞬にして骨抜きにしてしまう人間。









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