とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part06

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集



うちの子



「久しぶりでありけるわね、元気だったりしか? インデックス」

黄金の絹のような髪は身長の二倍はある。
宝石のような青い瞳。
見た目は18歳くらいの少女。
その表情は




青ざめていた。

「うぅっぷ、わたしのほうはひどい状態たりし、科学側がまさかこんな罠を用意していようとは……」

「えーと、アンタの知り合い??」

「ん? イギリスのクーデターの時いたようないなかったよう「見つけたぞ!!」ん?」

走りこんできたのは。

「なんだ?土御門?」

「え? 土御門?」

「カミやん!!……やっぱりお前の目的はこれか」

「あら、土御門、元気そうで何よりであり」

「知り合いか?」

「……ローラ=スチュアート、イギリス清教最大主教だ」

「なに!!?」 「なんですって!!?」

(ということは……こいつがあの首輪をインデックスにつけた張本人!!)

「あら、そういえば自己紹介するのを忘れておりしな、と、その前に……」

視線が、烏角に向かう。

「中国の崑崙山本部にも確認済みでありけり、お前はもうあそこから追放されているらしきね、そして……」

関係ない美琴までが息をのむほど、重たいプレッシャーが烏角を襲う。

「異端を裁くのがイギリス清教の仕事、言いし意味が分かりけるかしら?」

その直後、烏角の姿が消えた。

「……逃げ足の速きこと、さて、土御門、さっさと追いたれよ」

「なっ!! しかし……」

「私は飛行機酔いでそれどころでなしたりよ。
それとも、こんな状態の一番トップの人間に、働けとでもいいけるのかしら?」

口調はふざけていたが、土御門の脳裏には、なぜか、妹の笑顔が浮かぶ。

「……行けよ、土御門」

「カミやん!!」

「とりあえず、こっちは大丈夫だ。むこうは目的が何にしろ力ずくでもできたはずだ」

「……」

「しかし、それをしなかった。目的が何かははっきりしないが話し合うつもりなんだろう」

「……わかった、できるだけ早くもどる!!」

走り去る土御門の背中をローラは笑顔で見送った。



「さーて、本題に入りけり!!」

上条は美琴にインデックスを預け、一歩前に出た。

「そんなに警戒せずともよきにけらん」

「それを判断するのはこっちだ」

「あら、まあよきにつき。さて、私は」

ローラは右手の手のひらを上にして上条達に向けた。

「インデックスを返してもらいに来たりしよ」

二人に動揺が走る。

「聞いているとは思えども、いつ、その子が元に戻れるかも、わからないのが現状でありし」

ローラは二人の反応を無視して淡々と続ける。

「その彼女をあなた一人でどうやって面倒を見れたるの? 学校がある日は赤子をうちに放置していくつもりでありけしか?」

一歩ずつ一歩ずつ距離が詰まる。

「更に首輪が完全に外れ、先ほどのように自由に魔術を使えるようになったインデックス、それがまだ自我を確立させていない。それがどれほど危険かわかっておりしかしら?」

そう、先ほど烏角が懐から出した霊装を破壊したのは、インデックスだった。

気づけばローラは上条の目の前に立っていた。

「その力で、いったいどんな悲劇が起こるかも、またそうなったとき誰が苦痛を背負うのかも、あなたはわかっておりけりしか?」

「っ!!!!!」

「安心してよきにつき、こちらももう新しい首輪をつけようとも思わざりきよ。
 こちらならそれ相応の結界を準備できたもれば、彼女が元の年齢まで戻った際に会えばよからん?」

上条は、反論できない。

『さあ、インデックス』

変な日本語ではなく英語でインデックスに話しかけるローラ。
つまり、もう上条に話すことはないということ。

「だう?」

インデックスは美琴の腕の中で、ぼーっとローラを見ている。

『インデックス、帰りましょう』

ローラの手が、インデックスに触れた。

上条には、何も、できない





「やっ!!!!」

しかし、インデックスがローラの手をはじいた。

ほかの三人が動きを止める。インデックスに視線が集中した。

「いやっ!!やっ!!まーま!!まーま!!」

インデックスは、美琴に縋り付いた。





だから、決意ができた。



「あの、私は、ソイツから、いろいろと事情を聴いています」

その瞳はまっすぐにローラを見据えた。

「だから、私も手伝います!!」

「……美琴?」

「確かに、アイツ一人じゃ難しいでしょう。でも、私が手伝えば、何とかなると思うんです!!」

言葉は止まらない。

「学校が始まるまでに魔術を使わないようきちんと教育します!! そうすれば誰かに預けることもできます!! だから!!! お願いします!!!!」

ステイル達がみたのなら、驚いたであろう。とても、静かな表情で、ローラは美琴の言葉を聞いていた。

そして、

「……あなたは、その子にママと、そう呼ばれておりしね」

伸ばしていた手を、下げる。

「はい」

「よきにけり、あなたが、学園都市LEVEL5序列第三位の御坂美琴が、協力してくれるのなら、上条当麻にインデックスを預けたままにせしよ」

上条が静止しようとするも、先にローラが口を開いた。

「ただし、条件がありけり」

その時のローラはいつもの口調、表情だった。

「あなたもインデックス達と暮らすこと、これが飲めないなら、インデックスは連れて帰りしよ」

「……わかりました」

「おい、美琴!!」

「確かに約束せりよ!! では、私は帰らん!!」

「ちょっと待ってく「ぱーぱ!!」?」

インデックスが、上条の裾を握りしめる。

「……ぱーぱ……まーま……」

力が抜けていくのがわかる。
もう、ローラの姿はない。

「美琴、おま「言わないで」……はぁ」

美琴はうつむいている。
上条はいったん空を見た後、いつもの表情で言った。

「ありがとな」



少し、時間を遡る。
まさに、上条達とローラが話していたその時、烏角の前にある人物が立ちはだかった。

「ば、ばかな、何故……」

その人物が、何故ここにいるのだろうか?
いや、何故いられるのだろうか?

「何故ここにお前がいるんだ!!」

それは、怪しく微笑む。

「ローラ=スチュアート!!!」

「別に、貴様に教えてやる必要はなきにつき」

烏角は知る由もないが、今まだ上条達はローラとの会話を続けている。

「……しかし、私とて退くわけにはいかぬのだ!!」

「……」

「貴様たちの思い通りにはさせぬぞ!!!」

烏角は再び幻影を生み出し、叫ぶ。

「覚悟しろ!! アレイスターの遺物め!!!!」

叫ぶ、が、

「……こいつがどこまで知っていたのかは、興味を持ちたれど」

その時、烏角は消えていた。
しかし、先ほどと違うのは本人の意思ではないことだろう。

「まあ、よきにけり……今は、その状況を楽しみたもれ、インデックス……」



帰宅。
長い一日だった。

「ふぁーあ、疲れたな、すっげー眠い」

「……」

「おーい、ここおまえんちだぞー、早く玄関から奥に入れよー」

「……二人とも、ごめんね」

「……なにがだ?」

「あの話に、私は、関係なかった……あそこで判断するべきだったのは……」

美琴はうつむいたまま顔を上げない。

「……アンタじゃない……」

沈黙がその場を支配する。

しばらくして上条は、無表情で美琴に近づき、




美琴の頭にチョップした。

「痛った!! なにすんの……」

そこにあったのはやさしい笑顔だった。

「ありがとうっていったろ? あそこでインデックスがあんなに嫌がっていたんだ。渡さないほうがいいに決まってる」

「で、でも……」

「でも、じゃないんだよ。あそこでインデックスをさ、救ってくれて、ありがとな」

美琴は静かに視線を下げる。

そこには、すやすやと眠るインデックスが、自分の腕に抱かれていた。

「…………うん……」

「さて、俺たちも寝よう……って!!」

インデックスから虹色の何かが出てきていた。慌てて上条がインデックスに触れる。
もちろん何かを打ち消した感触が手のひらに伝わった。

二人は変な汗が伝わるのを感じながら、
同じタイミングで視線を合わせ、同じタイミングで言葉を口にした。

「「……また一緒に寝なくちゃダメなの?」」

夜は更ける。
二人は知らない。
自我が確立していない魔道図書館と過ごす日常が、どれほど大変なのかを。











タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー