とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

母親の日常は子供の異常

前回 はこちら。



屋内プール設備のスポーツジム。
その更衣室で、二人の奥様が着替えをしながら井戸端会議に花を咲かせている。
30代半ばとは思えない肌の艶とボディラインからは想像もできないが、
二人とも思春期の子を持つ立派な母親だ。
上条当麻の母さん「詩菜」と、御坂美琴のママ「美鈴」である。

「それでその、美琴ちゃんのお友達から面白い物貰っちゃいまして」

そう言いながら、美鈴はバッグから小瓶を取り出した。
詩菜は濡れた髪をタオルで拭きながら、そのビンを見つめる。

「あらあら。何だかとてもいい香り…これはアロマオイルですか?」
「そうなんですよ! それでですね、実はこのアロマ―――」

美鈴はそのアロマオイルについて説明した。
これは学園都市製である事。美琴の友達、「佐天涙子」から送られて来た事。
(美鈴は知らない事だが、佐天は初春に頼んで美琴の実家を調べてもらっていた。
 初春の情報処理能力を使えば、セキュリティ皆無な一般家庭の個人情報など簡単に検索できる。
 無論、褒められたものではないが)
このアロマの匂いを嗅ぎながら眠ると、自分の希望に近い予知夢を見られる事。それと…

「―――それと、その涙子ちゃんが言うには、ウチの美琴ちゃんとそちらの当麻くんが
 結婚してて子供もいるっていう夢を見たみたいなんですよ!」
「あらあらまぁまぁ! それでは近い将来、御坂さんとは親戚になるのかしら!?
 あらやだわどうしましょう♪」
「ついでに『お婆ちゃん』にもなっちゃいますね! やーんもう、ホント困っちゃいますよ♪」

口ではそう言っているが、二人とも困っている様子は全くない。
むしろ「大歓迎」とでも言わんばかりに、キャッキャウフフとはしゃいでいる。
もうアラフォーなんだから、もう少し落ち着きを見せてほしいものだ。

美鈴は更に味の素の空き瓶を取り出し、徐にオイルを半分移し替えた。
詩菜におすそ分けするつもりなのだろうが、味の素の空き瓶という所に実年齢を感じる。

「それじゃあ上条さん。これ使ってみてください。私も今夜、試してみますから」
「あらあら。わざわざありがとうございます」

こうして今夜も、あのアロマオイルは夢を見せる。
あの、未来の『上条家』の夢を。



~当麻さんへの電話~


その日の夜、家族みんなで出前のピザを食べていると、上条のケータイが鳴り出した。

「パパ! 電話だよ!?」
「あいよー。教えてくれてありがとな、麻琴」

上条は麻琴から自分のケータイを受け取り、通話ボタンを押す。

「はいはい」
『あらあら。もしもし? 母さんですよ』
「ああ、母さん。何、どしたん? 電話してくるなんて珍しいじゃん」
『これと言って特に理由がある訳ではないのだけれど、当麻さん的には迷惑だったかしら?』
「いやいや。そうじゃないけど」
『なら遠慮なく。その…当麻さん? 孫の様子はどうなのかしら?』
「孫…? 麻琴の事か? うん、いつも通り元気だよ」
『あらあら! 麻琴ちゃんって言うのね!?』
「え…?」
『あ…ああ、何でもありませんよ? コホン…麻琴ちゃんは今、何をしているのかしら?』
「いやあ、テレビ観てるよ。ママと一緒に」
『っ! ママって言うのは、美琴さんなのかしら!?』
「…他におりませんでしょうよ母上殿」
『あらあらあらあら!!!』
「? 何か妙に嬉しそうだけど…何かいい事あった?」
『うふふっ…いえいえ、「これからいい事がある」と思うと母さん楽しみで♪』
「これから…って、どういう…?」
『そうそう当麻さん』
「あ、ああ。何?」
『麻琴ちゃんは何が好きなのかしら? 母さん、これからの為に色々聞いておきたくて』
「んー…麻琴はプリキュアが好きだな。今朝も観ながら踊ってたよ」
『あらあら。母さんの年齢じゃあ、さすが一緒に踊るのは無理ねぇ……』
「…うん。母さんもう50代だもんな」
『ごじゅ……そ、そうだったわね…あまり考えないようにしていたけれど……』
「あとそれから、動物とか好きだよ。ママと同じで電撃使いだからペットは飼えないけど、
 その代わりに動物園とか水族館とか連れてってる。つーか今日も行って来たよ、動物園」
『あらあら。それは母さんも一緒に行きたかったわ。
 もっと早い時間に、この夢に来られれば良かったのに…』
「夢?」
『こちらの話ですので。それで当麻さん、動物園は楽しかったかしら?』
「まぁ…そうだな。元々、麻琴の為に行ったんだけど、何だかんだで俺も楽しかったかな。
 多分ママも楽しんでたと思う」
『美琴さんも? あら、そうなの♪』
「あっ、でもママがさ、途中で不機嫌になって、何でかな~って思ったら、
 理由が『今日はまだチュウしてくれてないっ!』だってさ。
 仕方ないから、麻琴と一緒にほっぺにチュウしたよ」
『あらあら。母さん何だかお腹いっぱいだわ♪
 でも当麻さん、「今日は」って言う事は、いつもは毎日しているのかしら?
 もしそうなら、忘れちゃ駄目じゃない』
「…いや、今日してなかった訳じゃないんだけど……」
『? どういう事かしら?』
「…午前中にさ、白井が来たんだよ。で、ちょっとの間、麻琴の面倒見ててもらってたんだけど、
 その隙にちょこちょこっと……」
『っ! チュウをしたのね!?』
「まぁ…チュウと言いますか……ベ…ベロチュウと言いますか……」
『っ!!! と、当麻さん…? 夫婦なのだから悪い事ではないけれど、
 息子の赤裸々な性生活を聞かされて、母さんどんなリアクションを取ればいいのかしら…?』
「い、いやだって! 美琴が可愛すぎんだもん!
 麻琴産んでから体つきもエロくなってきちゃって…今日も動物園で抱きつかれて下半身が反応
 ………って! 俺は母さん相手に何話してんだ!?
 あの、ごめん母さん! 今のは忘れてくれっ!!!」
『……………ほ…ほどほどにね? 当麻さん……』

忘れられる訳がない。
ちなみにだが、
話している内に午前中のディープキスと動物園で抱きつかれた時の感触を思い出した上条は、
このあと滅茶苦茶セ(ry



~美琴ちゃんへの電話~


その日の夜、上条がケータイで誰かと話していると、美琴のケータイも鳴り出した。

「ママ! 電話だよ!?」
「はいはーい。教えてくれてありがとう、麻琴ちゃん」

美琴は麻琴から自分のケータイを受け取り、通話ボタンを押す。

「もしもし?」
『やっほー! 美っ琴ちゃ~ん!』
「なんだママか」
『も~! なんだとは何よ、なんだとは! もうちょっとテンション上げてくれてもいいんじゃない!?』
「だって、昨日も話したじゃない。ママしょっちゅう電話してくるんだから」
『あ、そ、そうなの? ごめんごめん。知らなかったから』
「? 知らなかった…って…?」
『ああ! 何でもない何でもない! それより、昨日どんな話したっけ?』
「覚えてないの? まぁ、ママあの時酔っ払ってたしね。
 てか私と話すっていうより、麻琴ちゃんと話してたわね。
 ママってば、いつもすぐに『麻琴ちゃんと電話代わって~』ってうるさいんだから」
『だって可愛いんだも~ん! てか絶対可愛い筈よっ! 美琴ちゃんと当麻くんの子供なんだから!』
「『筈よ』って…そんな会った事ないみたいに……で、どうすんの? 今日も麻琴ちゃんと代わる?」
『う~んどうしよう…私も麻琴ちゃんと話してみたいけど……
 いやでもやっぱり止めておくわ。将来の楽しみにしておきたいし♪』
「将来?」
『それより、今の美琴ちゃんの近況報告を聞きたいにゃーん』
「近況ったって…あ、そうそう。今日、家族三人で動物園に行ったわよ」
『へぇ~!』
「そこでバッタリ佐天さんと会っちゃってさ」
『ああ、そうそう! 涙子ちゃんに後でお礼言っといてくれる!?
 あのアロマオイル使わせてもらってるって…って、この時代の彼女に言っても駄目よね』
「…何の話?」
『ううん。こっちの話』
「そう? なら別にいいけど…あ、それで佐天さんに言われたのよね。
 『お二人は今、幸せですか?』ってね」
『! それで美琴ちゃんは、何て答えたの!?』
「……………」
『美琴ちゃん?』
「…パp…当麻と麻琴ちゃんがいてくれるだけで幸せって答えたの……
 でも…こんなに幸せでいいのかなって思えるくらい幸せで…幸せすぎて…
 まるで『夢みたい』で、ちょっと怖い…かな」
『…美琴ちゃん。「夢だけどー! 夢じゃなかったー!」』
「え、な、何!? 何で急にジブリ!?」
『いい? 美琴ちゃん。その夢は絶対に実現させるの!
 大丈夫、私も涙子ちゃんも同じ夢を見たんだから、きっとこれが本当に将来の姿なのよ!』
「え…? えっと…ごめん。言ってる意味が……」
『とーにーかーくー! 当麻くんと仲良くしなさいって事よ!』
「まぁ…仲はいいけど。ってか、良すぎるかも」
『? 良すぎる?』
「ん…あー、その……よ、夜の生活とか……最低でも、週に2回は必ず…だし……」
『ヤっちゃってるのねっ!?』
「ヤ…ヤっちゃうとか言うなっ! いいでしょ夫婦なんだから!!!」
『悪いなんて言ってないじゃな~い! むしろガンガンいっとけ!』
「…母親の台詞じゃないわね……」
『って事は、そろそろ二人目の孫も期待してもいいのかにゃーん?』
「う…あー、その………うん…多分、ね……」
『じゃあ楽しみに待ってるわね♪』

多分という事は、『そういう計画』なのだろうか。
ともあれ、話している内に週に2回の夜の生活を思い出した美琴は、
このあと滅茶苦茶セック(ry



翌日。夢の中ではなく現実世界の翌日だ。
その日の朝、上条と美琴のケータイにメールが届いた。
それぞれ相手は別々だが、内容はほぼ同じである。
その中身は大きく三つ。
『結婚はいつするのか』と『初孫が早く見たい』である。
ただ一つ違うのは、三つ目の話だ。
上条には『エッチは事はほどほどに』、美琴には『エッチな事はガンガンいけ』。

二人が朝から顔を爆発させたのは、優に想像出来るだろう。










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