とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part11

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匿名ユーザー

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プール


「なるほど、それで第3位と大将が一緒にいるのか」

血で血を洗う水中バレー大会が終わり、それぞれが各自で遊ぶ中、
3人はぷかぷか浮いている青髪、舞華とショチトルに攫われた土御門、海原をほっといて、プールサイドに座りゆっくりしていた。

「お前たちは魔術のこと知ってるしな、隠す必要はねぇし」

一方通行は視線すら向けることはなかった。

「大将も大変だな、でも第3位がいるから、まだましか」

「いやいや、面倒見るのが2人に増えたんだぞ?」

「でも、きっと1人だときついぞ、育児なんて」

「そんなもんかねー。……お前はまだみんなと住んでんだな」

「まぁな、ぐだぐだとこのままでいるよ」

「彼女と出て行ったりしないの?」

「……アイツにとってもアイテムは家族だしさ」

「ふーん」

「で、なんで黄泉川と一緒にいんの第1位?」

「……うるせェ、いろいろあンだよ」

「打ち止めや番外個体と住んでるのは知ってたけどな」

「なんだって!! ハーレムじゃんか!!」

「……よし、ここがてめェらの墓場ってことでいいンだな!!」

「ちょ、ちょっとした冗談じゃねぇか!!!」

「上条さんに至っては冗談すら言ってないではあーりませんか!!!!」


黒翼を出すなんていうちょっと激しいごまかし方をする最強から、
全力で逃げる負け犬やウニ頭をじーーーっと眺める人物がいる。

佐天涙子だ。

彼女はゆーーっくりと視線を隣に移す。

もちろんそこにいるのは

御坂美琴である。

佐天の予定では御坂美琴はここではなく、上条家の妻としてプールサイドで上条といちゃいちゃしているはずである。
ここで攻めないでどうするのだ御坂美琴よ!!

「御坂さん、わたしたちのことは気にせずに上条さんのとこに行っていいですよ?」

「どうして? 佐天さん?」

笑顔である。

「え、いや、上条さんのとこ行きたいんじゃないかなーって」

「どうして? 佐天さん?」

改めて言うが、笑顔である。

「お、おう!!? いや、昨日あんなに気合い入れて水着買ったし、積極的なアプローチしてもええんやないかと?」

言葉がおかしくなる佐天をよそに、

「どうして? 佐天さん?」

再三言うが、御坂美琴は笑顔であった。

「お、おおおぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅううううう!!?」

「……あたふたすらしませんね、御坂さん」

「あの類人猿のせいですの」

「類人猿って、上条さんですか?」

「そうですの。あれは、お姉様が水着に着替え終わった時のことです……」

「あ、回想シーン使うんですね」


お姉様はもじもじと類人猿に近づきましたの。
その時、わたくしはすでにハンカチを5つダメにしていましたわ。

『お、遅くなって、ごめんね』

体中真っ赤にして、類人猿に声をかけるお姉様は、
それはもういじらしいものでしたの。

ん? 白井さんってわたしたちより後に来たよね?
わたしたちは上条夫妻より後に来たのになんでその状況知ってるの?

……佐天さん、人の回想のモノローグに勝手に入らないでくださ……ってだれが夫妻ですのだれが!!

……こほん、とりあえず、そのいじらしくもかわいらしいという超絶レアなお姉様に、あの類人猿はぬけぬけとこう言いましたの。

『お、似合ってるな、かわいいじゃん』

その瞬間お姉様もわたくしも、周りが心配するほど真っ赤になりましたの。
わたくしに至っては、血管の破裂音すら聞こえましたわ!!

え? それならもっと違う感じになりません?

……いや、あの類人猿がこんなあほなことを付け足しましたの。

『妹とプールに来るとこんな感じなんだろうな、今日は存分に遊びたまえ妹よ!!』














「うわー」

「なんと可哀想なお姉様、そのお心を考えると、黒子は、黒子は!! 言葉もありませんの!!」

「ニッコリ笑顔のガッツポーズしてますけどね白井さん」

「なに3人だけで話してるのよ、遊びましょ、せっかくのプールだし」

「あはは……そういえば、このプール知り合いしかいませんね」

初春は佐天のそのセリフを聞き、周囲を見回しながら思うのだ。

確かに、浅くはない、広くもない、なんの変哲もないプールではあるが、
人っ子一人こっちに来ないのはおかしいのかもしれない。

しかしだ、
バレー大会で電撃とビームを交差させた第4位と第3位、その余波から幼女を守るために不思議な翼を広げた第2位、さらに現在進行形でプールサイドをめちゃくちゃにしている第1位。
これほどのメンツをそろえている中に無関係のものが紛れ込めば、恐ろしい悲劇に遭うだろう。
それは、先ほど女性の体つきについて熱く語っていた金髪グラサン、上条さんに泣きながら今の御坂との関係を聞いていた理事長の孫、女性全員にナンパし、全てから攻撃されていた青髪の人、三人に降りかかった、いやそれ以上の惨劇に違いない。
だれがこんな危険地帯に来ようというのか。

「……そういえばインデックスさんはどうされてますの?」

「ああ、黄泉川さんたちが見ててくれてるのよ」

美琴が視線を向けた先に、その赤子は母性の塊と一緒にいた。
それと、自分のそれとを比べ、関係ないところで落ち込む4人であった。

「「「佐天さんは悲しむ必要なし(ですの)!!!」」」

「えーーーー!!? なんで!!?」


「アイツら騒ぎすぎじゃんよ」

少し懲らしめるかという空気読めない友人を、芳川はたしなめる。

「まあまあ、もう少しだけ騒がしてもいいんじゃない? 
こんな経験が珍しいから、ちょっと自制しきれてないだけよ」

怪我しなければいいんじゃない? と、相変わらず友人は甘いようだ。
ため息を吐く黄泉川の手から、芳川がインデックスを抱き上げる。

「見てごらん、これが渦巻よ」

芳川は人差し指をくるくると回し、小さな渦巻を作っていた。

「うずーき?」

「そう、渦巻」

インデックスは興味津々のようである。

「じゃあ、こんなのはどうじゃんよ?」

そういって、黄泉川は腕を使って先ほどより大きな渦巻を作って見せる。

「あうっ!! うずーき!!」

「お気に召していただいたみたいよ」

「そいつはよかったじゃんよ」

インデックスの指が渦巻を作るように宙でくるくる回る。




その瞬間、なんの前兆もなく、プールのど真ん中に巨大な渦が出現した。









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