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北東ガルム大陸地域のドワーフ大族長
帝國に邦国として帰属したあとの帝國貴族階級制度で侯爵に任じられる。

列強の一角であるレムリア王国が新興の帝國に電撃的に滅ぼされた事に興味を覚えたテオドールは傘下の有力族長達数名とこの新しい隣人の本国へ視察を願い出た。

そこで見た帝國の大量生産技術と、進んだ工業技術は職人としてのドワーフの常識や限界をはるかに凌駕するものだった。

テオドールを含む北東ガルム大陸地域の有力族長たちは、自身の技量には絶対の自信を持っていた。現に大量生産される帝國の鋼鉄を超える品質の鋼を作ることは出来ると確信している。だがこの量だけはどうやっても造れない。ドワーフが120の品質を持つ鋼を1つ作る間に帝國は100の品質を持つ鋼を万単位で造れる。転移世界で第一の冶金技術を持つ種族の長たちとして、それは認めたくなくても認めざるを得ない真実だった。

帰国後、北東ガルム地域のドワーフ各支族を束ねる大族長テオドールは1つの決断を求められる事になる。帝國と共に歩み自らの支族を繁栄させるか、帝國とはあくまで商売上の取引相手とするドワーフ族全体の従来路線を貫くかだ。

帝國とつかず離れずの中立関係を築く…難しいな

テオドールはそう考えた。
ドワーフ族の居住地は決まって優良な鉱脈の直ぐ近くにある。
 あの帝國の圧倒的生産力は裏を返せば貪欲なまでに生産する為の資源を欲するという事なのだ。
近い将来、ドワーフの居住地は帝國に目をつけられる。
無論帝國のいうがまま産出する資源を輸出する事もできるが、それではただ搾取されるだけだ。決して我らに有利な条件で交易を結ぶ事はできまい。

では武力を持って抗するか?

噂に聞く帝國の機械竜や鉄竜の力をテオドールは以前のように一笑できなかった。
 我らがどこぞの列強から、ワイバーン・ロード?を筆頭とする軍備を交易で貯めた資産や交易条件に色をつけることで入手する事はできるだろう。
 だが手に入れてどうするのだ?
 帝國はその本来の持ち主、列強であるレムリアを正面から打ち砕いたのだ。
 北東ガルム域の全てのドワーフが優れた品質の斧や鎧に身を包んでも数の絶対の差がある。
ドワーフ族の意地にかけても容易く負けることは無いだろう。だがそれでも、勝ち目は無いのだ。そしてその軍備を整えるためには現状の生活水準を維持する事は出来ない。
来たるべき敗北のために10年をかけて窮乏生活を一族に強いるのか?
そこまで考えが及んだとき、その馬鹿馬鹿しさに思わずテオドールは声を上げて笑ってしまった。おまけに10年もあれば帝國は占領したばかりのレムリア王国を我が家の庭のように変えてしまうだろう。

あの強大な帝國に我等の意を通すにはどうすれば良いのか、武力は論外だ。
この世界全てのドワーフ族、エルフ族、人間族が力を集結すれば帝國にも勝てるかもしれん。だが現実としてそのような事は無理だ。
エルフたちが帝國に「世界の敵」宣言をしたとしても人間の国家やドワーフ族で素直にいう事を聞く連中はすくなかろう。帝國の統治政策はそこまでこの世界の人間族やドワーフ族に反感を買われている訳ではない。
むしろエルフの宣言が一文化圏を滅ぼすかもしれぬと、エルフに対して我が身の危険を感じるだろう。

武力や商取引以外の方法で帝國という強国と付き合うには…

「竜の口に飛び込ばねば喉は突けぬか」

こうして北東ガルム地域のドワーフ族は大族長テオドールを国王として、帝國の邦国としての道を歩むことになる。


なおこの決断は、種族としての人間族との中立宣言を破棄したに等しく、北東ガルム地域以外のドワーフ族を初めとする非人間族は隣接地域の列強からの高圧な交渉を押し付けられることになった。

結果テオドールを筆頭とする北東ガルムのドワーフの評判は帝國域外で大暴落したが、その恨み言は徐々に巧く取り入りやがってという意味をも含んでいった。

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最終更新:2007年01月31日 12:54