【せろ】
『特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(英文名:Computer Entertainment Rating Organization)』を指し、CEROは通称で「セロ」と読む。
平たく言ってしまえば、ゲームメーカーから送られる設定などの資料やゲーム中の描写などを踏まえ、独自の倫理規定などに基づいて、当該ゲームが何歳以上の人間向けであるかを判定する組織と言う解釈で良いだろう。
CERO設立以前でもそれぞれのハードメーカー(任天堂・SCE・マイクロソフト・セガ)が独自基準のレーティングを行ってはいたものの、その基準には大きく違いがあり、その為に同じゲームであっても内容の修正を余儀なくされてしまうこともあったことから、統一基準を設け、他国に比べて遅れていたレーティングの補完を目的として設立されたのがCEROである。
CEROレーティングをまとめると下の表の通りになる。
レーティング (英文字表記) |
対象年齢 | 背表紙帯色 |
A | 全年齢対象 | 黒 |
B | 12歳以上対象 | 緑 |
C | 15歳以上対象 | 青 |
D | 17歳以上対象 | 橙 |
Z | 18歳以上のみ対象 | 赤 |
教育・データベース |
教育用またはデータベースに該当し、 ゲーム性を持たないタイトルで特定の対象年齢を持たない |
- |
レーティングでZを受けたタイトルは業界の自主規制により18歳未満の人間に対する発売を禁止しているが、それ以外のレーティングに関してはそう言った規制は全く無い。
つまりは小学生がレーティングでDを受けたタイトルを買う事も出来てしまう為、一部からは問題視されている。またZ指定でも親が買うなどして法の網を容易に抜けることが出来る。
その他、メーカーサイドで低年齢層(小学生以下向け)に向けてアピールしている作品であってもCERO指定がB以上になっているケースも多々ある。
一部の小売店やコンビニエンスストアではレーティングでZを受けたタイトルを取り扱わない処置を取っている場合もある。
また、レーティングがA以外のタイトルには様々なアイコンが付けられているが、これは「コンテンツディスクリプターアイコン」あるいは「コンテンツアイコン」と呼ばれ、当該ソフトのレーティングの根拠となる要素であると言える。
以下に詳細を示す。
アイコン | 示す要素 | 詳細 |
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恋愛 | 異性愛・同性愛などに対して設定される。 |
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セクシャル | 半裸・下着・水着など肌の露出が多い衣装や、体を触るなどのセクハラに相当する言動に設定される。 |
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暴力 | 喧嘩、拷問、武器類の使用による戦闘、対戦格闘などに対して設定される。 |
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恐怖 | 出血や死体の描写など過度に恐怖感を煽る表現に対して設定される。 |
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飲酒・喫煙 | 未成年者の飲酒・喫煙およびそれらを肯定・奨励する表現に対して設定される。 |
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ギャンブル | 金品を賭ける違法なギャンブル(賭博罪に相当)に対して設定される。 |
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犯罪 | 殺人、強盗などの法令に反する行為や犯罪(者)を肯定する表現に対して設定される。 |
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麻薬 | 麻薬・覚せい剤・ドラッグその他違法な薬物を使用するか、それらを肯定したり取引するなどの表現に対して設定される。 |
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言葉・その他 |
差別用語・放送禁止用語などの不快な言葉の使用や、第三者(特に実在の国・人種・宗教など)に対する差別的な表現、 その他の反社会的な行為や思想に対して設定される。 |
なお、CEROのレーティングで扱うプラットフォームは
レーティングに関してもCEROの倫理規定に基づき「(直接、間接問わず)性行為及び性器描写」「過度に暴力的、反社会的な言語、思想」「過度な差別表現」を禁止表現として規定している為、これらに抵触する描写が含まれると判断された場合はレーティングそのものが付与されない。
メーカー側も積極的にCEROに関して発言することは少ないものの、一部のソフト(特に、幅広い層に売りたいソフト)についてはCEROのレーティングが上がることを防ぐため、描写をマイルドにする努力を行っていると見られる。
『桃太郎電鉄』シリーズなどが顕著な例で、初代FC版からの定番セクシーシーンである「女風呂」でCEROのレーティングが上昇してしまうことを嫌ったさくまあきら氏がシーンそのものを抹消させてしまうなど、こういった表現規制の影響による路線変更は、ファンから批判される場合もままある。
また、海外作品のローカライズなどにおいてもこちらのレーティングを過剰に意識しすぎているのではないかと思われても仕方ないほどに規制を加えてしまい、結果として全くの別物になってしまったことで元作品のファンからもそっぽを向かれてしまう、と言う例もあったりする。
例:登場人物が死亡しかねない大量出血、というシーンで……
また規制が一部場面のゲームバランスに深刻な影響を与えた物では『GOD OF WAR』や『グランドセフトオート サンアンドレアス』があるが、これはさらに特殊な例であろう。
近年ではレトロゲームの販売・配信も盛んであるが、当然まだCEROという基準がなかった頃に制作・販売されたゲームも少なくないため、こうしたゲームはその都度CEROの審査を受けなければならなくなる。
しかし「おおらかな時代」に製作されたゲームは現在の基準では通らないものも多く、PCEの最高傑作とされる『天外魔境II卍MARU』は現在入手できるどのバージョンでも残虐表現を大幅カットしたものになってしまっている。
人間が判断を下す以上は仕方ない所も確かにあるのかも知れないが、下されたレーティングには実際のゲーム内容を見る限り不可解な点も見られる。
よく槍玉に挙がるものとして『アルトネリコシリーズ』があり、これはかなりきわどいセクシャル描写等々があるにもかかわらずレーティングはB(12歳以上対象)となっており、同じように槍玉に挙がるものに『パワプロクンポケットシリーズ』があり(ギャルゲー並みの恋愛イベント、子供にはわからないダークなネタ、鬱度が高いBADEND等)、こちらのレーティングはなんとA(全年齢対象)である。
暴力表現に関しても人体欠損は過度に暴力的として禁止のはずだが『BIOHAZARD 5』や『NINJA GAIDEN 2』では普通に欠損が発生する(*2)。
また、『ドラッグ オン ドラグーン』のように廉価版が発売された際にレーティングが改定されたケースもある。
なお、『メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~』は当初(ゲーム中に温泉といった軽いセクシャル描写があるにもかかわらず)CEROはAだったが、発売から数週間後に一時生産停止となりレーティングをBに改定した上で再出荷するという珍事があった(*3)。
ちなみに、かの十年に一本のクソゲーは製作者曰く「CEROコンテンツアイコン総取り!」を狙ったらしいが、実際には「恐怖・暴力」アイコンのみの取得であった。