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明日の方舟たち(ArkNights)-怒号光明-

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kyogokurowa

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―――糾える因果を背に負って、覚悟、後悔、祈り、怒り

―――それぞの手を思いで染めて、求めるモノは、ただ一つ



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


淡い光明のみが、冥府を照らす生と死の狭間。
時間とも空間とも切り離された幽世。
汎ゆる境界が揺れ動き、安定しないこの奈落の奥深くで。

「……もう、戻れないんですね。」

間宮あかりは、自らの運命を自覚し、受け入れた。
それと同時に、戸惑いもあった。
死んだ後にある世界、と言うのは絵画が御伽噺で伝えられているものが殆どである。
向こう岸の本質を誰も正しく理解することはない。理解するとすれば、それは恐らく死んだ後になるのだから。
自分が死んだ時の感触、何かが焼け落ちるような感覚を、今でも思い出す。
あの時に、自分が死んだのだと、大切なものが抜けていく感覚を、鮮明に。

「……あはは、私なりに、今まで頑張ったんだけどなぁ………。」

弱々しくも、吐き出した言葉は本心。
武偵となるために、唯一無二の憧れに近づくために、今まで頑張ってきた。
辛いことも、悲しいこともあって、それでもみんなに助けられてきながら、乗り越えてきた。
だが、駄目だった。――あの災害には、意図も容易く蹂躙された。
せめてあの時助けたみんなが無事だと良いかな、なんて楽観なんて出来なかった。
自分は死んだ、魔王の炎に魂を焼かれて、ここに堕ちた。

空を見上げる少女の瞳に映る世界は、地平線まで続く水面を映し鏡に玲瓏の光芒を輝かせる沈黙の世界。
自分と二人以外誰もいない、正しき世界の枝より切り離されたバックルーム。
ここには何もない。恐竜のオブジェクトはあるが、ここには何もない。

「……悔しい。」

悔恨の思いだけが満ちている。凪の中に一滴落ちた赤い涙。
これは現実ではない、その赤い涙は彼女の痛みで、苦しみである。
だが、溢れた水が二度と戻ることはない、奇跡は起こらない。

「……悔しいなぁ。こんな所で、終わりだなんて。」

光芒に消えていく。その嘆きすらも、後悔すらも。全ては水面に溶けていく。
ここは境界、汎ゆる全てが揺蕩う夢の淵。
全ては虚しく、後には全て去りて消えゆくのみ、それが真実。

「……っ。」

ここは途中駅だ。間宮あかりという人間の情報は、廃棄孔へ残滓として落ちてゆく。
ロスタイムの終わりは近い。終着への列車を待ち続ける他にない。
妹のことも、友達のことも、託された思いも、何もかも。

「……ううっ……っ。」

塵は塵に、灰は灰に。終わる、全てが終わる。
項垂れようと、泣き崩れようとも、時計の針は戻らない。

「……………。」

"来訪者"は、沈痛な思いで、間宮あかりの姿をじっと見つめていた。
この世界の"自分"は死んでいた。残してしまった誰かの事を思えば、自分も他人事ではない。
最も、この世界の"自分"と、今この世界に巻き込まれた"自分"は並列世界の別人だ。
巻き込まれず平和に好きな人と過ごせている世界線もあるのだ、こういう世界線も、あり得るから。
一つ何かを間違いた世界線というのが、この舞台だというのだから。


「戻れないかどうかは、まだ分からないと思います。」


だが、ここに可能性はある。蜘蛛の糸は既に垂れている。
仮面の女性は、絶望に沈む武偵へと救いの手を伸ばした。

「……どういう、ことですか。」
「あなたは、あの魔王の……ベルベットの攻撃で、あなたを構築する情報が破損しました。」

言い回しこそ気になるが、間宮あかりとしてもその認識で間違いはなかった。
魔王の攻撃を受けて、死んだ。それが間宮あかりの根底にある認識だ。

「ですが、その攻撃は本来の『情報を侵食する穢れ』ではありません。……あれは私という情報を武器として射出した事によるものです。」
「「……はい!?」」

だが、そのきっかけとなった攻撃の中身が、今目の前にいる仮面の女性である、と。自己申告したのだ。
驚愕の表情が顔に出る二人を後目に、説明は続く。

「ベルベットは……私を否定するために、私を魔力として消費しました。ですが、私という情報が間宮あかりの情報を破損させましたが……。」

事実とするなら、そういう事なのだろう。間宮あかりがメアリ・ハントを庇った際に受けた攻撃。
あれは仮面の女性――シアリーズという情報を消費して放たれた、所謂『情報の弾丸』だ。

「……混じった、って言いたいの?」
「そういう事です。」

来訪者の答えに、仮面の女性ことシアリーズはすんなりと肯定した。
間宮あかりに放たれた『情報の魔弾』は、間宮あかりに致命傷を与えると同時に、間宮あかりの本体情報にシアリーズの情報が入り交じる結果となった。
だが、致命傷は致命傷だ。間宮あかりの情報は損壊した。その事実は覆しようがない。

「混じった事により、破損した情報が辛うじて元の形を再構築出来ているからです。『現実』のあなたが眠っているのは、再構築したとはいえ復活にはまだ破損したリソースが足りないから。」

だが、彼女という存在が、情報が保ったままなのは。
シアリーズの情報が間宮あかりに混じった事により、新たに供給されたリソースを元に情報を再構築することが出来たから。
未だ現実の間宮あかりが目を覚まさないのは、再構築したリソース分だけでは足りないから。

「……じゃあ、そのリソースが足りたら、私は。」
「"戻る"事が出来ます。」

足りないのなら、満たせばいい。
間宮あかりにさらなる情報(リソース)を供給し、間宮あかりの意識を覚醒(めざ)めさせる。
破損した情報を別のもので補完し、再起動させればいい。

「………!」

間宮あかりの瞳に、再び希望が灯った。
あの魔王に勝てるかどうかは分からないにしても、それでも希望があるというのなら。
それに賭けてみたいと、そう思った。
無風の世界の水面に、波紋が広がる。
それは、間宮あかりの意思に呼応し、揺れ動いている。

「……ですがまだ。醒めるには足りない。」

だが、それではまだ足りない。シアリーズの情報だけでは足りないのだ。
ならば、どうやってリソースを供給するべきか。そのリソースは何処にあるのか。

「………この世界の私は?」

だが、それを打破する切掛は来訪者の鶴の一言。

「どういうことでしょうか?」
「私が呼ばれた、って言うよりも巻き込まれた原因。このあかりって子が何かしらこの世界の私と接触したとか。もしくは『死んだ』時に私の死体に触れた、だとか。」
「……それは。」

無理ではない。この世界における"彼女"の死体を押し潰すように、間宮あかりが覆い被さった構図となる。
その結果、"彼女"の情報残滓が間宮あかりの情報に混じったとしたなら。

「この私の、……この世界の私(シュカ)の情報が、既にあの娘の中にあるんじゃないの? それに……。」

"彼女"が、この世界の狩野朱歌を導線として、この世界に呼ばれた理由。
数多の偶然と奇跡が絡み合って糸を為した、ある種の運命。

「この世界の私の下手人、そのベルベットってやつじゃないの?」
「………。」

シアリーズが述べずとも、その沈黙のみが答えを示す。
全てはベルベットという魔王が因果を紬いだ世界の枝のその末端。
奇しくも間宮あかりは、その奇妙な運命に遭遇したわけだ。

「……それで。あなたは戻って、アレに挑むの?」
「………。」

シュカの視線が、間宮あかりに向く。
自惚れるつもりはないが、仮にもダーウィンズゲームの上位ランカーを軽々と殺した相手、かつ話を断片的に聞く限りは存在そのものが規格外。

「……はい。」

それでも、そのような埒外を目の当たりにしても、間宮あかりの覚悟は変わらない。
間違いなく、次はない。ただでさえ他媒体の情報で埋め合わせいる曖昧な泡影に近い彼女が、目覚めた後に起こる事は、保証はできない。

「それに……シアリーズさんが、悲しそうでした。」
「………わかっていたのですか?」

仮面越しにでも垣間見えた、シアリーズの感情。
少なくとも、シアリーズがベルベットにとって切って離せない存在であると同時に、ベルベットがそんな彼女を"消費した"という意味が、どれだけ重いのか。その理由も、また。

「……いいえ。その理由を問うのは野暮でしょう。本来の私の名前はセリカ・クラウ。ベルベット・クラウの姉であった聖隷です。」
「……それって。」
「ええ。ベルベットは私の妹。命を落とし、聖隷として蘇った。」

未だ低い声で語る声は、僅かに震えているように思えた。
ベルベットは彼女の妹であるという事実。そして今、間宮あかりが知っている魔王ベルセリアとしてのベルベット。

「けれど、聖隷としての私の主、セリカ・クラウの夫アルトリウスは、理想の世界を作るために私の妹を業魔にした。……私は彼を止めるために、ベルベットに己を食べさせてその願いを託しました。」
「……そんな、そんな事って。」

衝撃の事実だ。自分の婚約者の妹を容赦なく生贄に捧げたアルトリウスにもだが、彼を止めるための礎として、自分の魂を妹に捧げたという事実も。

「……ですが。彼女は歪んでしまった。いいえ私が、彼女を歪ませてしまった。」

その後は、シアリーズの情報が観測したデータだ。殺し合いに巻き込まれたベルベットは、本来辿るべき出会は失われ、歪み、歪み、狂い、そして魔王へと堕ちた。

「……私が、あの娘を地獄の道へと導いてしまった。ですが、もうどうすることも出来ない。」

涙声、それは間宮あかりにも、シュカにも分かるほど。涙ぐんだ声が、響いて、響いて、水面に波紋を呼ぶ。

「―――お願いです。こんな頼みを見ず知らずのあなたに託してしまうことを許して下さい。あなたを巻き込んでしまったことを許して下さい。」

一切の濁りなき本心。託してしまったが故の、己の後悔と怒りが呼び起こしてしまった悲劇。
自分一人では精算できない、どうしようもない。だからこうして縋り付くしか無い。

「ベルベットを。私の大切な妹を、救(たす)けてください。」

それがシアリーズの。セリカ・クラウという人間が、間宮あかりに頭を下げて願う、唯一の願い事だ。
間宮あかりの答えは既に決まっている。彼女が武偵であるのだから、依頼人の願いを無碍になど出来ない。

「その依頼、引き受けました。」

真っ直ぐな目で、そう応える。
武偵憲章2条『依頼人との契約は絶対守れ。』。武偵にとって、当然至極の、ありふれた信念。

「だから、手伝ってくれると嬉しいです。」

その言葉は、全てをわかった上で。今の間宮あかりに、シアリーズが混ざっているからこその。
それを聞き届けたシアリーズの姿が、靄となって消える。その直前に仮面は薄れ、その素顔は微かに笑みを浮かべていた。

「………結局私、ただ巻き込まれただけだったなぁ。」

そう一人愚痴るのはシュカ。彼女もまた身体が宙に浮かび、薄れていく。
シアリーズが最初に言った、帰る時が来たのだ。

「まあ、この世界の私のリソースも使うんだから、ヘマしたら許さないよ?」

そう誂うようにあかりに告げたシュカもまた、存外悪くない気分ではあったわけで。

「言われなくても、わかってます。」
「ならいいんだけど。……それじゃあさ、もし覚えていたらさ、お願いできる?」
「お願い、ですか?」
「スドウカナメって人と出会ったらさ、伝えてくれないかな?」

それは、茨刑の女王(ソーン・オブ・クイーン)と呼ばれた少女の初恋相手、その並列存在だとしても放っておけなかった彼女の良心。

「―――――って。」
「もし出会えたら、伝えておきます。」

依頼が増えてしまったが、武偵にとってはよくあること。
シュカの姿が天高くに飛び立ち、見えなくなった頃には、既に月は無く。
ただ地平線に広がる青空が、快晴の天が広がって―――崩れていく。

全ては泡沫、走馬灯の狭間。蒼のにニライカナイにして電子の廃棄孔。
崩れてゆく、世界が黒へと染まっていく。
それでも彼女はその闇に恐怖せず、直視し、受け入れる。
全ては、託された思いを果たすため。
全ては、今なお戦っている彼女たちを助けるために。
武偵・間宮あかりは諦めない。例え世界に、運命に裏切られようとも。彼女は武偵であることをあきらめたくない。





―――そして、間宮あかりの視界は。無へと包まれる。





□□□□□□□□

なにも、みえない。
なにも、きこえない。
うえもしたも、わからない。
ただ、ふかいふかいくらやみだけがひろがっている。

なにかがわたしをひきずりこもうとしている。
なにかくろいものが、くびのないなにかがわたしのあしをつかんでならくのそこへとひきずりこもうとしている。


『貴様は元の場所へ戻ることはできん。我と同じく冥府奈落の底へ墜ちるがいい。』


おぞましいこえ。だれかのこえ。それがわたしをやみへとひきずりおとそうと。
それいがいにも、わたしをひきずりおろそうとくろいてが。

――でも、私の居場所は、まだそこじゃない。


『……なぁ、貴様らは!?』


私を引きずりあげようと、たくさんの手が、私の手を取る。
子供の手が、女の人の手が、男の人の手が、たくさんの手。私に手を伸ばす。私を元の場所に戻そうと、手伝ってくれる。
私はその手を知っている。その暖かさも、その思いも、その意思を。


『巫山戯るなぁ! 我と同じただの死人の分際で! やめろ、貴様らの足掻きなど全て無意味……なぁっ!? 馬鹿な、貴様……おのれぇ、またしても我の邪魔をぉぉぉぉぉっっ!?』

首のない怪物を、逆に奈落へ引き釣りこもうとする太っちょな黒い影。
それにしがみ付かれて、それは逆に奈落へと堕ちていく。

引きずりあげられていく。闇の彼方より、光のある場所へ。
そして最後に、私の両手を掴んだのは。黒く焦げた手と、真っ白な手。
黒く焦げた手は、知っている人だったように思えて、無性に泣いた。
泣いて、泣いて、涙を拭って、前を向いて。私は戻る―――みんながいる場所へ。







""あかりちゃん""




行ってくるね、志乃ちゃん。
待っててね、カタリナさん。






今から、私はそこに戻ってくるから。

◯ ◯ ◯



終わった。メアリ・ハントの思考を埋め尽くしたのはその一言だった。
頼みの綱のシグレ・ランゲツは本領を発揮した魔王を前に敗北した。

「ああ、あああ………。」

溢れる涙、崩れ落ちる表情。もはやメアリ・ハント当人は何も出来ない。
力を手に入れた所で、魔王を相手するには役不足でしかなかった。
そう、全て無意味だった。

「――――。」

絶望に、言葉すら止まった。正面には無言でただ魔王が聳え立っている。
無言で、見下ろしている。言葉は発しない。
ただその視線だけで全てを語っていた。
"お前はここで喰われて死ぬ"と。
確定された死刑宣告。メアリ・ハントにはもうどうにも出来ない。

(……どうして、こんな事になってしまったのでしょうか。)

何処で間違えてしまったのか。
魔王と戦うことを選択した時か。
琵琶坂永至と手を組んだ時か。
シグレ・ランゲツに動向した時からか。
それとも――エレノア・ヒュームを殺した時からか。

(嫌だ。)

死にたくない、こんな所で死にたくない。
分かっていたはずなのに、一人殺した時から覚悟は決めていたのに。
嫌だ。何も出来てないまま、みずみずカタリナ様を守れずにこのまま殺されるなんて。

(誰かぁ。)

言葉も出ない、出せない。
魔王の腕が迫る。命を刈り取ろうと振り下ろされる。

(誰か、助けて―――。)

声を振り絞ろうとしても、叫ぼうとしても。あの目に睨まれるだけで声が出ない。
全ては、無意味。そのはずだった。













「させない。」

「―――!?」




















白い閃光が、魔王を吹き飛ばした。








閃光が止めば、その中心には少女がいる。
白い髪を棚引かせ、琥珀の瞳を輝かせた――間宮あかりの姿。

「……あかり、さん?」
「メアリさん、下がってくれませんか。」

困惑のメアリは、間宮あかりの姿をみる。
髪の色やら瞳の色やら、その雰囲気以上に、何かが違うのを感じる。
まるで、まるで複数の魂が彼女の中に偏在するような違和感を。

「いや、その……。」
「下がって。巻き込まない保証は出来ないから、お願い。」

気圧され、大人しく従うしかなかった。
だが、何故だろうか。メアリ・ハントが見た間宮あかりの姿は、どこか暖かく、優しく。
安全な場所に逃げる際、黄金色に輝く何かを、ただ感じ取った。


「……どれだけ、混ざった?」

魔王もまた困惑していた。
間宮あかりが『覚醒』したのはこの際どうでもいい。だが、その彼女の中身が余りにも想像付かない何かだ。
複数種の情報が同時に混在し、調和を保っている。魔王ですら、2つの情報が限度だと言うのに。
この間宮あかりという少女は、それ以上の情報と交わっている。あり得ない事だ。
多量の情報が入り混じったのであれば、その人格が無事であるはずがない。
なのに、なのに何故彼女は無事なのか。それが、余りにもわからない。

「……これは、散っていったみんなの思い。」

間宮あかりは静かに告げる。これは、託された思いの結晶。今まで紡がれてきた願いのカタチ。
みんなに背中を押されて、此処に居る。去ってしまった者たちに助けられ、生きている。
そう、『去ってしまった者たちから受け継いだものはさらに「先」に進めなくてはならない』から。

「あなたは、可哀想な人です。」
「―――。」

間宮あかりが魔王を見つめるその瞳は、憐憫と悲哀に満ちていた。
大切な義兄に全てを奪われ、復讐の道しか選ぶことしか出来なかった彼女。
託された願いは呪いへと変わり、その果てに憎しみしか残らず彼女は自分の意思すら魔王に投げ売った。

「それしか道がなくて、それに縋り付くしかなかった。悲しい人。でも、それで自分を捨てる必要も、自分の感情を否定する必要はあったんですか。」

見据えるように、ベルベットの奥底を見抜くように、言葉が紡がれる。
ベルベットは己が未来を悍ましいものとして否定し、魔王と為った。
それは、言い方を変えれば運命から目を背け、魔王という役割で逃避しているようにしか見えなかった。

「あなたは強くなってなんかない。あなたはただ逃げただけ。託されたものを全部投げ捨てて。未来が怖くて逃げだしたただの臆病者なんだ!」
「―――黙れ小娘。』

魔王の怒りが、大地を震わせる。
魔王の憎悪が、世界を震わせる。
心の奥底から、魂の最奥から引き出された無窮の憤怒だ。
間宮あかりに向けた、絶対的な殺意だ。

『……そのような口、ほざくならば今ここで私の糧として喰われて死ね。」

魔王が黒翼をはためかせる。魔王の瘴気が暴風雨となって吹き荒れる。
間宮あかりを飲み込もうと咆哮を鳴らす。
魔王の憎悪が、魔王の全てが間宮あかりを殺そうと牙を向いていた。








「消えてしまった人たちは、もう二度と戻ってこない。」

それでも、間宮あかりは怯えない、怯まない、恐れない。







「例えどれだけ運命に欺かれようとも―――」

例えどれだけ困難が待ち受けようとも、例えどれだけ絶望に塗れようとも。







「私は、決して明日から目を逸らしたりはしない!!!!」

間宮あかりの背中に、白翼が顕現する。
それは彼女が信じた武偵の在り方の象徴。
貫き通すと誓った彼女の正しき誓い、黄金の意思。
正しき怒りを胸に、少女は光明となりて魔王に挑む。








白翼と黒翼、武偵と魔王。
ぶつかり、そして世界に閃光が迸った。

前話 次話
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