参加者の皆様方、ご機嫌よう。
ゲーム支配人のテミスです。
定時放送の時間となりました。
ゲーム支配人のテミスです。
定時放送の時間となりました。
戦っている人は、一旦手を休めて。
休もうとしている人は、もう少しだけ、我慢して。
眠っている人がいれば、どうにか起きてくださいな。
休もうとしている人は、もう少しだけ、我慢して。
眠っている人がいれば、どうにか起きてくださいな。
この放送も、いよいよ四回目―――このゲームが始まってから、丸一日が経過したことになるわ。
皆様にとって、この一日はあっという間だった? それとも、数週間や数ヶ月のように感じられたのかしら?
まぁどちらにせよ、過ぎた時間が戻ることはない―――その現実を噛み締めつつ、これからの戦いにも臨んでくださいな。
皆様にとって、この一日はあっという間だった? それとも、数週間や数ヶ月のように感じられたのかしら?
まぁどちらにせよ、過ぎた時間が戻ることはない―――その現実を噛み締めつつ、これからの戦いにも臨んでくださいな。
それでは、恒例の禁止エリアの発表から、いくわね。
A-8
C-2
G-5
C-2
G-5
以上3つのエリアが3時から、進入禁止になるわ。
折角ここまで生き残ったのだから、つまらないミスで命を落とすなんて、こちらとしても興醒めだから、引き続き気を付けてくださいませ。
折角ここまで生き残ったのだから、つまらないミスで命を落とすなんて、こちらとしても興醒めだから、引き続き気を付けてくださいませ。
続けては、死亡者の発表よ。
【メアリ・ハント】
【麦野沈利】
【夾竹桃】
【岩永琴子】
【高坂麗奈】
【カナメ】
【ヴライ】
【オシュトル】
【麦野沈利】
【夾竹桃】
【岩永琴子】
【高坂麗奈】
【カナメ】
【ヴライ】
【オシュトル】
以上8名となります。
少しペースは落ちてきたかしら?
それでも、残るは24人―――開始時には75人もいたプレイヤーも、とうとう3分の1を切ってしまったわね。
ふふっ、51人の屍の上に立っている気分はどうかしらぁ?
優越感に浸っている?悲壮感を募らせている?或いは罪悪感に苛まれている?それともまだ希望を捨てずに前を向いているのかしら?
何であれ、ゲームもいよいよ終盤に差し掛かっているわ。
皆様、随分と血気盛んなようで、会場のあちらこちらがグチャグチャになっているけれど―――どうぞ、遠慮なさらずに。
力でも、異能でも、策謀でも、甘い言葉でも。使えるものは何だって使って、最後の一人を目指してくださいな。
我々運営一同は、引き続き皆様のご健闘を心よりお祈りいたしますわ。
それでも、残るは24人―――開始時には75人もいたプレイヤーも、とうとう3分の1を切ってしまったわね。
ふふっ、51人の屍の上に立っている気分はどうかしらぁ?
優越感に浸っている?悲壮感を募らせている?或いは罪悪感に苛まれている?それともまだ希望を捨てずに前を向いているのかしら?
何であれ、ゲームもいよいよ終盤に差し掛かっているわ。
皆様、随分と血気盛んなようで、会場のあちらこちらがグチャグチャになっているけれど―――どうぞ、遠慮なさらずに。
力でも、異能でも、策謀でも、甘い言葉でも。使えるものは何だって使って、最後の一人を目指してくださいな。
我々運営一同は、引き続き皆様のご健闘を心よりお祈りいたしますわ。
それでは、少し早いですけど、今回の定時放送はここまでとします。
恒例となりますが、放送の締めくくりには、皆さんお待ちかね、μの生歌をお贈りします。
今回お贈りする楽曲は、「SuicidePrototype」。
皆様方においては、ゲームの激化に伴い、気が張り詰めて息苦しさを感じているかもしれませんわね。
そんな時は、この楽曲に倣って、内に秘めているものを、思いっきり吐き出すことも大切だと思うわ。是非ご堪能してください。
今回お贈りする楽曲は、「SuicidePrototype」。
皆様方においては、ゲームの激化に伴い、気が張り詰めて息苦しさを感じているかもしれませんわね。
そんな時は、この楽曲に倣って、内に秘めているものを、思いっきり吐き出すことも大切だと思うわ。是非ご堪能してください。
それでは、ご機嫌よう〜。
◇
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幾多の戦禍が刻まれた、殺し合いの舞台。
その閉ざされし世界を包み込むように響き渡るは、女神の歌声。
その美しき歌声が紡ぎ出すのは、とある『裏切りの楽士』が生み出した、果てなき自己破壊願望。
聞こえようによっては、絶望からくる慟哭とも、衝動的な憤怒とも捉えられる、その激情は、闘争の渦中の者達に、容赦なく叩きつけられていく。
その閉ざされし世界を包み込むように響き渡るは、女神の歌声。
その美しき歌声が紡ぎ出すのは、とある『裏切りの楽士』が生み出した、果てなき自己破壊願望。
聞こえようによっては、絶望からくる慟哭とも、衝動的な憤怒とも捉えられる、その激情は、闘争の渦中の者達に、容赦なく叩きつけられていく。
ある者にとっては、死者へ捧げる鎮魂歌。
ある者にとっては、己が戦意を奮い立たせる軍歌。
そして、ある者にとっては―――己の内側へ押し込めていた本音を暴き出す、告解の鐘。
ある者にとっては、己が戦意を奮い立たせる軍歌。
そして、ある者にとっては―――己の内側へ押し込めていた本音を暴き出す、告解の鐘。
受け取り方は、人それぞれ。
されど、その歌だけは等しく―――殺し合いに身を置く全ての者達へと、降り注いでいく。
されど、その歌だけは等しく―――殺し合いに身を置く全ての者達へと、降り注いでいく。
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「―――はい、皆様におかれましては、引き続き、実験場の行方を注視してください。基本的にこちら側の指示がない限りは、介入等は不要です」
主催の根城たる施設の最奥部。
GM(ゲームマスター)ことウォシスは、机に両の腕を突き、指と指とを合わせながら、テミスへと告げた。
ヒビ割れた仮面にて、面貌を覆っているが故、その表情は窺い知れない。
その口調は非常に和やかではあったが、支配者たる気質を隠すことなく滲ませていた。
GM(ゲームマスター)ことウォシスは、机に両の腕を突き、指と指とを合わせながら、テミスへと告げた。
ヒビ割れた仮面にて、面貌を覆っているが故、その表情は窺い知れない。
その口調は非常に和やかではあったが、支配者たる気質を隠すことなく滲ませていた。
「――まだ、『収穫』の時期ではないと……?」
「ベルベット・クラウから『魔王』の気配が消失したのは、些か残念ではありましたが……、μに取り込ませる素材という面では、いくつかの検体において、更なる昇華は期待できると思っております」
三回目の放送以降も、ウォシスは、戦場の動向を静かに観察していた。特に目星をつけていたのは、監視システムの外側より、覚醒した状態にて帰還を果たした間宮あかりと、異能の情報を喰らうことで、魔王と化したベルベット・クラウの二人であった。
共に、複合異能を以って、会場内にいた神々にも引けを取らない、超常の力でぶつかりあった有望株ではあったが、ベルベット・クラウの身に誕生した『魔王』は、紅魔館での一連の戦闘を経て、宿主たるベルベットの意思によって掻き消されてしまった。
間宮あかりにしても、ヴライ、ウィキッド、クオンら猛者との連戦によって、消耗しすぎている。これ以上の出力を重ねれば、近いうちに破滅するのは必定だ。
それでは、このタイミングで、μを介入させて、力尽きてしまう前のあかりを吸収してしまえば良いのだろうか―――答えは否。時期尚早であると、少なくとも、ウォシスはそう判断した。
虚構と現実の反転には、膨大なエネルギーが必要となる。間宮あかりは、確かに強大な異能の器として完成しつつはあるが、彼女一人だけでは到底賄えるものではない。
虚構と現実の反転には、膨大なエネルギーが必要となる。間宮あかりは、確かに強大な異能の器として完成しつつはあるが、彼女一人だけでは到底賄えるものではない。
故に、静観―――他の参加者の覚醒を期待し、事の成り行きを見守ることにした。
「確かに――今もまさに、いくつか興味深い動きが見られますわね」
無機質な部屋に点在する幾多のモニター。
そこに映し出される映像へ視線を巡らせ、テミスは、小さく微笑んだ。
殺し合い(バトルロワイアル)という鳥籠の中で、24の物語は、今なお進行し、交錯し続けている。
そこに映し出される映像へ視線を巡らせ、テミスは、小さく微笑んだ。
殺し合い(バトルロワイアル)という鳥籠の中で、24の物語は、今なお進行し、交錯し続けている。
「ええ。殺し合いに乗った者が減ってきているものの、未だ火種は点在しています―――更なる複合と進化を促すに足る火種が」
「でしたら、まず注目すべきは―――早乙女研究所、でしょうか?」
テミスが一つのモニターへと視線を向ける。
そこに映し出されていたのは、ゲッター線に呑まれ、暴走を続ける流竜馬。
その存在を基点として、神隼人をはじめとする複数の参加者が集い、ゲッターの化身と化した男へ立ち向かっている。
その存在を基点として、神隼人をはじめとする複数の参加者が集い、ゲッターの化身と化した男へ立ち向かっている。
しかし、彼の地で蠢いている脅威は、竜馬一人に留まらない。
そこで生じた混沌と闘争は、まるで呼び水となるかのように、早乙女研究所の地下に息を潜めていたゲッター線を刺激した。
結果として、その異形のエネルギーは、主催者達の想定した枠組みを越え、独自の変容を開始―――偽りの女神を模倣した上、地下に遺された兵達を呼び覚まし、更なる混沌を創出している。
そこで生じた混沌と闘争は、まるで呼び水となるかのように、早乙女研究所の地下に息を潜めていたゲッター線を刺激した。
結果として、その異形のエネルギーは、主催者達の想定した枠組みを越え、独自の変容を開始―――偽りの女神を模倣した上、地下に遺された兵達を呼び覚まし、更なる混沌を創出している。
虚構の地獄に組み込まれたゲッター線という種子は、今まさに芽吹きの時を終え―――災厄という名の大輪を咲かせようとしているのだ。
「はてさて、彼らは、どうなるのでしょうか。力を合わせて、この災厄を退けるのか。それとも、仲良くゲッターに沈められてしまうのか……」
「乗り切ることに期待するしかありませんね……」
ウォシスは、モニターに映し出される光景を眺めながら、淡々とそう口にした。
とはいえ、彼が望んでいるのは、全員揃っての生還などではない。
幾人かが命を落とすこと自体は、ウォシスにとって些末な問題に過ぎない。
だが、全てが災厄に呑まれてしまっては、育てるべき検体そのものを失うことになる。
幾人かが命を落とすこと自体は、ウォシスにとって些末な問題に過ぎない。
だが、全てが災厄に呑まれてしまっては、育てるべき検体そのものを失うことになる。
願わくば、この異物が引き起こした窮地を乗り越え―――その過程で、一人でも多くの参加者が新たな『覚醒』へと至ること。
それこそが、ウォシスにとって最も望ましい結末であった。
それこそが、ウォシスにとって最も望ましい結末であった。
「では―――こちらの鬼達については、どうご覧になって?」
示された画面の先。
そこに映し出されていたのは、未だ盤面を掻き乱し続ける鬼の首魁―――鬼舞辻無惨。
そこに映し出されていたのは、未だ盤面を掻き乱し続ける鬼の首魁―――鬼舞辻無惨。
「彼はよくやってくれています。概ね当初の期待通りに動いていると言えるでしょう」
幾多の参加者との交戦を経て、多少の消耗こそ見られるものの、その脅威は未だ健在。
激情とともに振るわれる無数の触手と、周囲へ撒き散らされる致死の毒。
その理不尽な暴力は既に幾つもの命を奪い去っており、生き残った全ての参加者にとって、危険極まりない存在であることに変わりはない。
それほどまでに高い障壁が立ちはだかるからこそ、参加者達の更なる奮起と進化も促される。
激情とともに振るわれる無数の触手と、周囲へ撒き散らされる致死の毒。
その理不尽な暴力は既に幾つもの命を奪い去っており、生き残った全ての参加者にとって、危険極まりない存在であることに変わりはない。
それほどまでに高い障壁が立ちはだかるからこそ、参加者達の更なる奮起と進化も促される。
「鬼舞辻無惨も興味深いですが、私としては、彼によって変質した個体にも注目しております」
「ウィキッド、ですわね」
ウォシスの言葉に応じ、テミスの視線が隣接するモニターへと移る。
映し出されたのは、無惨の毒によって、この殺し合いの地で新たな“鬼”へと変貌したオスティナートの楽士―――ウィキッド。
映し出されたのは、無惨の毒によって、この殺し合いの地で新たな“鬼”へと変貌したオスティナートの楽士―――ウィキッド。
鬼の力そのものは、彼女にとって望んで手に入れたものではない。
不本意な形で肉体へ刻み込まれた、言わば呪いにも等しい代物。
されど、元来より強い攻撃性を持つ彼女は、それを忌避するどころか己が力として利用した。
不本意な形で肉体へ刻み込まれた、言わば呪いにも等しい代物。
されど、元来より強い攻撃性を持つ彼女は、それを忌避するどころか己が力として利用した。
楽士として有していた異能。
そこへ鬼の肉体と能力が重なり合うことで、ウィキッドはその悪意のままに更なる猛威を振るい、既に複数の参加者を葬っている。
そこへ鬼の肉体と能力が重なり合うことで、ウィキッドはその悪意のままに更なる猛威を振るい、既に複数の参加者を葬っている。
殺し合いを加速させる駒という意味でも、運営には十分に貢献している。
しかし、ウォシスが注目しているのは、無論それだけではない。
しかし、ウォシスが注目しているのは、無論それだけではない。
「あのヴライの屍肉をも喰らったことが、今後どのような影響を及ぼすか気になるところです」
異なる世界の鬼によって変質した肉体。
オスティナートの楽士としての異能。
そして、新たにその身へ取り込まれた、別世界の強者の血肉。
オスティナートの楽士としての異能。
そして、新たにその身へ取り込まれた、別世界の強者の血肉。
それらが今後どのような化学反応を示すのかは、現段階では定かではない。
何事も起こらず終わる可能性もあれば、予想だにしない複合や進化へ繋がる可能性もある。
故に、観察する価値がある。
何事も起こらず終わる可能性もあれば、予想だにしない複合や進化へ繋がる可能性もある。
故に、観察する価値がある。
「ふふっ、随分と暴食が過ぎるお姫様ですこと」
テミスはそう答えながらも、次なる獲物を探すかのように、幾つもの画面へと視線を走らせる。
やがて、その瞳が一人の青年を捉えた。
やがて、その瞳が一人の青年を捉えた。
「ああ、彼も忘れてはいけませんわね」
「琵琶坂永至、ですか」
画面に映し出されたのは、黒のゴシックスーツを纏った青年―――琵琶坂永至。
「ええ。この殺し合いが始まった頃と比べれば、随分と様変わりしたのではなくて?」
テミスの言う通り、琵琶坂はこの殺し合いの中で、二度に渡る大きな進化を果たしている。
最初の進化は、ミカヅチ、安倍晴明らとの邂逅によって齎された。
異なる世界に存在する法則―――『痣』をその身に発現させたことで、彼が元来有していたカタルシスエフェクトまでもが影響を受け、その力を増している。
異なる世界に存在する法則―――『痣』をその身に発現させたことで、彼が元来有していたカタルシスエフェクトまでもが影響を受け、その力を増している。
そして二度目は、紅魔館を舞台とした一連の戦闘。
そこでゲッターの力と接触し、やがてその身へ取り込んだことで、琵琶坂の戦力は人間の領域から大きく逸脱したものへと押し上げられた。
痣。
カタルシスエフェクト。
そして、ゲッター。
カタルシスエフェクト。
そして、ゲッター。
本来ならば決して交わるはずのなかった、異なる世界に由来する力。
それらが一人の人間を器として混ざり合い、新たな力へと昇華されていく。
それらが一人の人間を器として混ざり合い、新たな力へと昇華されていく。
―――複合異能。
ウォシス達がこの殺し合いを通じて求めていた現象の、紛れもない成功例の一つであった。
「現時点における検体としては、一定の評価に値します」
「ふふっ。最初はメビウス由来の異能を持つだけの人間でしたのに、随分と出世しましたこと」
「加えて、現在行動を共にしている者も無視はできません」
「ベルベット・クラウ―――ですわね」
一時は複数の異能を喰らい、『魔王』と呼ぶに相応しい領域へまで到達した女。
紅魔館での一連の戦闘を経て、その身に宿していた『魔王』こそ失われてしまったものの、ベルベット本人が有する戦闘能力まで消失したわけではない。
紅魔館での一連の戦闘を経て、その身に宿していた『魔王』こそ失われてしまったものの、ベルベット本人が有する戦闘能力まで消失したわけではない。
そして何より―――両者ともに、少なくとも現時点では、このゲームにおいて他の参加者を踏み台とすることを躊躇わない。
殺し合いも終盤へ差し掛かり、明確に“乗った”側の参加者が数を減らしつつある中。
高い戦闘能力を有する二人が手を組んでいるという事実は、他の参加者にとって極めて大きな脅威となる。
高い戦闘能力を有する二人が手を組んでいるという事実は、他の参加者にとって極めて大きな脅威となる。
「彼ら自身が更なる進化を遂げるのか。それとも、彼らに追い詰められた者が新たな力へ目覚めるのか―――いずれにせよ、盤面を動かす良い刺激にはなってくれるでしょう」
「ふふっ。刺激という意味合いでしたら、他にも愉快な動きはございますわよ」
どこか楽しげに告げながら、テミスは再びモニター群へと視線を巡らせる。
「殺し合いに乗っていない方々―――こちらも、随分と面白いことになっていますもの」
殺し合いを拒絶し、主催者へ抗おうとする参加者達。
本来であれば、共通する敵を前に手を取り合って然るべき彼らもまた、今や決して一枚岩ではなくなっている。
本来であれば、共通する敵を前に手を取り合って然るべき彼らもまた、今や決して一枚岩ではなくなっている。
その主たる原因となったのは―――ある一人の少女が掲げた、あまりにも大それて、それでいて愚かな理想(もくひょう)であった。
―――μの力を奪って、この殺し合いで行った全てを無かったことにする。
主催者側からすると、一笑に付してしまうような幼稚な願い――だが、最愛の人を失った『神の子』は、その理想へ縋るようにその歩みに加わった。ロクロウ・ランゲツや東風谷早苗も、積極的とは言い難いながらその計画に与している。
結果として、戦う力など持たないその参加者を中心に、一つの大きな勢力が形成されつつあった。
そして、折原臨也をはじめとした一部の参加者が、彼女らの理想を否定したことで、抗争へと発展―――結果として、殺し合いに乗っていない側の勢力内にて対立構造が生じている。
結果として、戦う力など持たないその参加者を中心に、一つの大きな勢力が形成されつつあった。
そして、折原臨也をはじめとした一部の参加者が、彼女らの理想を否定したことで、抗争へと発展―――結果として、殺し合いに乗っていない側の勢力内にて対立構造が生じている。
「―――黄前久美子……。生き残っている参加者の中で間違いなく最弱であろう彼女こそが、今の私のお気に入りかもしれませんわ」
テミスの口元が歪む。
そこに浮かぶのは、単なる嘲笑ではない。
力なき弱者を遥か高みから見下ろすような優越感と、この先どのような結末を見せてくれるのかという好奇が入り混じった、愉悦の笑みであった。
そこに浮かぶのは、単なる嘲笑ではない。
力なき弱者を遥か高みから見下ろすような優越感と、この先どのような結末を見せてくれるのかという好奇が入り混じった、愉悦の笑みであった。
「彼女自身には、戦う力など何一つない。ただ必死に這いずり回り、周囲の強者達に頼るしかない―――それなのに、今や誰も彼女を無視できなくなりつつある」
まるで玩具箱の中の最も脆い玩具を見つめる子供のように目を輝かせる、テミス。
その宝石のような瞳が孕む嗜虐性は明らかだった。
その宝石のような瞳が孕む嗜虐性は明らかだった。
「彼女達が潰されてしまうか、盤面の勢力図を一気に塗り替えてしまうか……どちらに転ぼうとも、目が離せないわぁ」
「私個人としては、どの検体にも、特段の興味はありません。
最終的に『収穫』に値するものへと、進化さえしてくれれば、それで良いです」
最終的に『収穫』に値するものへと、進化さえしてくれれば、それで良いです」
熱のこもったテミスとは対照的に、ウォシスの反応は、機械的で淡白なものであった。
ゲームマスターにとって個々の参加者など単なる素材であり、それらの葛藤や過程に感慨を抱こうとは思っていない。
ゲームマスターにとって個々の参加者など単なる素材であり、それらの葛藤や過程に感慨を抱こうとは思っていない。
「まぁまぁ、そんなに醒めずに。
ほんの少しでも、盤上に繰り広げられるドラマに興じてみたら如何ですか?
この実験に限らず、私は幾多のDゲームを鑑賞してきましたが、生死の狭間で生まれる人間模様というのは、なかなか趣深いものですのよ」
ほんの少しでも、盤上に繰り広げられるドラマに興じてみたら如何ですか?
この実験に限らず、私は幾多のDゲームを鑑賞してきましたが、生死の狭間で生まれる人間模様というのは、なかなか趣深いものですのよ」
「生憎と遊び心は、殺しておりますので……。
そういったものは、全てが完遂してからでよいと思っております」
そういったものは、全てが完遂してからでよいと思っております」
ウォシスは再び視線をモニター群に戻した。
その仮面の奥に覗く眼差しからは、相変わらず何の感情も読み取れない。
テミスは、「釣れませんわね」と言いたげに肩を竦めた。
その仮面の奥に覗く眼差しからは、相変わらず何の感情も読み取れない。
テミスは、「釣れませんわね」と言いたげに肩を竦めた。
「では仰せの通り、引き続き監視体制を維持します。何か指示があれば、すぐに応じますわ」
「宜しくお願いします」
テミスは軽く頷くと、踵を返した。
彼女のハイヒールが無機質な床を打ち鳴らす硬質な音が、静寂の中に消えていく。
彼女のハイヒールが無機質な床を打ち鳴らす硬質な音が、静寂の中に消えていく。
「――全てを無かったことに、ですか……」
テミスが立ち去った無機質な空間で、ウォシスは静かに呟いた。
その仮面の奥に隠された瞳が僅かに細められる。テミスが興味を示した、黄前久美子が掲げる理想―――それを改めて咀嚼する。
その仮面の奥に隠された瞳が僅かに細められる。テミスが興味を示した、黄前久美子が掲げる理想―――それを改めて咀嚼する。
(……愚かしいこと、この上ありませんね)
現実を否定するのであれば、リセットなどという安直な逃避へ走るべきではない。
過ちの果てに現実(じごく)へ辿り着いたのなら、その全てを受け入れ、糧とした上で―――自らの手で現実そのものを覆せばいい。
地獄を消し去るのではなく、望む理想へと塗り替える。
過ちの果てに現実(じごく)へ辿り着いたのなら、その全てを受け入れ、糧とした上で―――自らの手で現実そのものを覆せばいい。
地獄を消し去るのではなく、望む理想へと塗り替える。
故に、ウォシスは目指す。
現実(じごく)と、虚構(りそう)の反転を――。
その為の、贄の育成。
その為の、殺し合い。
全てを失った末に抱いた、究極の悲願を成就させるため―――彼は粛々と盤面の動きに目を光らせ、機会を窺うのであった。
その為の、贄の育成。
その為の、殺し合い。
全てを失った末に抱いた、究極の悲願を成就させるため―――彼は粛々と盤面の動きに目を光らせ、機会を窺うのであった。
【死亡者51名 残り24名】
【ウォシス@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:プロトタイプ@うたわれるもの
[思考]
基本:μを強化させて、現実(じごく)を、虚構(りそう)で塗り替える
0:暫くはゲームの経過を観察する
1:ゲームを進行させ、『複合異能』を誕生及び成長させる
2:誕生させた検体について、ゆくゆくはμに『収穫』させる
3:間宮あかりの動向に注目
[備考]
※ プロトタイプは本来の能力を失っていますが、μを使役する力だけは行使できるようです。
[状態]:健康
[服装]:いつもの服装
[装備]:プロトタイプ@うたわれるもの
[思考]
基本:μを強化させて、現実(じごく)を、虚構(りそう)で塗り替える
0:暫くはゲームの経過を観察する
1:ゲームを進行させ、『複合異能』を誕生及び成長させる
2:誕生させた検体について、ゆくゆくはμに『収穫』させる
3:間宮あかりの動向に注目
[備考]
※ プロトタイプは本来の能力を失っていますが、μを使役する力だけは行使できるようです。