【上田明也の綺想曲6~Grateful Dead Greatful Days~】
「お前ら、夕食は何が良い?」
「酢豚食べたい、お母さん。」
「牡蠣の塩辛と米が有れば何も要らないよ、お母さん。」
「ハンバーグ食べたいです、お母さん。」
「お前ら全員飯抜きな。」
マッドガッサーの捕獲に失敗してからと言うもの、俺はみんなにお母さんと呼ばれ続けていた。
っていうかサンジェルマンは何故家で飯を食っているのだろうか?
「おい、サンジェルマン。」
「え、帰れッて?解った解った。」
奴は本当に米と塩辛だけを食った後に出て行きやがった。
「酢豚食べたい、お母さん。」
「牡蠣の塩辛と米が有れば何も要らないよ、お母さん。」
「ハンバーグ食べたいです、お母さん。」
「お前ら全員飯抜きな。」
マッドガッサーの捕獲に失敗してからと言うもの、俺はみんなにお母さんと呼ばれ続けていた。
っていうかサンジェルマンは何故家で飯を食っているのだろうか?
「おい、サンジェルマン。」
「え、帰れッて?解った解った。」
奴は本当に米と塩辛だけを食った後に出て行きやがった。
「はい、と言うわけでお前らに夕ご飯を作ってやりたいと思います。」
「「ご飯マダー?」」
流石に子供が二人も居るとうっおと……、噛んだ。
うっとおしい。
「今日はお前ら希望を取り入れて酢ハンバーグにしたいと思います。」
「「それはない」」
なんでこいつらは妙な所で息が合っているのだろうか。
「お前ら酢ハンバーグが不味いと思っているらしいな、ならば良いだろう。
あれがいかに美味しいか子供の時に嫌いだったうどんに大好きなカルピスを混ぜて自爆した俺が教えてやる。」
「食う気が萎える枕だわ。」
「マスt……お母さんの失敗談ですね、どうみても。」
「うるちゃい、お前らは俺の作った飯を豚の如く食えばよいのだ。」
「「ご飯マダー?」」
流石に子供が二人も居るとうっおと……、噛んだ。
うっとおしい。
「今日はお前ら希望を取り入れて酢ハンバーグにしたいと思います。」
「「それはない」」
なんでこいつらは妙な所で息が合っているのだろうか。
「お前ら酢ハンバーグが不味いと思っているらしいな、ならば良いだろう。
あれがいかに美味しいか子供の時に嫌いだったうどんに大好きなカルピスを混ぜて自爆した俺が教えてやる。」
「食う気が萎える枕だわ。」
「マスt……お母さんの失敗談ですね、どうみても。」
「うるちゃい、お前らは俺の作った飯を豚の如く食えばよいのだ。」
フライパンを取り出して油を引いて火にかける。
クックックドゥーンの酢豚の素を棚から出しておく。
冷蔵庫には丁度ハンバーグのこね終わった奴があるのでそれを使おう。
まず鶏肉の煮物で出来た煮こごりと酢豚の素を混ぜて薄めの餃子の皮の中に包む。
そしてそれをさらにハンバーグの中に入れてフライパンへ……
紹興酒をフライパンに加えて蓋をして肉に火が通るまでユックリ待ちましょう。
クックックドゥーンの酢豚の素を棚から出しておく。
冷蔵庫には丁度ハンバーグのこね終わった奴があるのでそれを使おう。
まず鶏肉の煮物で出来た煮こごりと酢豚の素を混ぜて薄めの餃子の皮の中に包む。
そしてそれをさらにハンバーグの中に入れてフライパンへ……
紹興酒をフライパンに加えて蓋をして肉に火が通るまでユックリ待ちましょう。
「できたぞてめえら酢ハンバーグ!」
「「やんややんや」」
「さあ食べろ。」
「「いっただきまーす。」」
「「やんややんや」」
「さあ食べろ。」
「「いっただきまーす。」」
子供達は酢ハンバーグに齧り付いた。
「うわ!中から酢豚のたれが!しかもハンバーグと調和している!」
「マスターって運動、ていうか肉体を使った作業以外一通り出来ますよね。
これも味付け良いのに野菜が不揃いだったり……。」
「余計なお世話だ。」
二人がご飯を美味しそうに食べているのを見ていると心が落ち着く。
片方は凶悪な都市伝説だしもう片方も凶悪な都市伝説の契約者なのになあ……。
そういえば凶悪なんて誰が決めたんだろうか?
それが凶暴なのか邪悪なのかなんて自分たちではなく他人が決めた基準におけるものでしかない。
俺達を受け入れない他人の集合体が数を頼みに振り回したルールに過ぎない。
さて、その法に従う必要はあるのだろうか?
その法から逃れればきっと今俺は可愛い二人のロリに飯をつくっている心優しいお兄さんに違いない。
世間一般のルールでは人でなしの俺でも今ここを支配しているルールの下では優しい人間で居られるのだ。
「うわ!中から酢豚のたれが!しかもハンバーグと調和している!」
「マスターって運動、ていうか肉体を使った作業以外一通り出来ますよね。
これも味付け良いのに野菜が不揃いだったり……。」
「余計なお世話だ。」
二人がご飯を美味しそうに食べているのを見ていると心が落ち着く。
片方は凶悪な都市伝説だしもう片方も凶悪な都市伝説の契約者なのになあ……。
そういえば凶悪なんて誰が決めたんだろうか?
それが凶暴なのか邪悪なのかなんて自分たちではなく他人が決めた基準におけるものでしかない。
俺達を受け入れない他人の集合体が数を頼みに振り回したルールに過ぎない。
さて、その法に従う必要はあるのだろうか?
その法から逃れればきっと今俺は可愛い二人のロリに飯をつくっている心優しいお兄さんに違いない。
世間一般のルールでは人でなしの俺でも今ここを支配しているルールの下では優しい人間で居られるのだ。
「お前をまともな人間にしたかった。でも駄目だった。俺はもう諦めるよ。
お前と絶交するわけじゃないけどさ、諦めた。俺には無理だ。俺の身が保たない。」
お前と絶交するわけじゃないけどさ、諦めた。俺には無理だ。俺の身が保たない。」
そう言った友人が高校の頃に居た。
しかし世間一般のルールで救われなかった少女が今目の前に二人居る。
世間一般のルールに迫害された人間と都市伝説がいる。
そう言ってくれた友人のことは尊敬しているが彼の気持ちに報いることはできなさそうだ。
しかし世間一般のルールで救われなかった少女が今目の前に二人居る。
世間一般のルールに迫害された人間と都市伝説がいる。
そう言ってくれた友人のことは尊敬しているが彼の気持ちに報いることはできなさそうだ。
「美味いか?」
「美味いよ、上田明也。」
「美味しいです、マスター。」
「なら良いんだ。」
思えば橙もずいぶん家に慣れたものだ。
最初はメルや俺ともぎくしゃくしていたんだがな。
まあそこらへんはサンジェルマンのおかげと言うことにしておこう。
彼女のボロボロの身体をある程度治したのもあいつだしな。
「美味いよ、上田明也。」
「美味しいです、マスター。」
「なら良いんだ。」
思えば橙もずいぶん家に慣れたものだ。
最初はメルや俺ともぎくしゃくしていたんだがな。
まあそこらへんはサンジェルマンのおかげと言うことにしておこう。
彼女のボロボロの身体をある程度治したのもあいつだしな。
「ああ、そうだ。薬飲ませるから来い。」
「はーい。」
橙は生まれた時から眼が見えなかったらしい。
眼の病気か何かで眼球を摘出するしかなかったそうだ。
だから彼女の目は義眼である。
人形のように可愛らしい彼女だが人形みたいな美しい眼という形容の仕方はあまりしない方が良いのだろう。
「マスター、私白湯用意しておきますね。」
「ああ、ありがとうよ。」
「ハーメルンの笛吹き、ありがとう。」
「はーい。」
橙は生まれた時から眼が見えなかったらしい。
眼の病気か何かで眼球を摘出するしかなかったそうだ。
だから彼女の目は義眼である。
人形のように可愛らしい彼女だが人形みたいな美しい眼という形容の仕方はあまりしない方が良いのだろう。
「マスター、私白湯用意しておきますね。」
「ああ、ありがとうよ。」
「ハーメルンの笛吹き、ありがとう。」
橙が薬を飲み終わると適当にテレビをつけて番組を見る。
最近はサンジェルマンの特訓のおかげである程度能力を制御できるようになったらしい。
テレビ位なら能力を使ってみても問題は無い。
ただしお笑い番組を見ているときは問題だ。
「はいはいはいこんにちわ~。」
若手の漫才コンビが出てきた。
最近実力をつけているコンビらしい。
「あははははははははは!!!」
最近はサンジェルマンの特訓のおかげである程度能力を制御できるようになったらしい。
テレビ位なら能力を使ってみても問題は無い。
ただしお笑い番組を見ているときは問題だ。
「はいはいはいこんにちわ~。」
若手の漫才コンビが出てきた。
最近実力をつけているコンビらしい。
「あははははははははは!!!」
出てきた直後に橙が笑い出す。
「………あれ?どうしたの?」
「橙、それは何秒先だ?」
「橙さん、貴方の笑いの壺ってキャハハハハ!!!」
そう、彼女はどうも数秒先の映像に反応してしまっている時があるのだ。
今のようにお笑い番組だと数秒後のギャグで突然笑い出す時がある。
家に来た時はそもそもあまり笑わなかったからまあそれよりはマシと思うことにしている。
「……また間違えた。」
「気にするな、まあゆっくり使い方に慣れれば良いさ。」
「はい……。」
気にしているのだろうかしょんぼりしはじめる。
「馬鹿おめえそんなの仕方ないだろうが!一々気にしないの!」
「そうですよ、橙さん!」
「解ったわ……。」
そういや施設内ではテレビも見せて貰えなかったらしい。
可哀想とか安い言葉を吐くつもりは無いがすこし胸が痛む。
その後、気を取り直してその後しばらくテレビを見て大体10時か9時には就寝である。
「………あれ?どうしたの?」
「橙、それは何秒先だ?」
「橙さん、貴方の笑いの壺ってキャハハハハ!!!」
そう、彼女はどうも数秒先の映像に反応してしまっている時があるのだ。
今のようにお笑い番組だと数秒後のギャグで突然笑い出す時がある。
家に来た時はそもそもあまり笑わなかったからまあそれよりはマシと思うことにしている。
「……また間違えた。」
「気にするな、まあゆっくり使い方に慣れれば良いさ。」
「はい……。」
気にしているのだろうかしょんぼりしはじめる。
「馬鹿おめえそんなの仕方ないだろうが!一々気にしないの!」
「そうですよ、橙さん!」
「解ったわ……。」
そういや施設内ではテレビも見せて貰えなかったらしい。
可哀想とか安い言葉を吐くつもりは無いがすこし胸が痛む。
その後、気を取り直してその後しばらくテレビを見て大体10時か9時には就寝である。
以前までは夜遅くから動き回っていたのだが最近は大分警戒されるようになってしまった。
組織の人間と戦って負けるつもりは無いがもしあの秋刀魚男が現れたり宝石を投げつけた男が居たりすればメルが揺らぐ。
……俺は揺らぐのだろうか、否、揺らげるのだろうか?
人間をやめることは楽だ。俺は楽をしすぎた。
あのコーラ男くらい割り切った奴だと戦いやすいのだがな。
それにあの禿でマッチョな黒服に来られたらぶっちゃけ勝てる気がしない。
そもそも自分の能力がもう割れているというのが痛い。
こちらが妙な動きをしなければ相手だって手を出さないのだ。
それで良い。
組織の人間と戦って負けるつもりは無いがもしあの秋刀魚男が現れたり宝石を投げつけた男が居たりすればメルが揺らぐ。
……俺は揺らぐのだろうか、否、揺らげるのだろうか?
人間をやめることは楽だ。俺は楽をしすぎた。
あのコーラ男くらい割り切った奴だと戦いやすいのだがな。
それにあの禿でマッチョな黒服に来られたらぶっちゃけ勝てる気がしない。
そもそも自分の能力がもう割れているというのが痛い。
こちらが妙な動きをしなければ相手だって手を出さないのだ。
それで良い。
メルと一緒にベッドに入ると橙も入ってきた。
「なんだ、まだ夢を見るのか?」
「良いじゃない、どっちでも。」
ちょっと怒ったように橙は言う。
しかしあまりベッドに居られると俺としては襲いかかりたくてしょうがなくなるのだから許して欲しい。
実験でに与えられていた薬の副作用で悪夢を見ているそうだ。
薬の名前は確か"Ω to α"、都市伝説の侵食を進める薬だそうだ。
試作品の物を調整も兼ねて無理矢理与えられたのが身体に負担になっているとサンジェルマンからは聞いた。
薬を使わなくても都市伝説との信頼関係一つだと思うがまあそれはそれだ。
今は"Rev-00"とかいう薬で効果を抑えているそうだ。
「これって本当はすっごい機密事項なんで何処で手に入れたとか秘密ですよ?」
そう言っていたが奴のことだからくすねたかそもそもその薬の製造に一部関わっていたのだろう。
考え事をしていたら幼女二名とも俺の隣で寝てしまった。
仕方ないので俺も寝ることにする。
でもその前に首が冷えないようにタオルケットを二人の首に掛けて……
掛けようとしたが腕枕中だったので下手に動けない。
そっと動くことにしよう。
「なんだ、まだ夢を見るのか?」
「良いじゃない、どっちでも。」
ちょっと怒ったように橙は言う。
しかしあまりベッドに居られると俺としては襲いかかりたくてしょうがなくなるのだから許して欲しい。
実験でに与えられていた薬の副作用で悪夢を見ているそうだ。
薬の名前は確か"Ω to α"、都市伝説の侵食を進める薬だそうだ。
試作品の物を調整も兼ねて無理矢理与えられたのが身体に負担になっているとサンジェルマンからは聞いた。
薬を使わなくても都市伝説との信頼関係一つだと思うがまあそれはそれだ。
今は"Rev-00"とかいう薬で効果を抑えているそうだ。
「これって本当はすっごい機密事項なんで何処で手に入れたとか秘密ですよ?」
そう言っていたが奴のことだからくすねたかそもそもその薬の製造に一部関わっていたのだろう。
考え事をしていたら幼女二名とも俺の隣で寝てしまった。
仕方ないので俺も寝ることにする。
でもその前に首が冷えないようにタオルケットを二人の首に掛けて……
掛けようとしたが腕枕中だったので下手に動けない。
そっと動くことにしよう。
秋の朝は割と冷える。
一番最初に目を覚ました俺は布団の中で冷たい空気を入れないように注意しながら布団を出た。
ついでにメルと橙を抱き合わせておく。
おお、これは非常に百合百合しい。
カメラで撮っておこう。
撮影タイムが終わるとさっさと一階に向かう。
エプロンをして味噌汁の出汁をとる。
今日は煮干しで出汁をとろうか。
味噌はいつもの物で良いだろう。
一番最初に目を覚ました俺は布団の中で冷たい空気を入れないように注意しながら布団を出た。
ついでにメルと橙を抱き合わせておく。
おお、これは非常に百合百合しい。
カメラで撮っておこう。
撮影タイムが終わるとさっさと一階に向かう。
エプロンをして味噌汁の出汁をとる。
今日は煮干しで出汁をとろうか。
味噌はいつもの物で良いだろう。
「おふぁようございま~す。」
6時50分にメルが起きる。
二人でねざましテレビの占いを見てキャイキャイ騒ぐ。
ちなみに俺とメルの星座は双子座である。
橙は射手座らしい。
「……おはよう。」
橙も起きた。
只今7時20分。
みんなで朝食を食べ始める、食べ終わる頃にはサンジェルマンも来ていたりしてそれなりに賑やかである。
ご飯を食べ終わると橙はサンジェルマンと修行を始める。
6時50分にメルが起きる。
二人でねざましテレビの占いを見てキャイキャイ騒ぐ。
ちなみに俺とメルの星座は双子座である。
橙は射手座らしい。
「……おはよう。」
橙も起きた。
只今7時20分。
みんなで朝食を食べ始める、食べ終わる頃にはサンジェルマンも来ていたりしてそれなりに賑やかである。
ご飯を食べ終わると橙はサンジェルマンと修行を始める。
午前中も午後も特にやることは無いからひたすら世界文学全集とか六法全書とか読んだりメルと修行していたりする。
気分次第では町に出かけるのだがハプニングに巻き込まれやすいのが問題である。
その日はちょっと出かけて帰ると午後五時になっていた。
「ご飯作っておきました。」
サンジェルマンの手料理がテーブルに広がっていた。
「ぼくも手伝ったよ!」
橙も手伝ったらしい。
「あー、総菜買って来ちゃった。」
「良いからもう食べましょうよマスター!」
気分次第では町に出かけるのだがハプニングに巻き込まれやすいのが問題である。
その日はちょっと出かけて帰ると午後五時になっていた。
「ご飯作っておきました。」
サンジェルマンの手料理がテーブルに広がっていた。
「ぼくも手伝ったよ!」
橙も手伝ったらしい。
「あー、総菜買って来ちゃった。」
「良いからもう食べましょうよマスター!」
「はい、じゃあお前ら椅子に座れ。」
みんなで席に着くと両手を合わせて俺はこう言う。
「それじゃあ、頂きます。」
「いただきまーす。」
「頂きます、サンジェルマンさん。」
「ふはは、存分に召し上がれ。」
「お前も命に感謝しろ。」
「マスターが言うと怪しいです。」
「上田明也が綺麗なこと言うと不自然だぞ。」
困った奴らである。
だがそんな日々も悪くない。
平凡だけれど偉大な日々。
素直に感謝することにしよう。
【上田明也の綺想曲6~Grateful Dead Greatful Days~ fin】
みんなで席に着くと両手を合わせて俺はこう言う。
「それじゃあ、頂きます。」
「いただきまーす。」
「頂きます、サンジェルマンさん。」
「ふはは、存分に召し上がれ。」
「お前も命に感謝しろ。」
「マスターが言うと怪しいです。」
「上田明也が綺麗なこと言うと不自然だぞ。」
困った奴らである。
だがそんな日々も悪くない。
平凡だけれど偉大な日々。
素直に感謝することにしよう。
【上田明也の綺想曲6~Grateful Dead Greatful Days~ fin】