【上田明也の探偵倶楽部】
ベッドで思い切り寝込んでいる男性。
恐らく高熱が出ているのだろう、氷枕をしている。
まあ俺のことである、今俺は風邪を引いているのだ。
「こんにちわ皆さん、最近自分のここの所の生活がアニメ化できそうでわくわくしている上田明也です。
でも主人公と言うよりラスボスな気もして悶々しています。
探偵兼殺人鬼という厨二病全開過ぎて死にたくなる二足のわらじを履いているし行けると思うんですけどね。
まあ探偵の仕事、なんていっても依頼が来るのなんて週に一、二回ほどです。
しかも、都市伝説で仕事を終わらせてしまうのでお金も手間もかからないと。
殺人鬼の仕事なんてさらなりって奴です。
仕事ですらない。
何を言いたいかって言うとすごく暇なんですよ、ええ。
そんな暇なときはどうしているのかって?
テレビかネットでも見て時間を潰すに限りますよ。」
誰かに語りかけるように独り言を呟く。
これを行わないと自分の日常が始まらない気がするのだ。
「マスター、生きてますか?」
いきなりの寝室のドアを開けて飛び込んでくる幼女、俺の契約している都市伝説「ハーメルンの笛吹き」である。
彼女の手の上には緑色のおかゆがこんもりのっかったお椀があった。
「うわ、やめろお前がおかゆなんて作るんじゃ……。」
「つべこべ言わずに食えよおらぁ!」
どうやら俺の昼食らしい。
「うに゛ゃああああああああ!?」
病人という存在の弱さとおかゆに有らざる苦みを口中で噛みしめながら俺はそのまま意識を絶った。
ああ、幾ら都市伝説を使いこなしても駄目な物は駄目なんだなぁ……。
恐らく高熱が出ているのだろう、氷枕をしている。
まあ俺のことである、今俺は風邪を引いているのだ。
「こんにちわ皆さん、最近自分のここの所の生活がアニメ化できそうでわくわくしている上田明也です。
でも主人公と言うよりラスボスな気もして悶々しています。
探偵兼殺人鬼という厨二病全開過ぎて死にたくなる二足のわらじを履いているし行けると思うんですけどね。
まあ探偵の仕事、なんていっても依頼が来るのなんて週に一、二回ほどです。
しかも、都市伝説で仕事を終わらせてしまうのでお金も手間もかからないと。
殺人鬼の仕事なんてさらなりって奴です。
仕事ですらない。
何を言いたいかって言うとすごく暇なんですよ、ええ。
そんな暇なときはどうしているのかって?
テレビかネットでも見て時間を潰すに限りますよ。」
誰かに語りかけるように独り言を呟く。
これを行わないと自分の日常が始まらない気がするのだ。
「マスター、生きてますか?」
いきなりの寝室のドアを開けて飛び込んでくる幼女、俺の契約している都市伝説「ハーメルンの笛吹き」である。
彼女の手の上には緑色のおかゆがこんもりのっかったお椀があった。
「うわ、やめろお前がおかゆなんて作るんじゃ……。」
「つべこべ言わずに食えよおらぁ!」
どうやら俺の昼食らしい。
「うに゛ゃああああああああ!?」
病人という存在の弱さとおかゆに有らざる苦みを口中で噛みしめながら俺はそのまま意識を絶った。
ああ、幾ら都市伝説を使いこなしても駄目な物は駄目なんだなぁ……。
【上田明也の探偵倶楽部5~真夜中の赤い砂嵐~】
あの悪夢のようなランチタイムから一体何時間経ったのだろう?
俺が目を覚ますとまず最初に時計を確認した。
真夜中の十二時。
なんということだ、12時間も眠ってしまっていたらしい。
酷く喉が渇いた。
腹も減っている。
体中が痛い。
頭はまるで捻子を突っ込まれたようだ。
思えば、あの謎の黒服達に追いかけられている夢を見てからずっとそうだ。
只の風邪ではないのだろうか?
俺が目を覚ますとまず最初に時計を確認した。
真夜中の十二時。
なんということだ、12時間も眠ってしまっていたらしい。
酷く喉が渇いた。
腹も減っている。
体中が痛い。
頭はまるで捻子を突っ込まれたようだ。
思えば、あの謎の黒服達に追いかけられている夢を見てからずっとそうだ。
只の風邪ではないのだろうか?
「メルー、メルゥ?」
掠れた声で我が愛しの都市伝説を呼ぶ。
「うへへ、……これ以上食えません。」
隣で熟睡していた。
幼女の都市伝説が隣で寝ている。
どんな悪戯をしても問題無いだろう。
成る程、ロリコンたるこの俺にとっては風邪さえ引いていなければ中々魅力的な状況だっただろう。
今すぐ押し倒してこの天使のような頬や
この世の美をすべてそこに集約した尻などを好きなだけ愛でてから
本丸に突撃するのも中々どうして魅力的だったろう。
「残念ながら俺も食えません、と。」
意味が違うわ、と一人ボケ突っ込みをしながら俺は冷蔵庫まで比喩じゃなく這っていった。
「うへへ、……これ以上食えません。」
隣で熟睡していた。
幼女の都市伝説が隣で寝ている。
どんな悪戯をしても問題無いだろう。
成る程、ロリコンたるこの俺にとっては風邪さえ引いていなければ中々魅力的な状況だっただろう。
今すぐ押し倒してこの天使のような頬や
この世の美をすべてそこに集約した尻などを好きなだけ愛でてから
本丸に突撃するのも中々どうして魅力的だったろう。
「残念ながら俺も食えません、と。」
意味が違うわ、と一人ボケ突っ込みをしながら俺は冷蔵庫まで比喩じゃなく這っていった。
冷蔵庫を漁ると
すっかりカラカラになったトマト
ポカリスエット――――――恐らくコレを飲むべきなのだろう
安物の粉チーズ
ケチャップ
マヨネーズ
ソーセージ
鯵の干物
が入っていた。
すっかりカラカラになったトマト
ポカリスエット――――――恐らくコレを飲むべきなのだろう
安物の粉チーズ
ケチャップ
マヨネーズ
ソーセージ
鯵の干物
が入っていた。
「ああ………。」
十二時間を無駄に過ごしてしまった後悔を噛みしめながらポカリスエットを胃袋にそそぎ込む。
カラカラに渇いた喉やもう何も入っていない胃袋が急な来訪者に驚いて活動を始めた。
それにしても腹が減る。
スパゲティをゆでることにした。
台所の隅に転がっていたタマネギを適当にバラバラに切り刻む。
カウンターに捨て置かれていたニンニクの欠片なども適当な感じで細かくしておこう。
フライパンにオリーブオイルを引いてゆっくりと暖める。
十二時間を無駄に過ごしてしまった後悔を噛みしめながらポカリスエットを胃袋にそそぎ込む。
カラカラに渇いた喉やもう何も入っていない胃袋が急な来訪者に驚いて活動を始めた。
それにしても腹が減る。
スパゲティをゆでることにした。
台所の隅に転がっていたタマネギを適当にバラバラに切り刻む。
カウンターに捨て置かれていたニンニクの欠片なども適当な感じで細かくしておこう。
フライパンにオリーブオイルを引いてゆっくりと暖める。
ジュゥワアアアア!
ニンニクと一味唐辛子を入れて炒めると美味しそうな香りが立ち上ってきた。
麺の方も中々上手そうに鍋の中で踊っている。
眠りすぎて腐り落ちそうな頭が作り替えられていく。
鍋の中のゆで汁をお玉一杯、よりちょいと少なめにフライパンに入れる。
油とお湯が混ざって白濁し始めた。
麺の様子を見ると丁度芯が残っている固ゆでの状態だ。
麺の方も中々上手そうに鍋の中で踊っている。
眠りすぎて腐り落ちそうな頭が作り替えられていく。
鍋の中のゆで汁をお玉一杯、よりちょいと少なめにフライパンに入れる。
油とお湯が混ざって白濁し始めた。
麺の様子を見ると丁度芯が残っている固ゆでの状態だ。
ここで麺をフライパンの中に突っ込む。
白濁した液体と麺は絶妙な具合で絡む。
白濁した液体と麺は絶妙な具合で絡む。
ここで火を止めてナンプラーと鯵の干物を刻んだ物も混ぜ合わせる。
アンチョビの代わりにはならないだろうが無いよりはマシだ。
アンチョビの代わりにはならないだろうが無いよりはマシだ。
皿を出して盛ると中々悪くない出来だった。
箸でにゅるにゅると噛みしめると何とも言えない幸せな気持ちになれる。
箸でにゅるにゅると噛みしめると何とも言えない幸せな気持ちになれる。
「中々良い出来だぞ、上田明也。お前もやれば出来る子じゃないか。」
自分で自分を褒めてから何とも言えない寂しさを噛みしめた。
「……寝るか。」
自分に言い聞かせるように独り言を呟いてから寝室に向かう。
まだ自分の体温が残るベッドに潜り込んで瞳を閉じた。
ちなみに我が探偵事務所はあまり広くないので基本的にメルとは添い寝である。
身体が冷えるので湯たんぽ代わりにメルを引き寄せた。
「だからもう食べられないってヴァ………。」
夢の中でも何か喰っているらしい。
本当におめでたい奴である。
「喰っちまうぞ。」
「うわ、ハンバーグが追いかけてきた!?」
メルが急にうなされ始めた。
ハンバーグに追いかけられる夢って大して恐ろしく思えないぞ。
「………今度こそ寝るか。」
俺はまぶたを閉じて頭の中を空っぽにした。
まだ自分の体温が残るベッドに潜り込んで瞳を閉じた。
ちなみに我が探偵事務所はあまり広くないので基本的にメルとは添い寝である。
身体が冷えるので湯たんぽ代わりにメルを引き寄せた。
「だからもう食べられないってヴァ………。」
夢の中でも何か喰っているらしい。
本当におめでたい奴である。
「喰っちまうぞ。」
「うわ、ハンバーグが追いかけてきた!?」
メルが急にうなされ始めた。
ハンバーグに追いかけられる夢って大して恐ろしく思えないぞ。
「………今度こそ寝るか。」
俺はまぶたを閉じて頭の中を空っぽにした。
どれくらい時間が経ったのだろう。
時計を見るとベッドに入ってから30分ほど経過していた。
―――――――――――眠れない。
仕方ないので隣に寝ている幼女に襲いかかろうかとも思ったが
ニンニクまみれの口で襲いかかっても只の嫌がらせだ。
それは自分の美学に反する。
適当にテレビやらネットでもして時間を潰すとしよう。
時計を見るとベッドに入ってから30分ほど経過していた。
―――――――――――眠れない。
仕方ないので隣に寝ている幼女に襲いかかろうかとも思ったが
ニンニクまみれの口で襲いかかっても只の嫌がらせだ。
それは自分の美学に反する。
適当にテレビやらネットでもして時間を潰すとしよう。
自分の部屋に入るとテレビをつけて深夜の通信販売番組をながめる。
いかにも吹き替え翻訳っぽい声が面白いのだが結局は同じ番組の繰り返しなのですぐ飽きた。
次はパソコンのスイッチをオンにした。
ヘッドフォンをつける。
何か面白いニュースはないかと探し回ってみる。
「お、俺のニュースじゃないか。」
様々な犯罪についてまとめたサイトの中でハーメルンの笛吹き関係の物を見つけた。
中々噂に尾ひれが付いている物である。
どうやらこの国の人間には俺が警察組織の幹部の子供だと思われているらしい。
どこぞの漫画でもあるまいに警察幹部の子供が悪い奴ばかりみたいな物の見方はやめて欲しい物だ。
しばらくニュースサイトを見て回っていると画面上にいつの間にか知らないウインドウが出てきていた。
タブブラウザを使っているのでリンクで飛ぶときにウインドウが出る事なんてありえない。
いかにも吹き替え翻訳っぽい声が面白いのだが結局は同じ番組の繰り返しなのですぐ飽きた。
次はパソコンのスイッチをオンにした。
ヘッドフォンをつける。
何か面白いニュースはないかと探し回ってみる。
「お、俺のニュースじゃないか。」
様々な犯罪についてまとめたサイトの中でハーメルンの笛吹き関係の物を見つけた。
中々噂に尾ひれが付いている物である。
どうやらこの国の人間には俺が警察組織の幹部の子供だと思われているらしい。
どこぞの漫画でもあるまいに警察幹部の子供が悪い奴ばかりみたいな物の見方はやめて欲しい物だ。
しばらくニュースサイトを見て回っていると画面上にいつの間にか知らないウインドウが出てきていた。
タブブラウザを使っているのでリンクで飛ぶときにウインドウが出る事なんてありえない。
カチッ!
試しにそれをクリックしてみる。
「あ/か Yes or No」
「おおこわいこわい。」
都市伝説の赤い窓ではないか。
この町はネットサーフィンものんびりできないらしい。
イエスもノーも押さないで放置しておく。
都市伝説などという物は関わらないに越したことはないのだ。
どうせ放っておけばそのうち消えるだろう。
「あ/か Yes or No」
「おおこわいこわい。」
都市伝説の赤い窓ではないか。
この町はネットサーフィンものんびりできないらしい。
イエスもノーも押さないで放置しておく。
都市伝説などという物は関わらないに越したことはないのだ。
どうせ放っておけばそのうち消えるだろう。
「スーパーハッカーだかスーパーハカーだかと仲良くなっておけばこういうのも簡単に解決してくれるのか?」
あくまで自分の能力は最低で最高なこのアナログ世界におけるものでしかない。
ひとたび電波だの電子だのネットだの言われてしまうとどうしようもないのだ。
やれやれだ。
自分の無力さを噛みしめながら椅子に背中を預けて目を閉じる。
おっ、良い感じで眠たくなってきた。
ひとたび電波だの電子だのネットだの言われてしまうとどうしようもないのだ。
やれやれだ。
自分の無力さを噛みしめながら椅子に背中を預けて目を閉じる。
おっ、良い感じで眠たくなってきた。
キーーーーン
なんだ、この妙な音は?
どうやら後ろから聞こえているようだ。
くるりと後ろを振り返ってみるとテレビが砂嵐になっていた。
そうだ、さっきからつけっぱなしにしていたのだ。
テレビを消そうとテレビに近づくと画面の奥から何か妙な物が見えてくる。
「今日の死亡予定者
どうやら後ろから聞こえているようだ。
くるりと後ろを振り返ってみるとテレビが砂嵐になっていた。
そうだ、さっきからつけっぱなしにしていたのだ。
テレビを消そうとテレビに近づくと画面の奥から何か妙な物が見えてくる。
「今日の死亡予定者
上田明也
左門恭二
下田憂晴
右衞門絹
左門恭二
下田憂晴
右衞門絹
本日の死亡予定者は以上です。」
「なんですと?」
迷うことなく村正を手にとった。
新品だったがテレビをざっくりと斬りつける。
テレビに刃物が食い込むか否かの瞬間、テレビから真っ黒な手が伸びてくる。
それはテレビを壊されてすぐに消えるかと思った。
どうせあんな手だけでは殺せまい、俺はそう思っていた。
迷うことなく村正を手にとった。
新品だったがテレビをざっくりと斬りつける。
テレビに刃物が食い込むか否かの瞬間、テレビから真っ黒な手が伸びてくる。
それはテレビを壊されてすぐに消えるかと思った。
どうせあんな手だけでは殺せまい、俺はそう思っていた。
ところがだ。
手は俺を狙うことなく“真っ直ぐに”パソコンへ向かった。
俺は自らの判断の甘さを恥じた。
黒い手が狙って居たのはそれだったのだ。
俺は自らの判断の甘さを恥じた。
黒い手が狙って居たのはそれだったのだ。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
「――――――しまっ!」
「赤い部屋は好きですか? ニアYes or No」
パソコンの画面は真っ赤に染まった。
「野生の都市伝説が連携とか聞いたことねえぞおい!?」
ベゴン!
ベゴン!ベゴン!
ベゴベゴベゴベゴベゴ!!
ベゴン!ベゴン!
ベゴベゴベゴベゴベゴ!!
部屋につぎつぎと赤い手形が付く。
どうやらやってしまったらしい。
「っざけるなよ!」
目の前のパソコンを切り刻んで破壊する。
だが赤い手形は増え続けている。
もうパソコンをどうこうしても駄目らしい。
部屋を出ようとした次の瞬間に扉が閉まった。
どうあってもここに閉じ込める気だ。
どうやらやってしまったらしい。
「っざけるなよ!」
目の前のパソコンを切り刻んで破壊する。
だが赤い手形は増え続けている。
もうパソコンをどうこうしても駄目らしい。
部屋を出ようとした次の瞬間に扉が閉まった。
どうあってもここに閉じ込める気だ。
「つまりだ。」
そのことから、俺は一つの推論を得た。
ビュン!
いきなり鉈のような物が俺めがけて振り下ろされる。
いや、鉈ではない。
鉈のような雰囲気のする何かが、と言うべきだ。
「――――――危ねえ!」
ビュン!
いきなり鉈のような物が俺めがけて振り下ろされる。
いや、鉈ではない。
鉈のような雰囲気のする何かが、と言うべきだ。
「――――――危ねえ!」
間一髪でそれを躱すと鉈が落ちてきた方向を見る。
「……何も居ない?」
確かに、赤い部屋は被害者を血塗れにして殺すがその方法は指定されていない。
つまり血塗れになるならば何でも良いのだろう。
つまり血塗れになるならば何でも良いのだろう。
スパッ
そう思っていると腕が裂けて非常に良い勢いで血が流れ始めた。
まずい、対策を打たないと……。
そう思った俺はすぐに窓ガラスを壊して部屋を出ようとした。
まずい、対策を打たないと……。
そう思った俺はすぐに窓ガラスを壊して部屋を出ようとした。
「赤い部屋と言っても所詮は部屋。
つまりだ。
部屋じゃなくなればあいつは俺に手出しをすることは出来ない。」
つまりだ。
部屋じゃなくなればあいつは俺に手出しをすることは出来ない。」
バリーン!
華麗に窓ガラスを割って地上2階から飛び出す俺。
下に停めてある誰かのワンボックスカーに飛び降りる………、てあれ?
華麗に窓ガラスを割って地上2階から飛び出す俺。
下に停めてある誰かのワンボックスカーに飛び降りる………、てあれ?
俺が飛び出した先には先程まで見ていた真夜中の町の風景は無かった。
「赤い部屋は……好きですか?」
広い部屋。
西洋風の広い部屋。
すこし違和感を挙げるとすれば調度も壁も真っ赤な所ぐらいか。
それが異常すぎる事態なのだが。
西洋風の広い部屋。
すこし違和感を挙げるとすれば調度も壁も真っ赤な所ぐらいか。
それが異常すぎる事態なのだが。
しかし俺はそれよりも部屋の奥の暗闇から覗く瞳の方が恐ろしい。
暗闇の奥に紅く光る瞳。
あれは一体何なのだ?
暗闇の奥に紅く光る瞳。
あれは一体何なのだ?
「赤い部屋は、本来人々のネットに対する希望や夢を詰め込んだ場所でした。」
悲しげな声が響く。
「何時からだったんでしょう、人々がネットに対して怒りや恨みなどの暗い感情をぶつけ始めたのは。
そうやって私は赤い部屋になったんです。
ここにはそういうネットを通じて人々がはき出したくらぁい感情のたまり場。
だから真っ赤に真っ赤に染まってしまった。
あなたもそうやって暗いところを覗き込もうとしたんでしょう?
だから死ぬの。
間違いなく死ぬ。
深淵を覗く物はまた深淵に覗かれている。
それを忘れて貴方は人々が無限に繋がりあうこの電脳世界の暗い場所を見てしまった。
人々の悪意によって貴方は死ぬ。
私のせいじゃない、私にそれは止められない。
そうやって私は赤い部屋になったんです。
ここにはそういうネットを通じて人々がはき出したくらぁい感情のたまり場。
だから真っ赤に真っ赤に染まってしまった。
あなたもそうやって暗いところを覗き込もうとしたんでしょう?
だから死ぬの。
間違いなく死ぬ。
深淵を覗く物はまた深淵に覗かれている。
それを忘れて貴方は人々が無限に繋がりあうこの電脳世界の暗い場所を見てしまった。
人々の悪意によって貴方は死ぬ。
私のせいじゃない、私にそれは止められない。
――――――――――――死んで。」
ザクリ
肉が裂ける音がして自分の身体から血が流れ出る。
今度は足か、逃げることも出来ない。
どうやら俺は異世界に連れて行かれてしまったらしい。
異世界にジャンプできる都市伝説なら助けに来てくれるのだろうが……そんな都市伝説俺は契約していない。
無力な物だ。
こうやって対策を考えている内にどんどん血は流れ出していく。
まずい、これは死ねる……!
肉が裂ける音がして自分の身体から血が流れ出る。
今度は足か、逃げることも出来ない。
どうやら俺は異世界に連れて行かれてしまったらしい。
異世界にジャンプできる都市伝説なら助けに来てくれるのだろうが……そんな都市伝説俺は契約していない。
無力な物だ。
こうやって対策を考えている内にどんどん血は流れ出していく。
まずい、これは死ねる……!
死ねる、が、まあ良い。
死ぬなら徹底的にあがいてからの方が良い。
すると案外幸運は転がってくる物だ。
死ぬなら徹底的にあがいてからの方が良い。
すると案外幸運は転がってくる物だ。
「赤い部屋って、どんな都市伝説か知っている?」
「知ってるに決まっているじゃねえか。
被害者は血塗れで死ぬんだろ?」
「正解。だから貴方は即死しない。ゆっくりゆっくり血を流して死ぬ。
人間は本当に脆い。しかしそんな人間の思念が……、私を変えた。
私はもっと良い物として生まれたかったのに……。」
「良い物になることが喜びなのかい?」
「――――――あたりまえじゃない!」
「良い存在になるのが君の喜びなのか。」
「そうだよ。」
俺はわざとらしくため息をついて遠くにいる赤い部屋の主を挑発した。
「知ってるに決まっているじゃねえか。
被害者は血塗れで死ぬんだろ?」
「正解。だから貴方は即死しない。ゆっくりゆっくり血を流して死ぬ。
人間は本当に脆い。しかしそんな人間の思念が……、私を変えた。
私はもっと良い物として生まれたかったのに……。」
「良い物になることが喜びなのかい?」
「――――――あたりまえじゃない!」
「良い存在になるのが君の喜びなのか。」
「そうだよ。」
俺はわざとらしくため息をついて遠くにいる赤い部屋の主を挑発した。
「――――――――――――くだらねえ。」
こうなれば後は勢いだ。見せてやる、上から目線性悪説。
「全ての人々から喜ばれ愛される善なる存在?良い人?明るいインターネットの未来?
バーカ、俺はそんな下らない物認めないぞ信じないぞ。
良い存在?善良なる存在?誰が決めた?誰が決める?
それを決められるのは誰なんだ?そうだよ、お前だって解っているだろう?
………そうだ、それは決められない。
お前の価値を決定するのはネットに関わる人々全てなんだよ。
万人共通の幸福や万人共通の正義なぞ有るわけがない。
人は誰しもが不完全で不公平な自分だけの秤を数千年前――――お前が生まれるずっと前からだ、
プラップラプラップラ振り回してきているんだ!
お前の在り方を勝手に歪められた?
冗談は休み休み言えという物だ。
世界に存在する全ての物は互いに影響を与えあいながら生きているんだぞ?
そんな中で純粋培養された揺るぎない存在などあり得るはずがない。
お前の最初の願いですら恐らく誰かによって設定された物であってチッポケなお前自身の願いなど……」
バーカ、俺はそんな下らない物認めないぞ信じないぞ。
良い存在?善良なる存在?誰が決めた?誰が決める?
それを決められるのは誰なんだ?そうだよ、お前だって解っているだろう?
………そうだ、それは決められない。
お前の価値を決定するのはネットに関わる人々全てなんだよ。
万人共通の幸福や万人共通の正義なぞ有るわけがない。
人は誰しもが不完全で不公平な自分だけの秤を数千年前――――お前が生まれるずっと前からだ、
プラップラプラップラ振り回してきているんだ!
お前の在り方を勝手に歪められた?
冗談は休み休み言えという物だ。
世界に存在する全ての物は互いに影響を与えあいながら生きているんだぞ?
そんな中で純粋培養された揺るぎない存在などあり得るはずがない。
お前の最初の願いですら恐らく誰かによって設定された物であってチッポケなお前自身の願いなど……」
どんな台詞も締めが肝心。
「――――――――――――――――――端から無かった。」
キリッ
いかにも俺は格好良い台詞を言いましたよって顔をするのが肝要。
キリッ
いかにも俺は格好良い台詞を言いましたよって顔をするのが肝要。
「……………うぅ、でも私は!」
それでも何か言おうとする赤い部屋の主。
しかし言葉は続かない。
それでも何か言おうとする赤い部屋の主。
しかし言葉は続かない。
「なんだ!なんだっていうんだ!答えられるか?
いいや、お前は答えられないね!
お前は自分という存在について自分で考えたことがない。
何になりたいかは考えても己が何であるかは考えてもみていなかった!
そんなお前が答えられるわけゴォッッフウウウウウウウ!!!」
いいや、お前は答えられないね!
お前は自分という存在について自分で考えたことがない。
何になりたいかは考えても己が何であるかは考えてもみていなかった!
そんなお前が答えられるわけゴォッッフウウウウウウウ!!!」
俺は勢いよく吐血した。
辺りがドンドン真っ赤に染まっていく。
DANDAN身体冷えていく!
……駄目だ、死ぬわこれ。
辺りがドンドン真っ赤に染まっていく。
DANDAN身体冷えていく!
……駄目だ、死ぬわこれ。
「…………大丈夫?」
赤い部屋の主がこちらに近づいてくる。
あ、意外と美人だ。
ロリコンじゃなければ……、いや、俺ロリコンだったっけ?
うん、あれは合法ロリだ。
そういうことにしておこう。
あ、意外と美人だ。
ロリコンじゃなければ……、いや、俺ロリコンだったっけ?
うん、あれは合法ロリだ。
そういうことにしておこう。
「大丈夫なわけ無いだろうが!あと少しで死ぬわ!
お前のせいだ!どうしてくれる!
そうやってお前は何人もの人間を殺してきたわけだ。
俺もその中の一人になるってか?そうだろうな、俺の命は只今消失しそうだからな!」
「私のせいじゃない!そういう風に貴方達がしたんでしょう?
私は………。私は人を殺したくなんて無いし赤い部屋をもっと楽しいところにしたかった!」
「貴方達って誰だよ!人間か?下らないね、それこそ下らない。
人間程度に左右されてんじゃねえぞ!」
お前のせいだ!どうしてくれる!
そうやってお前は何人もの人間を殺してきたわけだ。
俺もその中の一人になるってか?そうだろうな、俺の命は只今消失しそうだからな!」
「私のせいじゃない!そういう風に貴方達がしたんでしょう?
私は………。私は人を殺したくなんて無いし赤い部屋をもっと楽しいところにしたかった!」
「貴方達って誰だよ!人間か?下らないね、それこそ下らない。
人間程度に左右されてんじゃねえぞ!」
怒鳴りつける。
こちらが普通の人間じゃないと解っているらしいしついでに脅してみよう。
ちなみに彼女が俺に左右されているのに人間に左右されるなと説教されているのはかなり理不尽だ。
こちらが普通の人間じゃないと解っているらしいしついでに脅してみよう。
ちなみに彼女が俺に左右されているのに人間に左右されるなと説教されているのはかなり理不尽だ。
「ひぅうッ!」
ビクッとなった。
割と可愛い声しているじゃないか。
ビクッとなった。
割と可愛い声しているじゃないか。
「まったく、俺を殺す割には大したことのない奴じゃないか。
楽しいところにしたいなら楽しいところにすればいいじゃねえか!
他人なんて関係無い!もっと!もっと自分で楽しいこと探してみろよ!
他人から与えられる物だけを娯楽として享受するような人格に、知性に、本物の娯楽なんて味わえない。
結局大事なのは自分だろうが!
それともあれか?人間に依存する形でしか存在できない都市伝説だから人間の思うとおりにしか動けないってか?
それなら誰か良く解らない噂じゃなくて俺に依存してみる気は無いか?
きっと楽しい物が見られるぜ?」
楽しいところにしたいなら楽しいところにすればいいじゃねえか!
他人なんて関係無い!もっと!もっと自分で楽しいこと探してみろよ!
他人から与えられる物だけを娯楽として享受するような人格に、知性に、本物の娯楽なんて味わえない。
結局大事なのは自分だろうが!
それともあれか?人間に依存する形でしか存在できない都市伝説だから人間の思うとおりにしか動けないってか?
それなら誰か良く解らない噂じゃなくて俺に依存してみる気は無いか?
きっと楽しい物が見られるぜ?」
立ち上がって赤い部屋の主を抱き寄せる。
赤い瞳、青みがかった髪、白い絹のワンピース。
なんだなんだとても可愛いじゃないか。
まあ合法ロリの範囲だ。
「もう一度言おうか、俺に頼ってみろよ。」
耳元でささやく。
細い首筋と滑らかな肌が触れていて心地よい。
赤い瞳、青みがかった髪、白い絹のワンピース。
なんだなんだとても可愛いじゃないか。
まあ合法ロリの範囲だ。
「もう一度言おうか、俺に頼ってみろよ。」
耳元でささやく。
細い首筋と滑らかな肌が触れていて心地よい。
「う、う、うるさぁい!」
もう半狂乱気味にわめく赤い部屋の主。
人間と話したことがあまりなかったのだろう。
しかし俺も時間がない。血がない。仕方がないし仕方もない。
彼女に対して仕上げを行おう。
人間と話したことがあまりなかったのだろう。
しかし俺も時間がない。血がない。仕方がないし仕方もない。
彼女に対して仕上げを行おう。
「でもな、聞いてくれ。ここからが………、大切なんだ。」
「どうせなんか説教するんでしょう?ていうか何よ!なんでそんだけ血を流しているのに死なないのよ!
おっかしいんじゃないの?死ぬんじゃないの?馬鹿よ!アンタ馬鹿!知らない、私は何も知らないんだあ!」
「そうだ、その通りだ。俺は馬鹿だよ。お前の言うとおりだ。」
「………え?」
「俺、子供の時はそこそこ良いところのお坊ちゃんとして育って居てさ。
家族も優しかったし友達も沢山いたしそこそこ幸せに過ごしていたんだ。
でも、都市伝説と契約する為にそれら全部捨てちゃった。
将来は弁護士にでもなってから親父の会社継いで人の数倍幸せな生活しようと思っていたのにだ。
なんでだと思う?」
「………あんたが馬鹿だからじゃない。」
「そう、そうなんだよ。でも………。」
「どうせなんか説教するんでしょう?ていうか何よ!なんでそんだけ血を流しているのに死なないのよ!
おっかしいんじゃないの?死ぬんじゃないの?馬鹿よ!アンタ馬鹿!知らない、私は何も知らないんだあ!」
「そうだ、その通りだ。俺は馬鹿だよ。お前の言うとおりだ。」
「………え?」
「俺、子供の時はそこそこ良いところのお坊ちゃんとして育って居てさ。
家族も優しかったし友達も沢山いたしそこそこ幸せに過ごしていたんだ。
でも、都市伝説と契約する為にそれら全部捨てちゃった。
将来は弁護士にでもなってから親父の会社継いで人の数倍幸せな生活しようと思っていたのにだ。
なんでだと思う?」
「………あんたが馬鹿だからじゃない。」
「そう、そうなんだよ。でも………。」
おぅふ、マジで意識がなくなってきた。
ここからが勝負だ。
ここからが勝負だ。
「でも?……でもどうしたのよ?
死んだの……?ねぇ、何か話してよ………。」
死んだの……?ねぇ、何か話してよ………。」
よし、良い感じで心配している。
このまま少し死んだふりしていれば良い。
おお、良い感じに傷がふさがり始めた。
出血死のタイミングはこいつが握っているんだからこいつに殺したくないって思わせれば上出来だ。
このまま少し死んだふりしていれば良い。
おお、良い感じに傷がふさがり始めた。
出血死のタイミングはこいつが握っているんだからこいつに殺したくないって思わせれば上出来だ。
「……ああ、気を失っていたのか?
どこまで話したっけ?
そうだ、俺が馬鹿だという話だ。
その通り、お前の言うとおりに俺は筋金入りの馬鹿なんだ。
でもな、それでも欲しかった物がある。
たとえ馬鹿と言われても、どんなにねじ曲がった手段でも、目指す物がある。
愚かで結構、邪悪で結構、弱者で結構、なんであっても結構だ。
でも、譲れない物があった。お前にはあるか?俺にはそれがあるんだ。」
どこまで話したっけ?
そうだ、俺が馬鹿だという話だ。
その通り、お前の言うとおりに俺は筋金入りの馬鹿なんだ。
でもな、それでも欲しかった物がある。
たとえ馬鹿と言われても、どんなにねじ曲がった手段でも、目指す物がある。
愚かで結構、邪悪で結構、弱者で結構、なんであっても結構だ。
でも、譲れない物があった。お前にはあるか?俺にはそれがあるんだ。」
「な、何よ?」
「そうだな、愛………かな?」
おおくさいくさい。
うわ、赤い部屋の主も固まってる。
引いてるよこれドン引きされてるよ。
高校の頃ロリコンがばれかけた時と同じくらいやばいってばこれ。
しかしここで幼女とか言ったら呆れられる、それは冗談じゃなく俺の死に繋がる。
まったく困った話だよ。
うわ、赤い部屋の主も固まってる。
引いてるよこれドン引きされてるよ。
高校の頃ロリコンがばれかけた時と同じくらいやばいってばこれ。
しかしここで幼女とか言ったら呆れられる、それは冗談じゃなく俺の死に繋がる。
まったく困った話だよ。
「………愛なの?」
聞き返してきた。
どうやらまだなんとか俺は生きていて良いらしい。
「ああ、愛だね。都市伝説の力を俺が求めたのも全部それだよ。
俺はね、他人の心の痛みがわからないんだよ。
どれだけ必死になっても全く解らない。
言葉としては解るんだよ?
でも実感としては解らない。
そんな俺には心の底から安穏とできる居場所なんて無かった!
他人の痛みが解らない人間だから他人に理解して貰えないなんてルールはないはずだ!
狂ってるよな、狂ってる。でも逆に考えればそんな自分の心の痛みを解ってくれる恋人がいればそれは何にも優先する。
だから、お前も俺と一緒に来ないか?」
「………今、恋人居ないの?」
「居ない。なってくれるか?
なってくれるとすごく嬉しい。」
おお、外道外道。
返事はない。
代わりに契約書のようなものが目の前に落ちてきた。
すでに二つの都市伝説と契約しているけれど……、何故だろう。
俺の器はまだ広がる気がするんだよ。
サインに自らの名前を書く。
全身の血管が膨張していくような感覚だ。
脳髄が揺さぶられて内蔵一つ一つがひっくり返っているんじゃないか?
ああ、吐きそうだ。酷い嘔吐感に俺は襲われて居るのか。
しかし、それでも、未だ俺が正気を失うことはない。
正気なんてとっくに失っていたか?
それにしてもまだ自分が化け物じゃないって解る、良いことだ。
それにしてもどこまで都市伝説を突っ込めば俺の身体は破裂するんだ?
「ところでお前をなんて呼べば良い?」
名前というのは大事だ。
「好きにすれば?」
ぶっきらぼうに返事をされた。
ははは、愛い奴め。
他人に名前を任せるのは自らの在り方を決定されるような物だというのに。
「そうか、じゃあお前は今日から茜さんだ。とりあえずこの部屋から出してくれ。
愛しているぜ。」
やった俺、よく頑張った。
「ん、解った……。感謝してよね。」
かくしてこの俺上田明也は都市伝説の助け無しで赤い部屋からの生還に成功したのであった。
厳密には赤い部屋自身の能力で帰って来たのだが細かい所は良いんだよ。
聞き返してきた。
どうやらまだなんとか俺は生きていて良いらしい。
「ああ、愛だね。都市伝説の力を俺が求めたのも全部それだよ。
俺はね、他人の心の痛みがわからないんだよ。
どれだけ必死になっても全く解らない。
言葉としては解るんだよ?
でも実感としては解らない。
そんな俺には心の底から安穏とできる居場所なんて無かった!
他人の痛みが解らない人間だから他人に理解して貰えないなんてルールはないはずだ!
狂ってるよな、狂ってる。でも逆に考えればそんな自分の心の痛みを解ってくれる恋人がいればそれは何にも優先する。
だから、お前も俺と一緒に来ないか?」
「………今、恋人居ないの?」
「居ない。なってくれるか?
なってくれるとすごく嬉しい。」
おお、外道外道。
返事はない。
代わりに契約書のようなものが目の前に落ちてきた。
すでに二つの都市伝説と契約しているけれど……、何故だろう。
俺の器はまだ広がる気がするんだよ。
サインに自らの名前を書く。
全身の血管が膨張していくような感覚だ。
脳髄が揺さぶられて内蔵一つ一つがひっくり返っているんじゃないか?
ああ、吐きそうだ。酷い嘔吐感に俺は襲われて居るのか。
しかし、それでも、未だ俺が正気を失うことはない。
正気なんてとっくに失っていたか?
それにしてもまだ自分が化け物じゃないって解る、良いことだ。
それにしてもどこまで都市伝説を突っ込めば俺の身体は破裂するんだ?
「ところでお前をなんて呼べば良い?」
名前というのは大事だ。
「好きにすれば?」
ぶっきらぼうに返事をされた。
ははは、愛い奴め。
他人に名前を任せるのは自らの在り方を決定されるような物だというのに。
「そうか、じゃあお前は今日から茜さんだ。とりあえずこの部屋から出してくれ。
愛しているぜ。」
やった俺、よく頑張った。
「ん、解った……。感謝してよね。」
かくしてこの俺上田明也は都市伝説の助け無しで赤い部屋からの生還に成功したのであった。
厳密には赤い部屋自身の能力で帰って来たのだが細かい所は良いんだよ。
【上田明也の探偵倶楽部5~真夜中の赤い砂嵐~ fin】
朝、目が覚めると俺は思いきり自室の椅子で眠っていた。
ネットゲームでいうと寝落ちだ。
面倒な事件もひとしきり区切りがついたのでとりあえず自分にナレーションをすることにした。
「……と、いうお話でした。
メルにはばれていません。
ばれたら修羅場です。
つーか俺の身体ってなんなんでしょうね?
知らない間に勝手に都市伝説に対する容量が増えているとかね。
俺は身体があると言うよりは生体都市伝説運用装置とでも言った方が良い状態みたいだしさ。
ほんとうにやっていられませんよ。
次回の上田明也の探偵倶楽部は豪華三本立て!
オムニバス形式のお話を予定しております。
それじゃ来週もまた見て下さいね?
じゃんけんポーン!
グーの貴方はチョーラッキー!
うふふふふふー……、ガクリ。」
ネットゲームでいうと寝落ちだ。
面倒な事件もひとしきり区切りがついたのでとりあえず自分にナレーションをすることにした。
「……と、いうお話でした。
メルにはばれていません。
ばれたら修羅場です。
つーか俺の身体ってなんなんでしょうね?
知らない間に勝手に都市伝説に対する容量が増えているとかね。
俺は身体があると言うよりは生体都市伝説運用装置とでも言った方が良い状態みたいだしさ。
ほんとうにやっていられませんよ。
次回の上田明也の探偵倶楽部は豪華三本立て!
オムニバス形式のお話を予定しております。
それじゃ来週もまた見て下さいね?
じゃんけんポーン!
グーの貴方はチョーラッキー!
うふふふふふー……、ガクリ。」
カタ
ヴィーン……
急に目の前のパソコンが動き出す。
ヴィーン……
急に目の前のパソコンが動き出す。
「あ/か」
まただ。
どうやらまだ俺を眠らせてくれないらしい。
どうやらまだ俺を眠らせてくれないらしい。
「あなたは私のことが好きですか?」
やれやれ、といった感じで肩をすくめると俺はとりあえずイエスを押した。
【上田明也の探偵倶楽部 続く】