【上田明也の探偵倶楽部14~上田明也の事情~】
「それじゃあこの辺りで降ろして下さい。
一応滞在用の場所は自前で確保しているんで。」
ニューヨークの夜は早い。
激辛麻婆豆腐を食べ、ニューヨーク観光を楽しんでいると日はあっという間に落ちていた。
穀雨が大人だったならこのまま夜のニューヨークを楽しむのだが今回は我慢することにしよう。
「良いんですか?笛吹さん。」
「はい、恨みを買いやすい仕事なもんで自分の用意したところ以外で寝泊まりする気にはなれませんよ。」
「その台詞から考えるとこちらを信用して頂けて居ないように思えますが?」
「会ったばかりの人間と友達にはなれても信用はできませんよ。
どんなお店でもお客さんにおつりを数えて貰うのと一緒です。」
「ふむ……。解りました。
それではこれからお互いがより良い関係を築けることを願っています。」
「はい、それじゃあ。」
満足げにぐっすり眠っている穀雨を抱え上げると俺はユナさんの車から降りた。
そこから最寄りの駅まで歩いてコインロッカーの置いてある辺りまで向かう。
そこでノートパソコンを開き都市伝説『赤い部屋』を起動した。
「お、アキナリさん。やっと来ましたか。」
モニターに茜さんの姿が映る。
「済まないな、連絡した時間より少し遅れた。すぐに運んでくれ。」
「解りました。」
グニャリと世界が歪む。
アメリカであってもこの感覚は変わらないらしい。
そう思っていると俺の視界は真っ黒に染まっていった。
一応滞在用の場所は自前で確保しているんで。」
ニューヨークの夜は早い。
激辛麻婆豆腐を食べ、ニューヨーク観光を楽しんでいると日はあっという間に落ちていた。
穀雨が大人だったならこのまま夜のニューヨークを楽しむのだが今回は我慢することにしよう。
「良いんですか?笛吹さん。」
「はい、恨みを買いやすい仕事なもんで自分の用意したところ以外で寝泊まりする気にはなれませんよ。」
「その台詞から考えるとこちらを信用して頂けて居ないように思えますが?」
「会ったばかりの人間と友達にはなれても信用はできませんよ。
どんなお店でもお客さんにおつりを数えて貰うのと一緒です。」
「ふむ……。解りました。
それではこれからお互いがより良い関係を築けることを願っています。」
「はい、それじゃあ。」
満足げにぐっすり眠っている穀雨を抱え上げると俺はユナさんの車から降りた。
そこから最寄りの駅まで歩いてコインロッカーの置いてある辺りまで向かう。
そこでノートパソコンを開き都市伝説『赤い部屋』を起動した。
「お、アキナリさん。やっと来ましたか。」
モニターに茜さんの姿が映る。
「済まないな、連絡した時間より少し遅れた。すぐに運んでくれ。」
「解りました。」
グニャリと世界が歪む。
アメリカであってもこの感覚は変わらないらしい。
そう思っていると俺の視界は真っ黒に染まっていった。
「アキナリさん、少し報告したいことがあります。」
「なんだ?」
赤い部屋に入るとすぐに茜さんは真面目な顔をして俺に告げた。
「アメリカに入ってから私の力が弱くなってます。
アメリカでは赤い部屋の知名度が低いせいだと思うんですが……。
レベル(十段階)で言うと2~3位は落ちています。
具体的に言うとネット回線を通じてじゃないと対象を赤い部屋に引きずり込めません。
あ、でもあれですよ。
それは決して私が役立たずとかそういう訳ではなくて、
むしろいつも以上に頑張っちゃうから決して使えねえとかそういうことは無いですよ?
だから私を役立たずとか思って捨てないで下さい。
ていうか捨てられるくらいなら貴方を殺して私も……」
どんどん危ない方向に向かってるよ!!
何とかして止めなくては穀雨ごとniceboatだ。
「ちょっと待って!
お前の中で俺はどれだけ鬼なの!?」
「いや、だってアキナリさんいつも
『どんな人間でも何か一つは才能がある。
何も出来ない奴は何もしてこなかった奴だ。
何もしてこない奴なんて俺は認めねえぞゴルァ!』
ってスポ根漫画の鬼コーチみたいな事言っているじゃないですか!」
言われてみれば少し覚えがある。
まあそれは言葉の綾ということにしてほしい。
「なんだ?」
赤い部屋に入るとすぐに茜さんは真面目な顔をして俺に告げた。
「アメリカに入ってから私の力が弱くなってます。
アメリカでは赤い部屋の知名度が低いせいだと思うんですが……。
レベル(十段階)で言うと2~3位は落ちています。
具体的に言うとネット回線を通じてじゃないと対象を赤い部屋に引きずり込めません。
あ、でもあれですよ。
それは決して私が役立たずとかそういう訳ではなくて、
むしろいつも以上に頑張っちゃうから決して使えねえとかそういうことは無いですよ?
だから私を役立たずとか思って捨てないで下さい。
ていうか捨てられるくらいなら貴方を殺して私も……」
どんどん危ない方向に向かってるよ!!
何とかして止めなくては穀雨ごとniceboatだ。
「ちょっと待って!
お前の中で俺はどれだけ鬼なの!?」
「いや、だってアキナリさんいつも
『どんな人間でも何か一つは才能がある。
何も出来ない奴は何もしてこなかった奴だ。
何もしてこない奴なんて俺は認めねえぞゴルァ!』
ってスポ根漫画の鬼コーチみたいな事言っているじゃないですか!」
言われてみれば少し覚えがある。
まあそれは言葉の綾ということにしてほしい。
「何を言っているんだ茜さん。
君は何時だって俺のことを大事に思ってくれて傍に居てくれるじゃないか。
俺が何度君に助けられたと思っているんだ?
俺はどうにも君が居ないと駄目なんだよ。
そもそも、俺自身と穀雨が赤い部屋に入れるなら何の問題も無いよ。
役に立ってくれてありがとう、愛しているぜ。」
とりあえずこういう場合役に立っても立たなくてもとか言ってはいけない。
じゃあやっぱり役に立ってないんじゃない!
とか逆上されて死ぬ思いをすることになるのは目に見えているからだ。
素直に役に立つと言ってあげましょう。
「えへへ……、それなら良いんです。」
嬉しそうにえへらえへら笑う茜さん。
はっはっは、可愛い奴め。
もう少しイチャイチャしてやりたいが俺には余り時間がない。
「さて、とりあえずここから晶の家までは行ける?」
「はい、アキナリさんを運ぶだけでしたら幾らでもなんとかなります。」
「良い仕事だ。それじゃあちょっと行ってくるぜ。」
「え~、もうちょっと……」
寂しそうな顔で俺の袖を引く茜さん。
「約束なんだよ、遅れるわけにはいかないんだ。
だから……な?」
不満そうな茜さんをなんとか振り切って俺は明日晶の家に移動することにした。
君は何時だって俺のことを大事に思ってくれて傍に居てくれるじゃないか。
俺が何度君に助けられたと思っているんだ?
俺はどうにも君が居ないと駄目なんだよ。
そもそも、俺自身と穀雨が赤い部屋に入れるなら何の問題も無いよ。
役に立ってくれてありがとう、愛しているぜ。」
とりあえずこういう場合役に立っても立たなくてもとか言ってはいけない。
じゃあやっぱり役に立ってないんじゃない!
とか逆上されて死ぬ思いをすることになるのは目に見えているからだ。
素直に役に立つと言ってあげましょう。
「えへへ……、それなら良いんです。」
嬉しそうにえへらえへら笑う茜さん。
はっはっは、可愛い奴め。
もう少しイチャイチャしてやりたいが俺には余り時間がない。
「さて、とりあえずここから晶の家までは行ける?」
「はい、アキナリさんを運ぶだけでしたら幾らでもなんとかなります。」
「良い仕事だ。それじゃあちょっと行ってくるぜ。」
「え~、もうちょっと……」
寂しそうな顔で俺の袖を引く茜さん。
「約束なんだよ、遅れるわけにはいかないんだ。
だから……な?」
不満そうな茜さんをなんとか振り切って俺は明日晶の家に移動することにした。
ニュルン
「パソコンのモニターからお邪魔しマース。
学校町立中央小学校6年1組学級委員長上田君でーす。」
「おぅ、やっと来たか委員長。遅かったね。」
赤い部屋からインターネット回線を伝って移動すると明日晶の家に出た。
明日晶を知らない人は明日真が主人公の電磁人シリーズでも読むと良いと思うよ!
……ちょっと宣伝してみた。
「ああ、日中はニューヨーク観光を楽しんでいたから。
アメリカのとある組織の方が案内して下さってだなあ。
超楽しかったぜ。」
「知ってるよ。」
「え……?」
これはびっくりだ。
昼間から俺をストーキングしていたのだろうか?
「いや、ストーキングはしていない。てか心を読んですらいない」
「と行った傍から心を読むな!」
「今日はまだ使ってないからね、超能力。
余った時間は有効に使わないと。」
知らない人の為に解説だ。
説明しよう!明日晶は超能力者である!
だから人の心を覗くくらい簡単なのだ!
……以上。
「ところで委員長が背負っている子供は誰?
わたし、委員長が結婚したとかまったく聞いてないんだけど。」
「ああ、親戚の子供を預かっている。」
「はい、ダウトー。」
例えばこんな風にである。
「パソコンのモニターからお邪魔しマース。
学校町立中央小学校6年1組学級委員長上田君でーす。」
「おぅ、やっと来たか委員長。遅かったね。」
赤い部屋からインターネット回線を伝って移動すると明日晶の家に出た。
明日晶を知らない人は明日真が主人公の電磁人シリーズでも読むと良いと思うよ!
……ちょっと宣伝してみた。
「ああ、日中はニューヨーク観光を楽しんでいたから。
アメリカのとある組織の方が案内して下さってだなあ。
超楽しかったぜ。」
「知ってるよ。」
「え……?」
これはびっくりだ。
昼間から俺をストーキングしていたのだろうか?
「いや、ストーキングはしていない。てか心を読んですらいない」
「と行った傍から心を読むな!」
「今日はまだ使ってないからね、超能力。
余った時間は有効に使わないと。」
知らない人の為に解説だ。
説明しよう!明日晶は超能力者である!
だから人の心を覗くくらい簡単なのだ!
……以上。
「ところで委員長が背負っている子供は誰?
わたし、委員長が結婚したとかまったく聞いてないんだけど。」
「ああ、親戚の子供を預かっている。」
「はい、ダウトー。」
例えばこんな風にである。
「まあ正直なところを話すとだなあ。」
「うん。」
「攫ってきた。」
「うわっ!?最低だ!」
「あまり大きな声を出すな、こいつが起きる。」
パソコンのモニターから完全に身体が出てきたことを確認すると
穀雨をそこらへんのソファーに適当に寝かせる。
「あ、ごめん……。」
「解れば宜しい。」
そう言って俺は明日の物と思しきもう一つのソファーにどっかりと座った。
「……私座れないんだけど。」
「ごめんね。」
可愛らしく謝ってみた。
殴られた。
「うん。」
「攫ってきた。」
「うわっ!?最低だ!」
「あまり大きな声を出すな、こいつが起きる。」
パソコンのモニターから完全に身体が出てきたことを確認すると
穀雨をそこらへんのソファーに適当に寝かせる。
「あ、ごめん……。」
「解れば宜しい。」
そう言って俺は明日の物と思しきもう一つのソファーにどっかりと座った。
「……私座れないんだけど。」
「ごめんね。」
可愛らしく謝ってみた。
殴られた。
「しかし委員長も変わったねえ。」
明日が感慨深げに呟く。
「と、言うと?」
「昔は他人のことなんてちっとも考えて居なかったのに、
眠っている子供に気を遣って起こすなよなんて……。」
ほろほろと泣く振りをしてみる明日。
「あ゛~……、言われてみれば確かにそうか。」
「そうだよ、ところで仕事で来たって聞いているけどどんな仕事なんだい?」
「ああ、何でも都市伝説に支配された町の開放だそうだ。
詳しく言えないけれど割と面倒になりそうだ。」
「ふ~ん。死ぬなよ。」
自分で聞いておいて興味なさげである。
「ありがと。」
しかし俺に死ぬなよ、などと言ってくれる人間が何人いるだろうか?
いや違うな。
俺を心配してくれる人間が何人いるだろうか?だ。
どうせあいつなら大丈夫だろう、と言われ続けて約二十年。
そろそろ心配されてみたいお年頃である。
まあ彼女にはそこそこ感謝だ。
明日が感慨深げに呟く。
「と、言うと?」
「昔は他人のことなんてちっとも考えて居なかったのに、
眠っている子供に気を遣って起こすなよなんて……。」
ほろほろと泣く振りをしてみる明日。
「あ゛~……、言われてみれば確かにそうか。」
「そうだよ、ところで仕事で来たって聞いているけどどんな仕事なんだい?」
「ああ、何でも都市伝説に支配された町の開放だそうだ。
詳しく言えないけれど割と面倒になりそうだ。」
「ふ~ん。死ぬなよ。」
自分で聞いておいて興味なさげである。
「ありがと。」
しかし俺に死ぬなよ、などと言ってくれる人間が何人いるだろうか?
いや違うな。
俺を心配してくれる人間が何人いるだろうか?だ。
どうせあいつなら大丈夫だろう、と言われ続けて約二十年。
そろそろ心配されてみたいお年頃である。
まあ彼女にはそこそこ感謝だ。
「じゃあ今日は早めに寝るのかい?」
「ああ、そうだな。
ところで仕事に行っている間は穀雨を預かっていてくれないか。」
「………うーん、解った。」
「や、お前が子供の世話が苦手なのは解っているんだけどさ。」
「弟一人まともに面倒見られなかったんだぜ?」
「知ってる。立派な善人に育ちやがって……。」
説明するまでもないが一応こいつは明日晶の姉である。
「あいつ元気にしてた?」
「超元気、あいつに殺されかけた。ついでに組織に所属してやがる。」
「それは元気だねえ。」
遠くからクラクションの音が聞こえる。
明日は静かに目をつぶっている。
弟のことを色々と考えて居るのだろう。
「ねぇ委員長、日本に帰ったらあいつに………」
「断る、それはお前が言え。」
「ひどい……。」
恨めしげに俺を見詰める明日。
正直すまない。
でもそれはお前が言わないと意味が無い。
「どうするんだ明日晶、お前は弟にまで先を越されそうだぞ。」
軽く挑発してみる。
「うるせーやい馬鹿野郎。飲むぞ、付き合え。」
明日はキッチンからワインを持ってきた。
「ああ、そうだな。
ところで仕事に行っている間は穀雨を預かっていてくれないか。」
「………うーん、解った。」
「や、お前が子供の世話が苦手なのは解っているんだけどさ。」
「弟一人まともに面倒見られなかったんだぜ?」
「知ってる。立派な善人に育ちやがって……。」
説明するまでもないが一応こいつは明日晶の姉である。
「あいつ元気にしてた?」
「超元気、あいつに殺されかけた。ついでに組織に所属してやがる。」
「それは元気だねえ。」
遠くからクラクションの音が聞こえる。
明日は静かに目をつぶっている。
弟のことを色々と考えて居るのだろう。
「ねぇ委員長、日本に帰ったらあいつに………」
「断る、それはお前が言え。」
「ひどい……。」
恨めしげに俺を見詰める明日。
正直すまない。
でもそれはお前が言わないと意味が無い。
「どうするんだ明日晶、お前は弟にまで先を越されそうだぞ。」
軽く挑発してみる。
「うるせーやい馬鹿野郎。飲むぞ、付き合え。」
明日はキッチンからワインを持ってきた。
数十分後。
「どーせ男なんてよぉ……。」
そこには立派にできあがった明日晶と
「まあ泣くなよ、男も女も世の中には星の数程居るぜ?」
「違うの!私は運命の出会いがしたいのぉ!白馬の王子様に出会いたいの!」
「王子様より騎乗の上手い姫様とかどこを探せば出てくるんだ?」
「うるせえ馬鹿野郎!」
「おぅふ!」
思い切り絡まれている俺がいた。
明日晶はお酒が苦手だ。
飲むとすぐ酔って暴れるのだ。
友人としては良い迷惑である。
「あーん!もうやだよー!バイク関係の知り合いはなんか皆怖いしさぁ!
英語とか私高校時代の成績2だよ?2!弟に勉強教えられてたわ!」
「俺にカンニングの手伝いさせてたな。」
「くっそー!私無しで悪いことできなかったくせにー!
ばらすぞ!お前の犯罪ぜーっんぶばらすぞ!」
「それはマジヤメテクダサイ。」
こいつが居なくてもアキナリ君の犯罪旅行はコンプリートできたとは思う。
思うが土下座せざるを得なかった。
いや、こいつも共犯ではあるのだが。
「ふっふっふ、解れば宜しい。」
ドヤ顔で思い切り背中を踏まれた。
ちょっとマゾ楽しい。
「どーせ男なんてよぉ……。」
そこには立派にできあがった明日晶と
「まあ泣くなよ、男も女も世の中には星の数程居るぜ?」
「違うの!私は運命の出会いがしたいのぉ!白馬の王子様に出会いたいの!」
「王子様より騎乗の上手い姫様とかどこを探せば出てくるんだ?」
「うるせえ馬鹿野郎!」
「おぅふ!」
思い切り絡まれている俺がいた。
明日晶はお酒が苦手だ。
飲むとすぐ酔って暴れるのだ。
友人としては良い迷惑である。
「あーん!もうやだよー!バイク関係の知り合いはなんか皆怖いしさぁ!
英語とか私高校時代の成績2だよ?2!弟に勉強教えられてたわ!」
「俺にカンニングの手伝いさせてたな。」
「くっそー!私無しで悪いことできなかったくせにー!
ばらすぞ!お前の犯罪ぜーっんぶばらすぞ!」
「それはマジヤメテクダサイ。」
こいつが居なくてもアキナリ君の犯罪旅行はコンプリートできたとは思う。
思うが土下座せざるを得なかった。
いや、こいつも共犯ではあるのだが。
「ふっふっふ、解れば宜しい。」
ドヤ顔で思い切り背中を踏まれた。
ちょっとマゾ楽しい。
「……と言うわけで、あんたはさっさとまともな生活に戻りなさい!
あんたあんまり悪いことやっていると本当に罰が当たるよ?
別に、あんたが良い事してぇ、今までの罪が消えるとは思ってないけどぉ……ヒック。
てゆーか罪を償えとか私もまったく思ってないしー。
でもあんた根っからの悪人なんだからもっと大人しくしてなさいよ!
好き放題にやればやるほどあんたは自分の首を絞めるんだから!」
今度はお説教タイムだ。
こいつは普段は俺に何も言えない癖に飲んだときだけは態度が大きいのだ。
「あとねえ、あとねえ……!」
今日はまだ何か言うことがあるらしい。
「………もっと私を頼りなさい!解った?」
「はいはい、解りました。」
何かを言いかけて別のことを言った。
さて、彼女は何を言いたかったのだろうか?
俺は超能力者じゃないので何も知りません。
「…………むふぅ。」
眠ってしまった。
本当に子供だなこいつは。
まあ其処が可愛いとも言える。
あんたあんまり悪いことやっていると本当に罰が当たるよ?
別に、あんたが良い事してぇ、今までの罪が消えるとは思ってないけどぉ……ヒック。
てゆーか罪を償えとか私もまったく思ってないしー。
でもあんた根っからの悪人なんだからもっと大人しくしてなさいよ!
好き放題にやればやるほどあんたは自分の首を絞めるんだから!」
今度はお説教タイムだ。
こいつは普段は俺に何も言えない癖に飲んだときだけは態度が大きいのだ。
「あとねえ、あとねえ……!」
今日はまだ何か言うことがあるらしい。
「………もっと私を頼りなさい!解った?」
「はいはい、解りました。」
何かを言いかけて別のことを言った。
さて、彼女は何を言いたかったのだろうか?
俺は超能力者じゃないので何も知りません。
「…………むふぅ。」
眠ってしまった。
本当に子供だなこいつは。
まあ其処が可愛いとも言える。
「さてと……。」
ため息を吐く。
宴会ならば正々堂々と混ざればいいのだ。
「そこのあんた、何しにきた?」
俺はクルリと後ろを振り返って闖入者に問いかける。
そこには蜘蛛が一匹。
プラーンと天井にぶら下がっている……、って蜘蛛?
おかしいな?
「まあいい、俺は蜘蛛が苦手なんだ。
ティッシュでとって屋外に捨てるぞ?」
蜘蛛は俺の言葉なんて聞こえていないかのようにプラーンとぶら下がり続けている。
「そうかそうか、じゃあ仕方がない。
生き返らない程度に殺してやるよ。
こいつは虫タイプの相手に対しては+補正がかかるぞーカッコワライ」
蜻蛉切でおもいっきり斬りかかってみた。
「ストオオオオオオオオオオオオオオオオップウ!」
蜘蛛は空中で華麗に宙返りを決めると完璧なフォームで床に着地した。
「へっへっへ、そいつが蜻蛉切か。面白い物持ってるんじゃネエか。」
「お前は誰だ?」
「おっと、紹介が遅れたな。」
蜘蛛は床の上に立ってお辞儀をする。
「それは良いが人間の姿で自己紹介をしてくれるとありがたい。」
「ああ、じゃあそれに乗ってやるよ。」
「お前、良い奴だな。」
「ありがとよ。」
そう言うと、蜘蛛はあっという間に人間の姿になった。
ため息を吐く。
宴会ならば正々堂々と混ざればいいのだ。
「そこのあんた、何しにきた?」
俺はクルリと後ろを振り返って闖入者に問いかける。
そこには蜘蛛が一匹。
プラーンと天井にぶら下がっている……、って蜘蛛?
おかしいな?
「まあいい、俺は蜘蛛が苦手なんだ。
ティッシュでとって屋外に捨てるぞ?」
蜘蛛は俺の言葉なんて聞こえていないかのようにプラーンとぶら下がり続けている。
「そうかそうか、じゃあ仕方がない。
生き返らない程度に殺してやるよ。
こいつは虫タイプの相手に対しては+補正がかかるぞーカッコワライ」
蜻蛉切でおもいっきり斬りかかってみた。
「ストオオオオオオオオオオオオオオオオップウ!」
蜘蛛は空中で華麗に宙返りを決めると完璧なフォームで床に着地した。
「へっへっへ、そいつが蜻蛉切か。面白い物持ってるんじゃネエか。」
「お前は誰だ?」
「おっと、紹介が遅れたな。」
蜘蛛は床の上に立ってお辞儀をする。
「それは良いが人間の姿で自己紹介をしてくれるとありがたい。」
「ああ、じゃあそれに乗ってやるよ。」
「お前、良い奴だな。」
「ありがとよ。」
そう言うと、蜘蛛はあっという間に人間の姿になった。
「俺の名前はイクトミ。
アメリカの都市伝説だ。」
男はそう名乗った。
「ネイティブアメリカンの神話の神様じゃねえか。
都市伝説でも何でもねえよ!
………嘘だろ。」
「ところがどっこい本当なんだな、居る者は居る。
お前だって非日常の住人だ、それ位解るだろう?お前だって神様使っているんだからさ。
それにしてもなぁ、気付かれるとは思わなかった。
聞いていた程度には鋭いな。」
「そりゃドーモ、誰から聞いたのよ?」
「秘密だ。お前とそこで寝ているねーちゃんが何時バタバタし始めるか覗き準備万端だったんだがな。
最高画質のブルーレイだ。」
「残念だったな、妄想のHDDVDに録画してバックアップに撮っておいてくれ。
それにそもそもこいつと俺はそんな関係じゃない。」
「えっ」
「えっ」
戸惑われたがこちらも困る。
本当に俺は明日晶とはそういう仲ではないのだ。
「ナニソレコワイ。
女が家に男を呼んでおいて一緒に酒まで飲んでおいて何も無し?」
「いや、子供居るしさ。」
「おま……そこは正しく性教育だろうが。」
「なにこの都市伝説卑猥、ヒワい!」
「ヒワいとか形容詞みたく言うなよ、イクトミって名前知ってるんだから俺の性格は解るだろ?」
アメリカの都市伝説だ。」
男はそう名乗った。
「ネイティブアメリカンの神話の神様じゃねえか。
都市伝説でも何でもねえよ!
………嘘だろ。」
「ところがどっこい本当なんだな、居る者は居る。
お前だって非日常の住人だ、それ位解るだろう?お前だって神様使っているんだからさ。
それにしてもなぁ、気付かれるとは思わなかった。
聞いていた程度には鋭いな。」
「そりゃドーモ、誰から聞いたのよ?」
「秘密だ。お前とそこで寝ているねーちゃんが何時バタバタし始めるか覗き準備万端だったんだがな。
最高画質のブルーレイだ。」
「残念だったな、妄想のHDDVDに録画してバックアップに撮っておいてくれ。
それにそもそもこいつと俺はそんな関係じゃない。」
「えっ」
「えっ」
戸惑われたがこちらも困る。
本当に俺は明日晶とはそういう仲ではないのだ。
「ナニソレコワイ。
女が家に男を呼んでおいて一緒に酒まで飲んでおいて何も無し?」
「いや、子供居るしさ。」
「おま……そこは正しく性教育だろうが。」
「なにこの都市伝説卑猥、ヒワい!」
「ヒワいとか形容詞みたく言うなよ、イクトミって名前知ってるんだから俺の性格は解るだろ?」
説明しよう。
イクトミとはアメリカの神話の神様だ。
神様としては不良も良いところで北欧神話におけるロキのようなトリックスターの役割を担っている。
そして何よりエロい。
超エロい。
彼にまつわる小話は五割(以上)エロだ。
気になる人はwikipediaで調べてみると良い。
多分乗っていないと思うけれど。
「で、そんなお前がなんでわざわざ俺の所に?
まさか俺主演の素人物のポルノを撮る為にわざわざ遊びに来たんじゃないだろう。」
「いや、その為に来た。」
「そうか、やはり組織絡みか。
……………って、え?」
「いや、日本で恐れられたハーメルンの笛吹きが彼女とアンアンとか最高すぎるだろ。」
な、なんだとこいつ。
俺はこいつに対して呆れた以上に愉快だと思った。
わざわざ盗撮の為にここまで来たなんて、本当に最高に傑作じゃないか。
「お前、結構面白い奴だな……!」
「やっと解ったか。酒もってこいよ。
お前ともう少し話をしたくなった。」
俺はとりあえず明日と穀雨を寝室に連れて行くとイクトミとサシで飲むことを決めた。
イクトミとはアメリカの神話の神様だ。
神様としては不良も良いところで北欧神話におけるロキのようなトリックスターの役割を担っている。
そして何よりエロい。
超エロい。
彼にまつわる小話は五割(以上)エロだ。
気になる人はwikipediaで調べてみると良い。
多分乗っていないと思うけれど。
「で、そんなお前がなんでわざわざ俺の所に?
まさか俺主演の素人物のポルノを撮る為にわざわざ遊びに来たんじゃないだろう。」
「いや、その為に来た。」
「そうか、やはり組織絡みか。
……………って、え?」
「いや、日本で恐れられたハーメルンの笛吹きが彼女とアンアンとか最高すぎるだろ。」
な、なんだとこいつ。
俺はこいつに対して呆れた以上に愉快だと思った。
わざわざ盗撮の為にここまで来たなんて、本当に最高に傑作じゃないか。
「お前、結構面白い奴だな……!」
「やっと解ったか。酒もってこいよ。
お前ともう少し話をしたくなった。」
俺はとりあえず明日と穀雨を寝室に連れて行くとイクトミとサシで飲むことを決めた。
さて、一時間後。
「そもそもなんでロリが素晴らしいかと言うとだな。
日本人の美意識の根幹に関わるそれはそれは深い理由があるわけだよ。」
「ほうほう。聞かせてくれよ。」
「まず、徒然草という日本では源氏物語に並ぶ名作と呼ばれている古典が有ってだな。」
「源氏物語なら知っているぜ、マザコンでロリコンの変態が主人公なあれだろ?
一応世界三大文学だしな。」
「流石神様話が早い。
その徒然草は日本人の美意識について様々に述べているのだがその中にこういう一節がある。
花は盛りに,月は隈なきをの見るものかは。
花は満開だけ見るもんじゃない、月は満月だけが美しいんじゃない。
あらゆる状況の景物を愛する心こそが本当に美しいってことさ。
だから俺はロリを愛するんだよ。
花ではなく、つぼみの内に花の美しさを見いだしてその境界を楽しむんだ。
儚い、しかし夢のような遊び方だ。」
「ふむ、だがその理屈だとババァでも良いぜってことにならないか?」
「ハッハッハ、何を言っているんだイクトミ。
無い花は愛でようがない。
新月の夜には月のあった夜を思い出すしかない。」
「良く回る口だなおい。」
明日晶のワインセラーのコレクションは物凄い勢いで消費されていた。
翌日起きた彼女が絶叫すること間違いなしである。
あいつ飲めないのに。
飲めない酒をあいつは集め続けるんだ。
「そもそもなんでロリが素晴らしいかと言うとだな。
日本人の美意識の根幹に関わるそれはそれは深い理由があるわけだよ。」
「ほうほう。聞かせてくれよ。」
「まず、徒然草という日本では源氏物語に並ぶ名作と呼ばれている古典が有ってだな。」
「源氏物語なら知っているぜ、マザコンでロリコンの変態が主人公なあれだろ?
一応世界三大文学だしな。」
「流石神様話が早い。
その徒然草は日本人の美意識について様々に述べているのだがその中にこういう一節がある。
花は盛りに,月は隈なきをの見るものかは。
花は満開だけ見るもんじゃない、月は満月だけが美しいんじゃない。
あらゆる状況の景物を愛する心こそが本当に美しいってことさ。
だから俺はロリを愛するんだよ。
花ではなく、つぼみの内に花の美しさを見いだしてその境界を楽しむんだ。
儚い、しかし夢のような遊び方だ。」
「ふむ、だがその理屈だとババァでも良いぜってことにならないか?」
「ハッハッハ、何を言っているんだイクトミ。
無い花は愛でようがない。
新月の夜には月のあった夜を思い出すしかない。」
「良く回る口だなおい。」
明日晶のワインセラーのコレクションは物凄い勢いで消費されていた。
翌日起きた彼女が絶叫すること間違いなしである。
あいつ飲めないのに。
飲めない酒をあいつは集め続けるんだ。
「ところでお前が今度行く先、アニキに汚染された町だっけ?
本当に大丈夫なのか?」
「問題無いぜ~、一応対策は打っているから。」
「んなこと言ったってお前……相手はアメリカも持て余している兄貴だぜ?」
「本体の禿は居ないんだろう?なら浄化くらい簡単だ。」
「あ~、それなんだけど本体居るぜ。黒服Kだろう?」
……え゛。
「ナニソレコワイ。」
「残念だったな、応援しているぜ。」
「逃げようかなあ?」
「対策有るんじゃないのかよ。ていうかその蜻蛉切で殺せるだろ?
ゲームで言えば防御無視で常にクリティカルヒットみたいな物だし。」
「それプラス剣術スキル補正(大)な。
それにしても数が多すぎるわ。本当に町ごと焼き払うぞゴルァ。」
「あっは、ガンバレー。」
「あ、そうだ。お前助けろよ。」
「俺の撮影会に付き合ってくれるなら考えないでもない。」
「俺は脱ぐと残念な男なんだ。やめてくれ。」
「残念だ。本当にあの女と何も無いのなら俺が頂いちまおうかな。」
「それは駄目~。」
イクトミは不思議そうな顔をしてこっちを見た。
こちらにも複雑な事情が有るのだ。
本当に大丈夫なのか?」
「問題無いぜ~、一応対策は打っているから。」
「んなこと言ったってお前……相手はアメリカも持て余している兄貴だぜ?」
「本体の禿は居ないんだろう?なら浄化くらい簡単だ。」
「あ~、それなんだけど本体居るぜ。黒服Kだろう?」
……え゛。
「ナニソレコワイ。」
「残念だったな、応援しているぜ。」
「逃げようかなあ?」
「対策有るんじゃないのかよ。ていうかその蜻蛉切で殺せるだろ?
ゲームで言えば防御無視で常にクリティカルヒットみたいな物だし。」
「それプラス剣術スキル補正(大)な。
それにしても数が多すぎるわ。本当に町ごと焼き払うぞゴルァ。」
「あっは、ガンバレー。」
「あ、そうだ。お前助けろよ。」
「俺の撮影会に付き合ってくれるなら考えないでもない。」
「俺は脱ぐと残念な男なんだ。やめてくれ。」
「残念だ。本当にあの女と何も無いのなら俺が頂いちまおうかな。」
「それは駄目~。」
イクトミは不思議そうな顔をしてこっちを見た。
こちらにも複雑な事情が有るのだ。
「わっけわかんねえなあ?何もないんじゃネエのか?」
「色々事情が有るんだよ。」
「色々ネエ………。」
俺の顔をじっと見詰めるイクトミ。
あ、そうか、って顔をしている。
気付いたか、神様も中々鋭いねえ。
「中々どうして残酷じゃねえのおめえ。」
どうやら察してくれたようだ。
「複雑だろ?」
「歪んでるだけだよ。」
「俺は清く正しいまっすぐな悪役だ。
歪んでいるなんて言葉とはほど遠い。
俺は彼女の為を思ってそうしているんだ。」
「ふーん………、そうか。なら良いぜ。飽きた。
また遊びに来る。」
「今度は俺の家に来いよ、酒なら神様よりはそろえている。」
「楽しみにしてるぜ、あばよ笛吹。」
そう言ってイクトミは窓の隙間から帰って行った。
「あばよ。」
俺はそう言うと穀雨の寝ている寝室に向かうことにする。
幼女の香りを嗅ぎながら酒を飲むとまた最高なのだ。
もうちょっと仲良くなったらイクトミに教えてやろう。
そう思って俺は缶ビールを1本取り出した。
【上田明也の探偵倶楽部14~上田明也の事情~fin】
「色々事情が有るんだよ。」
「色々ネエ………。」
俺の顔をじっと見詰めるイクトミ。
あ、そうか、って顔をしている。
気付いたか、神様も中々鋭いねえ。
「中々どうして残酷じゃねえのおめえ。」
どうやら察してくれたようだ。
「複雑だろ?」
「歪んでるだけだよ。」
「俺は清く正しいまっすぐな悪役だ。
歪んでいるなんて言葉とはほど遠い。
俺は彼女の為を思ってそうしているんだ。」
「ふーん………、そうか。なら良いぜ。飽きた。
また遊びに来る。」
「今度は俺の家に来いよ、酒なら神様よりはそろえている。」
「楽しみにしてるぜ、あばよ笛吹。」
そう言ってイクトミは窓の隙間から帰って行った。
「あばよ。」
俺はそう言うと穀雨の寝ている寝室に向かうことにする。
幼女の香りを嗅ぎながら酒を飲むとまた最高なのだ。
もうちょっと仲良くなったらイクトミに教えてやろう。
そう思って俺は缶ビールを1本取り出した。
【上田明也の探偵倶楽部14~上田明也の事情~fin】