「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - とある無垢な幼女のお話-03

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 それは、明日 晶が、上田 明也から幼zy……少女、穀雨 吉静を預かっていた間のこと


「晶おねーちゃん、あれ、なぁに?」
「うん?…あぁ、アイスのワゴンだね」

 穀雨と一緒に、食材の買いだしに出かけていた晶
 …この穀雨と言う少女、外見に似合わずなかなか素敵な食欲の持ち主である
 1人暮らしをしていた晶の家には、この少女の分の食材までは備蓄していなかったのだ
 当然、買出しに出かける必要は発生する

「アイス?」

 キラリーン
 瞳を輝かせる穀雨
 愛らしいその様子に、晶は釣られたように笑みを浮かべた
 子供は苦手な晶だが、この穀雨と言う少女の無垢で無邪気な様子は、純粋に可愛らしいと思う
 超能力を使わなくても、はっきりとわかるくらい伝わってくる感情は、見ていて何だか和んでしまう

「それじゃあ、荷物が増えて大変になる前に、食べようか?」
「いいの?」

 いいよ、と頷いてあげれば、穀雨はますます瞳を輝かせた
 ぐいぐい、晶の手を引っ張ってくる

「早く行こうよー」
「わっ、とと、そんな引っ張らないでって」

 苦笑しながら、穀雨に手を引かれて行く明日
 アイスのワゴンに近づいていく、その最中

『-----わわっ!?』
「みゃっ!?」
「わたっ!?」

 どんっ!!と
 目の前から歩いてきた青年と、ぶつかってしまった
 青年は、大きな荷物を抱えていて、前がよく見えていなかったようだ
 ぶつかった拍子に、荷物の中身が…リンゴが、道にぶちまけられた
 リンゴ、だけではない
 ぱらぱらと散らばっているのは…何かの、種?

『わ、わわわ……』

 おたおたと、リンゴを拾い始める青年
 リンゴは、転がりきる前に何とか拾えたようだが…ぶちまけられた種は、拾いきるのは大変だろう
 それを見て、穀雨が、種を拾うのを、手伝いはじめた
 ぶつかってしまったのが原因でぶちまけられてしまったのだから、手伝わなければと思ったのか…

(…いや、違うか)

 単純に、目の前で困っている人がいるから、助ける
 そんな動機で穀雨が青年を手伝ってあげているのに気づき、晶は笑みを浮かべた
 本当に、いい子だ
 ……上田から、悪い影響を受けなければいいのだけれども
 晶も青年を手伝って、種を拾っていってやる
 この形……リンゴの種か?

「はい、どうぞ」
「どうぞー」
「ア、アリガト、ゴザイマス」

 晶達の言葉で、彼女達が日本人だと理解したのだろう
 青年は、片言の日本語で、そう言って来た
 晶は、改めて、その青年を観察する

 まるで、リンゴのように赤い髪の青年だ
 ひょろっ、とした頼りない長身を…言っちゃ悪いが、少々みすぼらしい服で包んでおり、ボール紙製の、ひさしの広い帽子を被っている
 …そして、よく見ると、裸足だ
 街中を裸足で歩いて、痛くないのだろうか

「日本語、話せるの?」
「少シ、話セル、デス」

 穀雨の言葉に、微笑んでそう言って来た青年
 ぺこりと、頭を下げてくる

「親切、シテモラッタ、オ礼、スル、デス。アソコノ、ワゴンノアイス、ゴ馳走スル、デス」
「え、いや、そんな、悪いですよ」

 どうやら、日本語がわかるようなので、日本語で応対する晶
 …アメリカ暮らしをしてはいるが、彼女、英語がちょっぴり苦手なのである
 が、青年は人のいい笑みで続けてくる

「イエ、親切ニシテモラッタカラ。オ礼、シマス」

 にこにこと微笑んでいる青年
 …そして、アイスをご馳走してくれると言うその言葉に、瞳を輝かせている穀雨
 ……うーん

(…ま、いいか)

 悪人とかではなさそうだし

「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「アイスー!」

 無邪気な笑顔の穀雨の様子に、晶も青年も、思わず和んだ笑みを浮かべたのだった



「ワタシ、ジョニー・アップルシード、イイマス」

 もぎゅもぎゅもぎゅ
 美味しそうに、バケツサイズの入れ物に入ったアイスを食べている穀雨
 …これだけ食べて、おなかを壊さないだろうか
 そして、アメリカのアイスは、カロリーがとっても素敵な事になっているのだが…大丈夫だろうか
 同じ女性として、そこを心配する晶
 そんな最中、青年…ジョニーから、自己紹介を受けていた

「ジョニーさんか。私は明日 晶。この子は…」
「穀雨 吉静だよ」

 口の周りにアイスをつけたまま、自己紹介した穀雨
 …うん、口の周りを拭いてあげるのは、食べ終わってからでいいだろう

「ミス・アキラ、ト、ミス・ヨシズ、デスネ。ホントニ、アリガト、ゴザイマシタ」

 ぺこり、と
 改めて、頭を下げてきたジョニー
 晶は、小さく苦笑した

「いえ、こちらこそ。ご馳走になっちゃって」

 もぎゅもぎゅもぎゅ
 再び、アイスに夢中になっている穀雨
 …アイスに夢中で、多分、他の事は耳に入ってこないだろう
 そう考えて…穀雨は、ジョニーに尋ねる

「…ジョニーさん、都市伝説でしょ?」
「……!ワカル、デスカ?」
「うん、まぁ、ちょっと」

 超能力と契約している晶
 それくらいは、わかる
 …この、ジョニー・アップルシードと名乗った青年は、都市伝説だ
 だが、危険な存在ではない
 どちらかと言うと、聖人とか、そう言う類に近い存在のようだ

「ハイ、ワタシ、都市伝説、デス。リンゴ、アメリカ中ニ広メタ、言ワレタ、デス」
「あー…聞いたことあるようなないような。開拓者にリンゴの種を配った、アメリカ西部にリンゴをもたらしたって言われている人か」

 …それで、リンゴの種を持っていたのか、あんなに大量に
 ちょっと、納得した

「アナタ達、都市伝説、怖イ、違イマスカ?」
「怖くはないよ。ジョニーさんは、危険な都市伝説じゃないしね」

 危険な都市伝説だとわかったならば、そもそも、こうやってのんびり、穀雨をはさんでベンチ座って話していたりしない
 アイスだけご馳走になって、とっくに逃げている

「アメリカも、結構しゃれにならない都市伝説多いからね。でも、ジョニーさんはそう言うのとは違うでしょ?」
「…ソウ、言ッテモラエル、嬉シイ、デス。ソウ考エナイ、人間、多イ、デス」

 そばかすだらけの顔に、笑みを浮かべるジョニー
 都市伝説だと知られるだけで、大変な目にあう事も多いのかもしれない

 ジョニーは、晶と穀雨を、じっと見つめてきて…
 …そして、ごそごそと、持っていた荷物をあさりだした
 どうしたのだろう?
 晶が首をかしげて、その様子を見つめていると…ジョニーは、一つのリンゴを取り出した

 それは、金色のリンゴだった
 金メッキした、とか、そう言う感じはしない
 …元からこの色なのだ、と、そう確信できる、そんなリンゴ
 まさしく、黄金のリンゴだ

「コレ、アゲマス、デス」
「え…」
「アナタ達、ナラ、悪イ事ニハ、使ワナイ、思イマス」

 渡された、黄金のリンゴ
 晶は、それをじっと見つめる

「…これも、都市伝説…?」
「ハイ、ギリシャノ方ノ、神話ニ、出ル、戦争ノ原因、ナッタ、リンゴ、デス」
「もしかして、トロイア戦争の…?」


 ギリシャ神話にて
 とある神と神の披露宴に投げ込まれた、黄金のリンゴ
 それには、「もっとも美しい女神へ」と書かれていた
 披露宴に呼ばれなかったとある女神が、腹いせに投げたそのリンゴ
 書かれた文字に、三人の女神が手を伸ばした
 詳しくは割愛するが……ここから、トロイア戦争へと、話は動いていくのだ


「ワタシ、契約者、アッタ頃、ソノリンゴ、手に入レタ、デス。ワタシ、ソレ、アッテモ、使ウ、ナイ、デス」
「…でも、いいんですか?本当にもらっても」
「イイ、デス。アナタ達ナラ、大丈夫」

 にこり、ジョニーは笑った
 そして、荷物を抱えてすくり、立ち上がる

「ソレデハ、ワタシ、モウ、行ク、マス。ミス・アキラ。ミス・ヨシズ。オ元気デ」
「アイス、ごちそうさまでした…ほら、穀雨ちゃん、お礼を言わないと」
「ありがとーございました!」

 …おぉう、ジョニーと話している間に、穀雨の口の周りがアイスで凄い事にっ!?
 慌てて、口の周りを拭いてやる晶
 その、まるで姉妹のような様子に、ジョニーはにっこり、笑みを浮かべて
 リンゴとリンゴの種が一杯入った大きな荷物を抱えて、裸足で街中の喧騒へと、消えていった


 後には、まだ何も書かれていない、黄金のリンゴが一つ
 残されていったのだった



to be … ?


前ページ   /   次ページ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー