ひたり、ひたりと忍び寄る
日常が壊れる音が
日常が壊れる音が
いつまで、平和に浸かっていられると思っていた?
都市伝説に関わった以上
最早、お前に日常など存在しないのだ
最早、お前に日常など存在しないのだ
Hannibal・Hastings
…こんこん、と
ノックをする音が、聞えてきた
ノックをする音が、聞えてきた
「…?」
笛吹探偵事務所で、一人留守番していた吉静
ノックの音に、誰だろう?と顔をあげる
ノックの音に、誰だろう?と顔をあげる
留守番する時、いつも言われている
「知らない人をお家に入れちゃいけませんよ」、と
もし、悪い人だったら大変だから、とそう言われている
だから、吉静はそれをきちんと護って、ノックの音を気にしながらも、鍵を開けには行かない
上田達が帰ってきたのなら、ちゃんと鍵を開けるだろうから、上田達ではありえない
自分の知らない人がきたのだろう、とそう考えた
「知らない人をお家に入れちゃいけませんよ」、と
もし、悪い人だったら大変だから、とそう言われている
だから、吉静はそれをきちんと護って、ノックの音を気にしながらも、鍵を開けには行かない
上田達が帰ってきたのなら、ちゃんと鍵を開けるだろうから、上田達ではありえない
自分の知らない人がきたのだろう、とそう考えた
……しかし
ガチャリ
「みゅ??」
鍵が、開く音がした
ゆっくりと、扉が開く
読んでいた絵本をぱたん、と閉じて…吉静はほんのちょっぴり、警戒しながら、扉に再び視線をやる
ゆっくりと、扉が開く
読んでいた絵本をぱたん、と閉じて…吉静はほんのちょっぴり、警戒しながら、扉に再び視線をやる
ゆっくり
ゆっくりと、扉が開いて
そこにいたのは、吉静の知らない少年だった
恐らく、中学生くらいだろうか
真っ赤な帽子を被って、腰から……西洋の剣のような物を、鞘に入った状態で下げている
服装は普通だというのに、なぜか、剣だけが異質で
そして、その真っ赤な帽子が…酷く、目に飛び込んでくる
ゆっくりと、扉が開いて
そこにいたのは、吉静の知らない少年だった
恐らく、中学生くらいだろうか
真っ赤な帽子を被って、腰から……西洋の剣のような物を、鞘に入った状態で下げている
服装は普通だというのに、なぜか、剣だけが異質で
そして、その真っ赤な帽子が…酷く、目に飛び込んでくる
「穀雨 吉静ちゃんだね?」
「………」
「………」
…にじにじにじ
警戒して、ソファーの後ろに隠れる吉静
少年は、にこにこと笑って、そんな吉静を見つめてくる
警戒して、ソファーの後ろに隠れる吉静
少年は、にこにこと笑って、そんな吉静を見つめてくる
「あぁ、怖がらないで。僕は、君の敵じゃないよ」
「………」
「………」
どうしよう
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
ぐるぐる、思考を混乱させる吉静
知らない人をお家にあげてしまった
どうすればいいのだろう?
知らない人をお家にあげてしまった
どうすればいいのだろう?
…正直、吉静に落ち度はない
勝手に、鍵を(良い子が真似してはいけない方法で)あけた少年が悪いのだ
が、吉静は、知らない人をお家にあげてしまった事で、悪い事をしてしまったと、プチパニックに陥っていた
勝手に、鍵を(良い子が真似してはいけない方法で)あけた少年が悪いのだ
が、吉静は、知らない人をお家にあげてしまった事で、悪い事をしてしまったと、プチパニックに陥っていた
その、吉静の混乱に付け込むように
人の良い笑顔を浮かべて、少年は続ける
人の良い笑顔を浮かべて、少年は続ける
「始めまして。僕は、穀雨 彼方」
「………?」
「………?」
こくう??
穀雨????
あれ??
穀雨????
あれ??
「…おんなじ?」
「そう、君と同じ苗字だよ」
「そう、君と同じ苗字だよ」
あれ?と首をかしげる吉静
自分の苗字は珍しい方だと、お兄ちゃんから聞いていた
自分の苗字は珍しい方だと、お兄ちゃんから聞いていた
「どーしておんなじなの?」
じ、と彼方と名乗ったその少年を見上げる吉静
彼方はにこにこと笑い続けている
彼方はにこにこと笑い続けている
「それはね、僕と君とが、兄妹だからだよ」
「…きょーだい?」
「そうだよ」
「…きょーだい?」
「そうだよ」
あれ??
自分に、本当の兄弟なんていたのだろうか
それを知らない吉静は、首をかしげることしかできない
自分に、本当の兄弟なんていたのだろうか
それを知らない吉静は、首をかしげることしかできない
「ほんとー?」
「嘘なんてつかないよ。嘘をついちゃいけません、って先生に言われてるからね」
「嘘なんてつかないよ。嘘をついちゃいけません、って先生に言われてるからね」
うん、それは大事だ
嘘なんてついちゃいけない
このお兄ちゃんは、嘘をついていないと言っている
にこにこ笑っているその顔も、嘘をついているように見えない
嘘なんてついちゃいけない
このお兄ちゃんは、嘘をついていないと言っている
にこにこ笑っているその顔も、嘘をついているように見えない
「…お兄ちゃん?」
「そうだよ」
「そうだよ」
す、と
彼方が、吉静に手を伸ばす
彼方が、吉静に手を伸ばす
「迎えに来たよ、吉静」
差し伸べられた手
悪意なき笑顔と共に差し伸べられたその手が、どす黒い悪意に染められている事を
吉静は、まだ、気付かない
悪意なき笑顔と共に差し伸べられたその手が、どす黒い悪意に染められている事を
吉静は、まだ、気付かない
to be … ?