「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-58

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匿名ユーザー

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【上田明也の探偵倶楽部34~学園祭~】

「お兄ちゃん、私たちの私たちの学校の学園祭に来てくれないかな?
 向坂ちゃんも楽しみにしてるよ。」
「え?まあ良いけど。」
「はい、これチケット。」
「所長、其処の女の子誰ですか?」
「ああ、紹介してなかったな。妹だ。」
「よろしくね、メルさん!」
「あ、どうもです。」

夏も盛りの八月。
俺は探偵事務所で拝戸純から学園祭に来るように誘われていた。

「でもあそこには俺の敵も沢山居てだなあ……。
「大丈夫だよ、私が居れば見つからないよ!」
「まあそれもそうか。」
「所長、この子も契約者なんですか?」
「ああ、丑の刻参りの契約者だね。」
「メルさん、私は私は普通の人間から意識されづらい才能があるんだよ!」
「はぁ?」
「まあ説明するよか見せた方が早いな。純、やってみろ。」




ガタン
その時突然事務所のドアが開く。
俺の助手、向坂境が事務所に入ってきた。

「笛吹さーん、純来てない?」

どうやら友人である拝戸純を探しに来たらしい。

「え、さっきまで居たけどなあ?
 お前ら学園祭やるんだって?」
「はい、私たちのクラスはメイド喫茶です。
 転校生でメイド服の似合う女の子が来たので縫製部隊としてはテンション最高潮ですね。
 彼女もかなりのレイヤーなので腕が鳴りますよ。
 拝戸ちゃんのクラスは何やるって言っていたかな、覚えてないや。」

メルが驚いている。
それもそのはずで『拝戸純は向坂が事務所に入った時から彼女の目の前に居る』のだ。
でもそれに気付いていないかのように彼女は辺りをキョロキョロと見回す。

「さっちゃん!」
「ああ、純ったら其処にいたのか。
 笛吹さんにいやらしいことされてなかった?」
「なんだ、まるで俺がドヘンタイみたいじゃないか。」
「だって笛吹さん事務所のそこの戸棚に……。」
「……見たのか。」

沈黙
まあ其処に隠しているのはカモフラージュ用の『人妻乱舞』だ。
ギリギリセーフである。






「あれを見たならなおのこと俺にそっちの趣味はないと解るだろうが!」
「いや、その上で事務所に小さい女の子いっぱい連れてきてるじゃないですか!
 レモンちゃんと言いメルちゃんと言い穀雨ちゃんと言い純ちゃんと言い!
 なにその揺りかごから墓場までっぷり!」
「なに言っているんだ!
 俺はさすがに墓場は無理だよ!ネクロフィリアじゃねえか!」
「揺りかごいけるってことか!?ていうかほら、結婚は人生の墓場っていうじゃん。」
「いや、ちがう!それは断じて違う!
 あとお前全国の人妻に謝れ!」
「……ごめんなさい。」

意外と素直に謝った。
根っこの方は素直な子なのだ。
えらいぞ向坂ちゃん。

「で、所長達来るんですか?」
「おお、行く行く。楽しみにしていろよ?」
「普通逆ですよその台詞……。」
「俺、楽しい奴だから。」






数日後
俺は中央高校の学園祭に遊びに来ていた。

「しかし所長、こうしていると去年のマッドガッサーとの戦いを思い出しますね。」
「ああ、あれな。俺がまともに長編に参加したのあれが最後だった気がする。」
「長編?参加?なんのことです?」
「なんでもない。」
「それよりマスター、純さんのあの妙な能力はなんですか?
 彼女自身が都市伝説か何かなんですか?」
「ああ、なんか生まれつき都市伝説の能力だけ持ってるとか持ってないとか。」
「え、マジすか!?」
「嘘。詳しく説明できてたらサンジェルマンは苦労しねえ。」
「なーんだ。」
「あ、やっと来たね二人とも!」
「遅いですよ笛吹さん!」
「わーりぃ。」

純と向坂は玄関で俺達を迎えに来ていた。
まあ内部は一度見に行ったことがあるから知っているのだが、
可愛い女の子に囲まれて歩き回るからたのしいのだ。







「いらっしゃーい、恋愛成就から怨敵必殺までいろんなお守りが揃っている二年C組の占いコーナーだよー!」
「お兄ちゃん、あれがうちのクラスの企画だよ!
 怨敵必殺のおまもりは私が作ったんだから!」
「……マジ仕留めそうだからやめようね。」
「さっそく効果があったんだって!」
「……遅かったか。」
「駄目だよ純、私のクラスの宣伝もさせな……」

その時だった。

「恋愛成就一つちょうだい!」

俺たちの目の前に見慣れた顔が現れた。こいつも此処の生徒だったのか?

「まいどありぃ!」
「あ、恋路ちゃん!」
「やあやあ向坂ちゃん、ってそちらの面々は?」
「おう恋路じゃねえか、なんだその格好は。」
「二人とも知り合いなの?あと恋路ちゃんの格好については私から説明させて貰おう。」
「ほう、聞かせろ向坂。」
「私たちのクラスでは超本格メイド&執事喫茶をやっているんだよ!」
「なるほど、じゃあ何故そこのメイドは楽しそうに隣のクラスで買い物してるんだ?
 サボっている場合じゃないんじゃないか?」
「休憩中だよ。アスマは今絶賛大人気で労働中だけどね。
 予想を遙かに超える執事っぷりだよ。指名もそこそこ入ってるね。」

その瞬間
その言葉を聞いた瞬間
俺は確かににやりと笑った






「お客さんつれてきたよー!」
「恋路ちゃん、そこはご主人様だよ。」
「あ、ごめん委員長間違えちゃった。」
「おっと、笛吹さんは私のご主人様だからね!
 笛吹さんは私を指名してくれる筈!」
「すまんな向坂、もう指名する奴は決まっている。」

俺の顔を見て何人かは気付いたようだ。

「委員長殿。」
「なんでしょうかご主人様?」
「男でも執事を指名してはいけないというルールは有るか?」



「俺は、明日真を指名する!!」



「うわあああああああああああ!!」


奥の方から聞き覚えのある悲鳴が聞こえてきた。
うむ、良いことだ。





三十秒後

「と、言う訳でだ。執事(バトラー)。ファンハウテンのココアを良く練って、きんきんに持って来い。ミルクと砂糖、コミコミのアリアリで」
「…………。」
「どうした執事?」
「…………。」
「おいおい、俺はご主人様だぜ?」
「…………。」
「アスマ、ちゃんとやらなきゃ駄目だよ!」
「これくらいは乗ってくれよ明日く~ん
 ―――――――――って、なに?ココアが、準備してある!」
「既に“ココア”は出来ています、【旦那様】。」
「なん、だと…………!
 この執事力、化け物なのか?」
「旦那様、他にご注文は?」
「良いぞ、非常に良い!流石俺の敵だ!」
「くっ、なんて力場なの!」
「私じゃ私じゃ近づけないよ……!」
「すごいね、アスマの執事力と所長の旦那力が拮抗してる!
 出会いが最悪じゃなければ良いコンビになっただろうに……。」
「皆さん何おっしゃってるんですか?」







後ろでは漫才が始まっているが突っ込み役不足という訳ではないらしい。
丁度良い、俺も一人でこの辺りを見回ってみようか。
もし都市伝説関係者に会ったら倒せばいい。
でも純みたいに気配を消して動けたら楽だなあ……。

「俺は俺は……、少し一人で見て回りたいな。
 金置いてくから向坂はメル預かっといて。
 あと恋路ちゃん、明日と純がバトらないように見張っといて。」
「え、笛吹さんちょっとま……。」

次の瞬間、妙なことが起きた。

「消えた、新手の都市伝説か!?」
「私に私にそっくりな消え方……?」
「所長?」
「……やっと行ったか。」

皆おれの姿が見えないらしい、でも俺はお前らの目の前に居るのだ。
ふむ、妙な事態になっているらしい。

「お金は置いてあったよ、そこらへんはきっちりしてるよね。」
「ところで純、お前今日は暴れてないだろうな?」
「風紀委員って面倒な人達だなあ、返り討ちにしてあげようか?」
「わー、二人ともストップストップ!」
「明日君、純をいじめたら容赦しないよ!」

まあ良い。
今起きている異常事態よりは学園祭で楽しむことが先だ。
そう思って俺は様々な出し物を見て回ることにした。







バシィン!

「うひょう!」

バシィン!

「たまらねえぜ!」

バシィン!

「まだだ、まだ俺はやれる!」


俺は女子バレー部による
「さぁ、女子バレー部のエース(美少女/ロリタイプ)のスパイクをその身で受け止めてみないか」
とかいう企画を楽しんでいた。
というか何回も並んでいた。
顔も覚えられてしまったので大変恥ずかしいがそれがまた気持ちいい!
そこそこにエースの生足等を堪能した後、俺は剣道部の企画を楽しむ事にした。





五分後、俺は剣道部の企画を楽しんでいた。
なんでも脱衣剣道だそうで、美人の女子剣道部長がペイントスポンジ刀で打たれた部分から脱いでいくというのだ。

「あ、UFO!」
「いつものことです!」

俺の嘘に惑わされることなく真っ直ぐに振り下ろされる竹刀。
良い踏み込みだ。
大して身体を鍛えているように見えない俺を素人と判断して確実に一本を取りに来たのだろう。
その上、わかりやすい嘘で小細工までしたのだ。
彼女は俺をエロ目的の素人と信じて疑わないだろう。

俺はスポンジ竹刀で彼女の振り下ろした竹刀と交差するように彼女の面を打つ。

「面切り落とし面!?」
「あいつ、只の変態じゃないぞ!」
「ああ、良く訓練された変態だ!」

「悪いなお嬢さん、一応中学の頃剣道やっていたことあるのよ。」

俺は一応村正と契約していたのだ。
その時の経験のおかげで俺はある程度以上に剣が使える。
昔剣道をやっていたことは嘘ではないし。




高々と天に向けて剣を掲げる。

「あ、あの構えは!」
「知っているのか雷電!」
「ああ、あれは薩摩の秘剣『薬丸自顕流』の構え、蜻蛉だ!」
「何、良く訓練された変態なんてもんじゃないぞ!」

今度は剣道部の部長殿も油断してくれないらしい。
成る程、中々可愛らしい顔をしている。
次は胸だ。
そのおっぱいがどれほどの物か見せて貰うとしよう。

「初撃必殺!」

部長はまっすぐに俺の喉へ突きを放つ。
わずかに首をひねってそれをかわし、腕を巻き込む形で胴にペイント竹刀を当てた。

「すごい!あの兄ちゃんまずは鎧を外したぞ!」
「新記録だ!」
「もしかして俺たち部長の裸見られるのか!?」
「安心しろ、全部脱いでもスク水までだとよ。」
「やった、むしろご褒美だ!変態さんがんばれ!」

俺はギャラリーに向けてぐっと親指を立てた。





……それにしても
……それにしても防具が臭い。
昔から気にはなっていたのだが何故剣道の防具とは男女問わずにこんなに臭いのだろうか。
これが嫌で俺は剣道を止めたのだ。
でも、可愛い女の子の籠手の匂いはくんかくんかしたいけどね!

「あ、あれは秘剣『鬼の爪』」
「あまりの剣圧に部長の胴着がはだけた!」
「ほう、―――――――美しい!」

なるほど、控えめだが確かに美乳。
惜しむらくはスク水で隠されていることか。

「さぁ、スク水姿を後悔して貰うぞ!」
「……恥ずかしい。」

頬を染めた部長がボソッと呟く。
やばい、可愛い。
これは我が愛によって汚れて頂くしかないな。
そう思って俺が少しにやけた瞬間だった。

「めええええええええええええええええええん!」
「一本!」

……一撃必殺。
俺はあっさりだまし討ちにかかった。
頭が割れるようにいたい、痛い痛い痛い痛い痛い。
その場でゆっくり崩れ落ちる。




「かふっ、……真剣だったら死んでいた。」
「おい変態さん大丈夫か!」
「よくやった!皆あんたの勇姿を胸に刻むよ!」
「それ、より……」

俺は女子剣道部部長のスク水を指さす。

「胸になど刻むんじゃない、あの胸をこそ、刻め!」
「血を吐いているじゃないか、もう喋るな!」
「少年、継いでくれ……我が変態マインドをぉぉぉおお!」

とまあ死ぬ寸前っぽい台詞を言いながらも俺はその場からそそくさと逃げ出したのであった。
偶然これであの剣道部部長とフラグ立たないかと思ったんだけど多分無理だ。
あそこから立つフラグは再戦フラグか死亡フラグだ。
ああいうタイプは嫌いじゃないが、まあ仕方がない。
だから悪戯したくなる訳だし。





「……いやぁ、楽しかったぜ学園祭!」

俺はそんな事を呟きながら廊下を歩き回る。
オレ自身はもう帰る気満々だ。
しかし二年C組の教室に戻ればあいつらとまたこの学校を回らなくちゃいけないのが正直面倒だ。
帰りたいなあ……。

「あ、居た!」
「見つけたよ純ちゃん!」
「お兄ちゃんったら何処に行ってたの!?」
「皆、所長は体育館でこんなにはっちゃけてたみたいだぜ?」
「こ、これは……!?

そんなことを考えていたらメルや向坂に見つかってしまった。
しかも恋路が俺の体育館でのフィーバーっぷりをしっかり記録していたらしい。
それをその場に居た全員が確認した瞬間、後ろから何かとがった物を突きつけられる。
恐らくナイフの類に違いない。
俺の後ろを取っているのは純か……。

「お兄ちゃん、何してたのかな?」
「いや、ちょちょっと日頃の運動不足の解消かな……?」
「はいだうとー。」

すこしナイフが背中にめり込む。
どうやら俺は観念して捕まるしかないらしい。
俺は苦笑いをして両手を挙げた。
【上田明也の探偵倶楽部34~学園祭~fin】

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