【上田明也の協奏曲20~仮面ライダーの見過ぎには気をつけましょう~】
「ウスイ、また事件が起きているぞ。
場所は学校町53-102
新手の怪人が現れているみたいだ。」
「マジかよレモン!」
場所は学校町53-102
新手の怪人が現れているみたいだ。」
「マジかよレモン!」
ここは学校町。
人々の夢を育てる希望の町。
しかしこの町は今、怪しい影に包まれていた。
今日も助手のレモンから事件発生の連絡だ。
人々の夢を育てる希望の町。
しかしこの町は今、怪しい影に包まれていた。
今日も助手のレモンから事件発生の連絡だ。
「ああ、すぐに現場に行ってくれ。」
「解ったよ、おいアキラ!急いで現場に行くぞ!」
「ふにゃ~ん?まだ眠いよぉ……。」
「ふん、2●才がふにゃ~んとか言っても残念極まりないぞ。」
「……おい、表出ろよ。」
「解ったよ、おいアキラ!急いで現場に行くぞ!」
「ふにゃ~ん?まだ眠いよぉ……。」
「ふん、2●才がふにゃ~んとか言っても残念極まりないぞ。」
「……おい、表出ろよ。」
俺の名前は笛吹丁、私立探偵だ。
この町をこよなく愛し、守ろうとする正義の心を持つ男の一人でもある。
ちなみに横で寝ているのは明日晶。
……幼なじみ的なあれだ。
この町をこよなく愛し、守ろうとする正義の心を持つ男の一人でもある。
ちなみに横で寝ているのは明日晶。
……幼なじみ的なあれだ。
俺たちは二人乗りのバイクで現場に到着すると成る程、確かに怪人が其処にいた。
だがその怪人は、怪人と言うにはあまりにも正義の味方っぽい服装をしていた。
だがその怪人は、怪人と言うにはあまりにも正義の味方っぽい服装をしていた。
「はっはっはっは!素晴らしい、この力で正義を行うぜ!」
……ってあれ?
「真、お前は何をやっているんだい?」
「げげぇ、姉ちゃん!そして所長!」
「げげぇ、姉ちゃん!そして所長!」
暴れ回っている怪人はよく見ると俺の相方である明日晶の弟、明日真だった。
常々正義の味方になりたいとのたまっていたが一体何が有ったのだろう。
常々正義の味方になりたいとのたまっていたが一体何が有ったのだろう。
「良いか明日(弟)、こんな馬鹿なことをやっていないで素直に警察に自首するんだ。
今ならまだお姉さんもきっと許してくれるぜ。」
「……えーい、うるちゃいうるちゃい!
この世界中には悪い奴が多すぎるんだ!だから俺がこいつの力で正義の味方になって!
悪い奴をみんな倒すんだい!邪魔するなら姉ちゃんや所長でも倒すぞ!」
「くっ、馬鹿だ馬鹿だと思ってたがここまでアホの子だとは知らなんだ……。
一体誰にそそのかされたの?」
今ならまだお姉さんもきっと許してくれるぜ。」
「……えーい、うるちゃいうるちゃい!
この世界中には悪い奴が多すぎるんだ!だから俺がこいつの力で正義の味方になって!
悪い奴をみんな倒すんだい!邪魔するなら姉ちゃんや所長でも倒すぞ!」
「くっ、馬鹿だ馬鹿だと思ってたがここまでアホの子だとは知らなんだ……。
一体誰にそそのかされたの?」
自らの手のひらの中にあるJと書かれたUSBメモリのような物を高々と掲げる明日(弟)
そしてそれを見てがっくり落ち込む明日(姉)、端から見ている分には大変面白い。
そしてそれを見てがっくり落ち込む明日(姉)、端から見ている分には大変面白い。
説明しよう、あのUSBメモリのような物はA(アルター)メモリと呼ばれており、
ネイティブアメリカンのパッチ族が保管していた“星の記憶”を宿す器と言われている。
普通の人間が使うと星の記憶に意志を乗っ取られて怪物として再構築されるのだが、
どうやら明日(弟)は本来制御にはライダーベルトが必要なそれを自らの強い意志で使いこなしているらしい。
これはこれで逆に厄介である。
ネイティブアメリカンのパッチ族が保管していた“星の記憶”を宿す器と言われている。
普通の人間が使うと星の記憶に意志を乗っ取られて怪物として再構築されるのだが、
どうやら明日(弟)は本来制御にはライダーベルトが必要なそれを自らの強い意志で使いこなしているらしい。
これはこれで逆に厄介である。
「それは私よ!」
「――――――――誰!?」
「はっはっは!私は誰有ろう世界征服を狙う悪の組織“オジャマ13”の大幹部の一人、
“魔法少女マジカルレンジ”ちゃんよ!
貴方たちの弟にJ(ジャスティス)メモリを渡したのも私なんだから!
チナミニキノコカタケノコカデイエバタケノコハカシラ。」
「わ、私の弟になんてことを!ウスイ君、さっさとこいつ倒しちゃおう!
タケノコトカマジデナイワ。」
「いや待て、……おい明日(弟)。
なんでお前正義の味方とか言っているのに悪の組織の味方をしているんだ?
テイウカマコトオマエタケノコハダッタノカヨ」
「えっ。」
「えっ。」
「あっ………………。
ゴメンホントウハキノコキライダッタンダ」
「――――――――誰!?」
「はっはっは!私は誰有ろう世界征服を狙う悪の組織“オジャマ13”の大幹部の一人、
“魔法少女マジカルレンジ”ちゃんよ!
貴方たちの弟にJ(ジャスティス)メモリを渡したのも私なんだから!
チナミニキノコカタケノコカデイエバタケノコハカシラ。」
「わ、私の弟になんてことを!ウスイ君、さっさとこいつ倒しちゃおう!
タケノコトカマジデナイワ。」
「いや待て、……おい明日(弟)。
なんでお前正義の味方とか言っているのに悪の組織の味方をしているんだ?
テイウカマコトオマエタケノコハダッタノカヨ」
「えっ。」
「えっ。」
「あっ………………。
ゴメンホントウハキノコキライダッタンダ」
どうやら何かまずいことを言ってしまったらしい。
ごめんねみんな。
ごめんねみんな。
「うぅ……、ペチャクチャうるさい男だな!
アスマ、今の貴方ならやれるわ!
彼らを倒して貴方のソシテタケノコハノ正義を貫いてちょうだい!」
アスマ、今の貴方ならやれるわ!
彼らを倒して貴方のソシテタケノコハノ正義を貫いてちょうだい!」
「任せてくれ恋路、タケノコハヲダイヒョウシテ―――――――――変身!」
「justice!」
無機質な機械音声。
明日(弟)は自らのメモリを首筋に刺すと一瞬で“いわゆる正義の味方”の姿に変身した。
無機質な機械音声。
明日(弟)は自らのメモリを首筋に刺すと一瞬で“いわゆる正義の味方”の姿に変身した。
「困ったな……とりあえず倒しちゃうか。行くよウスイ君、キノコハノダイヒョウトシテ!」
「解ったよ、アキラ、マアタケノコハトカイウイキョウトハセンメツスルシカナイヨネ!」
「解ったよ、アキラ、マアタケノコハトカイウイキョウトハセンメツスルシカナイヨネ!」
「「!身変―――――――――変身!」」
「Empress & Emperor !」
再び無機質な機械音声。
俺とアキラもメモリを腰のベルトに差して変身する。
そして光と共に俺の意識と肉体は明日(姉)の身体の方に吸収され始めるのであった。
再び無機質な機械音声。
俺とアキラもメモリを腰のベルトに差して変身する。
そして光と共に俺の意識と肉体は明日(姉)の身体の方に吸収され始めるのであった。
純白のマスク、首には赤いマフラー、全身を覆う西洋の甲冑を思わせるボディアーマー。
メモリを使用したライダーシステムに限りなく近い。
明日真の操るジャスティスメモリはかなりの割合で彼に適合していることが解る。
メモリを使用したライダーシステムに限りなく近い。
明日真の操るジャスティスメモリはかなりの割合で彼に適合していることが解る。
対する俺たちはというと、
男性とも女性ともとれる中性的なボディラインに背中から生えた天使のような翼、
頭には王冠を模したヘルメットが装備されている。
それと右手には炎を纏った杖、左手には十字架を刻印された盾を装備している。
互いのメモリの特徴が真逆なだけにライダーシステムを使ったとしてもバランスがとれているのが奇跡である。
男性とも女性ともとれる中性的なボディラインに背中から生えた天使のような翼、
頭には王冠を模したヘルメットが装備されている。
それと右手には炎を纏った杖、左手には十字架を刻印された盾を装備している。
互いのメモリの特徴が真逆なだけにライダーシステムを使ったとしてもバランスがとれているのが奇跡である。
「なあ明日、毎回思うんだが俺たち一緒に変身する必要ないんじゃね?」
「細かいこと気にするなよ。さあ行くぞ!」
「わっはっは、かかってこい!」
「細かいこと気にするなよ。さあ行くぞ!」
「わっはっは、かかってこい!」
とかなんとか言いながら純白のスーツを身に纏った明日は俺たちの周りを高速で移動し始める。
これでは攻撃が当たらない。
これでは攻撃が当たらない。
「アキラ、こんかいは俺に任せろ!」
「解った、それじゃあいくよ!」
「「メモリチェンジ!」」
「解った、それじゃあいくよ!」
「「メモリチェンジ!」」
「――――――DDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDDevil!」
右手に持っていたEmperorメモリの基本装備である杖が一瞬で剣に変わる。
これが俺の持つもう一つのメモリ、Devilメモリの基本装備だ。
これが俺の持つもう一つのメモリ、Devilメモリの基本装備だ。
「くっ、笛吹丁が二重保持者(デュアルホルダー)なんて聞いてないわ!
アスマ、ここは一旦引くわ―――――?」
「正義(タケノコ)は悪魔(キノコ)になんか屈しはしない!」
アスマ、ここは一旦引くわ―――――?」
「正義(タケノコ)は悪魔(キノコ)になんか屈しはしない!」
小癪にも明日は俺に敢然と立ち向かってきた。
……それではここで説明しよう。
俺はメモリ所持者の中でも一人で二種類以上のメモリを持つ二重保持者と呼ばれる存在なのだ!
かっこいいぞー!
……それではここで説明しよう。
俺はメモリ所持者の中でも一人で二種類以上のメモリを持つ二重保持者と呼ばれる存在なのだ!
かっこいいぞー!
「―――――ならば喰らえ、悪魔の短剣(インクリージングマリス)!」
俺が一本だけ宙に放り投げた短剣が幾つも幾つもに分裂して明日を包囲する。
明日が動きを止めたところでそれらは一斉に彼に襲いかかった。
明日が動きを止めたところでそれらは一斉に彼に襲いかかった。
最初の一本を驚異的な運動能力で躱す明日。
背中をギリギリまで反らすとそのままバク転の要領で短剣の何本かを蹴りではじき返す。
成る程、中々できるようだ。
背中をギリギリまで反らすとそのままバク転の要領で短剣の何本かを蹴りではじき返す。
成る程、中々できるようだ。
「笛吹さん、貴方は姉さんと違って正義の味方だと思っていたのに……!」
「おい、弟よ。それでは私は一体何なのだ。テイウカタケノコガセイギトカワラワセンジャネエヨ」
「貴方は悪です、お姉さん。チョーシノンナヨキノコハノクセニヨォ」
「―――――――――!?」
「おい、弟よ。それでは私は一体何なのだ。テイウカタケノコガセイギトカワラワセンジャネエヨ」
「貴方は悪です、お姉さん。チョーシノンナヨキノコハノクセニヨォ」
「―――――――――!?」
弟からの思わぬ言葉にアキラは凍り付いた。
「貴方はいつも貴方の正義(キノコノヤマ)を押しつけてタケノコハノヒトビトを暴力で蹂躙してきた!
俺の言葉なんて一度も聞いてくれなかった!
貴方と居る間、俺がどれだけ自分を偽ってきたか!
貴方は知っているのか!?」
「…………そんな、嘘といってくれよ。」
俺の言葉なんて一度も聞いてくれなかった!
貴方と居る間、俺がどれだけ自分を偽ってきたか!
貴方は知っているのか!?」
「…………そんな、嘘といってくれよ。」
短剣を回避し続けながら真はアキラに向けて叫び続ける。
アキラの戦意が目に見えて低下していくのが俺には解った。
これは急いで終わらせなくては。
アキラの戦意が目に見えて低下していくのが俺には解った。
これは急いで終わらせなくては。
「いいえお姉様、嘘ではありませんわ。
現に私の父も貴方の手で…………グスン。」
「な、なんだってー!!」
「いえ、良いのよアスマ。あれは仕方のないことだったわ。」
「いや、それなら尚のこと、俺は姉さんを許さない!」
……どうみても芝居なのを誰も気づいていないらしい。
現に私の父も貴方の手で…………グスン。」
「な、なんだってー!!」
「いえ、良いのよアスマ。あれは仕方のないことだったわ。」
「いや、それなら尚のこと、俺は姉さんを許さない!」
……どうみても芝居なのを誰も気づいていないらしい。
「ハッ、笑わせる。貴様のような弱者の、なにが正義だ。
何が許さないだ。
お前程度の力の持ち主が――――――!!!」
何が許さないだ。
お前程度の力の持ち主が――――――!!!」
「何を、どう、許さないのか、教えて貰おう。」
「――――――――CCCCCCCCCCCCCCCCrimson!」
「――――――――CCCCCCCCCCCCCCCCrimson!」
無機質な機械音と共に俺の第三のメモリが起動した。
俺たちの足下から真紅の沼が広がり始める。
そこから現れたのは、大量の真っ赤に染まった人間の腕だった。
俺たちの足下から真紅の沼が広がり始める。
そこから現れたのは、大量の真っ赤に染まった人間の腕だった。
「これが俺の奥の手、クリムゾンメモリだ!
キサマラタケノコノサトハヲイクウカンニチョクセツオクリコムタメニシヨウサレルアクマノヘイキナンダゼ!
行けっ、緋色の沈黙(カーマインチェンバー)!」
キサマラタケノコノサトハヲイクウカンニチョクセツオクリコムタメニシヨウサレルアクマノヘイキナンダゼ!
行けっ、緋色の沈黙(カーマインチェンバー)!」
「うわっ、腕がまとわりついてはなれなっ……!」
「キャークヤシイケドツカマッチャウビクンビクン!」
「キャークヤシイケドツカマッチャウビクンビクン!」
朝八時放映なのでクリムゾンつながりとはいえそのネタはやめて欲しかった。
「ふん、これで悪は、テイウカタケノコノサトハ、概ね滅したか。」
「今日は不覚をとっちゃったなあ……、ゴメンネ笛吹君。マジムカツクワアノオトウト」
「構わんよ、肉親が相手ではお前も辛かっただろう。トオモッタケドキノセイデシタ」
「「変身解除!」」
「今日は不覚をとっちゃったなあ……、ゴメンネ笛吹君。マジムカツクワアノオトウト」
「構わんよ、肉親が相手ではお前も辛かっただろう。トオモッタケドキノセイデシタ」
「「変身解除!」」
俺と明日は再び元の姿に戻る。
こうして、学校町の平和は守られたのであったー。
メデタシメデタシ
こうして、学校町の平和は守られたのであったー。
メデタシメデタシ
「うわっ!」
がばっと布団から起き上がる。
時刻は日曜日朝の八時三十分。
どうやら俺は今日の仮面ライダーを見逃したらしい。
時刻は日曜日朝の八時三十分。
どうやら俺は今日の仮面ライダーを見逃したらしい。
「夢だったのか……。」
そうだ、そもそも俺は今サンジェルマンの居城に居るのだ。
ということは……。
ということは……。
「そもそも日本のテレビつかないじゃねえかよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「どうしたんですか上田さん!?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「どうしたんですか上田さん!?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
穀雨兄妹からの突っ込みを受けながらも俺はベッドの上を転げ回るのであったとさ。
今度こそめでたしめでた……くねえ!
【上田明也の協奏曲20~仮面ライダーの見過ぎには気をつけましょう~fin】
今度こそめでたしめでた……くねえ!
【上田明也の協奏曲20~仮面ライダーの見過ぎには気をつけましょう~fin】