【上田明也の協奏曲21~もめ事LOVERS~】
「……一体何だったんだあいつは。」
日本に帰ってきてから数日後。
うだるようにあつい昼下がり。
俺の事務所はまたまた思わぬ珍客が訪れていた。
たった今帰ったのだが。
うだるようにあつい昼下がり。
俺の事務所はまたまた思わぬ珍客が訪れていた。
たった今帰ったのだが。
「人に物を頼む時は礼儀って物があるよね。
あ~、何だよあいつ腹が立つ。厨二病は中二の時に卒業しておく物だろうがよ。
何が『俺は世界を照らす照明だ』だよ!
……いや、逆に考えようよ。
彼はまだ中学生、子供が礼儀を知らないことを責めるのは大人として良くない。
大人たるこの俺は子供に礼儀を教えるのが仕事じゃないかな?
そうだ、そうに違いない。ならば仕方ない、俺は紳士的にこの怒りを収めるとしよう。」
あ~、何だよあいつ腹が立つ。厨二病は中二の時に卒業しておく物だろうがよ。
何が『俺は世界を照らす照明だ』だよ!
……いや、逆に考えようよ。
彼はまだ中学生、子供が礼儀を知らないことを責めるのは大人として良くない。
大人たるこの俺は子供に礼儀を教えるのが仕事じゃないかな?
そうだ、そうに違いない。ならば仕方ない、俺は紳士的にこの怒りを収めるとしよう。」
『組織』の黒服、E-No.0、だったか。
勝手に人の家にあがりこんで勝手に的外れな文句を述べて、とても迷惑だった。
しかも事務所まで破壊していった。
勝手に人の家にあがりこんで勝手に的外れな文句を述べて、とても迷惑だった。
しかも事務所まで破壊していった。
そもそもにおいてだ。
俺は誰に利用されようと構いはしないのだ。
俺が得すれば誰が得しても良い。
彼方を使い捨てたとかいうハンニバルという男も、そう言う意味では大して恨んでいないのだ。
俺の愛情はあくまで彼方の妹たる吉静にある。
彼女に何かするのならば、しようとするのならば怒り狂うが、俺がふらふら動いた所であいつが利益を被ってもなんら問題はない。
データとやらもいくらくれてやっても良いのだ。
別にサンジェルマンがとっくのとうに収集解析し終わっている物だ。
研究者にとっては二番煎じのデータなど大した価値も無いらしいし。
俺の知らない奴が俺の知らないところで俺の知らないことをやっていようと何も問題はない。
俺は誰に利用されようと構いはしないのだ。
俺が得すれば誰が得しても良い。
彼方を使い捨てたとかいうハンニバルという男も、そう言う意味では大して恨んでいないのだ。
俺の愛情はあくまで彼方の妹たる吉静にある。
彼女に何かするのならば、しようとするのならば怒り狂うが、俺がふらふら動いた所であいつが利益を被ってもなんら問題はない。
データとやらもいくらくれてやっても良いのだ。
別にサンジェルマンがとっくのとうに収集解析し終わっている物だ。
研究者にとっては二番煎じのデータなど大した価値も無いらしいし。
俺の知らない奴が俺の知らないところで俺の知らないことをやっていようと何も問題はない。
た だ
俺の目の前で俺に喧嘩を売りに来たというのが腹が立つだけだ。
そうだ、良いこと思いついた。
徹底的に奴の、いいや、奴らの邪魔をしてやろう。
ハンニバルとやらが俺のことにあまり興味がないならばちょうど良い。
俺も彼にはあまり興味がないのだ。
敵は同じ事だし手を組むことだってあり得るかも知れない。
いや、それはねーか。吉静が狙いとかいう話聞いたし。
そうだ、良いこと思いついた。
徹底的に奴の、いいや、奴らの邪魔をしてやろう。
ハンニバルとやらが俺のことにあまり興味がないならばちょうど良い。
俺も彼にはあまり興味がないのだ。
敵は同じ事だし手を組むことだってあり得るかも知れない。
いや、それはねーか。吉静が狙いとかいう話聞いたし。
と、少し愉快な空想にふけってみる。
ガタン
突然ドアが開いた。
「アキナリさん!大丈夫です…………ね。」
「ぴんぴんしてます。」
「いや、E-No.0が来たと橙さんから聞いたものですから。
……あっれー?生きては居ても酷い目に遭ってるんじゃないかと心配してたのに。
ていうかなんでそんな頻度で0ナンバーと交戦して無事なんですか?」
「割と無傷です。なんなんだあの野郎、人の鼻の中に胡椒つっこみやがって。」
「運が良かったのか、そもそも彼に戦う気がなかったのか……?」
「なんだよあいつー、俺はなんか嫌いだぞああいう奴。」
「まあ生き残っているんですからそれを喜んでください。」
「うー……。そういえばよ、あいつって今なんで逃げ回っているんだっけ?」
「え、本拠地が爆破されたとかなんだとかって……。」
「そうかそうか。じゃあ良いことを思いついた。」
「え、プラスチック爆弾なんか持って何する気ですか?
お礼参りとか言いませんよね!?
頼むからやめましょうね、私の組織における立場が色々とアレなことになるんだから!」
「大丈夫大丈夫、俺は何もやらないよーカッコワライ。」
「くっ、最悪な予感しか……しない。」
「ぴんぴんしてます。」
「いや、E-No.0が来たと橙さんから聞いたものですから。
……あっれー?生きては居ても酷い目に遭ってるんじゃないかと心配してたのに。
ていうかなんでそんな頻度で0ナンバーと交戦して無事なんですか?」
「割と無傷です。なんなんだあの野郎、人の鼻の中に胡椒つっこみやがって。」
「運が良かったのか、そもそも彼に戦う気がなかったのか……?」
「なんだよあいつー、俺はなんか嫌いだぞああいう奴。」
「まあ生き残っているんですからそれを喜んでください。」
「うー……。そういえばよ、あいつって今なんで逃げ回っているんだっけ?」
「え、本拠地が爆破されたとかなんだとかって……。」
「そうかそうか。じゃあ良いことを思いついた。」
「え、プラスチック爆弾なんか持って何する気ですか?
お礼参りとか言いませんよね!?
頼むからやめましょうね、私の組織における立場が色々とアレなことになるんだから!」
「大丈夫大丈夫、俺は何もやらないよーカッコワライ。」
「くっ、最悪な予感しか……しない。」
そもそもにおいて俺は操作系の能力者。
本人が何もやらないのは当たり前、そんなこともサンジェルマンは忘れていた。
本人が何もやらないのは当たり前、そんなこともサンジェルマンは忘れていた。
数日後
ピーヒャララピーヒャララとどこからか、
ピーヒャララピーヒャララと風に乗り、
笛の音が響き渡る。
世間ではモスキート音と呼ばれる程に高い音程でならされる笛の音は子供達の意識下に確実に忍び寄っていく。
ピーヒャララピーヒャララとどこからか、
ピーヒャララピーヒャララと風に乗り、
笛の音が響き渡る。
世間ではモスキート音と呼ばれる程に高い音程でならされる笛の音は子供達の意識下に確実に忍び寄っていく。
「七夕ついでによい子のみんなにお菓子をあげちゃうよー。」
クマの着ぐるみを着て子供達にガムを配る男性。
他ならぬ俺である。
探偵にとって変装は基本スキルであるのでこの程度は楽勝なのだ。
背中にはありもしないデパートの名前を書いているので、傍目から見れば何かの宣伝に違いないと思うだろう。
他ならぬ俺である。
探偵にとって変装は基本スキルであるのでこの程度は楽勝なのだ。
背中にはありもしないデパートの名前を書いているので、傍目から見れば何かの宣伝に違いないと思うだろう。
繁華街に集まる子供達。
その一人一人にガムを渡すなんて意趣返しとは誰も思うまい。
しかしこのガム、たった一つだけが実は小型の爆弾なのだ。
その一人一人にガムを渡すなんて意趣返しとは誰も思うまい。
しかしこのガム、たった一つだけが実は小型の爆弾なのだ。
「あー、もうなくなっちゃったねえ。
ごめんね?
それじゃあまたこんどー!」
ごめんね?
それじゃあまたこんどー!」
偶然爆弾を手に入れた子供にだけ洗脳を少し強めにかける。
「ああ、君。『今日これからここに来る』『とある少年に』『そのガムをくっつけてくれ』。」
さて、準備は完了。あとはのんびり鑑賞するだけだ。
俺はそこらへんのトイレで変装を再びすると洗脳をかけた子供の後ろをこっそりつけ始めた。
子供は道をふらふらと歩き回るとゲームセンターに入っていった。
子供は道をふらふらと歩き回るとゲームセンターに入っていった。
お、狙い通りにエーテルが居た。
コツン
「あ、お兄さんごめんなさい!」
「ん?いや別に……。」
「ん?いや別に……。」
子供は俺の操作通り、エーテルにぶつかり、その隙に服にガムをつけた。
「3」
おや、ガムに気がついたようだ。
こっちを向いている、さすがの感だね。
こっちを向いている、さすがの感だね。
「ハイ、爆破。」
チュドォン!
エーテルがそれを手に取った瞬間、華を咲かせるようにガムが炎を吹いた。
ゲームセンターの騒音は、爆発音も簡単に掻き消してしまう……訳がない。
周りの人間が騒ぎ始めた。
それにしても我ながらサンハイ爆破って何なのだろう。
エーテルがそれを手に取った瞬間、華を咲かせるようにガムが炎を吹いた。
ゲームセンターの騒音は、爆発音も簡単に掻き消してしまう……訳がない。
周りの人間が騒ぎ始めた。
それにしても我ながらサンハイ爆破って何なのだろう。
アディオス、アミーゴ。元気でやれよ。
そもそもちゃんとカウントして俺が爆破するとでも思ったのだろうか?
さて、今の音で人が集まってくる前に急いで逃げ出すとするか。
俺は口笛で『エピタフ』を吹きながらそそくさとゲームセンターを逃げ出す。
それにしても鮮やかに決まった物である。
あれだけの爆発を喰らっていればすぐに追いかけては来られないだろう。
そもそもちゃんとカウントして俺が爆破するとでも思ったのだろうか?
さて、今の音で人が集まってくる前に急いで逃げ出すとするか。
俺は口笛で『エピタフ』を吹きながらそそくさとゲームセンターを逃げ出す。
それにしても鮮やかに決まった物である。
あれだけの爆発を喰らっていればすぐに追いかけては来られないだろう。
「ってあれ……?」
俺は辺りを見回した。
「なぁにこれぇ…………。」
ゲームセンターから出た俺を待ち受けていたのは大量の都市伝説の気配。
どうやら俺が悪戯に終始していた間に状況は妙なことになっていたらしい。
俺はパソコンを起動させるとすばやくゲームセンターのトイレの中に逃げ込んだ。
どうやら俺が悪戯に終始していた間に状況は妙なことになっていたらしい。
俺はパソコンを起動させるとすばやくゲームセンターのトイレの中に逃げ込んだ。
【上田明也の協奏曲21~もめ事LOVERS~fin】