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連載 - ハーメルンの笛吹き-74

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匿名ユーザー

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【上田明也の協奏曲30~悪い夢でも見てるようで~】

「目覚めよ……」
「目覚めよ…………」
「お前は今こそミュータントとして目覚めてX-メソで戦うのだ。」
「「「目覚めよ、上田明也」」」

「――――――――――パチモン!?」

いやなんだよX-メソって、X-メンじゃねえのかよ。
色々とがっかりだよ、サイクさんとかウルヴィーとかと一緒に働けるのかってちょっとDOKIDOKIしたぞ?
返せよ、俺の胸のときめきを返せよ。
ていうかなんだよ俺の目の前に立っているロリっ娘三人組、可愛いな畜生。

「上田明也、お前は今、大きな運命の分かれ道に立っている。」

無視か?
人の突っ込みを無視するのか?
良いだろう、放置プレイなんて最高じゃないか。

「お前に三つの質問を許そう。」
「それ以上は答えられない。」
「努、質問を間違うでないぞ?」
「「「私たちはお前を気に入っているのだからな。」」」

声の主が上機嫌なのは解る。
そして俺は声の主にたいそう好かれているらしい。
だが質問は三つまでとはどういう事だ?







「まず最初の質問、どうすれば君たちに口では言えないようなことができるのかな?
 可能な限り具体的に頼む。」
「可能性は0だ。」
「じゃあ次の質問、お前は俺に何を伝えたくてここまで来た?」
「危機。」
「最後の質問、その危機で俺は何を失う?」
「全て、命も含めた全てだ。」
「「「なぜ回避する方法を聞かない?」」」
「死ぬぞ、両腕をもぎ取られて、負けて死ぬ。」
「守りたいものを守れぬ屈辱と共に死ぬ。」
「黒猫に注意しろ。」
「ああ忘れてた。質問ついでに命令、えっちなことをしてください!」
「「「それは断る!」」」
「がっかりだよ!」

ロリっ娘三人組は一瞬で消え去った。
夢の世界の風景がぼんやりと消えていく。
どうやら俺は目を覚ますらしい。





「――――――――プハァ!」

って、此処は何処だ?
抜けるような青い空と目の前にそびえ立つ巨大な城。
面白いくらいにお伽噺みたいな世界だ。

「やっと来たか。」
「今度は誰だお前!」
「俺はお前の夢も支配している夢の世界の王様だ。」
「くそっ、こんな中年マダオっぽいのが王様だと!?
 随分夢も希望もない世の中になったもんだ!」

城の中から仰々しい兜をつけた男が現れた。
兜は立派だがその下が何とも情け無い顔をしている。
そしてまた夢か。

「うるせー、調子に乗ってるとお前の人生此処でGAMEOVERにするぞ?
 ただまあ夢のない世界ってのはあながち間違いでもない。」
「…………そうか。」
「ああ、そうだよ。」





「今日君を呼んだのは他でも無い。
 君はここに来るまでに妙な三姉妹に会わなかったかい?」
「ああー、会ったね。」
「そうかそうか、そして君はX-メソの一員になるように言われたはずだ。」
「まだ引っ張るのそのネタ!?」
「わかってないようだな、繰り返しはギャグの基本だ。」
「こんなマダオにギャグのなんたるかを語られた!」
「ギャグを語って何が悪い!
 ……じゃなくてだなあ、お前これからとんでもないものの管理をさせられるんだよ?
 解ってる?」
「え、何それ。俺さっきまで負けて死ぬって言われてたんだけど?
 あの邪気眼三姉妹に、くそっ、パンツくらいくれたって良いじゃないか。」
「え、あっれおかしいなあ……。
 まあ良いや、ほらこっち来い。」

にゃあん
にゃあん
マダオが口笛を吹くと奥の方から二回だけ猫の鳴く声が聞こえた。
次の瞬間には、真っ白い猫が俺の足下まで近づいていた。

「……猫じゃないですかお兄さん。」
「こいつは只の猫じゃなくてだな……」

マダオ……じゃなくて王様が説明を始めようとした瞬間だった。



パリィン!
急に窓ガラスが割れた。
赤いヘルメットと全身タイツに身を包んだ爺さんが城の中に乱入してきた。

「ここにテレパスのミュータントが居るのか!?
 是非とも我々の組織に組み入れなければ!
 これでまた俺が働かなくて済むッ!」

パリィン!

「待てッ、マジニート!貴様の野望を許す訳にはいかん!」

またまた窓ガラスが割れて今度は両目をサングラスで隠した男が城の中に乱入してきた。

「くそっ、何が起こっているんだ!?」
「落ち着け上田明也、これは一応お前の夢だ。
 おそらくお前がこの自体を望んでいる。」
「何それ怖い。」
「お前の無意識がカオスとかカオスとかカオスとか望んで居るんだろうな。
 今度精神科医に行くことをお勧めする。」
「あー、そういえばこの前よく知らない占い師に
 『貴方こそこれを持つべきです』って悪魔のタロットカードを渡された。」
「さらっと避難所でやってるゲーム妄想の宣伝していくなよ!?」
「みゃおう。」
「ふん、そこの子猫ちゃん、日本語で話せ。」
「うるせーよ馬鹿、調子に乗ってると○○○喰うぞ。」
「喋った!?」






「おのれサイクロップヌ、またコグゼビアの命令で俺の邪魔をしに来たか!
 俺は働きたくないだけなんだ!」
「うるさいぞ、ミュータントと人間が共存していくことの何が悪い!
 おいそこのテレパス!我々と一緒にX-メソで世界平和の為に闘おう!」
「えっ、俺のこと!?
 やった俺ミュータントかよ!ヤッホー!」
「待て待て、彼の持つムラマサブレードはヒーリング・ファクターを封じる力がある。
 彼は我々の対ウリヴァリン用の最終兵器として戦って貰わなくては困る!」
「ウルヴァリンと戦える、……だと!?そっちも気になるなあ。」
「落ち着け少年、これは夢だ。」
「はっはっは、夢の王だかなんだか知らないけどこのシチュエーションでハイにならない少年は居ない!
 憧れてたアメコミのヒーローがそろい踏みなのかこれ!?
 俺ミュータントらしいぜ、すっげえ嬉しいんだけど!」
「厨二病乙ってかぁ?」

また猫が喋った。
生意気だ。

「調子に乗るな馬鹿猫!去勢するぞ!」
「あたしゃ女の子だよ。」
「はっはっは、それを早く言え。お兄さんは猫でも喰っちまうんだぞ!
 ほらさっさと猫耳少女にでも変身しやがれ!
 ハリー!ハリー!ハリー!」
「オプティックブラースト!」

騒いでる俺と猫の間を光線が通り抜ける。
どうやらサイクロップヌとマジニートの戦いが始まっていたようだ。





「なんてことだ……、この俺でも収拾が付けられん。」
「なんだよ王様、王様なら王様らしく秩序を取り戻せ!」
「そうだそうだ!」
「お前ら二人とも調子乗るな!
 特にお前はまだ夢を見ることも出来ない子供のくせに!」

王様は猫を指さして怒った。

「そしてお前!
 俺が本気になればお前一瞬でお了いなんだからな!?
 やるよ、良いの?
 一生夢が見られなくなったりするぞ!?
 夢世界なんだから俺その気になったらお前一生で目覚められなくしてやるとか簡単だよ!?」
「それをやらないのは止められているから?」
「そうそう、お前にそれを押しつけなくちゃいけないからなあ……。
 ―――――――――って、あ。」
「俺は事情を知らないが……、言って良かったのそれ?
 まあ白猫なら一匹や二匹くらい……。」
「オレハナニモイッテナーイ。」
「にゃはは、馬鹿だよ馬鹿。」
「とにかく、こんな巫山戯た夢はもうお終いだ!」
「えっ、もう終わり?じゃあまた会おうねお兄さん。
 楽しみにしているよ~ん。」

パチン!
王様が指を鳴らすと、辺りは一瞬で闇に包まれた。







「――――――――――――――はぅあ!
 …………なんだ、夢か。」

どうやら俺は目を覚ましたらしい。
隣でメルが心配そうにしている。

「どうしたんですかマスター?」
「いや、妙な夢を見て……。」
「いつもの事じゃないですか。」
「まあそれもそうか。二度寝するわ。」
「はいはい、お休みなさい。
 …………ってあれ、何もされない!?
 こいつ普通に眠りやがった!」

死ぬぞ、両腕をもぎ取られて、負けて死ぬ。
守りたいものを守れぬ屈辱と共に死ぬ。
黒猫に注意しろ。
あの三姉妹の言葉が胸に響く。
訳がわからないのに、訳がわからないのに。

少しずつ運命が加速していくような感覚を覚える。
これが錯覚であれば良いと俺は心から願うしかできなかった。
【上田明也の協奏曲30~悪い夢でも見てるようで~fin】

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